寝不足は強力に勃起を妨げる?仕組みと対策を解説
2025年10月13日更新

執筆者

管理栄養士

井後結香

管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。

睡眠不足で勃起しづらくなるのはなぜ?

忙しい生活のなかでは十分な睡眠を取るのも一苦労。ストレスが強まると睡眠の質も下がり十分に眠った感覚を得られなくなる点も問題ですね。

そうした睡眠不足や睡眠の質の低下は、勃起力の低下に大きく関係していると言われています。まずは睡眠不足で勃起力が落ちる理由について説明します。

 

テストステロンが減少するから

勃起のような男性機能を考えるにあたり外せないのが、男性ホルモンのテストステロン。性欲や勃起力のような性機能面を支える役割があり、主に精巣から分泌されています。

テストステロンには性的興奮と勃起を連動させ、勃起のタイミングを調整する役割があるとされています出典[1]テストステロンが極端に少ない状況では、性的興奮と勃起が連動せず、ここぞというときに十分に勃起できない可能性もあるでしょう。

テストステロンは20代の若いころに最も多く、加齢とともに減少するホルモンです。30歳を過ぎると年に1%ずつ出典[2]35~40歳を過ぎたころには年に1~3%というペースで減少するというデータも確認できています出典[3]。年齢を重ねるほど、テストステロンの不足が見られやすくなると言えそうですね。

また、睡眠不足をはじめ、暴飲暴食や運動不足などによる不規則な生活もテストステロンを減らす原因になります。これらの不規則な生活では主に、活性酸素が大量に発生することによる酸化ストレスの増加が問題となります。

テストステロンの分泌場所である精巣は酸化ストレスに非常に弱い組織出典[4]そのため不規則な生活で酸化ストレスが増えるほど、テストステロンも減りやすくなると考えられています。

加齢による減少は誰にも起こり得ますが、不規則な生活による減少は生活習慣のケアにより食い止められます。十分に眠って、テストステロンが減りにくい体を作りましょう。

 

血流が低下しやすくなるから

寝不足による勃起力の減少には、血流の低下も関係しています。

勃起時の硬く大きな陰茎を作っているのは男性自身の血液。興奮時に陰茎の血管が拡張し、そこへ大量の血液が流れ込み満たされることで勃起するのです。血流は勃起時の陰茎の太さ、硬さ、維持力を左右する、非常に重要な要素と言えるでしょう。

血管の拡張に関わるのが、血管拡張物質として知られる一酸化窒素(NO)。睡眠不足ではNOの利用効率が下がり、血行不良による心血管疾患のリスクが高まる可能性が指摘されているのです出典[5]

NOは酸化されやすい物質であり、活性酸素が多い状態では体内量が減ってしまいます。睡眠不足では体内の活性酸素の除去も滞るため出典[6]酸化ストレスも増えやすく、NOが減りやすくなることも血行不良の原因になると考えられていますね。

また、睡眠不足では糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病のリスクも高まります出典[7]これら各種の病態でも血行不良が起こりやすく、その関係で次のようにEDのリスクが高まることが分かっているのです。

糖尿病男性のEDの有病率は、糖尿病でない男性の約3.5倍出典[8]
総コレステロールが240mg/dL以上の男性のEDリスクは、180mg/dL未満の男性の1.83倍出典[9]
高血圧の男性グループではEDの有病率61.79%に対し、正常血圧の男性グループでは20.28%出典[10]

これら生活習慣病のリスクを下げるためにも、寝不足を防ぎ質の高い睡眠を取ることは重要ですね。

勃起に効く良質な睡眠のために必要なこと7選

勃起力を高めるためには生活習慣のケアが肝心。なかでも睡眠の質を高めることが、勃起に関わるテストステロンや血流に重要であることが分かりました。

ここからは良質な睡眠を取るために意識したい取り組みについて7種類紹介します。自身の睡眠や過ごし方を見直すきっかけとして、ぜひご活用ください。

 

