監修者
睡眠健康指導士/ロジスティクス管理3級
室井優作
心と体の健康の要となる睡眠のスペシャリスト。眠りに悩みを抱える方のコンサルティングを日々行っている。プロボクサーを目指しており、運動やダイエットに関する指導も可能。おすすめの寝具はウェイトブランケット。
執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
バイオドーパとは
皆さんは「やる気やモチベーションを上げたい!」と思った際に何をしますか?実はやる気やモチベーションの向上にはドーパミンというホルモンを増やす必要があります。そのドーパミンを増やすことが出来る成分がバイオドーパ。ここでは、まずバイオドーパとはどんな成分なのかを解説していきましょう。
1.どんな栄養素?
バイオドーパとは、ムクナ豆(ハッショウマメ)に含まれるL-dopaという有効成分を30%に規格化した成分です。
このL-dopaは、神経伝達物質の1つである「ドーパミン」の前駆体として知られています。ドーパミンとは「生きる意欲を作るホルモン」とも言われる通り、快楽や幸福感、やる気、集中力のほか、男性機能や性欲などにも深く影響しています。
実際に無気力になってしまう病気としてうつ病が挙げられますが、ドーパミン不足が1つの原因とも言われています。
そんなドーパミンの前駆体「L-dopa」を規格化したバイオドーパには、ドーパミンの分泌量を増やす効果が期待されています。
2.どんな働きをする?
バイオドーパはL-dopaを規格化した成分であるため、L-dopaの「ドーパミン合成を促進する作用」と「抗酸化作用」の2つの働きがあると言えます。
L-dopaは血液脳関門(Blood Brain Barrier)を通過することが可能です出典[1]。血液脳関門とは、最も重要な器官である脳に有害物質が侵入しないよう防ぐ、いわば関所のようなもの。実はドーパミン自体はこの血液脳関門を通過することができません。しかし、前駆体であるL-dopaは血液脳関門を通過できるため脳内の受容体と結合し、ドーパミンの合成を促すことが可能なのです。
さらに、L-dopaには強力な抗酸化作用があることが研究でわかっています出典[2]。抗酸化作用とは身体に負担がかかった際に発生する活性酸素、いわゆるサビを除去する効果のことです。
この抗酸化作用が高いことで、活性酸素に弱い精子の保護や高脂肪食による身体の炎症を抑制することが出来るのです。このことから、バイオドーパはドーパミン合成を促す作用と抗酸化作用により、精神面だけでなく、男性機能などへの効果が期待できるのです。
バイオドーパの7つの効果とは
バイオドーパはドーパミン合成作用と抗酸化作用の2つの働きによって、どのような効果があるのでしょうか?
ここでは、バイオドーパを摂取することで期待される7つの効果をご紹介していきます。
1.テストステロンの上昇
バイオドーパには、テストステロンの合成をサポートするためテストステロン上昇の効果が期待できます。
テストステロンの合成にはいくつかの過程があります。まず脳の視床下部で分泌されるGnRHが下垂体に黄体形成ホルモン (LH) を分泌するよう促します。その後、LHが精巣に対し司令を出す結果、テストステロンが合成されているのです。
この合成経路において、ドーパミンはGnRHを活性化させる作用があるためテストステロンを上昇させることが出来るのです。実際に不妊男性75名を対象とした臨床試験では、バイオドーパの原料であるムクナ豆粉末 (5 g/日) を3ヶ月間継続摂取した結果、血中のテストステロン値が27%上昇したことが報告されています出典[3]。
テストステロンは男性機能や筋肥大、ストレス耐性、睡眠の質などに大きく関与するため男性の健康維持を支えているホルモンと言えます。ただし、30代以降は加齢と共に分泌量が1〜2%減少してしまう特徴があります出典[4]。
バイオドーパを継続的に摂取すると、より男性としてのQoLの向上に繋がるかもしれませんね。
2.男性機能の改善
現在、軽度の症状も含めると5人に1人は勃起不全(ED)であると言われていますが、バイオドーパを摂取することでEDを改善することが出来るかもしれません。
EDになる原因の一つとしてテストステロンの減少があります出典[5]。テストステロンは勃起を促す働きがあるのですが、加齢と共に減少してしまうという特徴があります。ただし、バイオドーパにはテストステロンを上昇させる効果が期待できるため、EDの改善や予防が可能と言えるのです。
さらに、バイオドーパにはテストステロン上昇の効果だけでなく、夜間勃起現象(いわゆる朝立ち)を促す効果が期待できる点からもED予防に繋がるのです。
