男性妊活中のコーヒーやカフェイン飲料は精子に悪影響?知っておくべき4つのこと
2023年11月20日更新

執筆者

薬剤師 / 公認スポーツファーマシスト / 研修認定薬剤師 / 健康サポート薬剤師 / アロマテラピー検定1級

大西 剛気

薬剤師免許を取得後、メディカルモール併設の調剤薬局で勤務。複数の店舗で1日400枚越えの処方せんに対応しながら様々な診療科を学ぶ。その後、全国展開の大手調剤薬局にて4店舗の管理薬剤師 、2地区のエリアマネージャーを歴任。新店舗開発にも携わる 。現在は 、新しく調剤事業を立ち上げた企業に仲間入りし 『医療と福祉の融合 』『新時代の薬局 』を目指し日々奮闘中。趣味はキャンプ、サウナ、食べ歩き。2児のパパでもある。

なぜコーヒー等のカフェイン飲料が精子に悪影響だと言われているのか

多くの人が日常的に楽しむコーヒーやカフェイン飲料。その一方で、特に妊活を意識している男性の中には「カフェイン飲料は精子の質に影響するのでは?」という疑問を持つ人も少なくないでしょう。噂が生まれる背景には、カフェインの特定の作用が関わっていると言われています。

カフェインには、細胞のDNA修復能力を制限する働きが確認されています。つまり、体内のあらゆる細胞がカフェインの影響を受ける可能性があるということです。

男性の生殖機能に直接関わるセルトリ細胞や精子も例外ではありません。セルトリ細胞や精子のDNA修復能力が低下すると、精子の質が悪化するリスクが高まるのではないかと考えられています。

そして、実際の研究データにおいても、カフェインがDNA修復の作用を妨げることは確認されています。出典[1]

しかしながら、日常生活で摂取するコーヒーやエナジードリンク、さらにはお茶などのカフェイン入り飲料が、実際に精子の質にどれだけの影響を与えるのかは一概には言えません。

この記事では、詳しいデータを基にカフェイン飲料の摂取と精子の質との関係を探っていきます。
 

コーヒー等カフェイン飲料と精子の関係について妊活男性が知っておくべき4つのこと

1.コーヒー・ココア・お茶など自然のカフェインは大きな問題なし

カフェイン摂取と妊活の関係について考えるとき、多くの人は普段飲んでいるコーヒーやお茶、ココア等の飲料を思い浮かべるでしょう。コーヒーやお茶、ココアなどの飲料に共通して含まれる自然由来のカフェインについて、多くの研究が行われてきました。

システマティックレビューによれば、天然由来のカフェイン入り飲料から摂取したカフェインは、精液のパラメーター、特に精子の質や量に対して明確な悪影響を与えることが確認されませんでした。出典[2]

日常的にこれらの飲料を楽しむ多くの男性にとっては安心の材料となるでしょう。

しかし、なぜコーヒーやお茶、ココアなどのカフェインが問題ないのでしょうか。答えの一つに、カフェイン以外の有益な成分が挙げられます。例えば、緑茶にはカテキン、コーヒーにはクロロゲン酸といった、アンチオキシダントの働きを持つ成分が豊富に含まれています。クロロゲン酸などの成分は、体の酸化ストレスを和らげることで、精子の質を守る役割を果たしていると考えられます。

そのため、コーヒーやお茶、ココアの適量の摂取は、ただカフェインを摂取するだけでなく、体全体の健康をサポートする有益な成分も同時に摂取することになります。

これらの飲料を適切に楽しむことで、健康的な妊活をサポートすることができるでしょう。

 

2.エナジードリンク等のカフェイン飲料は精子に悪影響

現代社会の忙しさから、多くの人々がエナジードリンクやカフェイン入り炭酸飲料に頼って日々の疲れを乗り越えています。特に夜遅くまでの仕事や長時間の運転、スポーツ後のリフレッシュとして、需要は年々高まっていますね。

しかし、妊活中の男性にとって、エナジードリンクやカフェイン入り炭酸飲料などの過度な摂取は警戒が必要です。

いくつかの研究が、特定のカフェイン飲料摂取と精子の質や量に関する問題を明らかにしています。

例えば、一つの研究によれば、コーラを頻繁に飲む男性は、飲まない男性に比べて、精液の量や精子の濃度、さらには正常な形態を持つ精子の割合が減少していることが指摘されています。出典[3]

