執筆者
薬剤師・公認上級妊活マイスター・公認スポーツファーマシスト
牛尾 真智子
製薬会社2社で乳がん・肺がん・大腸がんなど8つの抗がん剤領域を経験。
患者様の人生に携わること・医療業界での知識と経験を生かして、医療と予防医学の懸け橋となる存在になりたいと考えています。また、少しでもお客様のお悩みに寄り添えるよう公認上級妊活マイスター・公認スポーツファーマシスト・メンタルケアカウンセラーの資格を取得。納得感のある、心が軽くなる情報を届けることで、皆様のより良い生活の一助になれるよう邁進いたします。
目次
スマートドラッグ代表のバコピンの3つの基礎知識
数多ある成分の中で、GABAなどスマートサプリとして脳のパフォーマンスを高める食品が注目されているのをご存知でしょうか。今回は海外のトップビジネスマンにも注目される、バコピンについてご紹介させて頂きます。
アーユルヴェーダでも重宝された伝統成分
バコピンの原料であるバコパ・モニエラはヨーロッパからアジア、アメリカ大陸など世界中に分布するゴマノハグサ科の多年草です。
その歴史は古く、インドの伝統医療『アーユルヴェーダ』でも100年以上前から重宝されていました出典[1]。
記憶力や知力など脳機能改善目的を中心に、不眠症や不安感などの精神疾患の改善、癲癇(てんかん)の治療にも使われたと記録されています出典[2]。
現代でこそ、スマートドラッグ的な効果が多数報告されているバコピンですが、19世紀から重宝されている伝統的な成分なのです。
バコパサイドなどを規格化し、さらに高品質に
バコピンの原料植物は複数のアルカロイド系成分とフラボノイド系成分を含みます。
その中でも脳機能への効能が期待できるのはごくわずか。バコピンは特に強い効果が期待できるバコパサイドやバコサイドと呼ばれる物質の含有量を規格化しています。
バコサイドの特徴は強い抗酸化力と粒子の小ささ。脳の細い血管も通り抜け、効率的に脳疲労の原因となる活性酸素を除去できます。
さらに脳内ニューロンの形成にも効果的だと研究報告もあり、脳疲労だけでなく機能回復・改善向上にも効果的です。
バコサイドの含有量が重要となるのですが、バコピンにはバコサイド含有率「20%」と「40%」の2種類の規格が存在します。バコピン含有のサプリを選ぶ時は、含有率を確認して選ぶのがおすすめです出典[3]。
日本国内では記憶力改善で機能性を取得
バコピンの有効成分であるバコサイドやバコパサポニンは、数多くの臨床試験により記憶力の維持/改善効果が裏付けられた機能性表示成分です。
消費者庁からも以下の文言で機能が認められています。
”バコパサポニンには、認知機能の一部である記憶力(加齢により低下する日常生活で見聞きした情報を覚え、思い出す力)を維持する機能があることが報告されています。
ー 機能性表示食品の届出情報検索|消費者庁 ー”出典[4]
なお、バコピン含有サプリに上記の機能を期待するには、含有量の確認が不可欠です。
記憶力の維持機能を確認した試験では、1日15mgのバコパサポニンを摂取。これは40%含有率で規格化されたバコピンであれば、37.5mgに相当します。
バコピンのサプリを選ぶ時は、含有率の規格に加えて『37.5mg』以上の配合量かどうかを確認しましょう。
ビジネスマン以外も必見のバコピンの7つの効果
伝統医療のアーユルヴェーダでも重宝されたバコピンに認められている健康効果をご紹介します。
認知機能など脳機能の改善
インドの伝統医療でも脳機能改善に重宝されていた事からわかるように、バコピンには認知機能や記憶力の維持・改善において効果効能が認められています。
バコピンの有効成分バコパサポニンは摂取後、血液脳関門を通り抜け脳内の海馬に到達し、ニューロンの密度を高める働きがあるためです。また、記憶や学習を促す神経伝達物質「アセチルコリン」の分解を抑制する効果も認められています。
タイの大学が行った実験では、バコサイドなどを5%以上含むエキス300mgを12週間継続的に摂取させた結果、高い注意力の持続時間が30%、記憶力は20%も改善したと報告されています出典[5]。
また、12週間、68.75mgのバコサイド(含有率40%バコピンだと170mg)を摂取した被験者は、記憶力に関するスコアが20%向上したとオーストラリアの研究では発表されています出典[6]。
集中力や考える力を高め、高いパフォーマンスを維持したいと考えるビジネスマンには垂涎モノの効果が確認されているのです。
不安感やストレスの緩和
機能性表示を取得したのは記憶力のみですが、学術的・科学的には記憶力以外にも効果は認められています。
その1つが不安感の解消やストレスの緩和です。
バコピンはセロトニン受容体の『5HT1a』の活性化によるリラックス作用に加え、興奮や緊張を促進する『5HT2a』を抑制する効果の2つのメカニズムから精神状態の改善に寄与します。