実は夜間勃起現象がおきる明確な理由は確立されていません。ただ、ED予防の効果があると考えられています出典[6]。
勃起には海綿体へ動脈血を介して酸素を供給する働きがあります。もし海綿体へ血液が送り込まれない場合は酸素不足となり、TGF-β1というタンパク質が過剰に働き海綿体のコラーゲン合成を抑制し線維化が進んだ結果、EDになるリスクを高めてしまうのです。
このことから、夜間勃起現象は海綿体に酸素を供給することができるため、EDを予防する働きがあると考えられているのです。
実際にバイオドーパの有効成分L-dopaを摂取することで、夜間勃起現象の頻度、時間、さらには勃起時の周囲長が向上していることが臨床試験で明らかにされています。
被験者21人の成人男性に7日間、毎日800mgのL-dopaを摂取させたところ、摂取前と比較し一晩での夜間勃起の頻度が約1.8倍、持続時間は約2.1倍、勃起時の周囲長が約1.4倍も向上していたことが報告されています。
以上のことから、バイオドーパには「テストステロン上昇」と「夜間勃起の頻度・持続時間・周囲長の向上」の2つの作用が考えられ、男性機能を改善することが可能と言えるのです。
3.精子の質改善
WHOによると不妊の48%は男性側に問題があると言われています出典[7]。男性不妊の原因の中でも特に大きな割合を占めているのが精子の質の低下です出典[8]。バイオドーパはそんな男性不妊の原因となる精子の質低下を改善する可能性があるのです。
バイオドーパの有効成分であるL-dopaは強力な抗酸化作用があります。精子は活性酸素によりダメージを受けてしまうため、L-dopaの抗酸化作用によって精子の質低下を抑制することが可能なのです。
実際にバイオドーパの原料であるムクナ豆を摂取すると精子の質が大幅に改善できると分かる臨床試験があります出典[3]。
乏精子症25人と無力精子症25人に対し、ムクナ豆粉末5g /日を8週間摂取させたところ、以下の表の通り精子の質が大幅に改善されました。
| 乏精子症(改善率) | 無力精子症(改善率) |
運動性 | 約4% | 約40% |
精子濃度(6/mL) | 約68% | 約6% |
精液量(mL) | 約2% | 約5% |
液状化時間(分) | 約77% | 約61% |
*液状化時間とは、精液がゲル状態から液体に変化するまでの時間を指します。液化が進むことで精子は子宮内に侵入しやすくなります。
さらに、この臨床試験において正常な精子を持つ方の精子濃度より、8週間ムクナ豆粉末5g/日を摂取した乏精子症と無力精子症の被験者の方が、精子濃度が高いことが確認されています。
このことから、ムクナ豆を原料として開発されたバイオドーパについても、精子の質改善が期待できると言えるでしょう。現在、妊活中や男性不妊でお悩みの方は摂取することで妊活成功に近づくかもしれません。
4.性欲の向上
プロラクチン、というホルモンがあります。これは女性において母乳を作るために機能する重要なホルモンですが、男性においては血中のプロラクチン濃度が高いほど、性欲が低下することが知られているなど、男性によってはあまり増やしたいホルモンとは言えません出典[9]。
そんなプロラクチンですが、ムクナ豆の摂取により血清プロラクチン濃度を減らせる可能性が示されています。
ムクナ豆を摂取することによる、ニホンウズラの発育や生殖条件の変化を調べる研究において、通常食、L-DOPAの混合食、ムクナ豆の混合食での飼育が4週間続けられました。これによると、L-DOPAやムクナ豆の混合食を食べたニホンウズラでは、オスもメスも血清プロラクチン濃度が有意に低下したという結果が得られています。またオスにおいてはテストステロンの増加が、メスにおいては卵の重量や卵胞のサイズと数などの増加が確認されました。
この研究により、ムクナ豆は天然のL-DOPAとして、L-DOPAと同じように機能すること、また血清プロラクチン濃度を低下させて、性欲を始めとした性機能を向上させることが分かっています出典[10]。
バイオドーパはムクナ豆由来のL-DOPAを効率的に摂取できる規格化成分です。性欲向上のためにバイオドーパを摂取することで、性行動を含めた性機能全体の向上効果が期待できそうですね。
5.肥満予防のサポート
動物実験ではありますが、バイオドーパには肥満予防の効果があるとデータで確認されています出典[11]。
オスの成体ラット16匹を肥満食を食べたグループ、肥満食に加えバイオドーパの原料であるムクナ豆(750 mg/kg)を食べたグループの2つに分け、8週間継続して調査を行いました。
