執筆者
薬剤師 / 公認スポーツファーマシスト / 研修認定薬剤師 / 健康サポート薬剤師 / アロマテラピー検定1級
大西 剛気
薬剤師免許を取得後、メディカルモール併設の調剤薬局で勤務。複数の店舗で1日400枚越えの処方せんに対応しながら様々な診療科を学ぶ。その後、全国展開の大手調剤薬局にて4店舗の管理薬剤師 、2地区のエリアマネージャーを歴任。新店舗開発にも携わる 。現在は 、新しく調剤事業を立ち上げた企業に仲間入りし 『医療と福祉の融合 』『新時代の薬局 』を目指し日々奮闘中。趣味はキャンプ、サウナ、食べ歩き。2児のパパでもある。
そもそも疲れマラは矛盾とも言える現象
疲労のピークに、不意の勃起が訪れる『疲れマラ』という現象。しかし、生物学的に考えると、少々矛盾していると感じられますよね。
人は疲れると、体はストレスホルモンを放出し、交感神経が活性化します。交感神経が高まる状態は「戦うか逃げるか」といわれる、緊張や警戒を必要とするシチュエーションに備えるためのもの。逆に、勃起はリラックスした状態、すなわち副交感神経が優位なときに起こります。「緊張や警戒」と「リラックス」という二つの現象が、どうして同時に発生するのでしょうか?
疲れマラの原因について、カテコールアミンという物質の影響や、睡眠時に頻発する夜間陰茎勃起(一般的には朝立ちとして知られる現象)との関連性が指摘されています。実際のところ、この現象の背後にあるメカニズムは明らかになっていない部分も多いのです。
疲れマラに関する様々な噂や仮説が飛び交いますが、本当のところはどうなのでしょうか。
疲れマラの原因と噂される4つの可能性を解明
疲れマラの背後に隠された真実を探るべく、4つの有力な原因を明らかにしていきます。
学術的な根拠を基盤に、この現象の真相に迫りたいと思います。疲れマラの謎を解明し、あなたの健康知識を一歩進めるキッカケとしましょう。
1.カテコールアミンが原因である可能性は低い
多くの情報源で取り上げられているカテコールアミン説。よく耳にすることもあるかと思いますが、実際には疲れマラの原因であるとは考えにくいのです。
カテコールアミンと聞くと専門的に思えますが、要するにノルアドレナリン、エピネフリン、ドーパミンの3つの物質を指します。特に疲れている際に分泌が促進されるノルアドレナリンとエピネフリンが注目されますが、性質としては血管を収縮させることが知られています。出典[1]
それに対し、勃起を促進するためには陰茎の血管を拡張して豊富な血液を供給する必要があります。そのため、ノルアドレナリンとエピネフリンが疲れマラの直接的な原因となるとは考えづらいのです。
自分の健康や体の仕組みを理解するためにも、正確な情報を取り入れることが大切です。
2.朝立ちと同じ状態になっている
一度は耳にしたことがある「朝立ち」。正確には「夜間陰茎勃起現象」と称され、私たちが浅い睡眠の際に経験するものです。
たとえば、仕事に追われる徹夜の後、体は疲れているはずなのに、朝立ちを体験したことはありませんか?
「疲れマラ」が「夜間陰茎勃起」のメカニズムと関連しているとの説は、多くの人々の興味を引きます。
この現象の背後には、まだ十分に解明されていない夜間陰茎勃起のメカニズムがあり、概日リズムの影響を受けているとの指摘もあるのです。
研究データによれば、概日リズムは私たちの血管の動きや平滑筋の調節にも関与しているとされています。出典[2]
つまり、徹夜や不規則な生活で概日リズムが乱れると、朝立ちとして知られる夜間陰茎勃起が意図しないタイミングで発生する可能性が考えられるのです。
体が疲労している状況下で「疲れマラ」を経験することで、日常の疲れや睡眠の質の重要性を改めて感じるかもしれません。
3.疲れが原因で性的興奮が生じる
過度の疲労が性的興奮を引き起こすと感じたことはありませんか?私たちが体験する「疲れマラ」の背後には、意外なメカニズムが隠されているかもしれません。
一つの興味深い研究データによれば、実際に疲れている時、特に若い世代の人々の中で性欲が増加する傾向が確認されています出典[3]。実際、長時間の学習や仕事で疲れ切った夜、突然の性的興奮を感じたことがある人には納得のいくものかもしれません。
疲労と性欲の関係についてのメカニズムはまだ明確ではありませんが、特に若い人々の中で「疲れマラ」がよく見られる現実は、疲れが意外な形で性的興奮を引き起こす可能性を示唆しています。
日常の疲れやストレスの中で、「疲れマラ」という意外な現象を経験することは、私たちの身体が持つ驚くべき能力の一例と言えるでしょう。
4.エナジードリンクやコーヒー等のドリンクの影響
疲れた体にエナジードリンクを求めるのは、現代人の多くが共通して経験する瞬間かもしれません。気分をシャキッとさせるため、または夜更かしのお供としてコーヒーやエナジードリンクを選ぶ人が増えています。
しかし、体を活性化させるようなドリンクが疲れマラの原因となっているかもしれないこと、考えたことありますか?
多くのエナジードリンクには、アルギニンやシトルリンといったアミノ酸が含まれています。アルギニンやシトルリンは、血流を向上させる効果が知られています。
さらに、朝の目覚めに欠かせないコーヒー。実は、コーヒーには血流を促進するだけでなく、クロロゲン酸という抗酸化作用の強い成分も豊富に含まれています。
つまり、疲労感を打破するために摂取するこれらのドリンクが、間接的に勃起力をサポートしているのかもしれません。
疲れた時には一息つきたくなる気持ち、それを支えるお気に入りのドリンクが、思わぬ形で男性の健康をサポートしているのかもしれないのです。
疲れマラが生じたら全力で休むべき
疲れマラは、体が限界を示唆するサインの一つ。
体からの警告を無視し続けると、時間とともに男性機能の慢性的な低下へと導かれる可能性が高まります。
長い期間の活動や仕事の後に感じる疲れを甘く見てはいけません。質の良い睡眠とリフレッシュの時間を確保することで、男性としての健康を維持していきましょう。
出典
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