科学的根拠に基づいたテストステロンを自然に増やす方法13選
2023年5月5日更新

執筆者

NP+編集長/NESTA-PFT

大森 新

筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識できるよう日々邁進中。

そもそもテストステロンとは?

近年、耳にすることが多くなった「テストステロン」。ではそもそもテストステロンとは何なのでしょうか?

テストステロンの正体は男性ホルモンです。性欲向上筋肥大モチベーションの維持などの作用があり、男らしい心身を作る上で重要なホルモンです。その他にも、骨や髪、脳にも作用するため、別名「命のホルモン」とも呼ばれています。

テストステロンは脳からの指令により、95%が精巣で産生されます。また最近の研究では筋肉からも微量テストステロンが分泌されることが分かっています出典[1]

精悍でエネルギッシュな男性を目指す上ではテストステロンが最重要となります。
 

テストステロンの低下により生じる5つのこと

男性らしさを保つ上で重要なテストステロン。実はその分泌量は20代後半をピークに年に1%ずつ低下していきます出典[2]。40代から50代にかけて訪れる男性更年期障害もこのホルモンの低下が関わっていると言われています。

テストステロン低下によって引き起こされる症状は以下の通りです。

  • 男性機能の低下:テストステロンは性欲に関わるホルモン。分泌量が減ることで性欲も減退します。また勃起とは性的興奮をトリガーに陰茎に血流を送りこむ現象のため、EDも引き起こされる可能性があります出典[3]
  • 腹回りの脂肪の増加:体内のテストステロンレベルが低いと、血中にタンパク質と結合している中性脂肪の分解が促進され、分解された中性脂肪は脂肪組織に蓄積されて体脂肪を増やします。1999年の研究においてもテストステロンの低下と脂肪量の増加が確認されています出典[4]
  • 骨密度の低下:骨粗鬆症は、世界中の高齢者人口に重大な罹患率と死亡率を引き起こしている状態です。体内のテストステロンおよび高齢男性の骨密度と骨折との関連性は、多くの研究で実証されています出典[5]
  • メンタルの悪化:テストステロンは神経細胞やニューロン、ドーパミンなどに作用することで気分を安定させます出典[6]。中高年の方で「何をしても楽しくない」と感じる方はテストステロンの低下が一因かもしれません。
  • 睡眠の質低下:いくつかの研究でテストステロンの低下が睡眠時無呼吸症候群や夜間頻尿の発症と関係していることが明らかにされています出典[7]出典[8]

 

科学的根拠に基づいたテストステロンを自然に増やす方法13選

中高年になって腹が出てくるのも、なんだかやる気が出ないのも、不摂生が原因ではありません。全てテストステロンの低下が関係しています。ここからは男性にとって最も重要なホルモンのテストステロンを増やす方法をご紹介します。

テストステロンを増やす基本行動5つ

テストステロンを増やすと言っても、大きな効果が期待できるものから一時的な効果が期待できるものまで方法は様々。しかし、根幹となる基本行動を疎かにすると、どんなことをしてもエネルギッシュな男性にはなれません。まずはテストステロンを増やす5つの基本行動をご紹介します。

1.バランスのとれた食生活

「You are what you eat(あなたはあなたの食べたものでできている)」という言葉がありますが、それはテストステロンも同じ。テストステロンが作られる過程で多種多様な栄養素が関わっているため、栄養バランスのとれた食事を摂ることが重要です出典[9]

例えばテストステロンは脂質に含まれるコレステロールから作られます。またコレステロールがテストステロンに変わる過程ではいくつかの酵素が関わっています。酵素は主にたんぱく質から構成されています。その他ビタミンやミネラルの微量栄養素を不足なく摂取することも大切です。

テストステロンを増やす食べ物やサプリメントも多くありますが、これらはベースとなる食事があってのもの。炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルのバランスがとれた食事を意識しましょう!お魚や野菜・果物をたくさん食べることはおすすめです。

 

2.定期的な運動

運動がテストステロンを増加させることは古くから知られています。実際に肥満男性を対象とした2015年の筑波大学の研究では、テストステロンレベルを上げるには、食事制限よりも身体活動を増やす方が有益であることが報告されています出典[10]

