疲れやすくなった方や、性欲の低下を感じている方などは、精力増強の効果を期待してエナジードリンクを飲む場合もあるでしょう。

まずはエナジードリンクに含まれる成分に期待できる、精力への効果について解説します。

アルギニンの血流改善効果により勃起しやすく

エナジードリンクの多くに含まれるアルギニンには、血流を改善して勃起をサポートする効果が期待できます。

アルギニンは主に血液中に存在する遊離アミノ酸の一種。同じく遊離アミノ酸であるシトルリンとともに、一酸化窒素（NO）を産生することで知られています。NOは血管内皮細胞を弛緩させる働きがあるため、血管を広げて血液の通りをよくする効果が期待できるでしょう。

勃起の際には興奮をシグナルとして、NOの分泌が盛んになります。NOの作用で陰茎の血管が十分に拡張されると、より多くの血液を陰茎に集められ、十分な硬さを保てるようになるのです。

NOが十分に分泌されなければ、陰茎を硬く保つことも難しくなるでしょう。スムーズな勃起能力と満足のいく硬さを維持するため、NOを産生するアルギニンの補給が重要であることがわかりますね。

アルギニン摂取による勃起への効果は、軽度から中等度の勃起不全患者を対象とした臨床試験において確かめられています。1.5～5g/日のアルギニン摂取を続けた10件のケースを分析した論文において、すべてに症状の有意な改善があったと述べられているのです^出典[1]。

アルギニンは鶏肉や大豆製品などからも摂取できますが、より手軽に摂りたい場合にはエナジードリンクが活躍しそうですね。

糖分やビタミンなどが疲労回復効果を発揮

エナジードリンクには疲労回復効果が期待できる成分が含まれています。

代表的なものとして、まずはエナジードリンクに高濃度で含まれる糖分と、エネルギー代謝に関わるビタミンB群があります。とくにビタミンB1は糖質代謝に関わる栄養素であるため、不足すると糖分を効率よくエネルギーに変換できなくなる可能性も。

災害時など、摂取できる栄養素に偏りが生じやすい場面では、おにぎりやパンのようなエネルギー源となる食品を十分に摂取していても、ビタミンB群を摂る機会がないためにエネルギー不足に陥り、体の怠さや疲れが出やすくなる場合があります。

日常においても、糖分とビタミンB群をセットで摂れるエナジードリンクの活用は、体の怠さや疲れの解消に有益と言えそうですね。

また、アルギニンには成長ホルモンの分泌を促す作用も確認されています。成長ホルモンは疲労により体が受けたダメージの修復を促すように働くため、疲労回復効率をより高める効果が期待できるでしょう。

2008年にアメリカのシラキュース大学から発表された論文では、1日5～9gのアルギニン摂取で安静時の成長ホルモンが約2倍に増加するとのデータが得られています^出典[2]。

疲れや体の怠さを手っ取り早く取る手段として、エナジードリンクが役立つかもしれません。

カフェインが興奮や勃起をサポート

カフェインの覚醒作用や疲労軽減作用なども、男性の精力増強と関係している可能性があります。

私たちが体を使うことで生成されるアデノシンは、脳内のアデノシン受容体へと結合して疲労や眠気を発生させます。カフェインはアデノシンとアデノシン受容体の結合をブロックするように働くため、眠気や疲労を感じるまでの時間を延ばせると考えられているのです^出典[3]。

実際に7名の成人男性がサイクリング運動をおこなったところ、事前のカフェイン摂取により疲労までの時間が12％延長されたとのデータが得られています^出典[4]。

疲れや体の怠さを感じた状態では性的興奮を生じにくくなるものです。カフェインの疲労軽減効果は、性行為のサポートにも役立つかもしれませんね。

また、カフェインはアルギニンをオルニチンと尿素へ分解する酵素、アルギナーゼを阻害するように働きます^出典[5]。アルギニンの減少を抑えられればNOの産生効率も高まるため、勃起力を高める効果もより期待できるでしょう。

カフェイン摂取量と勃起不全との関連を調べた論文では、1日にコーヒー2～3杯に相当する170～375mgのカフェイン摂取で、勃起不全の発症リスクが低下していたと述べられています^出典[6]。

性的興奮や勃起をサポートする手段としても、カフェインをおいしく摂れるエナジードリンクは活躍しそうですね。

エナジードリンクに含まれる糖分、ビタミン、アルギニン、カフェインなどには、抗疲労効果や血流改善効果などが期待できます。勃起の解消や、性的興奮のサポートに役立つ可能性がありそうですね。

