執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
テスノアとは
テスノア(TESNOR)とは、2020年にアメリカのGENCOR社が開発した最新の素材です。GENCOR社は体内のテストステロン量を高めるためのサプリメントである「テストフェン」の開発会社でもあり、男性の性機能や運動のパフォーマンスを向上させるための栄養学において、アメリカでは先駆的な試みを続ける企業として知られています。
そんなGENCOR社がテストフェンに次いで新しく開発した「テスノア」は、ザクロやカカオ由来の成分を原材料としています。この素材はテストフェンと比較して少ない配合量で効果を発揮し、更に強い匂いなどのクセがないと紹介されています。サプリメントに使用することでサイズの軽量化や飲みやすさの向上に役立つため、海外では高く評価され注目を集めてきました。
テスノアの原材料は?
体内のテストステロン量を高め、男性特有の悩みである性機能や活力・体力の低下などを改善するための素材として、テスノアは有効に、かつ安全に機能する素材であると言うことができます。その秘密は、テスノアの原材料であるザクロとカカオにあります。
ザクロ(英名:ポメグランテ)は、プニカラギンと呼ばれる化合物を含んでいます。プニカラギンは水溶性のタンニンであり、強い抗酸化作用を持つことで知られています。
加齢や激しい運動により発生量の増加する「活性酸素」は、細胞へのダメージを与える「酸化ストレス」として体の様々な機能を損なわせる原因となります。抗酸化作用を持つプニカラギンの摂取によりこの活性酸素が無害化され、酸化ストレスを低減する効果が期待できるのです。
カカオはテオブロミンを含有しています。テオブロミンはチョコレートやココアの苦み成分として知られている、アルカロイドの一種です。体内の平滑筋に作用して血管を拡張させ、血流を良好にして冷え性を改善したり、リラックス効果をもたらしたりすることで知られています。
テオブロミンもまた抗酸化物質・抗炎症物質として機能し、血管の状態を良好に保つ、筋肉の疲労を軽減する、などの効果が期待できます。
テスノアはザクロ由来のプニカラギンを3.5%、カカオ由来のテオブロミンを0.5%含むものと規格されており、安全性の高い天然素材として注目されています。
テスノアに期待できる5つの効果
加齢に伴う男性機能の低下を改善するためのサプリメント、その素材として注目されるテスノアですが、具体的にどのような効果をもたらすのでしょうか。以下ではテスノアに期待できる体への作用として5つ紹介します。
1.テストステロン量の増加
テスノアの投与により、血中のテストステロン濃度が向上する効果が得られることが明らかになっています。
男性ホルモンの一種であるテストステロンは、筋肉量の増加や造血作用、生殖機能を含めた男性の性機能の向上、気力ややる気の向上など、身体面・精神面において男性が活力あふれる毎日を過ごすために欠かせないホルモンです。加齢とともに減少することが分かっており、特に40代を超えてからの低下が深刻です。
テスノアの投与においては、テストステロンが不足する40代以降の男性だけでなく、30代の若年層にもテストステロンの増大効果が確認されています。
120名の36~55歳の健康な男性参加者において、200mg/日または400mg/日のテスノア、もしくはプラセボサプリメントを摂取する二重盲検ランダム化比較試験において、200mg/日群は39.16%、400mg/日群は48.28%遊離テストステロンが増加していました出典[1]。
テストステロンはたんぱく質やその他の体内成分に結合した形で存在する「結合型」と、そのままの状態で血中に存在する「遊離型」とに分かれます。生殖機能へのサポートや活力の増大などをもたらすように機能するのは「遊離型」のテストステロンであり、40代以降は特にこの遊離テストステロンの低下が著しいことが分かっています。
テスノアはこの遊離テストステロンの増大効果が特に大きく確認されているため、テストステロン濃度の増大のみならず、テストステロンが体にもたらす恩恵も特に大きく受け取れることが期待できるでしょう。
2.男性更年期障害の改善
女性の閉経に伴い、女性ホルモンが大幅に減少することで更年期障害を生じる場合があることはよく知られていますが、男性においても、男性ホルモンであるテストステロンの減少により更年期症状が現れる場合があります。倦怠感や抑うつ状態などを生じ、生活の質を大きく落とすことになる更年期障害ですが、テスノアの利用によりこの症状が改善する可能性が示されました。
男性における更年期障害の中で、遊離テストステロンが少ない状態を特にLOH症候群といいます。このLOH症候群の可能性、ひいては加齢に伴う生活の質の低下度合いをはかるための指標として「AMSスコア」と呼ばれるものが使用されています。AMSスコアが高いほど、LOH症候群の可能性が高く、生活の質が損なわれていると評価できます。
テスノア摂取群とプラセボ摂取群とで、男性における更年期障害の程度をAMSで評価した二重盲検ランダム化比較試験によると、テスノアを摂取した群において、摂取7日目からAMSスコアが有意に低下し、自覚できる身体的・精神的症状や性欲が大きく改善したことが分かっています出典[1]。
テスノアの利用者においてAMSスコアが早期に改善したことを示すこの試験結果により、更年期障害における倦怠感や抑うつ状態、性欲の低下などを改善する可能性があることが示されました。テスノアは男性における更年期障害の症状を緩和・改善するための、安全な素材であると言うことができそうです。
3.抜け毛やニキビの原因となる物質の分泌抑制