ではどのような運動を行えばよいのでしょうか。ランニングなどの有酸素運動でも確かにテストステロンは増加しますが、その効果は一時的。運動中にピークを迎え、運動後は徐々に安静時の値に戻っていきます出典[11]

一方で筋トレはテストステロンを微量分泌する筋肉を増やすことで、テストステロンレベルのベースを引き上げてくれます。特にスクワットは多くの筋肉を効率的に鍛えられるため、おすすめ。

10回できる重さで短いインターバル(60秒)3セット行うとよいでしょう!出典[12]

 

3.十分な睡眠時間の確保

どれだけ忙しくても必ず確保したいのが睡眠時間。テストステロンは睡眠中に最も分泌されるからです出典[13]

2010年にシンガポール国立大学で実施された研究では、8時間以上眠る男性と比べて、睡眠時間が4時間未満の人は35%、4〜6時間の人は14%、テストステロンレベルが低かったことが報告されています。特筆すべきはこの睡眠時間とテストステロンレベルの関係には年齢や体脂肪、運動強度は影響していなかった点にあります出典[14]

つまり、十分に寝ていないと若くてもテストステロンは低下するのです!適切な睡眠時間には個人差がありますが、米国睡眠財団によると成人は7〜9時間眠る必要があります出典[15]

どれだけ忙しくても、「ダラダラ過ごす時間を減らす」、「最先端家電で家事の時間を減らす」などで睡眠時間を確保するようにしましょう。

 

4.健康体重の維持

テストステロンを増加させる上では体型を維持することも重要です。

例えば体脂肪が増えると、テストステロンを女性ホルモンに変える酵素が増加します。実際にBMIが25を超える男性は標準体重の男性と比べて40%もテストステロンが低いことが報告されています出典[16]

一方で痩せすぎにも注意が必要です。ボディビルダーを対象とした研究では、体脂肪率を5%まで絞り込むと、テストステロンが20%低下したようです出典[17]。テストステロンは脂肪に含まれるコレステロールから作られます。痩せすぎると、テストステロンの材料がなくなってしまうのです。

適度に食べ、適度に運動し、体脂肪率は8〜15%程度を維持しておくのがよいでしょう。

 

5.ストレスマネジメント

ストレスは身体の中で活性酸素や炎症を増加させます。またテストステロンは酸化・炎症に弱く、容易に損傷を受けるため、減少しやすいホルモンでもあると考えられています出典[18]。そのためストレスを適切にケアすることは男性らしさを保つ上で重要です。

ストレスケアの方法は人によって様々。自分に合った方法でストレスをマネジメントしてみてくださいね。

 

+αで取り組みたい8つのこと

ここからはテストステロンを増やすために5つの軸となる習慣を整えた上で、追加で取り組みたい8の行動についてご紹介します。

1.日光浴

テストステロンはコレステロールを原料として作られますが、その合成の際にビタミンDが関与してます。2016年にイタリアで行われた研究では、体内のビタミンD濃度が低いほどテストステロンレベルも低いことが報告されています出典[19]

またビタミンD不足の102人の男性を対象とした2017年の研究では、ビタミンDサプリメントを摂取するとテストステロンレベルが上昇し、勃起不全が改善されることがわかりました出典[20]。ビタミンDはサンシャインビタミンとも呼ばれ、光を浴びることで体内で生成される物質です。そのため日光を十分浴びることでテストステロンの維持・向上につながる可能性があります。

国立環境研究所の報告によると、必要量のビタミンDを生成するには1日20分程度の日光浴が必要なようです出典[21]

リモートワークなどで家にこもりがちな人は、意識的に外に出て日光を浴びましょう。

 

2.微笑しよう

柔らかい表情は友好的な印象を与え、人間関係を円滑にします。しかし実はテストステロンには悪影響かもしれません。

男子学生119名の笑顔の写真と唾液中のテストステロンレベルを調査した研究では、テストステロンレベルが低い男性ほど友好的な表情をしていたことが報告されています。

さらにこの研究では顔の表情における筋肉の運動を数値化するシステムを使って、笑顔の写真を詳細に調べました。その結果、低テストステロンの男性の唇の両側の角は外側及び上側に大きく動いており、両眼の目尻にはより多くのしわができていたことがわかりました出典[22]

