執筆者
NP+編集長/NESTA-PFT
大森 新
筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識できるよう日々邁進中。
目次
オナ禁(禁欲)とは?なぜ推奨されるのか?
オナ禁とは、その名の通りオナニー(自慰行為)を禁止する行為です。精力を体内に留めておくことで活力や行動力が増し、精悍な男性になれると言われています。
活力向上だけに留まらず、寝起きの改善、睡眠時間の短縮、肌質の向上、コミュニケーション能力の向上、体臭の改善、さらに女性にモテるなどの効果が期待できるとインターネット上で噂されています。
基本的に女性にモテるようなカッコイイ男性になるためには仕事に励む、ハードにトレーニングをするなど、たゆまぬ努力が必要です。
しかしオナ禁は「何もしない」だけで男らしくなれると言うのです!
オナ禁の凄まじい効果発現のメカニズムは「テストステロン濃度の増加」によるものと信じられています。
テストステロンは男性ホルモンの1種で、筋肥大や性欲向上、体毛の成長など男らしい心身の形成に深く関わっております。男性では95%が精巣で作られます。
つまりオナ禁はテストステロンを体内に留めておくことで、体内の濃度を高め、心身を男らしくする行為と言えるでしょう。
ただし、エネルギッシュで女性にモテる男性ほど性行為を重ね射精を繰り返していることから、オナ禁は効果がないのでは?と考える人もいるはず。
そこで本記事では、科学的根拠を基にオナ禁とテストステロンの関係について紐解いていきます。
射精してもテストステロンは下がらない
オナ禁は精巣で産生されたテストステロンを体内に留める行為です。精液中にはテストステロンが血中の10倍含まれているので、射精をするとテストステロンが大幅に低下する気がしてします。
特にテストステロンを高めるために筋トレをしたり、サプリメントを活用したりしている人は出来る限り努力を無駄にしたくないですよね。
では実際に射精するとテストステロンは低下するのでしょうか?
2020年に獨協医科大学は32~41歳の男性7名を集め、オナニー前後でのホルモンの変動を調査しました出典[1]。
具体的には勃起前、勃起後、射精直前、射精時、射精10分後のテストステロンレベルを測定しました。
その結果が下記のグラフになります。
勃起前から射精の瞬間まで時間の経過とともに、テストステロン濃度が高まっていることがわかります。そして射精の10分後に元の値まで戻っていますね。
性的刺激によって上がった分だけ射精後に下がってはいますが、元の値より下がることはなさそうです。
また1998年にドイツの研究チームが行った別の研究でも、オナニーは射精後30分に渡ってテストステロンを低下させないことが報告されています出典[2]。
この研究では23~46歳の男性10名にドキュメンタリー映画もしくはポルノを視聴してもらい、それぞれの条件におけるテストステロン濃度を測定しています。ポルノ視聴時にはオナニーをして射精をしています。
その結果、ドキュメンタリーを視聴した場合もポルノを視聴した場合もテストステロン濃度の大きな変化はありませんでした。
基本的にテストステロンは血液にのって全身に運ばれ、筋肉や脳、皮膚など各組織で力を発揮します。
射精をしても血中のテストステロンは下がることはないため、あまり無理に我慢する必要はないでしょう。
短期的なオナ禁はテストステロンを高める?
