

執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
朝立ちってどういうもの?
男性であれば思春期以降、朝の勃起現象を誰しも経験したことがあるでしょう。一般に朝立ちと呼ばれる現象はどのようにして起こるのでしょう。また、なぜ朝立ちが起こらなくなるのでしょう。
まずは朝立ちの概要と、朝立ちしないトラブルの原因について解説します。
睡眠中の勃起状態であり男性のコンディションを反映

朝立ちが起こるのは性的な夢を見ていたから。そんな話を聞いたことがあるかもしれませんね。しかし実は朝立ちは、性的な夢や興奮とは無関係に起こるものなのです。
朝立ちは学術的には「夜間勃起現象(NPT)」と呼ばれており、睡眠中に勃起する現象のことを指します。睡眠中に起こった勃起が目覚めたタイミングでも収まっていないため、私たちの目には目覚めとともに勃起したように見えているというわけです。
私たちの睡眠では、交感神経の働きが活発になるレム睡眠と、交感神経が鎮まり副交感神経が活発になるノンレム睡眠とを繰り返しています。勃起はこのうちレム睡眠の方で起こるものとして知られています。
一般的な睡眠サイクルは1回につき約80分。NPTの約8割は、このサイクルのうちレム睡眠の部分で発生し、1回あたり約20分続くとされています出典[1]。
目覚まし時計を用いてノンレム睡眠のときに強引に起きていれば、朝立ちに遭遇することも少ないでしょう。しかし自然な睡眠では、睡眠がとくに浅くなるタイミングで目覚めることになります。睡眠が浅くなるのはレム睡眠、つまりNPTが起こりやすいときです。
自然な目覚めとともに起こる朝立ちは、男性機能が正常に機能している証。つまり朝立ちが起きていれば、男性機能も良好と言えそうですね。
朝立ちしない問題はテストステロンと血流にあり
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朝立ちしない問題は、勃起力の弱まりの問題とも重なります。スムーズに勃起できなくなる原因には極度の疲れやストレス、性行為の場面での強い緊張などさまざまなものがありますが、身体的な要因としてはやはり「テストステロン」と「血流」の2つに注目すべきでしょう。
まず男性ホルモンのテストステロンは、睡眠開始から徐々に血中濃度が高まり、一般的な起床前とされる午前6時頃にピークになります。朝立ちが起こるときのテストステロンは、日中や睡眠前の1.5倍にまで上昇するとのデータもあるほど出典[2]。朝立ちが観測されやすいのも納得ですね。
テストステロンには勃起の指令を出す働きもあるため、テストステロンが減ると勃起力も落ちるとはよく言われます。
テストステロン濃度が低下するほど、NPTの回数、NPTでの勃起時間、NPTでの陰茎周囲長のいずれも減少したとの関係も確認されています出典[3]。テストステロンが少ないと、やはり朝立ちは起こりにくくなるでしょう。
また朝立ちを含む勃起現象では、陰茎に大量の血液が集まることで陰茎が大きく太くなります。そのため血流が良好であるほど朝立ちもスムーズに起こりやすくなると言えるでしょう。
しなやかに拡張する柔軟性のある血管と、サラサラの血液を維持できれば、血流を良好に保つことができ、朝立ちも起こりやすくなりそうですね。
20代男性の朝立ちしない問題は健康上のリスクにも

20代男性の朝立ちしない問題は、性機能の低下に加え、身体面や精神面のトラブルの原因になることもあります。
たとえばテストステロンは性機能のほか、筋肉の合成効率を高める、エネルギー消費を増やし、骨量を維持する、睡眠の質を高める、などの身体面の効果や、やる気や活力を高める精神面の効果も確認されています出典[4]。
そのためテストステロンが減少すると筋力や骨密度の低下、肥満、不眠、無気力など、さまざまなトラブルが起こりやすくなるでしょう。
また、血流の低下による朝立ちしない問題は勃起力の低下のサインであり、本格的なEDにつながることも。EDは心血管疾患(CVD)の前兆とみなされ、将来の心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めるとされているのです出典[5]。