1日7時間を目安に眠ろう

まずは何においても十分な睡眠時間を取ることです。夜更かしや徹夜を避け、睡眠時間を増やせるよう意識しましょう

必要な睡眠時間には個人差がありますが、健康を害さない適切な睡眠時間は7~8時間とされています出典[11]。とくに勃起力の向上を期待する場合、1日7時間眠れるように調整すべきです。なぜなら1日7時間未満の短時間睡眠が習慣化すると、肥満や生活習慣病のリスクが上がってしまうから出典[12]

生活習慣病に加え、肥満はテストステロンの減少にも勃起不全にもリスクとなります出典[13]出典[14]体脂肪の増えすぎを防ぐためにも、睡眠時間の確保は重要ですね。

テストステロンの分泌は睡眠中に最も高まることが分かっています出典[15]つまり夜更かしや徹夜で睡眠時間を削る行為は、テストステロンを増やすチャンスをみすみす逃しているようなもの

テストステロンは勃起のほか、性欲にも関わるホルモンです。十分に眠ることで男性機能を底上げできれば、勃起の悩みのみならず、男性機能全般の悩みも解決しやすくなるかもしれませんよ。

日勤帯での仕事をしている方であれば朝は6~7時ごろにはすでに起きているはず。7時間の睡眠を取るためには、夜22時には布団に入れるよう、夜の予定を削ったり過ごし方を工夫したりすることが重要ですね。

 

夕方以降はカフェイン飲料を控える

睡眠時間を取れるよう、夕方から夜にかけての過ごし方を見直す必要があることは大前提。加えてスムーズに入眠したり、中途覚醒や早朝覚醒を避けて深く眠ったりするための工夫も、勃起力の向上には重要となるでしょう。

そのためにまず意識したいのがカフェインの摂取を避けることです。カフェインは覚醒作用があることで知られている成分。忙しく働く社会人の方であればきっと誰しも、眠気覚ましのためにカフェイン入りの飲料を飲んだ経験があるはず。

コーヒーやエナジードリンク、栄養ドリンクの摂取が欠かせないという方もいるかもしれませんが、睡眠の質を高めるため、夕方以降の摂取は避けた方がよいでしょう。

カフェインの血中濃度は摂取後30分~2時間で最大となることが分かっていますが、一方の半減期(効果が半分になる時間)は2~8時間と個人差が大きいようです出典[16]。つまり夜7時にコーヒーやエナジードリンクを飲んでしまうと、眠りたい10時や11時の頃にはまだカフェインの覚醒作用の影響が減りきっていない可能性も。

寝付くまでにかかる時間が延びやすくなり、ノンレム睡眠のような、脳を十分に休めるための深い睡眠の時間がカフェイン摂取により減少することも分かっています出典[17]

睡眠の質を高めたい場合、就寝前のカフェイン摂取は厳禁。より睡眠への影響を避けたい場合には、夕方以降のカフェイン飲料の封印がベターです。

 

就寝90分前に体を温める取り組みを

スムーズに入眠する工夫として、寝る少し前から体を温めておく方法がおすすめです。温まった体は就寝のタイミングに向けて冷えていきますが、この深部体温の低下が、脳をはじめとする全身の休息状態を作り出すために重要と考えられているのです出典[18]

体を温める方法として、今回は入浴と軽い運動を紹介しましょう。

まず入浴ですが、睡眠の質を高めるためには温かいお風呂にゆっくり浸かるのがおすすめ。入浴と睡眠の関係について調べた論文では、就床1.5~2時間前に約5分の短時間入浴をしたときも約15分の長時間入浴をした方が睡眠の質を高めやすいと述べられています。さらにシャワーよりも長時間入浴の方が入眠までの時間が短くなるとのデータも出典[19]

40度の熱いお湯へ10分以上浸かると、血圧の低下や血流量の増加が見られ、血流を改善しやすくなります出典[20]。血行をよくして体を温めた状態から90分後には、温まった体が冷え始め、眠気を引き起こす深部体温の低下につながるというわけですね。

