勃起不全や気分の改善に役立つ、天然の成分であるムイラプアマ。

ムイラプアマの基本的な情報と体内での働きについて解説します。

1.どんな栄養素？

ムイラプアマはアマゾン地方を原産とする植物です。ブラジルでは古くから、ムイラプアマの根や樹皮がさまざまな機能を高めるハーブとして使用されてきました^出典[1]。

もっとも期待されている効果は、加齢に伴う勃起不全や倦怠感、欲求の衰えなどを改善することです。

また肉体労働による負担や精神的ストレスを軽減するために使用されることもあり、活用の場は加齢による男性特有の悩みだけにとどまりません。

日本でもムイラプアマの根が医薬品として厚生労働省に認められており、主にドリンク剤に配合されています^出典[2]。また、根以外の部分はサプリメントや医薬品以外の栄養ドリンクなどに使用されます。

2.体の中でどんな働きをする？

ムイラプアマがもたらす効果は、アセチルコリンの増加が影響していると考えられています。アセチルコリンは、判断や理解、思考などの知的機能や筋肉の収縮に関わる神経伝達物質です。

研究により、ムイラプアマは脳内でアセチルコリンを増やすことがわかっています^出典[3]。

また、間接的に血流を向上させるはたらきを起こします。。アセチルコリンは血管を弛緩する一酸化窒素（NO）の生成に必要な一酸化窒素合成酵素（NOS）を活性化させる働きがあるためです。

さらに、ムイラプアマは、ストレスに関与する物質であるノルアドレナリンやドーパミン、セロトニンなどとの関連も確認されています^{出典[4]　出典[5]}。

以上のことから、ムイラプアマは神経伝達物質の調整によってさまざまな方面から健康をサポートする成分といえるでしょう。
 

古くからアマゾン地域で使用されてきたムイラプアマは、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。

ここでは、ムイラプアマに確認されている効果を6つご紹介します。

1.勃起不全（ED）改善をサポート

ムイラプアマはNO（一酸化窒素）の働きを高めるため、EDを改善する効果が期待されています。

勃起が生じるためには、まず陰茎にある組織の神経が興奮することによりNOが生成されることが必要です。生成したNOによって組織が拡張され、血液で満たされた陰茎は大きく硬くなります。

ムイラプアマは勃起に関わるNOの働きを向上させることで、EDの改善に効果を示します。

54人の中年男性（33〜77歳）が1日2回ムイラプアマを含むサプリメント（ほかにショウガ、ガラナ、L-シトルリンを含む）を摂取した調査では、約50%の人に勃起機能の改善がみられました^出典[6]。

またマウスを用いた実験では、ムイラプアマを含む4種類の成分（ほかにショウガ、ガラナ、L-シトルリン）を摂取することによって、EDを改善する薬であるタダラフィルと同じレベルの効果が得られています^出典[7]。

単体での摂取実績がないためやや信頼度は下がりますが、ムイラプアマはEDに悩む男性にとって力強い味方となる成分といえるでしょう。

2.女性の性欲を向上

ムイラプアマは、女性の性機能を向上させる効果も期待されています。

性欲が低いと訴える女性202人を対象にした調査でも好ましい結果が報告されました。ムイラプアマとイチョウ葉を含むハーブ製剤を1ヶ月摂取させたところ、参加者が性欲向上やオーガズム、性行為の満足度に関して改善を実感しています^出典[8]。

ムイラプアマの性機能を向上させる効果は男性だけではなく、女性にも期待できることがわかりますね。

3.ストレスを緩和

ムイラプアマはストレスをやわらげるハーブとして、古くから親しまれてきました。

マウスを用いた実験において、ムイラプアマはストレスによる不安を防ぐことがわかっています^出典[1]。

またこの実験でムイラプアマは、ストレスによる高血糖を予防し、低酸素によるけいれんが生じるまでの時間を増加させました。

慢性的なストレスによってもたらされる悪影響が、ムイラプアマの効果によって抑えられていることがわかります。

ムイラプアマはストレスに悩む人にとって、おすすめの成分といえるでしょう。
 

4.うつ症状を緩和

ムイラプアマの摂取は、うつ症状を緩和する可能性があるといわれています。

うつ病の原因は完全には解明されていないものの、うつ症状のある人は脳内において、ノルアドレナリン・セロトニン・ドーパミンなどの神経伝達物質の働きが低下しているといわれてきました。