健康的でエネルギッシュな毎日を過ごすためにも、テストステロンと血流の維持は重要と言えるでしょう。
朝立ちの問題を含め、EDを主訴に治療を求める若年男性の有病率は徐々に増加しているとも言われています出典[5]。朝立ちしなくなった違和感を放置せず、解決に向けて早めに動くことが重要ですね。
20代男性が朝立ちしない7つの理由と対策
目覚まし時計を使わず自然に目覚めているにもかかわらず朝立ちしない場合には、男性機能が落ちているかもしれません。
ここからは20代の若い男性が朝立ちしない理由として、考えられるものを7つ、対策とともに解説します。
食べ過ぎによる肥満体型
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EDに悩まされている男性の約79%が、BMI25kg/m²以上の肥満体型であったとの統計が存在します出典[6]。肥満の方ではEDのリスクが高く、勃起力が落ちやすいことが分かりますね。
肥満が勃起力を低下させて朝立ちの頻度を落とす理由は大きく分けて二つあります。ひとつは増えすぎた脂肪組織の炎症により、テストステロンを減らす可能性のある物質が増えること出典[7]出典[8]。もうひとつは肥満にともなう高血糖、高血圧、脂質異常などにより血流が大幅に低下することです。
糖尿病、高血圧、脂質異常症とEDの間には次のような関連があることが分かっています。
- 糖尿病男性のEDの有病率は、糖尿病でない男性の約3.5倍出典[9]
- 高血圧の男性グループではEDの有病率61.79%に対し、正常血圧の男性グループでは20.28%出典[10]
- 総コレステロールが240mg/dL以上の男性のEDリスクは、180mg/dL未満の男性の1.83倍出典[11]
内臓脂肪が増えるほどこれらの疾病のリスクも高まるため、減量により血流を良好に保つことが、朝立ちを取り戻すためにも重要と言えそうですね。
減量により勃起機能が改善できる可能性については、肥満とEDとに関わる5つの研究を分析した論文でも示されています出典[12]。
体重の増加は摂取カロリーが消費カロリーを上回ることで起こります。運動不足も肥満の原因となりますが、やはり食生活を改めなければ体重は減らせないでしょう。腹八分目を意識しておかわりや大盛注文を避けたり、高カロリーな揚げ物や洋食を避けたりすることで、カロリーの摂りすぎを防ぐことが重要ですね。
菓子パンやジャンクフードばかり食べている
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肥満に通ずる食べ方ではありますが、とくに菓子パンやジャンクフードのような、調理不要で手軽に食べられるものばかりで食事を済ませている方は要注意。これらの手軽な食べ物は「超加工食品」とも呼ばれ、食べ過ぎると摂取できる栄養素に大きな偏りが生じる点に注意が必要です。
まず考えられるのが糖質と脂質の摂りすぎです。どちらも血液をドロドロにするため、血流の低下につながるのでしたね。食事のほか、炭酸ジュースやエナジードリンクのような砂糖入り飲料からの糖質の摂りすぎもEDのリスクを高めるため注意が必要です出典[13]。
さらにこれらの超加工食品からは、食物繊維、ビタミン、ミネラル、ポリフェノールなどの栄養素をほとんど摂取できない点も問題となるでしょう。
ビタミン、ミネラル、ポリフェノールなどはテストステロンの分泌をサポートするために重要です。また食物繊維を十分に摂ることで肥満や生活習慣病の予防効果が期待できるため出典[14]、朝立ちする体を取り戻したい場合には意識して摂りたいものですね。
菓子パンやジャンクフードばかり食べており、野菜を摂る機会がほとんどない方は、まず外食の定食料理や、野菜を用いた料理の総菜などを試すところから始めましょう。
自炊ができそうな場合には、1食につき1品、野菜料理を入れるようにしましょう。1食分に対する野菜の割合を増やすことで、糖質や脂質の摂りすぎを防ぎつつ、勃起力の維持に欠かせないビタミンやミネラル、ポリフェノール、食物繊維などを摂りやすくなりますよ。
