妊活男性必見!科学的に証明されたお酒と精液の関係7つ
2023年10月2日更新

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

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お酒を飲むと精液の質は低下する?


妊娠を望む男女にとって大事な妊活。精液の質は妊活を成功させる上で重要なことの一つです。

厚生労働省の調べによると現在の日本では、4組に1組のカップルが不妊治療や検査を受けています。不妊の原因の半分は男性にあり、精液の質の低下は男性不妊の要因の一つです出典[1]

2021年の世界保健機関(WHO)の発表によると、精液の質を表す正常値は、精液量1.4㎖以上、精子濃度1600万/㎖以上、運動率42%以上、正常形態率4%以上です出典[1]正常値を下回ると、不妊になる確率が高まるので体外受精などの不妊治療が必要になります

精液の質を下げる原因の一つがお酒です。

お酒に含まれるアルコールは体内に炎症や酸化ストレスを発生させ、精巣にダメージを与えます。精巣に酸化ストレスがかかると精子のDNAが損傷したり、細胞膜の成分が酸化されたりすることで、精子の数や運動率が低下してしまいます出典[2]

また、お酒は男性ホルモンの代表格であるテストステロンも低下させます。テストステロンは筋骨隆々とした男らしい体を作るだけでなく、精子形成に欠かせないホルモンです。アルコールによって、精巣などの細胞がダメージを受けるとテストステロンの合成が低下することがわかっています出典[3]

お酒は気分転換や他人との付き合いなどに欠かせない人もいるでしょう。しかし、精液の質を低下させるリスクがあるので、妊活中の飲酒には注意が必要です。

 

飲酒と精液の質の関係7つ

お酒に含まれるアルコールは精子やテストステロンに悪影響を与えてしまいます。

妊活の成功のために、男性は飲酒にも気を配りましょう。

次に飲酒と精液の質の関係を7つ紹介します。

1.週にビール3杯程度のお酒を飲むと精子に悪影響が出始める

まず、どれくらいの量のお酒を飲むと精子に悪影響が出るかと言うと、週にビール3杯程度です。

2011年に南デンマーク大学で行われた研究では、18~28歳の若者男性を対象に1週間のアルコール摂取量と精液の質との関係が調べられました。

アルコール摂取量の多さと精液の質には負の相関関係があること、週のアルコール摂取量が5単位(論文中では1単位=12g)を超えると精液に悪影響が認められることが明らかにされています出典[4]

アルコール摂取量5単位(アルコール60g)の目安は次の表の通りです。

お酒の種類アルコール60g相当量
ビール500mlのビール3杯
ワイン¾本(600ml)
日本酒3合(540ml)
焼酎グラス1.5杯(300ml)
チューハイ7%なら350mlを3缶

お酒を習慣的に飲まれる方は上記の表の量を目安に飲むようにしましょう。

 

2.週にビール15杯を超えると明らかに精子の質が下がる

週のアルコール摂取量が5単位(アルコール60g)を超えると精液に悪影響が出ると紹介しました。

先程の2011年の南デンマーク大学の研究では、週に25単位(ビール15杯)を超えると精子の数の減少や、形やサイズに異変がみられる頻度が高まるなどの精液の質の低下が顕著になること、また、週に40単位(ビール24杯)を超えると、精子濃度が33%も低下することが明らかにされています出典[4]

アルコールの摂取量が増えるほど精液への悪影響は大きくなりますので、普段の飲酒量はしっかりと把握するようにしましょう。

 

3.顔が赤くなる人は妊活中は全く飲まない方がいいかも...?

あなたはお酒を飲むと顔が赤くなってしまうタイプですか?

お酒を飲むと顔が赤くなってしまうのは、フラッシング反応と呼ばれる現象です。アルコールが代謝されてできる「アセトアルデヒド」が蓄積することで起こります。頭痛や吐き気、二日酔いなどもアセトアルデヒドが原因となるので、顔が赤くなってしまいやすい人はお酒が弱いと言われるのです。

アセトアルデヒドは2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)という酵素の働きによって分解されます。しかし、ALDH2の活性が弱かったり、欠損したりしているとアセトアルデヒドが蓄積しやすく、顔が赤くなりやすいのです。

2022年にアメリカのスタンフォード大学で行われた研究で、ALDH2の活性が低い遺伝子型を持つ人はアルコール摂取によって精液の質が低下しやすいことが示されています出典[5]。つまり、お酒に弱い人は精液がダメージを受けやすいのです。

