冬虫夏草とは?7つの効果と適切な摂取方法
2023年7月21日更新

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

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冬虫夏草とは

中国医学を中心に、不老長寿の薬として大昔から親しまれているのが冬虫夏草です。キノコの一種である冬虫夏草は、冬には昆虫の幼虫に寄生して成長し、夏には草の形に変化します。

まずは、冬虫夏草の成長の仕方や体内での働きについて見ていきましょう。

1.どんな栄養素?

冬虫夏草は昆虫の幼虫に寄生して成長するキノコの一種です。冬虫夏草となるキノコの菌類は、昆虫の幼虫から養分を吸収し、子実体(キノコの傘の部分)を伸ばします出典[1]

冬は虫の姿で成長し、夏には草の姿になる性質が「冬虫夏草」という名前の由来です。

中国で冬虫夏草と呼ばれるものは、青海省やチベット、四川省、雲南省、甘粛省の標高 3500〜 5000mの高山帯の土壌に発生する、コウモリガの幼虫に寄生したキノコです出典[1]。その他にも、世界中には約300種類の冬虫夏草があるといわれています。

冬虫夏草は、免疫力向上や抗酸化作用、血糖降下作用などのいくつかの生物活性があるとされ、古くから高級食材として重宝されてきました。現在は人工培養も可能となり、サプリメントや漢方薬としても親しまれています。

 

2.体の中でどんな働きをする?
 

冬虫夏草には、免疫力向上や運動能力の向上、疲労回復、ガン予防、血糖値改善、精子の質の向上、肝機能改善など様々な健康効果があるといわれています出典[1]

特に、免疫力向上やガン予防効果には、冬虫夏草に含まれる成分であるβ-D-グルカンが大きく関わっています。

体内に異物(病原体)が侵入すると、白血球であるマクロファージが即座に反応し、免疫機能を指揮するヘルパーT細胞に伝えます。ヘルパーT細胞から指示を受けたキラーT細胞やナチュラルキラー細胞が異物や病原体に感染した細胞を攻撃し、リンパ球の一つであるB細胞が異物を捕まえるための抗体をつくります出典[1]

冬虫夏草に豊富なβ-D-グルカンなどの多糖類は、こうした免疫機能を活性化させ、ガン細胞の増殖を抑制するとされているのです。

 

冬虫夏草に確認されている作用や効果

冬虫夏草は、免疫力向上や運動能力の向上、疲労回復、ガン予防、血糖値改善、精子の質の向上、肝機能改善など幅広い健康効果が期待されています。

ここからは、冬虫夏草に示されている健康効果についてご紹介します。

1.免疫力の向上

冬虫夏草由来の抽出物には、免疫機能に関わるナチュラルキラー細胞を活性化させる作用があると考えられています。ナチュラルキラー細胞が活性化すると、体内に侵入した病原体やウイルスを素早く攻撃することができるのです。

韓国の全北大学病院において、冬虫夏草菌糸体から培養された抽出物の免疫力向上作用と安全性に関する研究が行われました。健康な男女39名に対し、冬虫夏草菌糸体培養抽出物1.68 g/日をカプセルで8週間投与しました。その結果、ナチュラルキラー細胞の活性が有意に増強したことが示されました出典[2]

免疫力アップは風邪予防や体調管理にとって重要なポイントです。日々の健康を維持するために、冬虫夏草のサプリメントを取り入れてみましょう。

 

2.運動能力の向上

冬虫夏草は、持久力アップを始めとした運動能力の向上にも効果を発揮します。

生体エネルギー(ATP)は人間や動物の運動に欠かせないエネルギーであり、食事摂取でつくられたATPは肝臓に蓄えられます。

マウスを対象とした薬理学研究として、オスの大人マウスに1 日辺り200または400mg/kgの冬虫夏草の菌糸体から発酵させた生成物を7日間与えました。その結果、肝臓に貯蔵されたATPが200mg/㎏の冬虫夏草の菌糸体発酵生成物を与えた場合は12.3%、400mg/㎏与えた場合は18.4%増加しました出典[3]

