【奇跡の木!?】モリンガとは?8つの効果と適切な摂取方法
2023年5月11日更新

監修者

睡眠健康指導士/ロジスティクス管理3級

室井優作

心と体の健康の要となる睡眠のスペシャリスト。眠りに悩みを抱える方のコンサルティングを日々行っている。プロボクサーを目指しており、運動やダイエットに関する指導も可能。おすすめの寝具はウェイトブランケット。

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。

モリンガとは

まず、モリンガとはどのような栄養素なのか見ていきましょう。

1.どんな栄養素?

モリンガはインド原産の木で、代表的なものにモリンガ・オレイフェラがあります。厳しい干ばつにも寒さにも耐えることができるため、世界中で広く栽培されている植物です。

モリンガの木は、ほとんどの部分が食用として利用できます。モリンガは、奇跡の木と呼ばれるほど高い栄養価を持っています。その栄養価は、ビタミンCはオレンジの7倍、ビタミンAはニンジンの10倍、カルシウムは牛乳の17倍、タンパク質はヨーグルトの9倍、カリウムはバナナの15倍、鉄分はほうれん草の25倍と言われています。

モリンガの葉の部分は、ミネラルやビタミンが豊富です。また、タンニン、サポニン、ポリフェノールのような植物由来の栄養素(ファイトケミカル)も多く含まれており、栄養失調の治療や、母乳を増やす目的で使用されます。セネガルやベナンなどアフリカの国では、栄養失調の子供たちの治療にモリンガが利用されています。また、モリンガの葉は低カロリーであることから、肥満改善の食事にも使われます。

モリンガの葉に含まれる栄養素の割合は、生息地の気候や環境に左右されます。ビタミンAは高温多湿の季節に多く、ビタミンCや鉄分は涼しく乾燥した季節に多く含まれることがわかっています出典[1]

モリンガは、工業的用途で利用することも可能です。モリンガの種は、廃水に含まれる金属や微生物を吸着・凝固させ、水を浄化します。また、植物由来の燃料であるバイオディーゼルにも利用されています出典[2]。モリンガは、環境保全に有用な成分としても注目を集めている物質です。

 

2.体の中でどんな働きをする?

モリンガには、ビタミンやポリフェノールなどの栄養素が豊富に含まれており、奇跡の木と呼ばれるほどの高い栄養価を持っています。モリンガに含まれる栄養素が体内でどのような働きをしているのか一つずつ見ていきましょう。

【ビタミン】

  • モリンガに豊富に含まれているβ-カロテンは、体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは、目を健康に保つために重要な栄養素であり、夜盲症(暗い場所で目が見えにくい症状)や白内障の予防に効果があります。
  • ビタミンCは、抗酸化物質として機能し、フリーラジカル、汚染物質、毒素などから体を保護します。
  • ビタミンEは、抗酸化物質として作用するだけでなく、癌細胞の増殖を阻害する働きがあります。

【ポリフェノール】

  • フラボノイドには、抗酸化作用があり、酸化ストレスから保護します。また、コレステロールの吸収を抑えることから、高脂血症の予防や治療に有効です。血糖降下作用にも重要な役割を果たし、糖尿病に効果があります。
  • ケルセチンは強力な抗酸化物質です。肥満ラットにおいて、脂質低下作用、血圧降下作用および抗糖尿病作用が認められています。また、高コレステロールまたは高脂肪で飼育されたウサギにおいて、高脂血症や動脈硬化症を減らすことが示されています。
  • フェノール酸は、抗酸化、抗炎症、抗変異原性、抗癌性を持っています。
  • クロロゲン酸は、肥満のラットの食後血糖値を低下させることが分かっています。また、肥満ラットや高脂肪食を与えられたマウスの血中コレステロール、トリグリセリドを減少させます。さらに、糖尿病ラットの脂質異常症を起こりにくくすることから、抗脂質異常症の特性を持つこともわかっています。
  • タンニンは、アルカロイドやゼラチン、タンパク質を沈殿させる水溶性フェノール化合物です。抗癌性、抗動脈硬化症、抗炎症性および抗肝毒性を持ちます。
  • サポニンにはコレステロールの吸収を抑える働きがあります。また、抗癌作用も持っています出典[3]

 

モリンガに確認されている作用や効果

奇跡の木と呼ばれるほど栄養価の高いモリンガを摂取することで、どのような効果が得られるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

