監修者
NP+編集長/NESTA-PFT
大森 新
筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識を発信できるよう日々邁進中。
執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
そもそも朝立ちってどういうもの?
朝立ちは男性の生理現象と言われていますが、その詳細を把握している方は少ないのではないでしょうか。
まずは朝立ちが起こる理由や、朝立ちから読み取れることについて簡単に解説します。
夜間勃起現象(NPT)と呼ばれる
朝立ちは性的興奮や心理状態により起こるものではなく、体内のホルモンバランスを反映した生理的なもの。学術的には「夜間勃起現象(NPT)」と呼ばれています。正式名称を見ると「朝立ち」よりも「夜立ち」の方が表現として適しているようにも思えてきますね。
NPTは急速眼球運動睡眠、いわゆるレム睡眠と密接な関連があることが知られています。レム睡眠が浅い睡眠で、ノンレム睡眠が深い睡眠、と覚えている方も多いでしょう。私たちの睡眠は、交感神経の働きが活発になるレム睡眠と、交感神経が鎮まり副交感神経が活発になるノンレム睡眠とを繰り返しておこなわれます。
睡眠中、NPTの約8割はレム睡眠の周期である80分ごとに、睡眠がとくに浅くなるタイミングで発生し、1回あたり約20分続くとされています出典[1]。
私たちはレム睡眠とノンレム睡眠を何度か繰り返し、最終のレム睡眠のタイミングで自然な目覚めを迎えます。レム睡眠中のNPTと目覚めるタイミングが合うため、私たちの目には「朝立ち」として認識されているのです。
ホルモンバランスや体調などを反映
朝立ちのコンディションや頻度に影響を与える要素として、主に次のようなものが考えられるでしょう。
- テストステロンの分泌量
- 疲労や倦怠感の有無
- 血流
勃起に関わるホルモンといえば、男性ホルモンのテストステロン。テストステロンは睡眠中に分泌量が増加するため、夜間に勃起が起こりやすくなるのです。
睡眠開始から徐々に血中のテストステロンが高まり、一般的な起床前とされる午前6時頃にテストステロンはピークに。朝立ちが起こるときのテストステロンは、日中や睡眠前の1.5倍にまで上昇するとのデータもあるほどです出典[2]。
テストステロンは加齢のほか、睡眠不足によっても大きく減少します。2011年にアメリカのシカゴ大学から発表された睡眠とテストステロンの研究では、1日5時間睡眠を1週間続けたところ、テストステロンが10~15%も減少したと述べられています出典[2]。
また、体調不良や過労などで疲労や倦怠感が残る状態では朝立ちの頻度も下がります。
血流も朝立ちにおいては重要です。血液が陰茎に集まることで硬さを持つようになるため、血管や血液の状態が悪いと血流を良好に保てず、陰茎が十分な硬さを保てなくなるでしょう。
朝立ちの状態や頻度の悩みは、勃起不全と同様に「男としての自信」に影響を与えやすいようです。薬物治療により朝立ちを取り戻した勃起不全患者の74%で「男としてより自信が持てるようになった」との感想が得られたとのデータも存在します出典[3]。
以前のような朝立ちを取り戻せず悩んでいる方には、ホルモンバランス、体調、血流などを改善する試みが役立つかもしれません。
にんにくは朝立ちを増やす?
精力増強効果のある食材として、にんにくは古くから親しまれてきました。ではにんにくを摂ることで朝立ちを取り戻しやすくなるのでしょうか?
朝立ちに関係する要素として、テストステロン、疲労、血流があります。にんにくがこれらの要素にもたらす効果について表にまとめました。
【にんにくが朝立ちに与える効果と具体的な作用】
要素 | 作用 |
テストステロンの増加 | ・黄体形成ホルモンを増やし、テストステロン分泌の指示を高める出典[4] |
疲労や倦怠感の軽減 | ・熟成にんにくが筋グリコーゲンの貯蔵量を増やす出典[5] ・熟成にんにくがグルコース代謝を活性化させて全身への酸素供給をサポートする出典[6] |
血流の改善 | ・アリシンをはじめとする複数の抗酸化物質が血圧を低下させる出典[7] ・食後高血糖を改善して血管へのダメージを防ぐ出典[8] |
テストステロンの増加は、にんにく由来のジアリルジスルフィドによるものと考えられています。テストステロンの分泌を促すホルモン、黄体形成ホルモンの分泌量を増やす効果が動物実験にて確認されています出典[4]。
疲労や倦怠感の解消効果は、熟成にんにく(黒にんにく)において複数確認されています。疲れを効率的に摂りたい方には、熟成にんにくの活用が役立つかもしれませんね。
血流に関わる要素として、血圧、血糖、血中脂質を改善する効果がそれぞれ確認されています。血流を良好に保つことで、朝立ちを含めた勃起能力全般を改善する効果が期待できるでしょう。
ただしこれらはあくまでも、朝立ちに関連する要素での効果。にんにくの摂取で実際に朝立ちが増えたことを示すデータは、残念ながらまだ確認できていません。また、テストステロンの増加についてはヒトでの検証がおこなわれておらず、十分な効果が得られない可能性がある点にも注意が必要です。
男性機能をサポートするにんにくの摂り方とは?
