執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
過去40年間で精子数は50%以上減少している!?
妊活を成功に近づけるために男性に意識して欲しいことの一つが精子の量を増やすことです。
妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間(1年間)妊娠しない(できない)と不妊と呼ばれます。不妊の原因の半分は男性にあり、精子量の低下は男性不妊の要因の一つです出典[1]。
2021年の世界保健機関(WHO)の発表では、精液量×濃度×運動率から算出される「総運動精子数」が1638万以上が性行為で自然妊娠できる目安の精子量です。
驚くべきことに、そもそも現代人は精子の数が少ない・低下していることが多くの研究から明らかにされています。
例えば、2017年にアメリカのマウントサイナイ医科大学で行われた研究によると、過去40年間で精子濃度は52%、総精子数は59%も低下していることが報告されています出典[2]。主な原因は、肥満や食事・ストレス・喫煙・飲酒などの生活習慣の変化です。
また、精子の量は不妊に限らず、男性の健康度の指標を現すものとも考えられています。
2018年にデンマークのフレデリックスベア病院で行われた研究によると、精子数が1500万/ml未満の男性は、5100万~1億/mlの男性よりも何らかの理由で入院する割合が53%も高いことが報告されています出典[3]。つまり、精子の濃度が低い男性は健康度が低いのです。
男性は妊活中に限らずとも、健康を維持するために精子を減らさないような生活習慣を心がけることが大事になります。
精子量が減る原因15選
精子の量を減らさないようにするのは、妊活成功や健康的な生活を送る上で欠かせません。
加齢のみならず、日々の不適切なライフスタイルによって精子の量は減少してしまいます。
精子の量が減ってしまう原因を論文を基に紹介するので、該当することはないかチェックしてみましょう。
1.加齢
1つ目は加齢です。
歳をとると私達の身体は免疫力や筋力など様々な箇所が衰えてきます。精子の量もその一つ。
2016年にトルコのオンドクズマユス大学で行なわれた研究で、年齢と精子量には負の相関があることが示されています出典[4]。また、1日の精子生産量は50歳以上の男性では30%以上も減少しているのです出典[4]。
加齢によって精巣機能が衰えることで、精子形成に大事なテストステロンの合成が減ってしまうことなどが関係しています。
昨今は晩婚化が進んでおり、妊活を開始する年齢も高くなってきています。子供を望むカップルは早めの妊活開始をオススメします。
2.射精頻度が多い
2つ目は射精頻度の多さです。
射精によって精子が放出されると、当然のことながら精液量や総精子数が低下します。
2015年にコロンビアのアンティオキア大学で行なわれた研究で、射精を2週間毎日行った際の精液量と精子数に対する影響が調べられました。精子量は2週間の試験期間中ずっと低下したままであり、回復しないことが明らかになっています出典[5]。
精子が十分に溜まるには2~3日必要であるため、精子の量を保つためには毎日の射精は避けたほうが良いのです。
しかし過度の禁欲は逆に、精子の運動率や形態の悪化、ED(勃起不全)のリスクを高める原因になります。
妊活を考えている男性は完全な禁欲ではなく、オナニーなどで適度に蓄えられる精子を出してあげる方が良いでしょう。目安は2~7日程度の頻度です。
3.太っている
太っている人は精子が少ない傾向にあります。
肥満度を表すBMI(体格指数)が25以上であったり、体脂肪率が20%を超えている男性は肥満です。
2018年に中国の蘭州大学で行なわれた研究で、BMIや体脂肪率の高さと精液の量・質の悪化には相関関係があることが示されています出典[6]。つまり、太っている人ほど精子が少ないのです。実際、BMIが30以上だと不妊のリスクが3倍になるとも言われています。
肥満によって体内の炎症性のホルモンや酸化ストレスが増えることで、精巣がダメージを受けてしまうことなどが要因です。また、太る過程での脂っこいものや甘いものの食べ過ぎ、運動不足なども関係します。
とにかく太っている人はダイエットを心がけましょう。
BMIは25以下、可能なら適切体重であるBMI22を目指しましょう。身長170cmの人は63.5kg、180cmの人は71kgくらいが目安になります。また、体脂肪率は20%に留めるようにしましょう。
4.加工肉を多く食べている
ハムやソーセージ、ベーコンなどの加工肉を多く食べている人も精子が減ってしまいがちです。
2014年にアメリカのハーバード大学が、18~22歳の男性189人を対象に加工肉の摂取量と精液の質や量との関係が調査したところ、加工肉の摂取量と精子の少なさに相関関係があることが明らかにされました出典[7]。
