

執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
男性の性欲減退はテストステロンの減少が原因?
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性欲は快適な性生活を送る上で欠かせないものです。
性欲があることで男性は性的興奮を感じ、勃起できるので性行為を行うことができます。
性欲に欠かせないのが男性ホルモンの代表格であるテストステロンです。テストステロンは男性機能や筋骨隆々とした男らしい体を作るだけでなく、性欲にも重要な役割を果たしています。
テストステロンによって性欲が高まるのは、脳内に興奮作用や快楽をもたらすドーパミンの分泌が促されるためです。
そのため、テストステロンの不足は性欲の減退につながります。
2022年にカリフォルニア大学の研究グループが発表したテストステロンと性欲に関する総説で、多くの研究からテストステロンの低下と性欲減退との間に相関関係があることが示されています出典[1]。
男性の性欲にはテストステロンが大きく関わっているため、テストステロンが不足しないように心がけることが重要です。
男性の性欲が減退する具体的な原因10選
男性は性欲があってこそ勃起し、性行為ができるので、性欲は快適な性生活を送る上で欠かせません。
何らかの原因でテストステロンが低下してしまうと性欲も減退します。
男性の性欲が減退してしまう具体的な原因を10個紹介します。
1.加齢

1つ目は加齢です。
テストステロンの分泌量は20~30代にピークを迎え、その後は加齢に伴って年々減少していきます。
なぜなら、体内で増える活性酸素などにより、テストステロンを作る精巣などがダメージを受けてしまうためです。
2025年にイタリアのサン・ラッファエレ生命健康大学で行われた研究で、20歳から44歳までの間にテストステロン量は年間0.14nmol/Lも減少することが示されています出典[2]。
およそ1%のテストステロンが年々減少すると言われているため、対策をしておかないと性欲は年々、衰えていってしまう一方です。
2.射精頻度が多い

2つ目は射精頻度が多いことです。
定期的な射精は男性機能の健康維持に重要です。
しかし、あまりにも高頻度で射精をすると性欲が落ちてしまいます。
なぜなら、射精後にはプロラクチンなどのテストステロンを下げる作用のあるホルモンの分泌がされ、これらが一時的にテストステロンの上昇を抑制する可能性があるからです出典[3]。
2019年に中国の山東大学第二医院で行われた研究では、プロラクチンの量と勃起時間の短さに相関関係があることが報告されています出典[4]。
射精頻度が多くなるとプロラクチンが高まり、性欲が湧きにくくなってしまい勃起機能に悪影響がでることがあるのです。
3.睡眠不足が続いている

