執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
喫煙とEDの関係5つ
喫煙は「百害あって一理なし」とよく言われ、私達の体の健康に対して様々な悪影響を与えますが、EDも例外ではありません。
正常な勃起に大事なのは陰茎(ペニス)へ流入する血液量が増加することです。
しかし、タバコは血管を収縮させたり、血管の細胞にダメージを与えることで血流を悪くしてしまうので、喫煙するとEDのリスクが上がります。
まずは、喫煙するとEDになりやすくなる理由などの喫煙とEDの関係について解説します。
喫煙は交感神経を活性化させ血管を収縮させる
タバコに含まれるニコチンは活動状態や緊張状態にある時に活性化する交感神経を刺激する作用があります。交感神経が活性化すると血管が収縮するので、血流量が低下し心拍数や血圧が上昇します出典[1]。
正常に勃起が起こる上で大事なのは血管が拡張して陰茎へ流入する血流量が増えることです。血液量が増えることで陰茎は硬く・太くなります出典[2]。
血管が拡張するためには休息やリラックスする時に働く「副交感神経」が優位であるのが大事です。副交感神経が活性化すると体全体が弛緩(しかん)し、血管が拡張するので血流が良くなります。性行為の時にストレスや緊張を感じていると勃起が起こりにくいのは交感神経が活発化しているためです。
タバコによって交感神経が活性化され、血管が収縮している状態は勃起を起こしにくくなっている状態なのです。
血管拡張物質の一酸化窒素を分解する
喫煙は交感神経を活性化するだけでなく、血管拡張物質であるNO(一酸化窒素)を減らしてしまうことでも血管の拡張に悪影響を与えます。
NOは血管内皮細胞でNOS(NO合成酵素)の働きによってアルギニンから作られます。NOは血管の筋肉を柔らかくし広げることで、血流を良くしているのです。性行為時などの勃起の際には男性ホルモンであるテストステロンの作用によって血管のNOが増えることで血管が拡張し、陰茎へ流入する血液量の増加しています出典[2]。
喫煙することで体内に取り込まれるタバコに含まれる有害な粒子は体内で活性酸素を大量に発生させNOを分解します出典[3]。また、タバコに含まれる成分は血管の細胞にダメージを与え、NOSの働きを抑制してしまうことでも、NOは減少させているのです出典[3]。
喫煙者のED発症リスクは非喫煙者の1.5倍
喫煙は血管にダメージを与えるので動脈硬化や脳卒中などの循環器系の疾患のリスクを高めることはよく知られていますが、EDも例外ではありません。
2006年にアメリカのハーバード大学で行われた研究で、22086人を対象にEDの発症リスクを高める生活習慣について調査が行われています。喫煙はEDの発症リスクを1.5倍も高めることが明らかになっています出典[4]。理由はタバコに含まれるニコチンによって、血管が収縮し陰茎への血流量が低下してしまうからです。
また、喫煙はEDだけでなく前立腺がんの発症リスクを1.4倍に高めることも示されています。前立腺がんの治療は前立腺を摘出する手術が一般的です。勃起に関わる神経や血管は前立腺の非常に近くにあるため、手術の際に損傷や切断されると後遺症としてEDが起こることもあります。
喫煙本数が増えるほどEDリスクも高まる
喫煙は一本でも体に悪いですが、本数が増えるほどEDのリスクが高まることが多くの研究から明らかになっています。
2014年に中国の華中科技大学で行われた研究で、50360人を対象にEDと喫煙の期間や量の関係が調査されました。喫煙量の多さや期間の長さとEDの発症リスクとに正の相関関係があることが示されています出典[5]。
また2005年のイタリアのフィレンツェ大学の研究によると、喫煙本数が1日に20本以上であるヘビースモーカーの人は喫煙量が少ない人に比べて重度のEDになる可能性が2倍も高いようです出典[6]。
ヘビースモーカーの人はED以外の病気にもなりやすいので、少しでも本数を減らせるように心がけましょう。
電子タバコもED発症のリスクあり
健康のために普通の紙巻きタバコの代わりに電子タバコを使用している方もいると思いますが、電子タバコにもEDの発症リスクがあることがわかっています。
電子タバコとは紙巻きタバコのようにタバコ葉を使用しないで、装置内や専用カートリッジ内の液体を電気加熱することで発生した蒸気を吸引して楽しむ製品です。日本国内で販売されている電子タバコの液体部分にはニコチンは含まれていませんが、海外のものの多くにはニコチンが含まれています。
米国の成人を対象とした研究で、電子たばこを吸う人はまったく吸わない人に比べてEDの発症率が2倍以上高いようです出典[7]。
また、電子タバコには禁煙効果が低いことも明らかにされています。2017年に発表された国立がん研究センターの研究によると、電子タバコを使用した際の禁煙成功率は使用しない場合の約3分の1に低下するようです出典[8]。別の研究では、電子タバコで禁煙できたとしても3ヶ月程度で喫煙を再開してしまう割合が高いことが示されています出典[9]。
普通のタバコよりも健康へのリスクは低いかもしれませんが、禁煙に繫がるわけではないので電子タバコの使用はあまりおすすめしません。
禁煙するとEDは治るのか?