にんにくには朝立ちと関連する効果が複数確認できるものの、実際に朝立ちを増やす効果が得られるかどうかは未確認です。しかし疲れや体の怠さの解消といった、一部の精力増強効果は期待できるため、男性機能をサポートする食品としての価値はあるかもしれません。
ここからは男性機能に役立つにんにくの摂り方について、量や調理法などを具体的に解説します。
1日1~2粒を目安に
玉ねぎやネギの食べ過ぎにより、胃痛や胸焼けを起こした経験がある方もいるのではないでしょうか。にんにくはネギや玉ねぎと同様に刺激性が強く、胃への負担が大きい食品です。
そのため食べ過ぎると胸やけや消化不良による胃痛、下痢や吐き気などの消化器症状を引き起こす可能性も。刺激性の高い食品に敏感な人がにんにくを大量に食べたり、空腹時に生にんにくを大量に食べたりすることは避けた方がよいでしょう出典[9]。
毎日にんにくを食べる場合、生の状態で1日4g程度、1~2粒であれば安全と考えられています出典[11]。空腹時を避けて、ほかの食品とともに食べることで胃への負担を和らげましょう。
生での摂取でアリシンを効率摂取
にんにくの血流改善効果は、主にアリシンという成分により確認されています。
にんにくに含まれているアミノ酸の一種「アリイン」は、刻んだりすりおろしたりして細胞が壊れることで、抗酸化作用の強いにおい物質「アリシン」へと変化します。
スーパーで売られている状態のにんにくに強いにおいがないのは、まだ無臭のアミノ酸、アリインの状態であるため。にんにくの細胞壁を壊すことで、生理活性が高くにおいの強いアリシンが生成されているのです。
しかしこのアリシン、残念ながら熱に弱く、さらに水に溶けやすい性質があります。そのため加熱調理により量が減少し、アリシンの効果を十分に得られなくなる可能性も。とくに茹で調理による損失が大きく、ローストによる加熱よりもアリシンが多く減少したことが、調理実験により確認されています出典[12]。
血流改善効果や抗酸化効果をより得たい場合には、アリシンを高濃度で含む生での摂取が効率的出典[13]。すりおろした生にんにくを料理の風味づけとして最後にトッピングすれば、にんにくの効果をより高められるでしょう。
においが苦手な場合には熟成にんにくの活用も
にんにくの強いにおいや刺激的な辛さを苦手としている方には、熟成にんにくの活用もおすすめ。
通常の白いにんにくを、高温高湿の環境下で2週間以上置いて熟成させると、黒くやわらかい黒いにんにくに変化します。糖度が高く苦みを感じず、噛んでもツンとくるにおいがほとんど発生しません。胃への刺激も少ないため、刺激物に敏感な方でも食べやすいでしょう。
ただし、においが非常に弱い関係上、におい物質であるアリシンの効果はあまり期待できません。熟成にんにくでは、アリシンの大半が「S-アリルシステイン(SAC)」と呼ばれる物質に変化しており、また黒い色素由来のポリフェノールも豊富に摂取できます。
S-アリルシステインもポリフェノールも、抗酸化作用を持つ優秀な成分です。アリシンとはまた別の物質による作用で、血流を改善したり疲労を軽減したりする効果が期待できるでしょう。
においが控えめなにんにくをおいしく食べたい場合には、熟成にんにくの活用も視野に入れてみましょう。
サプリメントで手軽ににんにく成分を摂取
より手軽ににんにく成分を摂取したい場合には、やはりサプリメントがおすすめです。非腸溶性錠剤(胃で溶けるタイプ)はとくにアリシンの利用効率が高く、生にんにくと同等の効果が期待できることがわかっています出典[12]。
抗酸化作用による血流改善効果が期待できるサプリメントとして、今回は「アリウムSAC」を紹介しましょう。
SACは熟成にんにくにより増加が見られる成分。アリウムSACでは熟成にんにく由来の成分をより効率的に摂取できるため、より手軽なセルフケアのためのアイテムとしておすすめです。
アリウムSACは即効性が比較的強い点も特徴的です。動物実験では摂取後15分で血中濃度が最大になるとのデータが得られているため出典[14]、ここぞというタイミングで摂取すれば、疲労を速やかに軽減する効果が得られるかもしれません。
アリウムSACはヒトを対象とした安全性試験もおこなわれており、目安量の2mgを12週間摂取した場合や、目安量の5倍にあたる10mgを4週間継続摂取した場合において、一切の副作用が見られなかったことが確認されています出典[15]。
即効性と安全性に優れたSACを効率よく摂取できる手段として、ぜひアリウムSACを試してみましょう。
まとめ
朝立ちはテストステロンの体内量や血流の状態、体調などを反映する、いわば男性の健康のバロメーターとも呼べる存在です。朝立ちを増やしたい場合には、テストステロンを増やしたり、血流を改善させたりする必要があるでしょう。
にんにくにはテストステロンを増やしたり、疲労回復効率を高めたり、血流を改善したりする効果が期待できます。テストステロンへの効果は残念ながらヒトにおいては確認されていませんが、アリシンやS-アリルシステインによる血流改善作用や抗酸化作用に対する評価は高く、朝立ちのサポートにも役立つ可能性がありそうですね。
アリシンは生のにんにくから、S-アリルシステインは熟成にんにくやアリウムSACのようなサプリメントから効率よく摂取できます。朝立ちを増やして自信を取り戻したい方は、これらのにんにく成分の摂取を意識してもよいかもしれませんね。
出典
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