射精によりテストステロンが下がらないのは一安心ですね。下がらないことが分かると、次に気になるのが、射精を禁止するとテストステロンは高まるかどうかだと思います。
行動による身体の変化を考える上では「短期」と「長期」に分けて考える必要があります。
例えば運動は短期的にはストレス解消に効果的ですが、長期的には身体能力の向上に繋がり、短期と長期で異なる変化が生じます。
その他の例で言うと喫煙は短期的には快楽をもたらしますが、長期的には肺がんや血管障害などのリスクをもたらします。
そして、いくつかの研究で短期的なオナ禁はテストステロンを高める可能性が示唆されています。
1週間のオナ禁でテストステロンが45%増加
オナ禁とテストステロンの関係について調査した著名な研究が2002年に中国で行われた「7日間の禁欲実験」です出典[3]。
この研究では21歳から45歳の28人の男性に、8日間射精の禁止を命じました。その結果、禁欲6日目まではテストステロンに変化はなかったものの、禁欲7日目にテストステロンが45%増加しました。しかし8日目には元の値に戻りました。
またこの研究には続きがあり、禁欲8日目に、28人の被験者を「8日目に射精して1度リセットするグループ」と「そのまま禁欲を続けるグループ」に分けました。
その結果、「8日目に射精して1度リセットするグループ」はリセット後7日目(禁欲7日目)に再度テストステロンが増加したのに対し、「そのまま禁欲を続けるグループ」では禁欲14日目にテストステロンは増加しませんでした。
したがって禁欲は7日以上しても、それ以上の効果は得られない可能性があります。
3週間のオナ禁で性行為時にテストステロンが高い状態を維持できる
また2001年にドイツで行われた研究では3週間の禁欲の効果を調査しています出典[4]。
この研究では週に2~3回セックスを行う22歳から29歳の若い男性を対象に、3週間の禁欲を命じました。そして禁欲前と禁欲後で自慰行為時のテストステロンの変化を調査しました。
その結果、禁欲前は自慰行為後にテストステロンが低下したのに対し、3週間の禁欲後は自慰行為時のテストステロンの低下が抑制されました。
この研究では感動的なドキュメンタリー映画を観た後に、ポルノを視聴し射精をしてもらっていますが、3週間の禁欲後はドキュメンタリー映画の視聴後のテストステロンの低下を抑制しています。
感動的な映画を観ると性欲は鎮まるかと思います。しかし、3週間の禁欲はエロへの期待値を高め、高いテストステロン濃度の維持に役立つようです。
つまりオナ禁をすると興奮しにくい状況の後でも、性欲を強く感じる可能性があります。パートナーとのセックスに興奮しにくくなった人は一度禁欲してみるのもよいでしょう。
長期的に禁欲するとどうなるの?
まだまだ研究数は少ないため断言はできませんが、短期的なオナ禁は一時的にテストステロンを高める可能性があります。
では長期的に行うとどのような変化があるのでしょうか?
定期的にオナニーをしない人はテストステロンが37%低い
皆さんが特に気になるのは長期的なオナ禁とテストステロンの関係だと思います。
しかし残念ながら長期的な禁欲を命じテストステロンの変化を調査した介入研究は現在(2023年7月時点)のところ存在しません。
そこで、ほとんどオナ禁状態に近い男性のテストステロン濃度を調査した研究を紹介します。
2001年にイタリアのラクイラ大学は83名のED男性を対象に、ED治療前後でのテストステロン濃度の変化について調査しました出典[5]。
まず最初にED男性83名のベースでのテストステロン濃度を測定したところ、健常者よりも総テストステロンが37%、遊離テストステロンが29%低いことがわかりました。
またアンケートをとったところ、83名の内75名がオナニーを定期的に実施していないことがわかりました。ここまでの情報だとテストステロンが低いからEDになったのか、オナニーをしていないからテストステロンが低いのかは不明です。
そこで研究チームは3か月間、83名それぞれに適したED治療を実施しました。ただし治療は心理カウンセリングやペニスポンプ、ED薬等を用いた方法であり、テストステロンを体内に取り込むホルモン療法は含まれておりませんでした。
そして治療終了後、下記の3グループに分け、テストステロン濃度を測定しました。
- 「EDが治り月に 8 回以上の性交に成功した」
- 「EDが部分的に治り少なくとも 1 回の性交に成功した」
- 「EDが治らず性交をしなかった」
その結果、「EDが治り月に 8 回以上の性交に成功した人」グループにおいて、テストステロンの増加が確認されました。
この研究ではテストステロンを直接体内に取り入れるホルモン療法を使用していないにも関わらずです。
したがって定期的な性的行為はテストステロン濃度の維持・向上に重要な可能性があります。
精子の質が低下する?