くしゃっと笑うからテストステロンが減るのか、テストステロンが低いから友好的な表情になるのかは不明ですが、まずは形から入り、微笑することから始めるのもよいでしょう。

 

3.胸を張って立つ

表情とテストステロンが関係しているのと同様に、姿勢も男らしさに大きく影響します。

2010年にアメリカのコロンビア大学が実施した研究では、肩をすくめて猫背の姿勢をとった時と比べて、胸を張った姿勢を取るとテストステロンが高くなり、ストレスホルモンのコルチゾールが低下したことが報告されています。研究では2分間だけ胸を張るだけでも効果があったとのことです出典[23]

現代人はデスクワークやスマホ操作により、肩がすぼんだ前かがみの姿勢になりがちです。1日2分だけでもスクリーンから離れ、胸を張ってみてはいかがでしょうか。

 

4.魅力的な女性と会話する

テストステロンは元々、女性を惹きつけるために、男性らしい身体や精神を作るホルモン。魅力的な女性を目の前にしたら分泌されないわけがありません。

2003年にシカゴ大学で行われた研究では、魅力的な女性と1日5分話した男性がテストステロン値を30%増やしたことが報告されています出典[24]

ここで”魅力的な”女性であることが重要です。母親と話しても活力は湧いてこないと思います。気になる女性には積極的に話しかけていきましょう!

 

5.勝利体験を味わう

テストステロンは別名「勝利のホルモン」とも呼ばれています。賭け事に勝ったり、社会的に成功したり、狩猟に成功した時などはドーパミンが放出されます。そしてこのドーパミンを分泌する命令を出すのがテストステロンです出典[25]出典[26]

また勝った映像を見るだけでも効果が期待できます。エリートホッケー選手が過去に勝った時の試合の映像を見るとテストステロンが42〜44%増加したことが報告されています。引き分け、もしくは負けた試合の映像を見ても変化は生じなかったようです出典[27]

スポーツをやっている人は勝った時の試合を見るのもよし、スポーツファンの人は応援しているスポーツチームが勝った試合を録画しておくのもよし、「勝利」を身近にしてテストステロンを増やしましょう!

 

6.常備薬の再評価

薬の中にはホルモンバランスを乱す可能性のあるものも。ここではテストステロンレベルを低下させる可能性のある薬のチェックリストをご紹介します。当てはまる薬がある場合は、かかりつけのお医者様に相談するのも1つです。

  • スタチン系薬:コレステロール値を下げるために処方されることがあります出典[28]
  • オピオイド:疼痛管理のために処方されます。長期間の使用は、テストステロン値に影響を与える可能性があります出典[29]
  • シメチジン:胃酸の過剰分泌を抑える薬です。胃痛や吐き気、胸焼けのための一般的な市販薬です出典[30]
  • ケトコナゾール:脂漏性皮膚炎やAGA治療に用いられます。錠剤、シャンプー、クリーム、フォーム、ゲルなどの外用薬として処方されることがあります出典[31]
  • 抗うつ薬:SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などにはテストステロンを低下させる可能性があります出典[32]
  • 抗ヒスタミン薬:アレルギーの治療に非常によく使用されます出典[33]

 

7.アルコールの摂取量を減らす

アルコールの摂取がテストステロンに悪影響を及ぼすことはよく知られています。

アルコールとテストステロンとの関係について、健康な男性のボランティアを対象に行われた調査によると、飲酒4時間後にアルコールの血中濃度が最大に達し、テストステロンの分泌量が低下したことが確認されています。このときテストステロンの分泌量は飲酒後24時間まで回復しなかったとの結果も得られています出典[37]

このように、アルコールの摂取はテストステロンの分泌機能や分泌を促進させる機能に影響を与えるため、飲酒量は控えるべきと言えるでしょう。

ただし完全な禁酒を貫く必要はなく、適量の飲酒は男女ともにテストステロンの血中濃度を上げるとの研究結果も出ています出典[38]成人男性であればアルコール換算で20g程度が「適量」であるとされており、それぞれの飲料に置き換えると以下のようになります。テストステロンを増加させたい場合には、この適量を守って飲むようにするとよいでしょう。
 