その結果、8週間後ムクナ豆を摂取したグループは未摂取群と比較して1日のカロリー摂取量 (17%)と体重 (14%)が減少し、またレプチン値(40%)も上昇していたのです。(レプチンとは食欲をコントロールするホルモンの一種であり、過剰な食欲を抑える働きがあります)さらに、ラットの糞便内の乳酸菌数も増加している事が示されています。
この結果となった要因は、ムクナ豆による抗酸化作用だと考えられています。ムクナ豆を原料としたバイオドーパにも抗酸化作用があるため肥満予防に役立つかもしれません。
6.認知機能の向上
ドーパミンは認知機能にも関わるホルモンです。そのため、前駆体のL-dopaを含むバイオドーパにおいても認知機能を向上させることが可能と言えます。
というのも、ドーパミンは記憶力や思考力、集中力などを司る部位である前頭前野の働きを活性化させるためです。
実際にL-dopaを摂取することで記憶力が向上できたと示す臨床データがあります出典[12]。
試験内容は単語記憶を一週間で5回テストしたというもの。被験者22名をプラセボグループと100mgのL-dopaをテスト毎に摂取させたグループの2つに分け、5回目のテスト結果の比較調査を行いました。その結果、L-dopa摂取群はプラセボ群よりも想起力が30%以上も向上していることが明らかにされているのです。
より生産性を高めたいビジネスマンや記憶力を向上させたい学生の方など、集中力が求められる方は意識的に摂取するのがおすすめです。
7.睡眠の質向上
ムクナ豆の摂取により、睡眠の質を向上させる効果が確認されています。L-DOPAの強い抗酸化作用により脳疲労を軽減させる効果が確認されているため、睡眠の質にも影響を与える可能性があると考えられますね。
不眠傾向にある男女を対象とした介入試験において、参加者は28日間ムクナ豆を含むサプリメントを就寝前に摂取しました。その結果、睡眠の質を評価するためのピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)において、スコアの大きな改善が見られました出典[13]。
睡眠不足の状態ではテストステロンの分泌量が低下します。スムーズな妊活のためにはテストステロン濃度を維持し、性機能を低下させないようにする必要があります。バイオドーパの睡眠の質を向上させる働きは、男性妊活のサポートにも役立ちそうですね。
バイオドーパの摂取方法は?
テストステロンの上昇や男性機能の改善、精子の質向上など様々な効果が期待できるバイオドーパですが、どのように摂取すれば効果的なのでしょうか?次にバイオドーパの摂取方法について解説していきます。
1.どれくらい摂取すれば良い?
バイオドーパを輸入している「バイオアクティブスジャパン株式会社」において、バイオドーパの1日摂取量は300mgと推奨されています。この量に従って利用することで、効果が期待できるでしょう。
不眠傾向にある男女を対象としたバイオドーパの介入試験において血液検査が行われましたが、安静時の心拍数、血圧、血液成分には変化が見られず、大きな影響は確認されませんでした出典[14]。サプリメントの使用による有害な結果は認められなかったことから、通常量を利用する分には安全に摂取できると考えられています。
バイオドーパに限ったことではありませんが、サプリメントは多量に摂取することで、より多くの健康効果が得られるものではありません。一度に推奨量以上を摂取することがないよう注意する必要がありますね。
2.飲むタイミングは?
バイオドーパの有効成分であるL-dopaは経口摂取後、0.5~2時間で血中濃度がピークに到達し、1~3時間をかけて徐々に半減していきます出典[15]。そのため、集中力やモチベーションを高めたい際の30分程度前にバイオドーパを摂取すると効果的と言えそうです。
例えば、筋トレなどの運動パフォーマンスを向上させたい場合や仕事や勉強で集中して作業に取り組みたい場合など、状況に応じて摂取してみるのも一つかもしれません。
ただし、バイオドーパはサプリメントとして摂取する必要があります。サプリメントは継続利用に飲むことで効果を発揮する製品であるため、バイオドーパが配合されているサプリメントも継続利用が基本であると言えるでしょう。
まとめ
バイオドーパは、ドーパミンの原料となるL-DOPAを摂取する方法として最も効率的な規格化成分。ドーパミン合成作用と抗酸化作用によってテストステロンの上昇、男性機能の改善だけでなく、精子の質改善や脳機能の改善など様々な効果が期待できます。
バイオドーパ配合のサプリメントを継続的に摂取して男性としての健康維持に役立てみてはいかがでしょうか。
出典
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