テストステロン以外の観点からもオナ禁の是非について考えてみましょう。
妊活を考えている男性であれば精子の質への影響も気になるかと思います。健康な若い男女でも、1回で妊娠できる確率は30%であることを考えると、出来る限り万全の状態で性行為に臨みたいですよね。
2001年にイスラエルのネゲヴ・ベン=グリオン大学は9,489件の精液サンプルの”質”と”禁欲期間”の関係について調査しました出典[6]。
精子の質を決める要因は、「精液量」「精子濃度」「運動率」「正常形態率」の4つ。この研究では精子サンプルを健康な男性のものと乏精子症(精子の数が少なく、自然妊娠に至るのが難しい状態)の男性のものに分けて、禁欲期間と精子の質を比較しています。
グラフを見ると禁欲期間が長くなるに連れて、健康な男性と乏精子症の男性の両方で「精液量」が増えていることが分かります。
一方で「運動率」「正常形態率」については禁欲期間が長くなるに連れて低下しています。
精液量の正常値が1.4mlであることを考えると、無理に禁欲して精液量を増やす必要はないでしょう。
一方で運動率の正常値は42%以上です。禁欲を8日以上続けると健康な男性でも運動率は42%を切ってしまいます。
妊活を考えている男性は過度な禁欲は控える方がよさそうですね。
前立腺癌のリスクが上がる?
近年の研究からはオナ禁は前立腺癌とも関係していることがわかっています。
若い人にはあまり馴染みがないかもしれませんが、前立腺癌は男性の9人に1人が発症する病気です。
合併症にはEDや尿漏れがあり、出来る限り発症のリスクは抑えたいものです。
2021年のアメリカのハーバード公衆衛生大学院が約3万2000人の男性を対象とした調査によると、月に21回以上射精する男性は、月に4~7回射精する男性に比べて、前立腺がんのリスクが20%低いことが分かっています出典[7]。
前立腺には前立腺液という精液の一部を作ったり、精子に栄養を与えたり、精子を保護したりする役割があります。
定期的に射精をすることで前立腺がはたらき、予防に繋がるのかもしれません。
いつまでも健康な男性機能を保つためには過度な禁欲は禁物です。
逆にオナニーしすぎるとどうなるの?
禁欲のしすぎは男性の健康に悪影響であることが分かりました。
それでは逆にオナニーのしすぎはどうなのでしょうか?
たくさんオナニーしてもテストステロンは下がらない
2016年にカナダのマギル大学は57〜85 歳のアメリカ人男性620人を対象にオナニーの頻度とテストステロン濃度の関係について調査しました出典[8]。
その結果、より頻繁に自慰行為をする男性はテストステロンのレベルが高い可能性が示されました。
自慰の回数が多いからテストステロンが高くなるのか、テストステロン値が高い人が自慰を多く行うのかは不明ですが、射精がテストステロンを低下させる可能性は低いようです。
でもEDの確率は高まるかも...?
またナイトプロテインでは性行為経験のある成人男性500名を対象に、オナニーの頻度が男性機能に与える影響についてアンケート調査を実施しました。
その結果、1日に複数回オナニーをしている男性は1日に1回オナニーをしている男性よりもEDの人の割合が13%も高いことがわかりました。
革新的なマスターベーショングッズや過激なポルノで溢れる現代では、オナニー時の刺激は実際の性行為時の刺激よりも強くなりがちです。
オナニーをしすぎて現実ではありえないような刺激に慣れてしまうと、実際の性行為時に勃たなくなってしまうのかもしれません。
また、この調査では月に1~2回未満の場合もED率が高いことがわかっています。筋トレをしないと筋肉が少なくなっていくように、男性機能も使わないと不能になるようです。
男性機能を維持する上でも適度なオナニーはおすすめです。
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本記事ではオナ禁の効果について科学的根拠を基に解説しました。
数日から1週間程度の短期的な禁欲はテストステロンや精子の質を高める可能性はありますが、それ以外に顕著なメリットは現在のところ確認されていないようです。
むしろ過度な禁欲は精子の質の低下や前立腺癌リスクの増加などデメリットが多く、積極的にはおすすめしません。
また短期間のオナ禁でテストステロンが上がるとしても、その効果は一時的。テストステロンを継続的に上げなければ、心身ともにかっこいい男にはなれないのです...。
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