2023年にオーストラリアの大学(Swinburne University of Technology)が行った実験では、17名にバコサイドを含むエキス640mgを摂取させました。その結果、2時間後にはストレスホルモンの「コルチゾール」が減少。プラセボ(偽薬)と比べても3.75倍も早かったと結論付けられています出典[7]。
また、ポートランドの研究機関(Helfgott Research Institute)では、12週間毎日300mgのバコパ抽出物を摂取させました。その結果、不安感や鬱的な症状を示すスコアが20%弱改善しました出典[8]。
現代日本人の58%が感じると言われるストレス出典[9]。バコピンが救世主になるかも知れません。
ADHDの症状緩和
脳神経に影響を与えるバコピンにはADHDの症状改善効果に関するデータも存在します。
その1つが2014年に行われた実験。6歳~12歳の子供にバコサイドなど有効成分を含む「バコマインド」を1日225mg、6か月間継続摂取させたところ、93%の子供でADHDの主症状の1つである落ち着きのなさが改善、学習に関するスコアは78%、精神面での成長に関するスコアも52%の改善がみられたとのこと出典[10]。
また、イスラエルの実験では、ADHDと診断された120名の子供に125mgのバコピンを含む成分を摂取させました。4ヶ月後に行動変化を計測したところ、集中力が5.5%〜14%、じっとできる時間が5.2%、全体スコアは6.9%の改善が確認されています出典[11]。
ADHDは小児に診断されることが多い疾患なので、上記の研究でも被験者は子供です。しかし、成人でも最低2%は隠れADHDが存在すると言われており、大人とも切っても切り離せない病気です出典[12]。
バコピンには注意力や認知機能の改善も認められているので、意識的に脳を働かせるビジネスマン・認知機能を鍛えたい方等には効果的である可能性は十分に考えられます。
胃潰瘍や過敏性腸症候群など胃腸機能の改善
バコピンには胃腸の機能改善や消化器官のお悩みに解消への効果が期待できます。
強い抗酸化力により、胃腸内の環境を改善するだけでなく、胃粘膜を保護するムチンの分泌増加にも働きかけるためです。
急性潰瘍のネズミにバコピンとほぼ同じバコサイドを含む物質を10日間摂取させた結果、潰瘍の状況を示すスコアが0.5%まで改善しました。胃に空いていた穴も確認できなくなっていたとのことです。この結果は、一般的な潰瘍の薬「スクラルファート」に匹敵する効果です出典[13]。
また、過敏性腸症候群の患者に摂取させた臨床試験では、被験者の64.9%が改善を実感し、特に下痢などお腹の緩さに効果的だったと結論付けられています出典[14]。
仕事中にお腹の緩さなどを感じる方には、バコピンは非常に効果的な成分です。
強い抗酸化作用による抗炎症作用
バコピンの強い抗酸化作用は、活性酸素の除去だけでなく、身体中で発生する炎症にも抗う力をサポートしてくれます。
メカニズムは抗炎症薬と同じ。『COX-2阻害メカニズム』を介し、発生した炎症に対処するだけでなく、炎症を誘発するタンパク質『インターロイキン(IL-6)』を抑制し、炎症を予防する働きも確認されています出典[15]。
ネズミを用いた実験にはなりますが、大量に摂取(100mg/kg)させた個体においては、炎症により発生するむくみを50%〜80%も抑制したと報告されています出典[16]。
抗炎症薬として一般的に用いられる『インドメタシン』に匹敵するほどとも言われています。出典[17]。
バコピンの炎症予防・抗炎症作用の多くは動物を用いた臨床試験であり、そのまま人に当てはまるかは、まだまだ調査が必要な段階ではあります。
しかし、バコピンが持つ強い抗酸化作用に伴う諸々の好影響は無視できないほどといえるでしょう。
血圧の健全化サポート
バコピンには血圧を正常化作用も期待できます。
血管を柔らかくする一酸化窒素(NO)の分泌が促進されるため、少ない力でも必要な血液を全身に送り届けられるようになるため、血圧が健全な状態に近づくのです。
ラットの実験では、20~60mg/kgのバコパ抽出物投与により、血圧降下と血管拡張が確認されました。NO分泌ならびに血管に柔軟性をもたらす平滑筋へのアプローチにより血圧が低下したと考察されています出典[18]。ちなみに、摂取量を増やすほど血圧低下の働きは強くなったとのことです。
あくまで動物実験であるため更なる研究が必要でありますが、機序から考えるとNO放出による血管正常化は理にかなっていると考えられます。
日々蓄積する疲労改善
最後にバコピンに期待できる効果は、疲労回復です。
バコパサポニンの抗酸化により排除される活性酸素。実は疲労の原因であるため効果的な除去が結果的に疲労回復や蓄積予防、スタミナアップに繋がります。
ラットの水泳時における継続時間を調べた実験では、バコパ抽出物を投与することで泳ぐ時間が約3倍に増加しました。また、疲労の指標となる乳酸は20%しか発生しなかったとのこと出典[19]。
激しい運動時には活性酸素が発生し筋肉組織などにダメージを与え、乳酸の蓄積により疲労感がたまるといわれています。
