睾丸マッサージは何に効果がある?論文を基に解説
2024年11月21日更新

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。

そもそも睾丸マッサージとは

男女ともに満足度の高い性生活を送る上で、精子の質や勃起力などの男性機能を高めるのは重要なことの1つです。

例えば、精子の質が悪いと妊活が上手くいかない原因となります。また、勃起力の低下は性行為の失敗にも繋がります。

男性機能を高める方法の1つとして注目されているのが睾丸マッサージです

そもそも睾丸マッサージとは、精巣を揉んだり、陰嚢を引っ張ったりするマッサージになります。タイのジャップカサイはその例です。

効果として、精巣が含まれる睾丸をマッサージによって刺激することで、精巣への血流が改善されると期待されています。その結果、男性機能を高めるのに重要なホルモンであるテストステロンが増え、精子の質や勃起力の向上などに繋がるのではないかと考えられています。

 

睾丸マッサージは効果がある?論文から分かる4つの真実

睾丸マッサージには精子の質や勃起力の向上など男性機能を高める効果が期待されています。

男性機能を高めたい人にとってはもってこいの方法ですが、、睾丸マッサージは本当に効果があるのでしょうか?

論文から分かる睾丸マッサージの4つの真実について紹介します。

1.睾丸マッサージの効果を調査した明確な研究データはない

1つ目は睾丸マッサージの効果を調査した明確な研究データはないことです。

残念ながら、男性の睾丸をマッサージすることで、性機能や精子の質が向上したことを報告した研究データは現状ありません。

「Testicular Massage」、「Testis Massage」などで論文検索サイトで検索しても、ジャップカサイなどの睾丸マッサージを受けることで、男性機能にポジティブな変化があったとする研究は出てきません。

実際に効果はあるのかもしれませんが、科学的には証明されていないのが現実です。

 

2.睾丸に圧を加えることでテストステロンが高まる可能性はある

2つ目は睾丸に圧を加えることでテストステロンが高まる可能性があることです。

睾丸マッサージではありませんが、精巣に圧力を加えることでテストステロンが上昇したとする研究はあります。

1993年に発表された比較的古い研究ですが、精巣に圧力をかけた1.5分後にはテストステロンが16.7-18.2%も高まることが明らかにされています出典[1]。このことから、睾丸マッサージでテストステロンが上がる可能性がゼロとは言えません。

しかし残念ながら、他の研究で似た結果が再現されていないことを考えると、精巣に圧力を加えることでテストステロンが上がると断言することは難しい部分もあります。

 

3.睾丸マッサージにより精子が増える?

3つ目に紹介するのは、ネコの例になりますが睾丸マッサージにより精子が増えるという報告があることです。

ヒトではないのですが睾丸マッサージにより、採取できる精子数が増えたとする研究はあります。

2021年にポーランドのワルシャワ大学の研究グループが発表した論文で、ネコの精巣と精巣上体を経陰嚢指で2分間マッサージすると精子数が増えることが明らかにされています出典[2]

ただし、この研究は精巣で作られる精子数が増えたというよりは、マッサージにより精子を強制的に精巣外に押し出した結果、採取できる精子が増えたというものです。

作られる精子の質が高まる可能性は低く、また動物実験のため、この研究からは妊活男性に睾丸マッサージが効果的とは言い難いです。

 

4.睾丸マッサージはかえって精巣の機能を低下させるかも...

4つ目は睾丸マッサージはかえって精巣の機能を低下させるかもしれないことです。

2003年にトルコのガズィアンテプ大学が行った研究で、ラットの精巣を1.25N(ニュートン)の力で引っ張ると精巣が50%も壊死し、精巣の重量や厚さが減少してしまうことが明らかにされています出典[3]

つまり、動物実験ですが精巣をストレッチすることで、精巣萎縮が生じたり、精巣細胞の減少が確認されているのです。

また、睾丸マッサージではありませんが自転車に乗るなどの精巣に圧力がかかる行為によりED(勃起不全)が発症しやすくなったり、精子数の減少したりすることがいくつか報告されています。

例えば、2002年のアメリカ合衆国国立労働安全衛生研究所で行なわれた研究では、長時間(論文中では1日に5時間以上)自転車に乗っていると、ED(勃起不全)の指標の一つとなる夜間勃起(朝立ち)の頻度が自転車に乗らない人と比べると約半分程度に減ってしまうことが示されています出典[4]

また、2014年にアメリカのハーバード大学の研究によると、週に1時間30分以上の自転車に乗る人はそうでないない人と比べると精子濃度が34%も低くなってしまうのです出典[5]

これらの報告から考えると睾丸に圧力をかけることで精巣の機能が低下してしまう可能性は否定できません。

自己流で睾丸マッサージをして強い圧を加えたりすることは、特に避けた方がいいかもしれません。

 

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睾丸マッサージは精子の質や勃起力などの男性機能を高める方法として注目されている方法です。しかし、現在のところ、明確な科学的根拠はありません。

しかも間違った方法で行うと精巣機能をかえって低下させてしまうリスクもあるので、自己流で行うのはやめておくことをオススメします

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