3つ目は睡眠不足が続いていることです。
性欲にとって重要である「テストステロン」は1日の中で眠っている間に最も分泌されるホルモンです。
睡眠不足が続いているとテストステロンが低下し、性欲が減退する可能性があります。
2011年にアメリカのシカゴ大学で行なわれた研究では、睡眠時間を1日5時間以下の睡眠が1週間続くと、テストステロンが10~15%も低下することが示されています出典[5]。
しっかりと睡眠時間を確保することを心がけましょう。
4.体脂肪が多い
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4つ目は体脂肪が多いことです。
太ってしまい体脂肪が増えるとテストステロンは低下してしまいます。
血液中の炎症性のサイトカインや脂質量が増え、精巣などのテストステロン合成系にダメージを与えてしまうことや、テストステロンを女性ホルモンに変換する酵素(アロマターゼ)が増えることなどが原因です。
多くの研究から、太りすぎて体脂肪率が高くなるとテストステロンが低下してしまうことがわかっています出典[6]。
また、2016年にアメリカのペニントン生物医学研究センターで行なわれた研究で、BMI22以上の肥満の人が体重を8kg近く減らすと性的興奮が高まることが示されています出典[7]
肥満気味の方は食事や運動などにより体脂肪を減らすことを心がけましょう。
5.ジャンクフードをよく食べる
5つ目はジャンクフードをよく食べることです。
ピザやスナック菓子、カップ麺などの揚げ物や甘い物はジャンクフードです。
これらは体内の酸化ストレスや炎症を増やしてしまい、精巣にダメージを与えてしまうのでテストステロンを減らしてしまう可能性があります。
例えば、ジャンクフードに多く含まれるトランス脂肪酸は体内で分解されにくく、細胞にダメージを与えやすい油です。
2017年にハーバード大学で行なわれた209人の男性を対象とした臨床試験では、トランス脂肪酸の摂取量が多いとテストステロン値が15%も低くなることが示されています出典[8]。
また、2018年に中国の広東省人民医院の研究グループは、甘いものの飲み過ぎはテストステロンの低下と相関関係があることを明らかにしています出典[9]。
ジャンクフードの食べ過ぎには注意しましょう。
6.身体を動かす機会が少ない
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6つ目は身体を動かす機会が少ないことです。
身体を動かす機会が少ないと、消費カロリーが少なくなり、体脂肪が溜まりやすくなります。また、テストステロンは身体を動かして筋肉に刺激を入れると分泌されるので、身体を動かす機会が少ないとテストステロンが分泌されにくくなってしまうのです。
2021年にイタリアのローマ・サピエンツァ大学が発表した論文では、1日の歩数が4,000歩以下の人はテストステロンが低い傾向にあることが示されています出典[10]。
テストステロンを維持するためには日々の生活の中でしっかりと運動する機会を持つのが大事なのです。
7.日光を浴びる機会が少ない
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7つ目は日光を浴びる機会が少ないことです。
テストステロンの合成にはビタミンDが必要です。ビタミンDは食事以外に、日光を浴びることでも体内で増やすことができます。
逆に日光を浴びることが少ないと、テストステロンが減り、性欲が減退する可能性があるのです。
2010年にオーストラリアのグラーツ医科大学で行われた研究では、ビタミンDとテストステロンの低さに相関関係があることや、日照時間が長くなるとビタミンDとテストステロンの両方が高まることが示されています出典[11]。
2021年にイスラエルのテルアヴィヴ大学で行なわれた研究では、25分日光浴するとテストステロンが約1.3倍ほど高まることが示されています出典[12]。
最適な日光を浴びる時間は地域や天候、季節等によって異なりますが、日光を浴びる習慣を持つことが重要なのです。
8.極端なダイエットに取り組んでいる
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8つ目は極端なダイエットに取り組んでいることです。
先ほど、体脂肪が多いことはテストステロンの低下を招く要因であることを紹介しました。
実は、肥満などの体脂肪が多いことだけでなく、極端なダイエットなどによる痩せ過ぎもテストステロンの低下を招く要因であるのです。
なぜなら、過度な減量によって体の脂肪分が極端に減ってしまうと、テストステロンの原料となるコレステロールが少なくなってしまうからです。
2013年にアメリカのフィッチバーグ州立大学で行われた研究では、体脂肪率を5%まで絞り込むと、テストステロンが70%以上も低下してしまうことが明らかにされています出典[13]。
また、テストステロンの生成にはコレステロールだけでなく様々な栄養素が関わっているため、過度なダイエットに取り組むと、必須栄養素が不足し、分泌量が減少してしまう可能性もあるのです出典[14]。
痩せるためにダイエットするにしてもほどほどの体重で留めておくことを心がけましょう。
9.慢性的なストレスを抱えている
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9つ目は慢性的なストレスを抱えている可能性です。
仕事やプライベートなど日常の様々な場面でストレスを抱えることはあるでしょう。
慢性的なストレスは、体内で活性酸素や炎症を増やし、精巣の機能を低下させることで、テストステロンを下げる可能性があります出典[15]。
2024年にアメリカのメイヨー・クリニックの研究グループが行った研究では、ストレスが多い人はそうでない人に比べて2〜3倍も低く、性行為の頻度も少ないことが示されています出典[16]。
ストレスの溜まらないような生活を送ることが性欲を保つためにも重要です。
10.副作用が強い薬の使用
10個目として紹介するのは副作用の強い薬を使用している可能性です。
健康に生活を送るために欠かせない薬ですが、テストステロンを低下させる副作用があるものもあるので、薬の副作用で性欲が低下してしまっている可能性はあります。
特に注意して欲しいのは抗うつ薬やAGA治療薬です。
2010年にアイルランドのトリニティ・カレッジ・ダブリンがまとめた総説では、抗うつ薬を使用すると副作用として性欲が低下することが多くの研究で報告されています出典[17]
また、2018年に台湾大学病院が発表した論文では、AGA治療薬を服用すると性欲低下などの性機能への副作用が16%ほどで認められることが示されています出典[18]。
気になる方は担当の先生に副作用の低い薬に変更可能か相談してみましょう。
性欲を高めるポイントは?
今回は男性の性欲が低下してしまう具体的な原因を10個紹介しました。
男性は性欲があることで性的に興奮し、勃起できるので、性欲があることは快適な性生活を送る上で欠かせません。
性欲にとって重要な役割を担っているテストステロンは、睡眠や食事、睡眠など日々の生活習慣が整っていないと低下してしまいます。生活習慣を見直すことで対策できる部分もあるので、快適な性生活を送るためにも実践してみましょう。
出典
- 1.
- 2.
- 3.
- 4.
- 5.
- 6.
- 7.
Martin KC, Bhapkar M, Pittas GA, Pieper FC, Das KS, Williamson AD, Scott T, Redman ML, Stein R, Gilhooly HC, Stewart T, Robinson L, Roberts BS.
Effect of Calorie Restriction on Mood, Quality of Life, Sleep, and Sexual Function in Healthy Nonobese Adults: The CALERIE 2 Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2016 Jun 1;176(6):743-52. - 8.
- 9.
- 10.
- 11.
- 12.
- 13.
Rossow ML, Fukuda HD, Fahs AC, Loenneke PJ, Stout RJ. Natural bodybuilding competition preparation and recovery: a 12-month case study. Int J Sports Physiol Perform. 2013 Sep;8(5):582-92.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23412685/
- 14.
- 15.
- 16.
- 17.
- 18.
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