ちなみにALDH2の活性は遺伝子の型で決められており、日本人を含む東アジアの人々の3割以上が活性が弱い遺伝子型を持つことがわかっています。

お酒を飲むと顔が赤くなってしまう人は、精液へのダメージが大きくなる可能性があるので、妊娠中はお酒を控えるのをオススメします。

 

4.飲酒で低下した精子の質が回復するには3か月かかる

ここまででお酒で精液の質が低下すると紹介しました。

お酒で低下してしまった精子の質を回復させるためにどのくらいかかるかと言うと、およそ3か月です。

2010年にフランスのトゥノンAP-HP病院で行われた研究で、過度のアルコール摂取によって低下した精液の質がどのくらいの期間で回復するか調査されました。禁酒を3か月程度続けることで、精液の量や濃度、精子の運動率や形態などの全てのパラメーターが正常値まで回復することが認められています出典[6]

残念ながら、お酒をやめても直ぐには精液の質は回復しません。定期的に飲酒をしている人は妊活を始める3か月前ぐらいから、飲酒量を減らしたり、禁酒したりすることをオススメします。

 

5.飲酒は喫煙よりも精子に悪影響を及ぼす

喫煙は健康に悪いものの代表格であり、もちろん精子にも悪影響を与えるので、妊活中の人が避けるべきものの一つです。喫煙も飲酒と同様に体内で炎症や酸化ストレスを引き起こし、精子の運動率や形態を悪化させる原因となります出典[7]

驚くべきことに、飲酒は喫煙よりも精子に悪影響を与えることがわかっています。

2022年にドイツのザールラント大学で行われた研究で、飲酒と喫煙が精液に与える影響が調査されました。精液の濃度や量などの精液の質の低下は同程度であるものの、精子のDNAへのダメージは飲酒の方が喫煙よりも1.5倍も高く、成熟度をより抑制することが明らかにされています出典[8]

妊活男性にとって飲酒は喫煙以上に気を配る必要があるのです。

 

6.母親が妊娠中に飲酒していたらあなたの精液の質は低いかも...?

妊娠中の飲酒は早産や流産、胎児の発育遅延や発達障害のリスクを高めるので避けなければならないことの一つです。なぜなら、母親が摂取したアルコールが胎盤を通じてお腹の赤ちゃんに入ってしまい、悪影響を与えてしまうからです。

実は母親が妊娠中に飲酒していると、子供の精液の質も低くなってしまう可能性があります。

2010年にデンマークのオーフス大学で行われた研究で、妊娠中の母親の飲酒量が息子の精液の質に与える影響が調査されました。

母親が妊娠中に週4.5杯以上(1杯アルコール12gで計算)飲酒していた場合、週1杯未満の母親から産まれた息子よりも精子濃度が約32%低いことが示されています出典[9]。原因として、母親の胎盤を通して伝わったアルコールが精巣の細胞に持続的にダメージを与え、テストステロンや精巣量を減少させている可能性が考えられています。
 
もし、妊娠中のパートナーがお酒を飲んでいるようであれば、産まれてくる子供のためにお酒を止めるように呼びかけてください。

 

7.おつまみが精液の質を下げる

お酒を飲む人に飲酒量以外にも気をつけて欲しいのは、一緒に食べるおつまみです。

おつまみと言えば、揚げ物やスナック菓子・甘いものなどの高脂肪・高糖質のものを食べてしまいがち。しかし、揚げ物やお菓子に含まれる飽和脂肪酸やトランス脂肪酸は精巣にダメージを与え精子の質を低下させてしまいます出典[10]

また、お菓子の甘みのもとになるシュクロースにも精巣機能を低下させる作用があるので注意しなければなりません出典[11]

おつまみを食べるのであれば、魚やナッツなどの酸化ストレスを軽減できる効果を持つヘルシーな食べ物をチョイスすることをオススメします。

 

まとめ:精液の質を上げたいならできる限り禁酒しよう!

今回はお酒と精液の関係を論文を基に紹介しました。

お酒は精液の質を低下させてしまうので、妊活の成功を妨げる要因の一つです。

一度低下してしまった精液の質を取り戻すには時間がかかるので、精液の質を上げたい妊活男性にとって継続的な禁酒は効果的な手段の一つになります。

妊活中はパートナーとともにできる限り禁酒するように心がけましょう。

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