喫煙は勃起にとって大事な血管の機能に悪影響を与えるので、禁煙はEDを治すために必須になります。
しかし、禁煙すれば必ずEDが治るかと言えば答えはNOです。
喫煙以外にも食生活・運動習慣・睡眠・ストレス・疲労などがEDの原因になります。喫煙だけが原因とは一概には言えず、禁煙と合わせて他の生活習慣も見直す必要があるのです。
とは言っても、喫煙はEDの大きなリスクファクターであることは間違いありません。禁煙をする価値は大いにあります。
驚くべきことに禁煙の効果は24時間後と比較的早い段階から実感できるようです。例えば、2007年に行われたイタリアのモデナ・レッジョ・エミリア大学の研究では、EDを患っているヘビースモーカー20名に禁煙を実施したところ、禁煙から24~36時間で陰茎の血流が改善するのが認められています出典[10]。
1日の禁煙でも効果はありますがベストは禁煙を継続すること。つまりタバコを止めることです。
タバコの煙の影響は喫煙者本人だけでなく周りにも影響を与えます。例えば、妊娠中の受動喫煙は流産や低出生体重・胎児発育遅延などのリスクを高めることがわかっています。
妊娠中や妊娠を望んでいるパートナーがいる方は特に禁煙することを心がけましょう。
禁煙するためのアイデア5つ
禁煙が大事だとは頭ではわかっていても、タバコに含まれるニコチンに中毒性があるので中々うまく行かないのが現実です。
禁煙外来に行けば禁煙成功率は7〜8割くらいですが、自力で禁煙に取り組んだ場合は1割程度と言われています。
禁煙の成功率を上げるための5つのアイデアを紹介するので是非とも参考にしてください。
1.吸いたくなった時の対処法を決めておく
一つめは吸いたくなった時の対処法をあらかじめ決めておきましょう。
禁煙を始めてから2~3日をピークにタバコを吸いたい欲求や眠気・頭痛・イライラなどの禁煙の離脱症状(禁断症状)が現れ、10日~2週間程度続きます。最初の禁断症状をいかに乗り切れるかが禁煙の成功の鍵です。
タバコを吸いたい欲求などの禁断症状が出た時にあらかじめどのように対処するかを決めておけば、吸いたい気持ちをコントロールするのが容易になります出典[11]。
まずは自分が普段どんな時にタバコを吸いたくなるかを思い出してみてください。次に吸いたくなった時にどんなことをすれば気が紛れるのか、どんなことができるかを考えましょう。
下記の表は状況と対処法の例です。
タバコを吸いたくなる状況 | 対処法 |
朝起きた時 | 顔を洗う。体操をする。 |
食後 | 歯を磨く。 |
仕事の休憩時間 | 職場の人に禁煙していることを宣言しておく。散歩する。 |
イライラした時 | 深呼吸する。散歩する。 |
口さみしい時 | ガムやアメ、タブレットを食べる。 |
また、喫煙所などのタバコの誘惑がある場所の近くには行かないようにした方がよいでしょう。
吸いたくなった時の対処法を自分なりに用意してから禁煙にトライしてみてください。
2.家族や友人に手伝ってもらう
「止めたい。止めよう。」と思っていても一人では中々うまく行かないのが禁煙です。
なので、2つめは家族や友人などの周りに手伝ってもらいましょう。
「自分は禁煙する。禁煙している。禁煙を手伝ってほしい。」ことを伝えておくと、自分の状況を相手に理解してもらえます。
吸いそうになった時にとめてもらえたり、気分転換に誘ってもらえます。ライター・灰皿等の喫煙具を処分して禁煙する環境を整えてもらうのも大事です。また、周りが禁煙していることを知っていると失敗した時にバツが悪くなるので、「我慢しよう」という気持ちが強くなります。