1.疲労の緩和

モリンガには、疲労を緩和する効果があります。

健康な40人の成人男女に、1日12mgのモリンガ種子抽出物を4週間摂取してもらい、疲労の程度を調べました。その結果、モリンガ種子抽出物を摂取することで、疲労や腰痛、肩こり、視界の歪み視界の歪みが大幅に減少しました。特に、試験開始前から高い疲労度を示している被験者のほうが、4週間後に大幅な疲労回復が見られました。このことから、モリンガは疲労の重症度や腰痛の低下をもたらすことが示されました出典[4]

年齢を重ねると疲れやすくなってきますが、モリンガを摂取することで疲労回復効果が得られます。モリンガが含まれるサプリメントなどを摂取すると良いでしょう。また、この効果が表示されている機能性食品も存在します。そういった製品を活用してみるのもおすすめです出典[5]


2.ダイエットのサポート

モリンガには、ダイエットをサポートする働きがあります。

健康な48匹の雄ラットを複数のグループに分け、それぞれにコントロール食、高脂肪食、高脂肪食+モリンガの葉(300mg/kg)、高脂肪食+モリンガの葉(600mg/kg)を8週間摂取させました。その結果、モリンガの葉を摂取した群において、高脂肪食によって引き起こされる体重増加、脂肪重量増加が改善しました。これらの効果は、300mg/kg摂取群よりも600mg/kg摂取群の方が顕著でした。

これらの結果から、モリンガの葉には、体重や脂質吸収量の減少に効果的であることが分かりました。体重や体脂肪を減らして健康な身体を手に入れたい方は、ダイエットのお供としてモリンガを摂取すると効果が得られやすいかもしれません出典[6]

 

3.美肌効果

モリンガは、美肌にも効果があります。

皮膚の健康維持には、ケンフェロール、ケルセチン、ルチン、没食子酸、クロロゲン酸、エラグ酸、フェルラ酸やビタミン A、C、Bなどの抗酸化物質が必要です。モリンガはこれらを豊富に含んでいるため、摂取することで美肌に繋がります。

モリンガに豊富に含まれるβカロテンには、コラーゲンを増加させたり紫外線から肌を守ってくれたりする働きがあります。ビタミンBは、保湿剤として水分量を増やし肌を柔らかくします。

モリンガの葉の抽出物3%が含まれるクリームを3か月間使用し、皮膚の評価を行いました。クリームを塗布することにより、肌の水分量増加、弾性力の向上およびコラーゲン生成の促進が確認されています。また、モリンガの葉は、線維芽細胞の分裂を促進し、コラーゲンとエラスチンのターンオーバーを含む代謝を増加させることで、シワを減少する働きがあることが分かりました。シワの改善だけでなく、肌の粗さやなめらかさの向上も見られました。

このことから、モリンガ含有クリームは皮膚の活性化効果を高め、アンチエイジングに効果的であると言えます。年を重ねるにつれて、肌の水分量が減りシワも増加します。肌の健康を保ちいつまでも若々しくいるために、モリンガを摂取すると良いでしょう出典[7]

 

4.免疫力向上

モリンガは免疫細胞とも言われる白血球の数を増加させることから、免疫力向上の効果が期待されています。

実際の研究では、マウスにモリンガの葉の抽出物(125、250、500mg/kg)を15日間摂取させた後、免疫抑制剤であるシクロホスファミドを3日間摂取させ、白血球数を測定しました。その結果、モリンガの葉の抽出物を摂取することで、白血球数の大幅な増加が見られました。また、シクロホスファミドによって引き起こされる免疫抑制効果を大幅に減少させることもわかりました。

これらの結果から、モリンガの葉を摂取することで、免疫力アップに効果があることが示されました。感染症に負けない体を作るために、モリンガを積極的に摂取しましょう出典[8]


5.テストステロンの上昇のサポート

テストステロンは、健康や性機能、体組成、運動能力において重要なホルモンです。モリンガを摂取することで、テストステロン量が増加することが分かっています。

被験者に、モリンガの葉の粉末を含む飲料を4週間摂取してもらいました。その結果、モリンガを摂取することで、安静時のテストステロン量が12.1%増加しました。対照群のテストステロン量は0.66%しか増加していませんでした。

また、テストステロン/コルチゾール比(T/C比)を測定し、タンパク質合成がどの程度行われているかを調べました。コルチゾールとはストレスにより増加するホルモンであり、T/C比が高いほどタンパク質合成(同化反応)が顕著に行われているという指標になります。モリンガを摂取することで、T/C比が19.61%増加しました。対照群では、T/C比が27.45%減少していました。

これらの結果から、モリンガはテストステロン量を増加させ、同化反応を促進する働きがあることが分かります出典[9]。性機能を高め、トレーニングによるタンパク質合成をサポートするモリンガを積極的に摂取することをおすすめします。