加工肉に多く含まれている飽和脂肪酸は、体内で分解されにくいので精巣にダメージを与えやすいことが原因です。精子自体がダメージを受けたり、テストステロンが低下したりすることで精子が減少してしまいます。
加工肉は手軽に食べることができますが、精肉を食べるように心がけましょう。
5.牛乳やチーズを好んで食べている
5つ目は、牛乳やチーズなどの乳製品を好んで食べることです。
2013年にアメリカのハーバード大学で行なわれた研究で、189人の男性を対象に乳製品の摂取量が精子に与える影響が調べられました。全脂肪乳製品の摂取量が多いと精液の質(精子濃度や運動率)が低いことが明らかにされています出典[8]。
牛乳やチーズなどの乳製品は脂肪分が多いので、取り過ぎは精巣へのダメージの要因となります。また、乳製品に含まれる女性ホルモンによって男性ホルモンが減少してしまうことも精子が少なくなってしまう原因の一つです。
精子を減らすとは言っても、乳製品にはタンパク質やカルシウムなどが豊富なので健康のために摂取することは欠かせません。取り過ぎや脂肪分の多い乳製品を避けたりするなど注意しましょう。
6.ジュースを飲むことが多い
6つ目はジュースなどの清涼飲料水を飲むことが多い場合です。
2021年にアメリカのハーバード公衆衛生大学院で行なわれた研究で、1日に一杯以上(220ml)の清涼飲料水を飲んでいると精子濃度や総精子数が低下することが示されています出典[9]。
原因は清涼飲料水の甘みのもとになるシュクロースやフルクトースです。精巣にダメージを与え、テストステロンや精子の合成を低下させたり、精子のエネルギー代謝を低下させたりすることで精子の運動率を悪くします出典[10]出典[11]
疲れたりしていると甘いジュースを飲みたくなりますがほどほどしておきましょう。
7.残留農薬の多い野菜や果物を食べている
7つ目として考えられることは、普段食べている野菜や果物の残留農薬の多さです。
例えば、いちごやほうれん草、ケールなどは残留農薬が多い食物です。
2015年にアメリカのハーバード公衆衛生大学院で行なわれた研究で、残留農薬の多い果物・野菜の摂取量が多い人は、総精子数が49%、正常な形態の精子が32%も少ないことが示されています出典[12]。
残留農薬については基準が国によって異なっているので必ずしも日本産が少ないわけではありません。残留農薬が気になる方は無農薬野菜を食べるようにしてみましょう。
8.プラスチックの加熱している
8つ目はプラスチック容器の加熱です。
コンビニ弁当やお惣菜などのプラスチック容器を電子レンジなどでそのまま加熱して食べていませんか?
実はプラスチック容器を加熱する行為は精子を減らす要因の一つです。
一般的にプラスチックはビスフェノールAと塩化カルボニルなどを原料として生成されます。プラスチック容器を加熱するとビスフェノールAなどの内分泌かく乱物質が溶け出してくるのです。
ビスフェノールAは女性ホルモン用の作用を示すので、摂取量が増えると精子の量や質を低下することがわかっています出典[13]。
加熱によって溶け出てくる成分ではビスフェノールAの他にも、フタル酸エステルに精子の合成に大事なテストステロンを低下させる作用があることも明らかにされています出典[14]。
プラスチック容器に入ったものを加熱したい時は、一度お皿などに移してから加熱するのをオススメします。
9.喫煙している
タバコは「百害あって一利なし」であり、喫煙は健康にとって悪いことの代表格です。
もちろん、精子量を低下させる原因でもあります。
2019年に中国の南京医科大学で行なわれた研究で、喫煙によって精子の量・質が低下することが明らかにされました。精子数は1日に10本以上だと約30%、20本以上の場合は約60%も低下してしまいます出典[15]。
原因はタバコを吸うと体内に炎症や酸化ストレスが引き起こされ、精巣や精子がダメージを受けてしまうからです出典[16]。
喫煙しても良いことは何もありませんので禁煙を心がけましょう。
10.過度に飲酒している
お酒は気分転換やリフレッシュ、人付き合いに欠かせないものの一つです。しかし、飲酒量が多すぎる場合は精子数を減らす原因となってしまいます。
2011年に南デンマーク大学で行われた研究で、1週間のアルコール摂取量と精液との関係が調べられました。その結果、アルコール摂取量の多さと精子の量には負の相関関係があることが明らかになっています。
具体的には週のアルコール摂取量が5単位(論文中では1単位=12g)を超えると精液に悪影響が認められ、週に40単位を超えると、精子濃度が33%も低下することが明らかにされています出典[17]。
5単位のアルコール量の目安は500mlビールだと3杯、日本酒は3合などです。
アルコールの摂取量が増えるほど精液への悪影響は大きくなりますので、お酒はほどほどにするようにしましょう。
