執筆者
NP+編集長/NESTA-PFT
大森 新
筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識できるよう日々邁進中。
そもそも早漏って何?
男性の3人に1人が悩んでいる早漏。性行為時に早く射精してしまう症状ということは誰もが知っていることでしょう。実は早漏は国際性機能学会によって明確に定義されています。
次の3つのいずれかを満たす場合、早漏と認められるようです出典[1]。
- 毎回またはほとんどの場合、挿入前、または約1分以内に射精してしまう
- 毎回またはほとんどの場合、射精のタイミングをコントロールができない
- 射精が早いことが原因で苦痛やフラストレーションを感じていたり、性的な親密さが低下している
特に3が重要です。射精までの時間が5分〜10分あったとしても、ご自身もしくはパートナーが苦痛を感じていたら早漏治療の対象となります。
なぜ早漏になるの?3つの原因と対策
それではどんな人が早漏になってしまうのでしょうか。ここでは早漏の原因と原因別の対策をご紹介します。
過敏性早漏:興奮レベルが高い
過敏性早漏は脳や陰茎の興奮レベルが高く、射精を我慢できない種類の早漏です。性欲向上に関わるホルモンのテストステロン値が高い若い人やアスリートに多いと言われています。対策方法としては次のようなものがあります。
●早漏防止トレーニング出典[2]
- スクイーズテクニック
パートナーに指で陰茎を刺激してもらい、射精する直前で手で陰茎を絞るように握ってもらい興奮を鎮めるトレーニングです。ここで、握り方が重要です。親指を亀頭裏の根元に当て、圧力をかけながら握ります。すると射精感や陰茎の硬直が減少し、性行為を長引かせることができます。 - スタート/ストップテクニック
こちらもスクイーズテクニックと同様に、パートナーに陰茎を刺激してもらいます。射精する直前に刺激を中止してもらい、射精感がなくなるまで待ちます。射精感がなくなったら、再度刺激を再開します。刺激の”スタート”と”ストップ”を繰り返すことで射精を我慢する感覚を身に着けます。
●性交の頻度を増やす
また性行為の経験が足りないと、性的な刺激に対して過度に興奮してしまいます。過敏性早漏で経験が少ない人は、性行為の経験を重ねることで改善することが多いです。パートナーと相談して性行の頻度を増やしてみるとよいでしょう。
心因性早漏:射精を急ぐ心理が働いている
心因性早漏は過度なストレスや緊張、行為での過去のトラウマ等が原因で射精を急ぐことが原因の早漏です。例えば実家で自慰行為をしていた人は、家族にばれないために早く射精することが癖づいている場合があります。その他ED気味の場合は、勃起が終わる前に射精しようとするため、早漏となるケースがあります。対策としても次のようなものがあります。
●心理カウンセリング
緊張が原因の場合はパートナーに打ち明け、相談することで解消される場合もありますが、心理面の問題は非常にセンシティブなため、専門家の力を借りるのも1つです。適切なカウンセリングを通じて潜在的な原因を見つけ出し、効果的な行動療法を教えてくれることでしょう。
●EDの改善
早漏と同時にEDや中折れに悩んでいる場合は、先にEDから治すのがよいでしょう。EDが改善されれば、急いで射精する必要はありません。実際にバイアグラの使用は早漏を改善する可能性が示されています出典[3]。
衰弱性早漏:骨盤底筋の衰えによりコントロールできない
衰弱性早漏は射精をコントロールする筋力が低下することで発生する早漏です。そのため、40代以降の方がなりやすく、特に歳を重ねてから早漏に悩むようになった方はこちらの可能性もございます。もちろん若い方でも射精をコントロールする筋肉を鍛えることで早漏が改善するケースもあります。衰弱性早漏の場合は骨盤底筋(PC筋)を鍛えるのがおすすめです。
●骨盤底筋のトレーニング出典[4]
骨盤底筋は精液を押し出す役割と精液を身体に留めていく役割がある筋肉です。試しに尿を押し出そうと力を入れてみてください。次に尿を我慢するように力を入れてください。いかがでしょうか。骨盤の下のあたりの同じ筋肉が収縮したはずです。この筋肉が骨盤底筋です。骨盤底筋を鍛える運動としてケーゲル体操があります。
- ケーゲル体操出典[5]
- 仰向けに寝転び、膝を軽く曲げる
- お尻をゆっくり上に突き上げる
- 元の姿勢に戻る
- 8~12回を3セット行う