疲労感を防ぐためにもバコピンにより、活性酸素を除去し乳酸の蓄積を抑制することで、疲労軽減に繋がるといえそうです。
バコピンの推奨摂取量と飲むタイミング
十分な効果を期待するための推奨摂取量及び飲むタイミングを解説します。
摂取量:40%規格は37.5mg。20%は75mgが推奨量
まず、最低限の摂取量は『機能性表示で認められているだけの摂取量を確保する事』です。
冒頭でお伝えした通り、20%の規格化バコピンであれば75mg、40%であれば37.5mgのバコピンが理想的。バコピンを含有するサプリを利用する場合には、バコピンの濃度を確認する事がおすすめ。(40%規格化の方が高品質なのでしっかりと確認をすると良いでしょう)
なお、参考までに公式の推奨は187.5mg/1日(62.5mgのバコピンを毎日3回)と記載されています出典[3]。
ちなみに、バコピンのサポート力は摂取量が多いほど強くなります。サプリメントを比較する際は多めに入っているものを選びましょう。
飲み方:継続摂取が前提だが、短期的には1時間〜2時間で効果アリ
飲む時間や飲み方で最も重要な点は継続性です。効果効能を確認した臨床試験はいずれも数週間の期間を設けて行われています。
しかし、即効性が皆無…というわけではありません。抗ストレス効果や短期的な認知機能向上効果においては、摂取後1時間や2時間で変化が確認できたとの試験結果も出ています出典[20]。
ただし、長期的な認知機能の低下防止や抗うつ効果、ADHDの行動変化などを目的として摂取する場合、6~12週間を試験期間と設けている傾向がございます。
上記点を考慮すると、基本的には継続的な摂取を前提に摂取していただき、必要な時にのみ直前の摂取も効果がある可能性があると考えると効果的です。
安全性:過剰摂取による副作用の危険性は低い
バコピンは多めに摂取した場合でも、過剰摂取による副作用などのリスクは低い成分です。
効果効能を確認した試験では、動物を対象にした実験ですが、大量のバコピンを摂取させた際にも大きな副作用や問題は確認されませんでした。
バコピンの開発メーカーがヒトを対象に行った安全性試験では、1日500mgの摂取でも副作用はなかったと報告されています出典[3]。
市販されているサプリを推奨量の範囲内で飲む分には、1日500mgの摂取量を超える事はありませんのでご安心ください。
副作用:危険性は低いが注意が必要な方も
バコピンは基本的には副作用も少ない安全な成分といえます。
タイとシカゴの薬学研究センターが437人のメタ分析したところ、重篤な有害事象は報告されていないと結論付けています出典[21]。
また、消費者庁のデータによると『バコパサポニン』安全性について下記の通り書かれています。
” データベースで検索した結果、安全性が問題となるような報告は認められなかった。また、一日摂取目安量の5倍量でヒト過剰摂取試験を実施したが、安全性に問題はないと判断された。
ー 機能性表示食品の届出情報検索|消費者庁 ー 出典[4]”
ただし、ご病気やお薬との飲み合わせには注意が必要です。最後に2つの観点よりご紹介いたします。
甲状腺ホルモンとの関連性
バコピンに含まれる成分は甲状腺ホルモンを増加させる可能性があるため、甲状腺機能亢進症の方は摂取に注意が必要です。
動物を用いた実験ですが、甲状腺ホルモンの分泌を40%高める可能性が指摘されています出典[2]。
甲状腺機能に疾患がある方は念のため、お医者さんに相談する方が良いと考えられます。
抗うつ薬などは注意が必要
バコピンを始めとしたハーブ類と薬物との相互作用により、成分の影響が想定以上に増大、副作用への懸念があるためご注意ください。
一例として、アミトリプリチンと呼ばれる抗うつ薬とバコパモニエラ抽出物とを同時摂取した動物実験があります。併用することで、アミトリブリチンの腸管吸収の増加、代謝酵素が阻害され、血中濃度増加や薬物が消失する時間が長くなったことが確認されました出典[22]。
薬物の代謝が阻害されると、想定以上に長く体内に留まってしまい有害事象の発生率が上がるなど、リスク向上に関わるため注意が必要です。
バコパ抽出物自体が認知機能向上作用や精神に作用する植物であるため、薬を服用している場合には薬剤から2時間以上あけてバコピンを服用すること、予め薬剤師や医師に相談するほうが安全といえます。
まとめ:バコピンはビジネスマンに嬉しい効果が豊富なヌートロピック
バコピンはビジネスパーソンを助ける効果が豊富に報告されているヌートロピックです。
日々の仕事を効率的にする脳機能の改善だけでなく、精神的な負担の緩和や肉体的な疲労の改善など、仕事をする上で悩みがちが点を総合的にサポートしてくれます。
バコピン/バコパを配合するサプリを選ぶ時の注目点は【配合量】。どうしても機能性表示に目が行きがちですが、機能性表示の有無よりも配合量を見て選びましょう。
適切量の摂取で今以上のパフォーマンスを発揮してくださいね。
出典
LINEで専門家に無料相談
365日専門家が男性の気になる疑問解決します