また、別の研究では、カフェイン入りのソーダやエナジードリンクの摂取量と生殖能力の低下との間に関連性があることが示されています。出典[4]

ここで考慮すべきは、エナジードリンクやカフェイン入り炭酸飲料が持つカフェインの量だけでなく、糖分やその他の添加物も考慮する必要があるという点です。

糖質の摂りすぎは体に様々な悪影響をもたらすため、カフェインだけではなく糖分が精子の質に影響を及ぼす可能性も考えられます。

結論として、日常的にコーヒーやお茶を楽しむこととは異なり、エナジードリンクやカフェイン入り炭酸飲料の摂取は控えめにすることが、妊活中の男性にとっては賢明であると言えます。

 

3.コーヒーやお茶も毎日大量に摂取している人は注意が必要

先ほど、研究により適度な摂取は悪影響にならないとわかったコーヒーやお茶ですが、それでも大量に摂取することは避けた方が良さそうです。

一つの研究では、コーヒー摂取量が増加するにつれて、精液のパラメーターが悪化するとのデータが示されています。出典[5]また、別の研究においては、1日あたりのカフェイン摂取量が700 mgを超えると受胎率が低下することが示唆されています。出典[6]

具体的に、カフェインの摂取量を数値で示すと、コーヒーマグカップ1杯あたり約130mg程度と言われています。日本の厚生労働省のガイドラインでは、健康な成人のカフェインの上限量は最大400 mg/日とされていますが、妊活中の男性にとっては、2杯程度までという制限が推奨されています。

コーヒーやお茶にはカフェインの他にもアンチオキシダントやポリフェノールといった健康に良い成分が多く含まれています。しかし、あくまで摂取の過剰を避け、適量を心掛けることが重要です。

特に、妊活中の男性は精子の質や量に影響を及ぼす可能性があるため、カフェイン摂取の量や頻度に注意を払うことが必要となります。

 

4.コーヒーは少量ならむしろプラスにはたらくこともあるかも?

適量を超える摂取は避けるべきである一方で、少量のコーヒー摂取は逆に体に良い効果をもたらすことが示唆されています。

ある研究では、1978年から1982年の間にノースカロライナ大学の不妊クリニックを訪れた男性546人を対象に、コーヒー摂取量と精子の質の関連を調査しました。その結果、1〜2杯のコーヒーを日常的に摂取する男性は、コーヒーをまったく飲まない男性に比べて、精子の濃度が約16.1%も高いことがわかりました。出典[7]

研究結果は、コーヒーに含まれる成分が精子の健康や活動性にポジティブな影響を与える可能性を示唆しています。特に、コーヒーにはカフェインの他にもクロロゲン酸などの有益な物質が含まれています。クロロゲン酸などの成分が、精子の質を向上させる可能性が考えられます。

もちろん、この研究結果が全ての男性に当てはまるわけではありません。個人の体質や生活習慣、その他の食事の内容など、多くの要因が関わってくるでしょう。しかし、コーヒーを日常的に摂取することの利点を知っておくことで、妊活中の男性も適量のコーヒーを楽しみながら、健康効果を取り入れることができるでしょう。

こうした科学的な根拠をもとに、コーヒーの摂取とその影響について理解し、適切な摂取量を見極めることは、妊活中の男性にとって非常に重要です。

 

妊活中は『自然なカフェイン飲料』を『適度な量』がポイント

妊活中の男性が日々のライフスタイルを見直す中で、飲み物の選択は意外と重要な役割を果たしています。特にカフェイン含有飲料は、摂取量や種類によって、精子の質に大きな影響を及ぼす可能性があります。

科学的な研究により、コーヒーやお茶といった自然なカフェイン飲料の摂取は、適度な量であれば問題なく、むしろ少量摂取することで精子の質を向上させる効果があるかもしれません。

一方で、エナジードリンクやカフェイン入り炭酸飲料の過度な摂取は避けるべきだとわかりましたね。

自分の体を大切に思う妊活男性にとって、日常の小さな選択が大きな結果を生むことを意識することは非常に重要。毎日の飲み物の選択は、その健康や未来の家族を思う大切なステップの一つです。

カフェインの摂取に関しても、適度な量と品質の良い自然な飲料を選ぶことで、健康的な妊活をサポートできます。自分の体と未来の子供の健康を最優先に考え、賢明な選択をしていきましょう。
 

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