また、ストレッチや軽い筋トレのような運動も体を温めるために効果的です。身体活動で上昇した体温は、運動後30~90分で低下し眠気を強めるために役立つとされています出典[21]

マラソンのような負荷の強い運動は、筋肉の炎症により酸化ストレスを増やすように働くため逆効果。あくまで入眠のサポートとして、軽く体を動かす程度に留めておきましょう。

 

寝酒は厳禁

入眠をよくする目的で、寝る前にお酒を飲む方もいるかもしれませんね。しかし勃起力の向上を考える場合、寝酒は最悪の選択肢です。寝酒をやめることはもちろん、普段の飲酒の量やタイミングを工夫することで、お酒の睡眠への影響を抑える必要がありそうですね。

確かに寝酒では寝付くまでにかかる時間を減らせます。しかしその後は夜中に目覚める中途覚醒が起こりやすくなったり、ノンレム睡眠と呼ばれる深い睡眠が減ったりと、総じて睡眠の質が低下する方向へ作用が切り替わってしまうのです出典[22]

アルコールの代謝においてはアセトアルデヒドと呼ばれる物質が生成され、交感神経を刺激します。交感神経は体を活動させる際に優位になる神経であるため、寝ているときに交感神経が活発になると目覚めやすく、寝付きにくくなるのです。

寝つきが悪い方は、寝酒以外の方法で入眠をスムーズにできる方法を探すべきでしょう。

なお、アルコールを今日限りで完全にやめても、睡眠への影響が離脱症状としてしばらく続く点には注意が必要です出典[23]寝酒をやめて眠れなくなったからと、翌日からまた寝酒を再開してはいけません。

さらに大量飲酒ではテストステロンが減少したり出典[24]、血流が低下したりと出典[25]、勃起への悪影響も目立ちます。1日純アルコール換算で20g未満の飲酒量(アルコール5%のビールであればロング缶1本まで)に抑え、夜の早い時間に飲み終えるようにしたいものですね。

 

どうしても昼寝をしたいときは15~30分を目安に

夜間に十分眠れないことで、昼間に強い眠気に悩まされることもあるでしょう。昼寝をすれば日中のパフォーマンスは大きく改善されますが、眠りすぎたことにより目覚めてからもしばらく頭がぼーっとする「睡眠慣性」に悩まされることも出典[26]

また昼寝をしすぎれば夜の就寝時に寝つきがさらに悪くなり、睡眠の質の低下の悪循環が起こる場合もあるでしょう。

普段から昼寝を1時間以上取っている方は、昼寝をする習慣がない方よりも心血管疾患、高血圧、メタボリックシンドロームなどのリスクが高いことも分かっています出典[26]いずれも勃起力の低下につながるため、昼寝のし過ぎでスムーズに勃起できなくなる可能性も考えられそうですね。

どうしても昼寝をして午後からのコンディションを高めたい場合には、次の点を守りましょう。

深い睡眠に入る前に目覚めることで、睡眠慣性による倦怠感が起こりにくくなり、午後のパフォーマンスを高めるために役立ちます。20分程度の仮眠であれば夜への影響も抑えられるでしょう。

もちろん強い眠気を感じていない場合には、無理に昼寝を取り入れる必要はありません。夜に眠気を感じた状態でスムーズに入眠するためにも、昼寝はあくまでパフォーマンスが大きく落ちる可能性があるときの手段に取っておきましょう。

 

アロマの香りでリラックス

アロマにリラックス効果があることはよく知られています。

実際に集中治療室に入院した成人患者にアロマセラピーをおこなったケースでは、不安の軽減や睡眠の質の改善に有益であるというデータが示されています出典[28]不安や緊張によりなかなか入眠できないと悩んでいる方においては、アロマの活用も役立つかもしれませんね。

