オルニチンは勃起に効く!?意外なメリットと摂り方のコツ
2024年11月26日更新

執筆者

管理栄養士

井後結香

管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。

オルニチンってどんな栄養素?

オルニチンの体内での役割や摂取源などについて、詳しく知らない方も多いでしょう。

まずはオルニチンという栄養素の特徴について解説します。

L-アルギニンから生成される非必須アミノ酸

オルニチンは非必須アミノ酸の一種であり、体内ではL-アルギニンから生成されています
アミノ酸といえばたんぱく質の合成材料として機能するイメージですが、オルニチンがたんぱく質の合成材料として使われることはありません。

オルニチンは血中に存在し、全身を循環するタイプの遊離アミノ酸。体内で必要量が生成されるため、意識して食品から摂取せずとも、オルニチンの不足は生じないことがわかっています。

オルニチンは微量ながらさまざまな食品に含まれていますが、有名なものはやはりシジミでしょう。シジミは健康食品として古くから親しまれてきた食品です。タウリンやアラニンといったほかの成分もさることながら、とくにオルニチンの量が群を抜いて高いことから、一時期はメディアでも話題になりましたね。

 

肝臓のアンモニア処理に関わる

オルニチンは肝機能をサポートする成分として有名です。

肝臓の機能のひとつにアンモニアの処理があります。アミノ酸の代謝の過程で発生するアンモニアは有害であるため、肝臓で尿素に変換されます出典[1]アンモニアを除去する手段のひとつ、尿素回路は、オルニチンが関与することから「オルニチン回路」と呼ばれることもあるようですね。

尿素回路はアンモニアの窒素部分を引き取り尿素へ変換するように作用します。

  1. アルギニンと水との反応で、オルニチンと尿素を生成
  2. オルニチンとカルバモイルリン酸との反応で、シトルリンを生成
  3. シトルリンからいくつかの反応を経て、アルギニンを生成
  4. 1に戻り、再びオルニチンと尿素を生成

このサイクルが滞りなくおこなわれることで、アンモニアの処理能力が高まり、肝臓への負担を減らす効果が期待できるでしょう。

また、オルニチンには成長ホルモンを分泌させる作用も出典[2]。成長ホルモンは疲労の回復に関わるほか、中性脂肪やコレステロールの代謝をサポートするようにも働きます。

成長ホルモンの不足により体の疲れが取れにくくなったり、中性脂肪やLDLコレステロールが増加したりする可能性もあるでしょう。

肝臓に加え、全身のケアや健康管理のためにもオルニチンは有用なようですね。

 

オルニチンと勃起の関係とは?

オルニチン自身には、主に肝機能のサポートと成長ホルモンの分泌を促す効果があることがわかりました。

一方で、オルニチンがシトルリンやアルギニンの生成にも関与していることから、オルニチンの摂取により、シトルリンやアルギニンの恩恵も同時に受けられるという側面もあるようです。

では、オルニチンと男性機能のひとつ、勃起にはどのような関係があるのでしょう。ここからはオルニチンが勃起に与えるよい影響について解説します。

血管拡張効果により血流を改善

オルニチンを十分に摂ることで、血管拡張作用により血流を改善し、勃起をスムーズにする効果が期待できます。

男性の興奮時には、血液が一気に陰茎へと集まることで硬さが生まれます。しかし血流が滞った状態ではスムーズに勃起できず、十分な硬さを維持できない可能性もあるでしょう。勃起の硬さや維持能力を高く保つため、良好な血流の確保は非常に重要です。

オルニチン自身には血管を拡張させる働きはありませんが、オルニチンを原料として合成されるシトルリン、およびシトルリンを原料とするアルギニンには、一酸化窒素(NO)を合成する作用があります

NOは血管を拡張させるように働くほか、血管の詰まりとなる血栓の原因、血小板凝集や血小板の血管への接着を防ぐ効果も確認されています出典[3]。血管を広げる効果と血液をサラサラに保つ効果の両方が期待できるNOは、良好な血流を維持するために欠かせない存在と言えるでしょう。

実際に30~69歳の日本人男性24名がオルニチンとアルギニンを含むサプリメントを12週間摂取した研究が存在します。12週間後に勃起の主観的評価を知る国際勃起機能スコア(IIEF)を調査したところ、勃起の頻度や硬さ、維持の困難さ、性交の充実性などの10項目すべての項目に改善が見られ、5点満点中のスコアが最大で1.5上昇したことが確認できました。

偽薬(プラセボ)を摂取した場合では改善が見られず、0.2~1.3の範囲でスコアが低下していたことからも、オルニチンとアルギニンの摂取が勃起によい効果をもたらしたことがわかるでしょう出典[4]

オルニチンはシトルリン、アルギニン、そしてNOの生成の要ともいえる成分。オルニチンの摂取で血流を改善する効果がより高まりそうですね。

 

不眠や疲労を解消して勃起をサポート

オルニチンを十分に摂ることで、抗疲労効果や快眠効果が期待できる可能性があります。

疲労感や不眠はEDと密接な関係があります。慢性的な疲労を伴う貧血や糖尿病はEDのリスクを高めることや出典[5]睡眠時間が短い方ほどEDになるリスクが高いことが明らかになっており出典[6]、疲労の解消や十分な睡眠は勃起のサポートに重要であることがわかるでしょう。

入眠の妨げとなるホルモンのひとつにコルチゾールがあります。コルチゾールは本来朝に分泌量が増えるホルモンですが、強いストレスを受けたり自律神経に乱れが生じたりすると夜間に分泌量が増えることも。コルチゾールが高まると体は警戒状態となり、なかなか寝付くことができません。