また、中国では高齢者の有酸素運動能力と冬虫夏草の関わりについての研究が行われました。37名の健康な高齢の中国人を対象に、1日3gの冬虫夏草の菌糸体発酵生成物(3 g/日) を6週間投与したところ、運動中の酸素摂取量または有酸素能力が有意に増加したことが分かりました。この結果は、有酸素運動による疲労を改善する可能性があることを示しています出典[4]

これらの研究から、冬虫夏草は運動能力や持久力アップに役立つことが示唆されています。

持久力を必要とするジョギング等の有酸素運動のパフォーマンスを向上させたいという方には冬虫夏草が役に立つかもしれません。


3.疲労回復

運動後の疲労は、生体エネルギー生成と抗疲労能力が弱いことで引き起こされます。冬虫夏草は、生体エネルギー生成と抗疲労能力のどちらも増強させる作用があり、エネルギー代謝の効率アップに繋がっているのです。

ランニングによる疲労に対する冬虫夏草サプリメントの有効性について研究が行われました。座ってばかりいる男性36名を対象に、冬虫夏草サプリメント粉末を2週間にわたって投与し、ランニング中の呼吸状態や血圧、心拍数、乳酸について測定しました。さらに、冬虫夏草サプリメント粉末摂取前と摂取後に、疲労度の指標となる尿中のカテコールアミンとコルチゾールホルモンについても検査を行いました出典[5]

その結果、冬虫夏草サプリメント摂取によって呼吸状態などの運動後の身体状況が有意に改善していることが分かりました。さらに、尿中のカテコールアミンとコルチゾールホルモン濃度についても有意な減少がみられ、冬虫夏草サプリメント摂取によって疲労度が改善されることが示唆されました出典[5]

運動後の疲れが取れないという方は、冬虫夏草のサプリメントや漢方を取り入れてみましょう。

 

4.癌の予防の可能性

冬虫夏草は、ガンを予防する効果がある可能性があります。

冬虫夏草のガン予防効果は、ガン細胞の増殖を抑え、ガン細胞のミトコンドリアを介した細胞死(アポトーシス)を誘導する作用が関わっています。

結腸・直腸癌に対する冬虫夏草エタノール抽出物の阻害効果を分析した研究についてご紹介します。

結腸・直腸ガンの細胞を、さまざまな濃度の冬虫夏草エタノール抽出物で48時間処理し、細胞毒性を測定しました。次に、マウスに結腸・直腸ガン細胞を注射した後、冬虫夏草エタノール抽出物を3週間毎日経口投与し、ガン細胞の増殖抑制効果について分析しました出典[6]

その結果、結腸・直腸ガン細胞の増殖は、冬虫夏草によって大きく抑制されたことが分かりました出典[6]

ガンの予防は、日々の生活習慣を見直して長期間行うことが重要です。冬虫夏草のサプリメントや漢方を継続して使用し、健康維持に繋げていきましょう。

 

5.血糖値改善の可能性

血糖値が高い状態は糖尿病のリスクを高めてしまいます。冬虫夏草にはこの血糖値の高い状態を改善する効果が確認されています。

血糖値が高くなる要因として、食事から摂取されるグルコースの代謝とインスリンの感受性が弱まってしまうことが挙げられます。冬虫夏草はこのグルコースの代謝とインスリン感受性の両方に作用するため血糖値を改善することが期待できるのです。

ラットに対し、冬虫夏草の菌糸体発酵生成物を1日あたり250または500 mg/kg、17日間経口投与して空腹時の血糖値を測定しました。その結果、空腹時の血糖値が冬虫夏草の菌糸体発酵生成物を1日250mg/㎏投与したマウスは27%減少、1日500mg/㎏投与したマウスは24%減少したことが分かりました。

また、インスリン感受性の指標であるグルコースインスリン指数は、冬虫夏草の菌糸体発酵生成物を1日250mg/kg投与したマウスは10%増加、1日500mg/kg 投与したマウスは17%の増加が見られました出典[7]

血糖値の上昇は将来的に重大な病気を引き起こす可能性があります。血糖値が気になる方は、冬虫夏草のサプリメントを検討しても良いでしょう。

 