他には禁煙継続の秘訣の一つが「自信を持つこと」です。我慢できた時は褒めて貰えるようにお願いしておくのも一つの手ですよ。
3.禁煙サポートアプリを使う
3つ目としては禁煙サポートアプリを使ってみましょう。
2021年に発表されたノルウェー保健福祉省の研究報告では、過去に喫煙者だった方で現在も継続して禁煙または減煙を行っている人に多く用いられている方法が禁煙サポートアプリでした出典[12]。
多くの禁煙サポートでは禁煙の成果を金額や寿命に換算して表示してくれます。目で見るだけで毎日効果を実感できるのでモチベーションになりますよ。
一度活用してみてください。
4.ご褒美を設定する
4つめはご褒美を設定することです。
何かを頑張るときに報酬があればより一層頑張れますよね。いわゆるニンジン作戦やニンジンぶら下げ作戦のことです。
実は禁煙に成功すると報酬が貰えると禁煙成功率が高まることが多くの研究で示されています。
例えば、2015年にイギリスのグラスゴー大学は、喫煙者に禁煙が継続できるたびに買い物に利用できるクーポンを渡し、禁煙の成功に報酬の有無が関係するかを検証しました。
報酬があると禁煙成功率が約2.5倍も高くなり、タバコへの欲求も低下するようです出典[13]。また、別の研究でも金銭報酬があると6ヶ月後の禁煙継続率が2-3倍も高まることが報告されています出典[14]。
ご褒美は欲しい物を買う、旅行に行くなど何でも良いです。
モチベーションとなるものをご褒美に設定して禁煙を頑張りましょう。
5.ニコチン代替療法
5つ目はニコチン代替療法です。
ニコチン代替療法はニコチン離脱症状(禁断症状)を緩和するために、ニコチンガムやパッチなどの喫煙以外の方法でニコチンを体内に補給させます。補給するニコチンの量を徐々に減らしていくことで最終的にニコチン依存症から離脱させる方法です。ニコチン依存が強く、なかなか禁煙できない人に用いられることが多い方法です。
2018年にオックスフォード大学で行われた研究は、ニコチン代替療法は禁煙成功率を50~60%増加させることを報告しています出典[15]。また、ニコチン代替療法で禁煙に成功したED患者の25%以上は1年後にはEDが改善しているようです出典[16]。
ニコチンガムやパッチなどはドラッグストアや薬局などで購入できますが、まずは禁煙外来で相談して専門家の指導の下で実施するのをオススメします。
まとめ
今回は喫煙とEDの関係や禁煙を成功させるための5つのアイデアを紹介しました。
喫煙は血流を悪化させる要因の一つですので、喫煙している方でEDに悩んでいる人はまずは禁煙から始めましょう。
禁煙はEDに限らず身体全体を健康にしてくれますよ。
しかし、EDの原因が喫煙以外にも食生活・運動習慣・睡眠・ストレスなどと多岐にわたっていることがあり、禁煙だけでは不十分なこともあります。EDで悩んでいる方は禁煙に限らず全体的な生活習慣の見直しを行うことが大事です。
そこで、「自分の生活習慣のどこを見直せばよいのか。具体的にどのようなことをすれば良いか。」様々な疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか?
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