早漏改善に一時的に効果がある方法
基本的には早漏の原因を解消し、根本的な解決をするのがおすすめです。とはいえ、すぐに解消したい!と考える人も少なくないでしょう。ここからは早漏改善に一時的に効果のある方法をご紹介します出典[4]。勝負の日まで時間がない人は検討してください。
- 早漏防止薬:早漏を改善する薬は主に、抗うつ薬(ダポキセチン)と塗布スプレー(リドカイン)の2種類があります。抗うつ薬は射精を制御する受容体を活性化させることができます。スプレーは陰部に吹きかけることで、陰茎の感度を低下させることができます。
- 性交前の自慰行為:いかに早漏の人と言えど、射精した直後にすぐに再度射精することは難しいかと思います。女性と交わる前に一度射精することで、長く性行為できる可能性があります。
- 厚めのコンドームの使用:厚いコンドームを使用することで、陰茎の感度を低下させることができます。
- 体位を変える:人によって感じやすい体位・感じにくい体位があります。騎乗位は感じにくいと思う人が多いようです。
- 鍼治療:鍼により射精をコントロールする神経を刺激することで早漏が改善される可能性があります出典[6]。
- コーヒーを飲む:2015年の二重盲検試験では性交開始の2時間前に100mgのカフェインを摂取することで射精までの時間が大幅に増加したことがわかりました。
早漏に関してよくある質問
最後に、早漏に関してよく寄せられる質問とその回答をご紹介します。
早漏だと女性は満足しませんか?
早漏の方が一番悩むのが女性の満足度だと思います。2008年にペンシルベニア州立大学エリー校が行った調査では、女性が望ましいと考える挿入時間は7〜13分であることがわかりました出典[7]。そのため、射精までの時間が7分未満の場合、女性は満足できない可能性があります。
ただし、こちらはあくまで客観的なデータであり、重要なのはあなたのパートナーがどのように感じているかです。パートナーと対話し、2人にとってよりよい性生活を送りましょう。
早漏改善に有効な運動はありますか?
早漏改善に最もおすすめな先ほど述べた運動はPC筋トレーニング。それ以外にもヨガが早漏を改善する可能性が一部の研究で示されています出典[8]。。具体的なメカニズムは現在のところ不明ですが、骨盤周りの筋肉の収縮と伸張を繰り返すことで、射精のコントロールにつながっているのではないかと考えられています。
「男がヨガ?」と思うかもしれませんが、ヨガは真剣に行うと男性でもきつい動作ばかりです。健康全般にも繋がるので、一度試してみる価値はあるでしょう。
早漏治療薬に副作用はありませんか?
早漏治療薬は抗うつ薬(ダポキセチン)と塗布スプレー(リドカイン)の2種類があります。
抗うつ薬はその名の通り、うつ病に使用される薬で、射精を制御する受容体を活性化することで早漏を改善します。性欲減退、軽度の頭痛、吐き気、発汗、めまいなどの副作用があります。
塗布スプレーは陰部に吹きかけることで陰茎の感度を低下させ、興奮を抑えます。陰部のかゆみやかぶれなどの副作用があります。
いずれも医薬品のため、必ず医師の処方の下、使用するようにしてください。
早漏はサプリメントで治りますか?
いくつかのサプリメントは早漏を改善する可能性が示唆されています。例えば、性交の2時間前に100mgのカフェインを使用すると、早漏患者の射精までの時間が大幅に増加することが2015年の研究で示されています出典[9]。また体内の葉酸レベルが低いと、早漏になりやすいと言われており、葉酸をサプリメントで補給することで早漏が改善する可能性はあります出典[10]。
その他、EDや中折れを併発している場合は、これらの改善をサポートするサプリメントの摂取で早漏も改善する可能性があります。例えば、シトルリン出典[11]やトンカットアリ出典[12]、フェヌグリーク出典[13]などはED症状の軽減に有効と言われています。
まとめ
早漏は男性の3人に1人が悩む症状です。性生活の満足度は人生の質にも影響するため、いち早く治したいと考えてる人も多いことでしょう。ですが性交は相手があってはじめて成立します。1人で悩まずにパートナーと話し合って解決するのがよいでしょう。本記事で紹介した方法の中で2人に合った改善方法を試してみてください。
出典
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