抜け毛やニキビの原因として「ジヒドロテストステロン」という物質が特定されています。ジヒドロテストステロンは、テストステロンが5αリダクターゼと呼ばれる酵素と結びつくことで生まれます。
ジヒドロテストステロンは男性ホルモンの一種であり、テストステロンと同じように筋肉量の増大や性機能の向上といった効果を持っています。しかしその一方で、毛髪の成長サイクルを阻害して薄毛や抜け毛の原因となったり、皮脂の分泌を促進させてニキビの発生リスクを高めたりといった作用も有しています。あまり積極的には増やしたくないホルモンである、と言えるかもしれませんね。
しかしこのジヒドロテストステロンはテスノアの利用によって増加せず、むしろ相対的に減少する可能性があることが、健康な21~35歳の男性120名を対象としたランダム化比較試験により示されました。56日間にわたりテスノアを摂取した群は、プラセボ摂取群と比較して、総テストステロンや遊離型のテストステロンは増加したものの、ジヒドロテストステロンのような、他の物質と結合したテストステロンである「結合型」のテストステロンの増加は確認されませんでした出典[2]。
この試験により、テスノアは、遊離型のテストステロンのみを増大させ、結合型のテストステロンの一種であるジヒドロテストステロンなどは増加させないことが分かります。そのためテスノアは、テストステロンのよい効果だけを効率的に得るために適した素材であると言えそうです。
4.筋力アップの効率化
テストステロンが体にもたらす重要な効果のひとつに、筋肉量の増大が挙げられます。テスノアの利用により、血中テストステロン濃度が増加するのみならず、筋肉量が増大したり筋力が向上したりといった効果も確認されており、筋力アップの効率化が期待できます。
この効果は若年男性においても、またテストステロンが低下しがちな40代以降の男性においても発揮されていることが、2つの二重盲検ランダム化比較試験により明らかになっています。
200mg/日または400mg/日のテスノアの摂取を続けた群は、21~35歳の男性においても、36~55歳の男性においても、プラセボ摂取群と比較して握力が5%程度改善されていました出典[1]。また、21~35歳の男性を対象とした試験においては上腕周囲径が0.13~0.19cm増加していたこともか確認されています出典[2]。
これらの試験により、テスノアの利用により、筋力の向上のみならず筋肉量自体も増加する効果が期待できると考えられます。テストステロンの増大効果が、筋力アップの効率化によい影響を及ぼしている可能性があるため、運動パフォーマンスの向上にも役立てられそうですね。
5.ストレスの軽減
テスノアを開発したGENCOR社によると、テスノアによる血中テストステロンの増大効果は、血中のコルチゾール濃度を低下させることによるものであると説明されています出典[3]。
疲労や精神的負荷などによって体がストレスを感じると、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが分泌されます。コルチゾールはテストステロンの一部を、エストラジオールという女性ホルモンの一種へと変換してしまうことが分かっています。エストラジオールの増大とテストステロンの減少を防ぐため、血中のコルチゾール濃度をコントロールすることは重要であると言えるでしょう。
テスノアの原材料であるカカオやザクロの有効成分である、テオブロミンとプニカラギンは強力な抗酸化作用を持つことで知られています。コルチゾールは体内で過剰に発生した活性酸素に反応して分泌されることが分かっているため、抗酸化物質を十分に摂取することで体内の活性酸素が減少し、結果としてコルチゾールの分泌が抑制されるのではないかと考えられます。
また、テスノアの摂取により更年期障害による自覚症状を評価するAMSスコアが大きく低下したことからも出典[1]、テスノアの利用が身体的・精神的ストレスを軽減させていると考えられそうです。
推奨量や副作用のリスクについて
テスノアを開発したGENCOR社によると、1日の推奨量は200mg~400mg/日とされています出典[4]。テスノアの有効性を評価する試験においても200mg/日または400mg/日の摂取において血中のテストステロン濃度の増大が確認できていることから、この範囲での摂取が望ましいでしょう。
期待する効果によっては摂取後7日目で改善が見られることもあるようですが、基本的にはこの量を継続して摂取することで、血中のテストステロン濃度が増大すると考えてよいでしょう。頓服のような形ではなく、日々の食事の中に取り入れることを意識してみてください。
テスノアは、経口摂取において大きな副作用を生じない、安全な素材であることが証明されています。細胞単位での試験や、ウサギやマウスを用いた動物実験においても、体重や臓器、血液などに毒性を及ぼさなかったことが確認されています出典[5]。
またWADAなどのドーピング物質が一切配合されていない、天然由来の素材で規格化された素材であることにも注目したいところです。活力を増大させるサプリメントにおいて、長期的に見て健康を害する可能性のある物質を同時に摂取してしまうリスクは避けたいものです。テスノアにはそうしたドーピング素材が配合されている心配がないため、安心して継続することができるのも魅力のひとつでしょう。
まとめ
テスノアは特に遊離型のテストステロンを増大させ、筋肉量の増大や性機能・性欲の向上、更年期症状の改善などの効果をもたらす安全な素材です。加齢に伴い低下した筋力や性機能を取り戻したい、更年期症状を緩和させたいという場合には、テスノアの利用により安全にこれらの恩恵を得られる可能性があります。是非、継続した摂取を検討してみてください。
出典
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