6.精子の質を改善する可能性

モリンガは、精子の質を改善する可能性のある栄養素です。

まずマウスに、抗癌剤であるカルボプラチンを投与し、精子の異常を引き起こしました。それと同時に、モリンガの葉の抽出物(1500、500、250 mg/kg)を35日間摂取させました。その結果、モリンガの葉が、カルボプラチンによって誘発された精子の異常を改善することが分かりました。これは、モリンガが強力な抗酸化作用を持っており、精子を保護する役割を果たしたためであると考えられます出典[10]

モリンガを摂取することで、質の良い精子を増加させることができるかもしれません。不妊に悩む男性は、モリンガが含まれるサプリメントなどを摂取すると良いでしょう。

 

7.コレステロール値の低下

モリンガには、コレステロールを低下させる働きがあります。インドでは、モリンガの葉は肥満患者のコレステロールを低下させる漢方薬として使用されています。

高脂肪食を与えたラットに、モリンガの葉の抽出物を同時に摂取させ、コレステロール値を調べました。その結果、モリンガが高脂肪食によって誘発されるコレステロール値の上昇を抑えることが分かりました。モリンガの摂取によって、血漿コレステロール値は14.35%、肝臓コレステロール値は6.40%、腎臓コレステロール値は11.09%の減少が見られました。

このことから、モリンガの葉にはコレステロール低下作用があることが示されました出典[11]。コレステロール値が高いと動脈硬化や狭心症などの発症につながります。そのため、脂質の高い食事を控え、日頃からコレステロール値を正常に保つことが大切です。

 

8.糖尿病の改善

モリンガには、糖尿病を改善する働きがあります。インドでは昔から、糖尿病を治療するためのメディカルハーブとして使用されています。

ラットに200mg/kgのモリンガの葉抽出物を摂取させ、空腹時血糖値、経口ブドウ糖負荷試験(血糖値を正常に保つ能力を調べる試験)実施中の血糖値、食後血糖値を調べました。

健康なラットの場合、200mg/kgの用量において、空腹時血糖値が26.7%、経口ブドウ糖負荷試験中の血糖値が29.9%減少しました。中等度および軽度の糖尿病ラットの場合は、200mg/kgの用量において、空腹時血糖値が31.1%、経口ブドウ糖負荷試験中の血糖値が32.8%減少しました。

重度の糖尿病ラットの場合だと、200mg/kgの用量において、空腹時血糖値が69.2%、経口ブドウ糖負荷試験中の血糖値が51.2%減少しました出典[12]
これらの結果から、モリンガの葉は糖尿病の治療に効果的であることが示唆されました。

また、モリンガを含む食事は、モリンガを含まない食事に比べて血糖値を21%減少させます。ブドウ糖と比較した場合は、血糖値を44%も減少させることができます出典[13]。このことからも、モリンガは血糖値上昇を抑える効果があることが分かります。

血糖値の上昇を抑えるために、健康的な食事を摂ることを心掛けましょう。抗糖尿病作用を持つモリンガを含むサプリメントなどを摂取することも血糖値の上昇に効果的です。

 

モリンガの摂取方法や注意点

奇跡の木と呼ばれるモリンガは、健康で若々しい身体を作るために欠かせない栄養素です。健康に摂取するためにはどのようなことに注意すればいいのかを見ていきましょう。

1.どのくらい摂取すればいい?

機能性表示食品を獲得している「疲労感の緩和」の効果が確認されている摂取量は12mgです出典[4]。そのため、この効果を得るためには1日12mgを摂取することがおすすめです。

 

2.健康に摂取できる量は?

モリンガの葉の粉末を最大50gの単回投与で実施した試験において、悪影響は報告されていません。また、1日8gを40日間反復投与した試験においても、悪影響の報告はありません。そのため、この程度の量であれば安全に摂取できると言えます出典[14]

 

まとめ

モリンガにはビタミンやミネラル、ポリフェノールなどが豊富に含まれており、奇跡の木と呼ばれるほど高い栄養価を持っています。疲労の緩和やダイエットサポート、美肌効果、免疫力の向上などに有効な成分です。インドでは糖尿病の治療にモリンガが用いられており、血糖値上昇を抑える働きも確認されています。また、精子の質の改善やテストステロン上昇にも効果があり、男性が積極的にとるべき成分です。

LINEで専門家に無料相談

365日専門家が男性の気になる疑問解決します
LINEからメッセージを送るだけで薬剤師やパーソナルトレーナー、睡眠指導士やサプリメントアドバイザーなどNP所属の男性ヘルスケアの専門家があなたの疑問や質問に直接回答します!