ただしエナジードリンクを飲む際にはいくつか注意すべき点があります。ここからはエナジードリンクのリスクと、正しい飲み方について解説します。

1日1本まで

豊富な糖分の摂りすぎを避けるため、エナジードリンクは1日1本までに留めることをおすすめします。

飲み過ぎによる肥満や血糖値スパイクは、男性ホルモンのテストステロンを減らすように働き、活力や性欲、性機能を低下させるおそれがある点に注意が必要です。

肥満により増えすぎた脂肪組織は炎症を起こしやすく、テストステロンを減らす炎症性サイトカインやアロマターゼといった物質の発生量を増やしやすいことがわかっています^出典[7]。

また、血糖値スパイクは多量の活性酸素を発生させ、血管や精巣に大きなダメージを与えます。テストステロンの合成場所である精巣がダメージを受けることで、テストステロンが低下するリスクが高まるでしょう^出典[8]。

さらに血管が傷付くと血管の拡張能力も低下し、勃起時に十分な硬さを保てなくなる可能性がある点にも注意が必要ですね。

一般的なエナジードリンクのカロリーは100mLあたり30～50kcalほど。仮に100mlあたり45kcal、1本あたり350mLのエナジードリンクを飲むと、摂取カロリーは157.5kcalに及び、糖類も40g近く摂ることになるでしょう。

糖分の摂取が増えるほど、肥満や血糖値スパイクのリスクは高まります。疲労回復のために重要な糖分ですが、摂りすぎは逆効果と覚えておきましょう。

夜間の摂取は避ける

一般的なエナジードリンクには多量のカフェインが含まれているため、夜間の摂取は避け、夕方までに飲み終えるようにしましょう。

カフェインの覚醒作用は非常に強力で、夜間に摂取すると寝付きが悪くなる可能性があります。またカフェインには利尿作用もあるため、トイレが近くなり夜中や早朝に目を覚ましやすくなる点にも注意が必要です。

睡眠不足による精力への悪影響についてひとつずつ解説します。

まず疲労回復に役立つ成長ホルモンは、夜の睡眠中に分泌されます。夜の寝付きが悪くなり、睡眠時間が減少すれば疲労回復効率も下がり、疲れを十分に取ることが難しくなるでしょう。

次に睡眠不足はテストステロンを減少させるため、性欲や性機能も落ちやすくなります。平均年齢24.3歳の男性10名が1日5時間の短時間睡眠を1週間続けたところ、血清テストステロン濃度が10～15％低下したと報告されており^出典[9]、睡眠不足による影響が非常に大きいことがわかるでしょう。

さらに睡眠不足では、食欲を抑えるホルモン「レプチン」の分泌量が減少し、食欲を増すホルモン「グレリン」の分泌量が増加します^出典[10]。睡眠不足により食欲のコントロールが難しくなるため、食べ過ぎにより肥満を生じるリスクも高まるでしょう。

エナジードリンクにより睡眠の質が落ちることのないよう、飲む量に加え、飲むタイミングにも十分注意しましょう。

有効成分の量が多いものを選ぶ

エナジードリンクによる精力へのよい影響を期待したい場合には、有効成分の量にも注目してみましょう。

たとえば疲労回復効率を高めたり、血流を改善して勃起しやすくする効果が期待できるアルギニンですが、一般的なエナジードリンクには500mg前後しか含まれていません。

勃起不全の改善は約1.5～5g^出典[1]、成長ホルモンの増加は5～9gの摂取で確認されているため^出典[2]、量が大きく不足していることがわかるでしょう。

とはいえ、アルギニンの摂取のために1日に何本もエナジードリンクを飲むことはおすすめできません。アルギニンを効率よく摂れるよう、含有量の高いエナジードリンクを選んでみましょう。

また、エナジードリンクに使用されることがある次のような成分も、精力増強に役立つ場合があります。

さらなる効果を期待したい場合には、これらの成分の含有を参考にしてもよいかもしれません。

エナジードリンクには、精力増強に役立つ成分が含まれるものの、アルギニンに代表されるように、その含有量は十分でないものが多い可能性があります。

また、糖類の摂りすぎによる肥満や血糖値スパイク、カフェインの摂りすぎや摂るタイミングによる不眠は精力増強において逆効果となる点にも注意すべきでしょう。

エナジードリンクよりもさらに安全に、かつ効率よく性欲や性機能を高めたい場合には、男性ホルモンのテストステロンを高める効果が確認されている、テストステロンブースターの活用がおすすめです。

安全性が高く、有効成分の含有量が保証された規格化成分として、テスノアやトンカットアリなど、さまざまなサプリメントが存在します。目的に応じたサプリメントを選んで、若々しく精力溢れる体づくりをサポートしましょう。