監修者
上級睡眠健康指導士 /NR・サプリメントアドバイザー
関川裕大
睡眠と運動と栄養の3つ面から皆様の健康的なライフスタイルをサポートします。睡眠と運動は特に男性のQoLにおいて非常に重要な役割を果たします。睡眠が不足すると筋肉が付きにくく太りやすくなりますし、運動が十分でない男性は睡眠の質も低下し易いと言われております。そして栄養が不足すると運動効率も睡眠の質も悪化してしまいます。医療に頼らない心と体の健康促進を目指します。
執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
ヒハツ(ロングペッパー)とは?

ヒハツ(学名:Piper longum L.、和名:長胡椒)は、コショウ科に属するつる性の多年草です。
古くからインドの伝統医学であるアーユルヴェーダや中国医学において、単なるスパイスとしてだけでなく、消化促進や呼吸器系の改善を目的とした重要な生薬として重宝されてきました。
一般的な黒コショウ(Piper nigrum)と近縁の植物ですが、その果実の形状に大きな違いがあります。
黒コショウが小さく丸い粒状であるのに対し、ヒハツは独特の細長い穂状(円筒形)をしており、これが「ロングペッパー」という英名の由来となっています。
風味はコショウに似ていますが、より複雑で、ほのかに甘く爽快な香りが特徴です。
ヒハツの主要な機能性成分は、辛味を司るアルカロイドの一種「ピペリン(Piperine)」です。
近年の研究において、抗酸化、抗炎症や抗肥満といった多様な生理活性作用があることがわかっています出典[1]。
また、ピペリンは他の栄養素や薬物の体内吸収率(生物学的利用能)を高める特異な性質も持っている成分です出典[2]。
ヒハツは私たちの健康をサポートしてくれる多種多様な効果の期待できる、非常にポテンシャルの高い植物といえます。
ヒハツの摂取でもたらされる効果
ヒハツは単なるスパイスとしてだけでなく、多様な生理活性を持つ物質として、医療や健康分野で大きな注目を集めている成分です。
血流改善や代謝向上をはじめ、多岐にわたる健康効果が研究で示されています。
ヒハツの摂取でもたらされる効果を文献を交えながら9つ紹介します。
① 血圧の改善(高血圧の予防)

1つ目は血圧の改善(高血圧の予防)効果です。
2015年に発表された金城らの研究グループによる報告では、ヒハツ抽出物150mg(ヒハツ由来ピペリン90μgを含む)を配合した粉末緑茶を12週間摂取によると、摂取開始からわずか1週目で収縮期血圧(最高血圧)および拡張期血圧(最低血圧)の両方において有意な低下し、この効果は12週間の試験期間中、継続することが示されています出典[3]。
ヒハツに含まれるピペリンは、血管を拡張させる作用や血管内皮機能を改善する働きがあります。
そのため、血管をしなやかに保ち、血液の流れをスムーズにすることで、物理的に血圧の上昇を抑える働きがあるのです。
② 冷え症の改善(末梢血流の促進)

2つ目は冷え症の改善(末梢血流の促進)効果です。
ヒハツは体の内側から温める「温活」素材として非常に高い注目を集めています。
その効果の核となるのが、「ピペリン」による血管拡張作用です。
2009年に愛媛大学の研究グループが発表した論文では、冷え症の若年女性を対象とした研究において、ヒハツエキスの摂取により、冷水負荷後の皮膚表面温度の回復が早まることが確認されており、これは末梢血管の血流を改善する作用によるものと考えられていることが示されています出典[4]。
また、ピペリンはアドレナリンの分泌を介して代謝を促し、エネルギー消費を高める可能性が示唆されています出典[5]。
つまり、ヒハツは単に一時的な温感を与えるだけでなく、血流という「熱の運び手」をスムーズにすることで、冷えにくい体づくりをサポートしてくれるのです。
冬の寒さや夏の冷房対策など、年間を通して「巡り」が気になる現代人にとって、ヒハツは手軽に摂取できる頼もしい味方と言えるでしょう。
③ 栄養素や薬剤の吸収促進(バイオエンハンサー効果)