11.座っている時間が長い
デスクワークなどで座っている時間が長いことも精子数が減ってしまう要因です。
2019年にポーランドのポメラニアン医科大学で行われた研究によると、仕事時間の50%以上(週17.5時間以上)を座りっぱなしの姿勢で過ごした男性(デスクワークが多い男性)は、50%以下の男性と比較すると精子へのダメージが2倍も高いことが示されています出典[18]。
理由は座った状態が長くなると股間に熱がこもりやすく、精巣に熱ストレスがかかるからです。
また、運動を全くしないような人は週に1時間30分以上の運動をする人は全くしない人と比べると、精子濃度が42%も低いことも明らかにされています出典[19]。
身体を動かす習慣のない人は定期的な運動を心がけましょう。また、デスクワークが多い方は仕事の合間に立ち上がったりするなどして股間に熱が溜まりにくくなるように工夫をしてみてください。
12.下半身を暖める習慣がある
下半身を暖める習慣は精子を減らす原因です。
具体的には長時間の入浴やボクサーパンツなどが該当します。
精子は精巣で作られ、蓄えられています。精巣(睾丸)は熱に弱く、ダメージを受けやすい組織です。下半身を暖める習慣は精巣に熱ストレスを与えてしまい、精子の量を減らしてしまいます。
例えば、2016年に中国の華中科技大学で行われた研究で、43℃のお湯に入浴するのを10日続けると、形態異常や死滅した精子が増えることが明らかにされています出典[20]。
また、2018年にハーバード大学で行われた研究では、不妊治療センターに通う男性が着用する下着の種類と精巣機能の関係が調べられました。
ボクサーパンツなどのタイトな下着を履いている男性は、精子濃度が25%、精子数が17%、精子の運動率が33%も低いことが示されています出典[21]。理由はボクサーパンツなどの締め付けの強いタイトな下着を履くと、精巣と身体が近くなり、体温の影響を受けやすくなるからです。
妊活男性は特に下半身を暖めすぎないように心がけましょう。
13.仕事上のストレスが大きい
現代は「ストレス社会」であり、労働者の半数以上は不安やプレッシャーなどの何かしらのストレスを抱えています。
仕事上のストレスは精子量を低下させる原因の一つです。
2019年に中国人民解放軍第三軍医大学で行なわれた研究で、仕事上のストレスが大きいと10%以上も精子数が低下することが報告されています出典[22]。
ストレスによって発生した炎症や酸化ストレスが精巣にダメージを与えてしまうことが主な要因です出典[23]。
仕事に限らずともストレスとなることは多々あるので、日々のストレスケアをしっかりと行い、ストレスを溜め込まないように心がけましょう。
14.抗うつ薬を使用している
健康的な生活を送る上で欠かせない薬ですが、薬の種類によっては副作用により精子数を減らしてしまうことがあります。その一つが抗うつ薬です。
2008年にイランのシャヒード・ベヘシュティ大学で行なわれた研究で、抗うつ薬である選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)が精液に与える影響が調査されています。
抗うつ薬の使用により精子がダメージを受けてしまい、精子数が70%、精子の運動率は30%も減少することが明らかにされています出典[24]。
抗うつ薬を処方されている場合は、かかりつけ医に相談して精子や男性機能に対しての副作用が低いものに変更してもらうのが良いでしょう。
15.精巣周りの病気を有している
最後に考えられるのは、精巣周りの病気を有している可能性です。
特に妊活男性にとって注意したいのは男性不妊の原因の約40%を占める「精索静脈瘤」です。精索静脈瘤は精巣の周りの静脈にコブができた状態で、精巣から心臓に戻る精巣静脈内の血液が逆流してしまうことで発症します。
お腹から逆流した温かい血液が精巣内に滞留することで精巣の温度が上がり、精子合成が低下したり、精子がダメージを受けたりすることで精子数が減ってしまうのです出典[25]。自覚症状としては陰嚢の違和感や鈍痛などが認められます。
放っておいても良くならないので、心当たりのある方は妊活の開始よりも先に治療にあたりましょう。
まとめ:1つでも当てはまる場合は早急に改善を!
今回は精子が減ってしまう原因を論文を基に紹介しました。
精子を減らす原因の多くは日々の生活習慣です。
精子の数を増やすことは妊活の成功の鍵になりますので、まずは自身の生活習慣を見直して、精子が増えるような生活環境を整えてあげましょう。
しかし、生活習慣を見直すとは言っても、「自分の生活習慣のどこを改善すれば良いのかわからない。相談したい。具体的にどうしたら良いのか教えてほしい。」といった人もいるのではないでしょうか?
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