夜更かしや徹夜をよくする
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20代の男性では体力に自信がある方も多いかもしれません。友人や仕事仲間との飲み会で夜更かしをしたり、知人の自宅に集まって徹夜をしたりした経験もあるかもしれませんね。これらの夜間の活動が頻繁にあり、常に寝不足であるような状態では、朝立ちしない問題も解決しづらくなるでしょう。
睡眠中はテストステロン分泌のゴールデンタイムです出典[15]。テストステロンは睡眠時に分泌が増加し、朝立ちのタイミングでは日中や就寝前の約1.5倍になる可能性があるホルモンでしたね出典[2]。
そのため十分に睡眠を取れていないと、朝立ちのためのテストステロンを増やせず、朝立ちが起こらないまま目覚める日も増えてしまうでしょう。
短時間睡眠によるテストステロンの減少は若い男性にも見られています。普段8時間以上寝ている平均24.3歳の男性が、5時間以下の睡眠を1週間続けたところ、血中テストステロンが10~15%減少したとのデータが確認できました出典[2]。
テストステロンを減らさないため、睡眠時間の確保が重要であることが分かりますね。
さらに、睡眠不足は体内の血管拡張物質であるNOの利用効率を下げるため出典[16]、朝立ちをはじめ、勃起力がさらに落ちやすくなるでしょう。
7時間未満の睡眠では肥満や生活習慣病のリスクも高まります出典[17]。血液のドロドロ化を防ぐためにも、夜更かしや徹夜をやめて、1日7時間以上眠れるよう、夜の過ごし方を改めましょう。
大量飲酒を繰り返している

大量飲酒が習慣化しているアルコール使用障害の患者におけるEDの割合は、なんと68.5%に及ぶとのデータがあります出典[18]。朝立ちしない問題を解決したい場合には、お酒を飲む量を調整する必要がありそうですね。
大量飲酒はテストステロンにも血流にも悪影響です。アルコールの摂りすぎにより、テストステロンを減らす物質の発生量が増えたり出典[19]、テストステロンの分泌を促すホルモンの合成効率が落ちたりする可能性が指摘されています出典[20]。
お酒は血行促進に役立つから勃起によいと考える方もいるかもしれませんが、大量飲酒は逆効果。血圧の上昇や血栓形成のリスクが高まり出典[21]、血流が悪化するため注意が必要ですね。
もちろん飲みすぎなければお酒と朝立ちとの両立は可能です。お酒と男性機能の関係を調べた論文では、性ホルモンへの影響が出にくい量は、純アルコール換算で1日20gまでと述べられています出典[20]。
【一般的な酒類のアルコール度数と適正量の目安】
アルコール度数 | 純アルコール20g相当量 | |
---|---|---|
ビール | 約5% | 500mL(中瓶1本) |
日本酒 | 約15% | 約165mL(1合弱) |
ワイン | 約12% | 約208mL(グラス1杯半) |
ウイスキー | 約40% | 約63mL |
焼酎20度 | 20% | 125mL |
焼酎25度 | 25% | 100mL |
ビールであればロング缶1本まで、ウイスキーであればダブル1杯までが目安となります。飲みすぎている方はぜひ今日から量を減らし、勃起に影響がない範囲でお酒を楽しみましょう。
運動不足または持久力運動のやりすぎ

デスクワーク中心の仕事に従事すると、活発に動けていた学生の頃からは大きく活動量や運動量が減ってしまうものです。活動量の不足はEDのリスクを高めるため、朝立ちしない問題も起こりやすくなるでしょう。
一方で、運動のしすぎも勃起に必要なテストステロンを減らしてしまうため、熱心に運動しすぎると逆効果になる可能性がある点には注意が必要ですね。
運動不足や運動のしすぎによる影響を調べた論文では、次のようなことが分かっています。
- 座りっぱなしの生活はテストステロンを減らしやすい出典[22]
- 低テストステロンの男性では歩数が少ない方の割合が多い出典[23]