3つ目は栄養素や薬剤の吸収促進(バイオエンハンサー)効果です。
ヒハツに含まれる辛味成分「ピペリン」は、他の栄養素や医薬品の体内利用率(バイオアベイラビリティ)を劇的に高める「バイオエンハンサー」として注目されています。
ピペリンには小腸の吸収膜に直接作用して透過性を高める一方で、肝臓での薬物代謝酵素や排出ポンプの働きを一時的に抑制するメカニズムが詳述されています。
この働きにより、通常は体内に吸収されにくいクルクミンやβカロテンなどの栄養素を、効率よく血中に届けることが可能になるのです出典[6]。
また、2020年にインドのダッタ・メグ・インスティテュート・オブ・ハイアー・エデュケーション&リサーチの研究グループが発表した論文では、ヒハツが抗てんかん薬であるフェニトインの経口バイオアベイラビリティに与える影響が調査されました。
その結果、ヒハツを併用することで薬剤の吸収速度と血中濃度が有意に向上することが示されており、ヒハツが医薬品の効果を補完する可能性が示唆されています出典[7]。
このように、ヒハツは単なる香辛料としてだけでなく、同時に摂取した成分のポテンシャルを最大限に引き出す、優れた天然のサポーターと言えるのです。
④ 肥満の改善と脂肪燃焼促進
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4つ目は肥満の改善と脂肪燃焼促進効果です。
ヒハツは、古くから冷え対策などに用いられてきましたが、近年の研究により強力な肥満改善および脂肪燃焼促進効果が明らかになっています。
2025年に中国医薬大学が発表した論文では、ヒハツ抽出物が白色脂肪細胞の褐色化を促すことで脂肪組織の熱産生(サーモジェネシス)を促進し、抗肥満効果を発揮することが示唆されています。
これは、エネルギーを蓄積する役割の「白色脂肪細胞」を、脂肪を燃焼させて熱を作る「ベージュ脂肪細胞」へと変化させることで代謝があがるためです。
また、ヒハツが腸内細菌叢(腸内フローラ)を調整し、代謝を改善する可能性も報告されています。つまり、腸内環境が整うことで脂質代謝が活性化され、エネルギー消費効率が高まることが期待できるのです出典[8]。
ヒハツは「細胞の燃焼スイッチ」を入れつつ「腸内環境から代謝を底上げする」という多角的なアプローチにより、効果的に体脂肪の蓄積を抑えるサポート成分として注目されています。
⑤ 血糖値・脂質プロファイルの改善

5つ目は血糖値・脂質プロファイルの改善効果です。
2024年にイランのイスファハーン大学の研究グループが発表した論文では、2型糖尿病や高脂血症の患者を対象に、ピペリンとクルクミンを併用摂取することで空腹時血糖値を有意に低下させ、血糖コントロールを改善することが報告されています。
また、脂質プロファイルに関しても、中性脂肪(トリグリセリド)の数値が有意に減少することが確認されており、脂質代謝の正常化をサポートする効果が示されています。
さらに、慢性炎症の指標である炎症マーカーのCRPも有意に低下しており、血管の健康維持や合併症リスクの低減に寄与する可能性が示唆されているのです出典[9]。
先ほども紹介しましたが、ヒハツに含まれるピペリンには、クルクミンの体内吸収率を飛躍的に高める働きがあり、この相乗効果が糖、脂質代謝機能の改善に大きく貢献していると考えられています。
⑥ 関節炎・関節痛の緩和

6つ目は関節炎・関節痛の緩和効果です。
古くから健康維持に用いられてきたヒハツには、関節の悩みを根本から和らげる力が秘められています。
ヒハツに含まれる成分には強力な抗炎症作用があり、特に変形性関節症(OA)の進行を食い止める効果が期待されています。
具体的には、炎症を引き起こす主要なシグナル伝達経路を阻害することで、関節内の炎症を鎮めてくれるのです。
さらに、軟骨の破壊を抑制する効果も確認されており、関節がすり減るのを防ぎながら痛みを緩和することも示されています出典[10]。
このことからヒハツは単なる香辛料としてだけでなく、関節の「クッション」を守り、スムーズな動きをサポートする心強い味方と言えるでしょう。
「最近、節々が気になる……」という方は試してみてもいいかもしれません。
⑦ 脳機能の保護(認知症予防の可能性)

7つ目は脳機能の保護効果による、認知症予防の可能性です。
認知機能が低下するアルツハイマー病の主な原因の一つとされるのが、脳内に蓄積する「アミロイドβ(Aβ)」というタンパク質です。
これが神経細胞に対して毒性を発揮し、脳のネットワークを破壊することで認知機能の低下を招きます。
2025年に韓国の慶熙大学校の研究グループが発表した論文では、細胞実験ですがヒハツ抽出物がアミロイドβによる神経毒性を軽減し、神経細胞を直接的に保護する作用が報告されています出典[11]。
この神経保護作用は、単なる一時的なケアではなく、認知機能の維持や神経変性疾患そのものの予防に大きく寄与する可能性を秘めているのです。
⑧ 骨粗鬆症の改善