8.サプリメントの摂取

ハーブ系の成分や植物由来の成分の中には、長期的に摂取することで安静時のテストステロンレベルが上昇したことが報告されているものもあります。一般的にテストステロンブースターと呼ばれる類のサプリメントに含まれていることが多いです。普段の食事や運動などの生活習慣を整えた上で使用すれば、男の自信が増大する可能性があります。

以下にテストステロンを増やす可能性が示唆されている成分を示します。

  • フェヌグリーク:カレーのスパイスにも使用されるハーブ。2020年のメタアナリシスにてテストステロンへの効果が実証されています出典[34]
  • トンカットアリ:マレーシア人参とも呼ばれる薬用植物です。2013年の研究では、トンカットアリの4週間の摂取によりコルチゾールが16%減少し、テストステロンが37%上昇したことが報告されています出典[35]
  • テスノア:2020年にリリースされたばかりの最先端テストステロンブースター。その正体はザクロとカカオの混合物。テスノア400mgの摂取と週4回の運動を56日間継続した研究では、25.3%の遊離テストステロンの上昇と握力、上腕周囲の向上が確認されている出典[36]

テスノアについてもっと知る

 

テストステロンに関するよくある質問

最後に、テストステロンに関してよく寄せられる質問とその回答をご紹介します。

テストステロンが増えると毛が薄くなりますか?

テストステロンが増える=薄毛の原因という印象がある方は少なくないかと思います。しかし実際は異なります。薄毛に影響するホルモンは、テストステロンと同じ男性ホルモンの一つである「ジヒドロテストステロン(DHT)」と呼ばれる物質です。名前は似てますが、前述したテストステロンとは別のホルモンです。

DHTはテストステロンと特定の酵素(5αリダクターゼ)の働きにより生成されるホルモンですが、薄毛においてはテストステロン量の増減よりも5αリダクターゼの働きによる影響の方が大きいことがわかっています出典[39]。実際にAGA治療(薄毛治療)では、テストステロンの抑制ではなく酵素の働きを抑えるお薬が使用されます。また薄毛に関しては後天的なホルモンの変化よりも遺伝の影響の方が大きいとする専門家もいます。

 

自慰行為はテストステロンを低下させますか?

自慰行為は短期的にはテストステロンレベルを変化させる可能性があります出典[40]。しかしすぐに通常時のレベルに戻ると言われているので、無理に禁欲する必要はありません

実際、過度な禁欲はストレスとなる可能性がございます。3か月オナ禁やその他性行為を禁止した研究では、テストステロンが37%も低下低下したことが報告されているので、ストレスになるのであれば過度な禁欲はおすすめできません出典[41]。また、性機能を正常に維持するためにも、定期的な射精は重要と推奨する専門家も多い傾向にございます。

もちろん数日~1週間程度であれば、性欲等は高まるといったデータがあるので、パートナーとの行為をより楽しむといった意味での短期間の禁欲にはメリットはあるかと思われます出典[42]

 

大豆製品はテストステロンを減らしますか?

大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをするため、テストステロンレベルを低下させる可能性が懸念されています。しかし、2021年にテストステロンレベルと大豆製品の摂取量の関係を調査したメタアナリシスでは、イソフラボンは1日75mgまでの摂取であれば、テストステロンに悪影響を及ぼさないことが示されています出典[43]

大豆イソフラボンの量は納豆1パックで65mg豆腐1丁で80mgと言われています。そのため過度に摂取しない限りはテストステロンを減らす心配はないでしょう。

 

テストステロンを最も高めることができるのはどのサプリでしょうか?

サプリメントは成分と身体の相性が重要なため、最も効果のあるテストステロンブースターは個々人によって異なります。その上でテストステロンブースターを選ぶ上では以下の2点に気を付ける必要があります。

  • テストステロンに関する臨床試験が豊富な成分が配合されていること
  • 上記の成分が必要量配合されていること

NP+ではサプリメントの成分を記事で紹介しているので是非ご活用ください。
 

まとめ

テストステロンは男性にとって命を同じくらい重要なホルモンです。近年はホルモン補充療法などでテストステロンを直接体内に注入することもできますが、やはり健康的ではありません。日々の生活習慣を意識して、医療に頼らない身体をと心を保ちましょう!

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