しかしオルニチンには体内のコルチゾール濃度を抑える効果が確認されているため、ストレスを緩和し入眠をスムーズにする効果が期待できるのです。

さらにオルニチンにより分泌が促される成長ホルモンは体のダメージを修復するように働きます。夜の睡眠中は成長ホルモンが多く分泌される時間帯。オルニチンを摂ることで疲労を効率よく取り除けるため、睡眠の時間だけでなく質も大きく改善されるでしょう。

実際に日本の成人53名が400mgのオルニチン摂取を8週間続けたところ、期間内に血中のコルチゾール濃度が最大で約22%減少したとの結果が得られました。また気分のチェックに用いられる感情プロフィール検査(POMS)では「怒り-敵意」の数値が有意に減少しており、ストレスを軽減する効果も確認できています出典[7]

このように、オルニチンには睡眠不足を解消する効果に加え、睡眠の質を高めて疲労を解消しやすくする効果もあるようです。寝付きの悪さや強いストレス、体の怠さなどに悩んでいる方には、オルニチンの摂取が役立つかもしれません。

 

男性がオルニチンを摂るときのポイント

オルニチンには血流の改善、入眠のサポート、疲労の回復の効率化など、勃起力を高めるために役立つさまざまな効果が期待できることがわかりました。

ただし勃起力のためにオルニチンを摂りたい場合、効果を十分に発揮するためにいくつか注意すべき点があります。ここからは男性が勃起力の向上を目的にオルニチンを摂る場合のポイントについて、3つ解説します。

サプリメントからの摂取が効率的

オルニチンはさまざまな食品に含まれるとされていますが、日本食品標準成分表にはデータが収載されていません。

オルニチンの含有量は企業ベースの研究によりいくつか判明しており、とくにシジミに多いこと、ヒラメやマグロなどの魚類、チーズやえのきなどにも含まれることがわかっています。

ただしこれらの含有量はごくわずか。一般的な食品からのオルニチンでは、勃起を高める効果を得られない可能性がある点に注意が必要です。

たとえばオルニチンの摂取により血中コルチゾール濃度の減少や気分の改善が確認できたケースでは、オルニチンの摂取量は400mg/日でした出典[7]。しかし同じ量をシジミから取る場合、その摂取量は数百粒以上におよぶとも言われています。大量のシジミを毎日食べ続けるのは、やはり現実的ではありませんよね。

そのためオルニチンを十分に摂りたい場合には、サプリメントの利用が望ましいでしょう。

 

目安量を守って継続しよう

サプリメントを用いる際には、商品に記載された目安量を守り、毎日飲み続けることが重要です。

オルニチンは安全性の高い成分であり、過剰摂取による大きな変更被害も報告されていません。L-オルニチンを2.4g、12週間摂取したケースや、L-オルニチンとL-アルギニンをそれぞれ2gずつ5日間摂取したケース、L-オルニチン10gを2か月摂取した高齢者のケースなどの高容量を用いた研究においても、副作用は生じていませんでした。

さらに肝機能が低下した方がオルニチンの摂取を13年続けた臨床試験においても副作用が報告されていないことから出典[2]、オルニチンは高容量の摂取や長期の摂取においても安全であると考えられています。

一方で、吸収性の早いアミノ酸サプリの摂りすぎにより、胃痛や下痢のような一般的な消化器症状が一時的に生じる可能性があります。ほかのサプリメント同様、必要以上の摂取でより高い効果が期待できるものではないことを覚えておきましょう。

サプリメントの摂取において重要なのは、多くを摂ることではなく継続することです。血流をよくするような体質改善の効果を期待する場合には、とくに毎日の摂取が重要。目安量を守った上で、毎日飲み続けられるよう意識しましょう。

 

食事後を避けて性行為の90分~2時間前に

オルニチンの血流改善効果をより発揮したい場合は、性行為の直前よりも、少し余裕を持った状態での摂取が重要。

血管を拡張させるNOの生成にはシトルリンやアルギニンが必要であるため、シトルリンやアルギニンの血中濃度が高まるタイミングから逆算すれば、血流改善効果をより高められると考えられるでしょう。

これらの物質の血中濃度の変化は、シトルリンの摂取による研究である程度判明しています。シトルリンの摂取後、シトルリンの血中濃度は1時間以内に最大に達したものの、オルニチンは1.38~1.79時間、アルギニンは1.17~2.29時間とやや遅めであり、血中濃度のピークを迎えるタイミングに若干のバラつきがあることがわかりました出典[8]

アルギニンとシトルリン、両方からのNO生成効果を得るためには、90分から2時間程度の時間が必要であると言えそうですね。

摂取のタイミングによる効果の差を確認できるデータは残念ながら存在しないため、90分~2時間前が絶対によいとは言い難いところです。しかし性行為の直前に慌てて飲むよりも、血中濃度が上がる時間の余裕を持たせた方がよいことは確かでしょう。

また、アミノ酸サプリは空腹時の摂取により吸収率が高まります。食後はたんぱく質の消化や吸収に追われるため、アミノ酸を十分に吸収できない可能性も。空腹時の摂取で、オルニチンを効率よく吸収しましょう。

 

まとめ

オルニチンには血流改善効果や抗疲労効果により、勃起のサポートが期待できる可能性があります。サプリメントを継続摂取して、スムーズに勃起できる体づくりに役立てましょう。

ただしオルニチンの男性機能に関する学術的根拠は少なく、精力を増強する上では他にも有効な成分が数多く確認されています。オルニチンにこだわりすぎず、さまざまな成分のなかから適したものを選ぶことが重要です。

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