抗うつ薬にはこのような神経伝達物質の量を調整することで症状の改善をはかるものがあり、ムイラプアマも抗うつ薬に似た効果が期待されています。

マウスに対して、ムイラプアマ抽出物を腹腔内投与（15-100mg/ kg）および経口投与（300 mg / kg）した実験において、抗うつ効果が確認されています^出典[4]。

さらにノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミンの関与を調べたところ、ムイラプアマの抗うつ効果は、ノルアドレナリンとドーパミンの作用メカニズムに関係していることがわかりました。

ムイラプアマにはうつ症状をやわらげる効果があり、抗うつ薬のようにノルアドレナリンやドーパミンに関連してはたらいているといえます。

気分が落ち込みがちな人は、ムイラプアマの効果を実感できるかもしれません。
 

5.抗酸化作用

ムイラプアマは抗酸化作用を示す可能性があります。

「抗酸化」とは酸化に抗う、すなわち細胞が酸化するのを妨げることです。抗酸化作用を高めることで、老化の原因となる活性酸素やフリーラジカルを減らしたり、細胞のダメージを修復したりすることができます。

ムイラプアマの抗酸化効果を調べる実験が行われました。高齢（14ヶ月）マウスにムイラプアマ抽出物100mg/kgを与えたところ、脳内の視床下部にてフリーラジカルの産生を減少させ、脳内のあらゆる部位で過酸化脂質（細胞を囲む脂質の膜が酸化されたもの）を減少させました^出典[9]。

加えてこの実験では、ムイラプアマは抗酸化作用をサポートする酵素を増加させることも示されています。

ムイラプアマの摂取によって脳内の抗酸化力が向上し、酸化によって引き起こされる細胞のダメージを減らす可能性があることがわかります。

ムイラプアマによる抗酸化効果は、私たちの体を老化から守り、健康に導く手助けとなるでしょう。

6.記憶力の向上

ムイラプアマは記憶力を高めるため、高齢者の認知機能の改善にも用いられてきました。

ムイラプアマ抽出物50mg/kgおよび100mg/kgを成体（2.5ヶ月）マウスに投与した実験では、どちらの用量でも記憶検索の改善がみられています^出典[10]。

さらに記憶障害のある高齢（14ヶ月）マウスにムイラプアマ抽出物800mg/kgを投与したところ、記憶力が改善し、成体マウスと同様のパフォーマンスをみせました。

ムイラプアマが記憶力を向上させ、老化による脳の衰えを改善することがわかります。

これには、ムイラプアマのもつ抗酸化作用やアセチルコリンを増やす作用が関連している可能性があるといわれていますが、正確には解明されていません。

またムイラプアマの記憶力を高める効果に関して、セロトニンの反応メカニズムとの関連性も示唆されており、さらなる研究が進められています^出典[5]。

ムイラプアマは私たちの健康をサポートする効果が認められているため、さまざまなサプリメントや医薬品に配合されています。

重大な副作用の報告はありませんが、摂取するときの注意点をおさえておきましょう

1.どれくらい摂取すれば良い？

ムイラプアマには具体的な摂取量の規定がありませんが、1日に摂取する量として500mgを目安にするとよいでしょう。

臨床試験では350mg〜500mgの摂取により有用性が確認されているようです。特にムイラプアマのイメージとして強い勃起不全に対する効果は、500mgで改善がみられています^出典[7]。

ただし、試験ではムイラプアマの他にショウガ、ガラナ、L-シトルリンを含むサプリメントを服用しています。ムイラプアマ単体での効果ではない点のみ注意が必要です。

2.副作用はある？

ムイラプアマ500mgを含むサプリメントを摂取した実験では、54人中5人が消化不良、胸焼け、片頭痛などの症状を訴えた人がいます^出典[6]。単体で摂取した試験ではありませんが、他のサプリメントと比べると比較的多い印象を受けます。

摂取の際は上記のような副作用が起きる可能性はあると知っておくとよいでしょう。

ムイラプアマは古くから肉体的、精神的に健康をサポートする成分として使用されてきました。

研究では、他の成分との併用による結果や動物実験が多い点はやや気になりますが、ED改善やストレス緩和に有用であるとのデータは出ています。

ムイラプアマは錠剤やカプセルタイプの製品だけではなく、栄養ドリンクなどにも含まれているため、日常に取り入れやすい成分といえるでしょう。

基本的には安全な成分ですが、摂取量をきちんと守って健康維持に役立ててください。