8個目は骨粗鬆症の改善効果です。
ステロイドの長期服用は、副作用として骨形成を抑制し骨密度を著しく低下させることが知られていますが、ヒハツはこのプロセスにポジティブに働きかけます。
2025年にインドのDr. D. Y. パティル・デンタル・カレッジ&病院の研究グループが発表した論文では、ヒハツ抽出物は骨芽細胞の分化と石灰化を促進することで、骨形成を強力にサポートし、ステロイドによって減少した骨密度の低下を回復させる効果があることが報告されています出典[12]。
つまり、ヒハツは骨の代謝バランスを整え、新しい骨を作る力を呼び覚ます可能性を秘めているのです。
加齢や薬の影響による骨密度の低下が気になる方にとって、ヒハツは天然由来の心強いサポーターとなってくれるのでしょう。
⑨ 抗がん作用の可能性

最後の9個目は抗がん作用の可能性です。
ヒハツに含まれる成分が、がん細胞に対して抑制的に働く可能性については、近年多くの基礎研究で注目されています。
ヒハツに含まれるピペルロングミンやピペリンが、大腸がん、乳がん、子宮頸がんなどの細胞に対してアポトーシス(細胞死)を誘導し、増殖を抑制する効果があることがこれまでの細胞実験や動物実験から多数報告されています出典[13]。
例えば、ピペルロングミンはがん細胞内の活性酸素種を上昇させ、正常細胞を傷つけることなく、がん細胞特異的にアポトーシス(細胞死)を誘導する性質があるのです出典[14]。
ヒハツの抗がん作用はあくまで基礎研究の段階での結果であり、ヒトの体内で同様の劇的な効果が得られるかを確認する臨床試験はまだ十分ではありません。
しかし、既存の抗がん剤との併用による相乗効果も期待されており、次世代の創薬ソースとして非常に高いポテンシャルを秘めています。
ヒハツの副作用のリスクについて

先ほど紹介したようにヒハツには健康に有益な効果が多いです。
一般的に食品として摂取する分には安全ですが、過剰摂取や特定の条件下では副作用のリスクがあります。
特に注意すべき副作用は次の3つです。
1つ目は胃腸障害のリスクです。
過剰な摂取は胃腸の粘膜を刺激するので、胃痛や「Urodaha(胸焼けや灼熱感)」を引き起こす可能性があります出典[15]出典[16]。
スパイスとしての刺激が強いため、特に胃腸が敏感な方は注意が必要です。
2つ目は医薬品との飲み合わせです。
ヒハツに含まれるピペリン等の成分には、他の物質の吸収を促進する「バイオエンハンサー」としての性質があります。
これはメリットにもなりますが、医薬品と併用すると代謝酵素を阻害し、薬の血中濃度を必要以上に高めてしまう恐れがあります。
フェニトイン(抗てんかん薬)、テオフィリン(喘息薬)、プロプラノロール(血圧薬)などがその代表例です出典[16]。
薬の副作用を増強させる危険があるため、これらを服用中の方は必ず事前に医師へ相談するようにしましょう。
3つ目は長期連用には注意が必要なことです。
アーユルヴェーダの古典的な知見では、ヒハツの長期にわたる継続摂取に注意を促しています。
適切に使用されない場合、体内のエネルギーバランス(ドーシャ)を崩し、健康を損なう可能性があるのです。
そのため、サプリメント等で毎日大量に摂取し続けることは避けるべきと言われています出典[15]。
このように副作用もあるので、体質や持病に合わせて適量を賢く取り入れることが大切です。
ヒハツの推奨摂取量を解説

先ほど過剰量の摂取による副作用のリスクについて紹介しました。
では、どのくらいの量が適切なのでしょうか?
推奨摂取量は、摂取する形態(抽出物か粉末か)によって異なります。
ヒハツ抽出物の場合は150mg(成分のピペリンとして90µg含有)の摂取が1つの目安です。血圧改善や冷え対策効果と長期摂取の安全性が確認されています出典[3]。
また、料理として粉末スパイスとしての活用であれば、1日小さじ半分程度(約1g〜数g)が一般的です。
サプリメントの場合は、製品によって異なることもあるので、製品ラベルに記載された「1日の目安量」を厳守することが大切です。
まとめ
今回はヒハツによる健康効果を9つ紹介しました。
ヒハツは単なるスパイスとして食事に刺激を与えてくれるだけでなく、私たちの健康をサポートしてくれる多種多様な効果の期待できる、非常にポテンシャルの高い植物といえます。
血圧や冷え性の改善、肥満の抑制などだけでなく、他の栄養素や薬物の体内吸収率(生物学的利用能)を高める効果が期待できます。
有益な効果が多いものの刺激が強いため、胃粘膜へのダメージなどの副作用のリスクもあるので摂取量には注意しましょう。
適切な量のヒハツを日常生活に取り入れることで健康な生活を送れるようにしましょう。
出典
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