- 持久力運動の習慣がある方のテストステロンは運動不足の方よりもさらに少ない出典[24]
休日にずっとソファに腰掛けてゴロゴロしている生活や、車移動とデスクワークの生活で歩く時間が極端に少ない方は、ぜひ1日10分からでも歩く時間を増やすことを心がけてみましょう。
1日の歩数が1000歩増えると総テストステロンが7ng/dL増えるとの関係が明らかになっています出典[23]。本格的な運動に抵抗がある方は、仕事の休憩時間や休日の朝に、1日10分、散歩に出ていくところから始めてみましょう。
高負荷長時間の取り組みを避け、ウォーキングやジョギング、スクワットや腕立て伏せなど、できるところから活動量を少しずつ増やせれば、朝立ちしやすい体質に近付きますよ。
ヘビースモーカー
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ヘビースモーカーの方では、若いうちから喫煙により血管がダメージを受け、勃起しづらい体質になっている可能性があります。
タバコを吸う方では血圧が上がりやすいことはよく知られています。とくに血管を拡張する能力である最低血圧への影響が大きいことから、血管の柔軟性が損なわれていることがよく分かります。硬くなった血管では陰茎に十分な量の血液を集められず、勃起しづらくなったり、硬さや大きさを十分に維持できなくなったりするでしょう。
タバコによる血管への害は、煙に含まれる有害物質を取り込むことで活性酸素が大量に発生するためと言われています出典[25]。過剰な活性酸素は酸化ストレスとして血管を傷付けるため、血管が硬くなりやすいと考えられているのです。
さらに喫煙では血管拡張物質であるNOの生成量も減るため出典[26]、ますます血流が低下。朝立ちも起こりづらくなるでしょう。
より多くのタバコを、より長い期間吸っている方ほど、EDのリスクが高まります出典[27]。20代ではまだ喫煙年数もそう長くないはずですから、勃起に影響が出るということは1日あたりの喫煙本数が相当に多いはず。
ヘビースモーカーはEDだけでなく、生活習慣病や肺がんなどあらゆる健康上のリスク因子になります。禁煙によりタバコの害を断ち切り、低下した血管の柔軟性を取り戻して朝立ちしやすい体を取り戻しましょう。自力での禁煙が難しい場合には、禁煙外来や禁煙薬の活用もおすすめです。
うつ病のような精神疾患がある
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最後に気を付けたいのがうつ病や不安障害のような精神疾患を抱えている場合。ED患者を対象とした調査では、次のようなことが分かっています。
朝立ちしない問題をはじめ、勃起力の低下を強く感じた場合には、これらの精神疾患の治療に専念することが重要と言えそうですね。
ただし精神疾患の治療として処方される抗うつ薬や睡眠薬の一部には、性的興奮や勃起を起こりにくくするものもあります出典[30]出典[31]。もちろん自己判断での服薬中断は厳禁ですが、薬の影響が気になる場合には、薬の種類や量を状況かどうか担当医に確認してみると、よい変化が得られるかもしれません。
また、生活習慣のケアにより精神状態を改善する試みも役立つ可能性があります。
うつ病のリスクを下げ、精神的健康を保つことも朝立ちしない悩みの解決には重要です。食事や睡眠の見直しをおこない、心身ともに健康な体を維持しましょう。
勃起力を改善する最善策とは?
朝立ちは睡眠中のホルモンバランスの変化により生じるものです。目覚ましを使わずに自然な形で目覚めているにもかかわらず朝立ちしない場合には、テストステロンの減少や血流の悪化により勃起力が落ちている可能性があるでしょう。
食べ過ぎや飲み過ぎをやめる、十分な睡眠を取る、1日10分からでもウォーキングを始める、禁煙する、など、朝立ちしない悩みの解決のためにできることはたくさんあります。ぜひ本記事をチェックして自身の課題を見つけ、できることから取り組んでいきましょう。
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