香りによるリラックス効果をもたらすものとしては、一般にラベンダーが有名ですが、本当によく眠れるようになるのか疑問に思う方もいるのではないでしょうか

そこで今回は学術的論文や資料にて効果が確認できたものをいくつか紹介しましょう。

まずはベルガモット。アロマとして吸入した場合、入眠までの時間が68%縮まり、睡眠時間も45%増加したとのデータが得られています。これはベンゾジアゼピン系睡眠薬に匹敵する効果であり、不眠に対する効果が非常に大きいと言えるでしょう出典[29]

また、ラベンダー精油でのアロマセラピーでも、疲労の軽減や睡眠の質の改善が確認されています出典[30]

緊張や不安を減らしたり、入眠をスムーズにしたりするための手段として、寝る前のアロマを試してみてもよいかもしれませんね。

 

快眠に効果的な食べ物を試そう

快眠に効果的な食べ物を取り入れることも、睡眠の質の向上に役立つ可能性があります。

今回は快眠に役立つとされる食品のうち、手軽に取り入れやすいものを3つ紹介します。

 

バナナ

まず紹介したいのがバナナ。必須アミノ酸であるトリプトファンの摂取源として活躍します。

トリプトファンは睡眠をサポートするホルモン、メラトニンの生成に欠かせない栄養素です。トリプトファンやメラトニンを含む食品を取ることで、睡眠の質が高まる可能性が指摘されているのです出典[31]出典[32]

12名の健康な男性がバナナを2本食べることで、2時間後の血中のメラトニン濃度が32pg/mLから140pg/mLまで増加したとのデータがあります出典[33]。睡眠ホルモンとも呼ばれるメラトニンを増やす手段として、バナナは役立ちそうですね。

 

キウイフルーツ

キウイフルーツにはメラトニンが24μg/g含まれているとのデータがあります出典[34]

実際に睡眠障害を自己申告した人物25名が、寝る1時間前にキウイフルーツ2個食べる生活を続けたところ、睡眠効率が2.4%、入眠にかかるまでの時間が35.4%減少したとの結果が得られています。

さらに不眠症の症状を持つ学生が、寝る1時間前にキウイフルーツを130g食べる生活を4週間続けたケースでも、比較として洋ナシを130g摂取した場合より、主観的な睡眠の質が改善したことが確認できました出典[35]

寝る1時間前を目安にキウイを食べることで、睡眠の質を高める効果が期待できそうですね。

 

牛乳+はちみつ

牛乳からも、トリプトファンを効率よく摂取できます。

よりトリプトファンによる効果を高めたい場合には、グルコースと一緒に摂るとよいとも言われています。グルコースにより血糖値が上がると、同化ホルモンと呼ばれるインスリンが分泌され、トリプトファンの取り込み効率を高める効果が期待できるためです。

入院患者に牛乳とはちみつの混合物を1日2回、3日間提供したところ、摂取しなかったグループよりも睡眠状態が改善されたとのデータがあります出典[36]

また牛乳とバナナの摂取でも、睡眠の質を自己評価するためのピッツバーグ睡眠品質指数スコア(0~21点、点数が高いほど睡眠の質が悪い)の点数が有意に低下しています出典[34]

トリプトファンによる快眠効果を期待したい場合には、牛乳と甘いものの組み合わせを試してみましょう。

男性機能を改善する最善策は?

寝不足ではテストステロンの減少や血流の悪化が起きやすく、勃起力が落ちやすい点に注意が必要です。1日7時間を目安に十分な睡眠が取れるよう、夜更かしや徹夜をやめて早めに布団に入る習慣を付けましょう。

睡眠の質を高めるためには夕方から夜にかけての過ごし方が重要。寝酒やカフェイン摂取をやめる、就寝90分前に体を温める、などで、スムーズに入眠したり、中途覚醒なく眠ったりできるよう工夫しましょう。

本記事で紹介した方法以外にも、睡眠の質を高める方法はあります。自身にピッタリの取り組みを知りたい方は、ぜひナイトプロテイン公式LINEで、自身の不眠の悩みや勃起の悩みを相談してみませんか?

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