6.精子の質を向上する可能性

冬虫夏草は、精子の質を向上するとして古来から性機能の強化に伝統的に使用されています。

7週齢の雄のラットを対象に、冬虫夏草の精子形成効果について研究が行われました。

まず、90匹のラットを、通常の餌を与えるグループと冬虫夏草菌糸体1%を添加した餌を与えるグループ、冬虫夏草菌糸体5% を添加した餌を与えるグループの3グループ(30匹ずつ)に分けました。6週間後、精巣上体の精子を各グループ6匹ずつ収集し、精子の質と量を比較しました。

その結果、冬虫夏草を添加した餌を与えた2グループの方が、精巣上体の精子数が有意に増加しました。また、冬虫夏草を投与したラットではテストステロンやエストラジオールといった性ホルモン濃度の上昇が見られました。これらの結果は、冬虫夏草の補給によりラットの精子の質と量が改善されることを示しています出典[8]

精子の量や質の向上は、男性不妊対策にとって非常に重要となります。男性不妊が気になる方は、冬虫夏草のサプリメントや漢方を取り入れる方法も検討の余地ありです。

 

7.肝障害を改善する可能性

冬虫夏草は、炎症を抑制して免疫機能を調節することで、肝線維症などの肝障害改善に効果を発揮します。

中国の上海において、冬虫夏草とマウスの肝臓炎症・肝線維症治療の関わりについて研究が行われました。肝線維症を誘発した雄の8週齢マウスを対象に、冬虫夏草菌糸体培養生成物を投与して、肝細胞の状態を分析しました。その結果、冬虫夏草菌糸体生成物を投与したマウスの肝臓の線維化が軽減されたことが分かりました出典[9]

また、冬虫夏草は、脂質の蓄積を抑制することから脂肪肝や肝硬変の進行を防ぐ効果も期待されています。

軽度の肝機能障害のある韓国の成人を対象に、冬虫夏草の肝機能の改善効果についての研究が行われました。1.5g/日の冬虫夏草菌糸体生成物をカプセルで経口投与し、血液検査や肝臓CT撮影、自覚症状や疲労度の測定を実施しました。その結果、冬虫夏草菌糸体生成物投与後8週間の肝臓CT画像において、肝機能障害の有意な改善がみられました出典[10]

肝機能の悪化は自覚症状がほとんどなく、肝障害の発症に気付きにくいため注意が必要です。冬虫夏草のサプリメントを利用しながら、普段の生活習慣を見直しておきましょう。

 

冬虫夏草の摂取方法


近年では冬虫夏草の人工培養技術が発達し、サプリメントで手軽に摂取できるようになりました。冬虫夏草のサプリメントは錠剤やカプセルになっているため、潰したり煎じたりする必要もありません。冬虫夏草を継続して摂取したい方は、サプリメントを使用することがおすすめです。

また、冬虫夏草の摂取量は1日3gが適量といわれています。

冬虫夏草の安全性について分析したところ、マウスを対象とした毒性試験によって、冬虫夏草エキスの固形分含量として1回の経口投与では体重あたり5,000mg、反復した傾向と様では体重あたり2,000mgを6週間投与までにおいて毒性作用は認められませんでした。

この分析結果により、人間の場合は体重あたり2mg薬効用量の2,000~2,500倍の範囲で安全であることが確認されました出典[11]

また、冬虫夏草はあくまでキノコの一種であるため、飲んですぐ健康効果が得られるわけではありません。冬虫夏草による生活習慣病予防を考えている方は、少なくとも1週間は継続して摂取することが大切です。

 

まとめ

冬虫夏草は、人々の健康維持に役立つ伝統的な漢方薬です。これまでの研究から、冬虫夏草には免疫力向上や運動能力の向上、疲労回復、ガン予防、血糖値改善、精子の質の向上、肝機能改善などの効果があることが示されています。

冬虫夏草は希少な食材とされていましたが、近年の人工生産技術の開発により、サプリメントや漢方薬に幅広く利用されるようになりました。

ただ、冬虫夏草サプリメントの中でも、価格があまりにも安いものや製造元がはっきりしない製品は冬虫夏草が少ししか含まれていない可能性があります。サプリメントを購入する際は、製品情報の確かな製品を選びましょう。

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