男性不妊になりやすい職業14選と原因
2023年11月28日更新

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。

不妊症の原因は男性が半数。仕事選びも妊活の重要要素に。

晩婚化が進む現代社会では、子宝に恵まれないことを悩んでいるカップルが増加傾向にあります。

妊娠が可能な年齢にある男女が正常な性生活を営んでいるものの、避妊期間を除いて2年以上経っても妊娠しない状態を「不妊症」と呼びます出典[1]

「不妊症」と聞くと女性の身体に原因があるとイメージしてしまう人は少なくありません。しかし、実際WHOの発表によると不妊症の48%は男性の性的機能や精子の質の低下といわれています出典[1]

ちなみに、この数字はあくまでも精子の質の問題があるカップルの割合のみを指しているため、他の要因で子どもができにくくなっている可能性も多くあるでしょう。

男性向けヘルスケアブランド「ナイトプロテイン」が妊活経験のある男性500名を対象にした調査によると、行為へのモチベーションなども大きな課題となっていることが報告されました出典[2]

生理学的には、性的な欲求は男性ホルモンであるテストステロンが大きく関わっています。テストステロン不足を防止するためには、日々の生活習慣を整えることが非常に重要です。

特に、男性の場合は職業によってテストステロン値や精子の質、健康状態が大きく左右されます。将来子どもが欲しいと考えている人は、不妊に繋がる働き方をしていないかチェックしてみましょう。

本記事では、不妊になりやすい男性の職業について解説します。自分や将来の結婚相手の健康状態は大丈夫?と思ったら、まずは不妊治療の専門機関に相談しておくと安心です。
 

不妊症に悩む男性のライフスタイルの傾向

男性の場合は自分自身の職業、女性の場合は将来の結婚相手の職業が不妊になりやすいものかどうか知りたいところ。
まずは、不妊に陥りやすい男性の働き方の特徴についてみていきましょう。

 

シフト制の仕事

性的な欲求や精子の質に最も重要なホルモンであるテストステロンは、睡眠中に分泌される物質です。そのため、睡眠時間が不規則になりがちなシフト制の仕事や夜勤がある仕事は不妊に悩まされやすいとされています。

不妊治療クリニックに通う男性の働き方が、睡眠の質と精液濃度に及ぼす影響について調査が行われました。シフト制勤務の男性104名と 116名の非シフト制勤務の男性116名に対して睡眠の質と精液濃度について比較したところ、シフト勤務で働く人の方が非シフト制勤務の人よりも精液濃度と睡眠の質が低下している割合が高いことが報告されています出典[3]

シフト制勤務は生活リズムが乱れやすく、睡眠の質が下がりやすいと考えられます。将来子どもを望んでいる方は、休日だけでも規則正しい生活を心掛けましょう。

 

座りっぱなしの仕事

精子を作る睾丸は温度に弱いといった特徴があります。精子の運動性を維持するために最適な温度は20℃と報告されています出典[4]。睾丸が身体の外にぶら下がっているのは、実は睾丸の温度を下げるためなのです。

こうした事情から、睾丸に熱がこもりやすい仕事に就いている男性は、不妊に悩む確立はどうしても高くなってしまいます。

仕事時間の 50%以上 (週 17.5 時間以上) を座りっぱなしの姿勢で過ごした男性と、座りっぱなしの姿勢で過ごした時間が50%未満の男性から得られた精子細胞を分析したところ、座りっぱなしの仕事の方が、精子のDNA損傷の発生率が2倍になっていたことが分かりました出典[5]

例えば、工場や倉庫などどうしても夏場に気温が高くなりやすい職場はもちろん良くないですが、座りっぱなしの仕事も注意が必要です。一般的なオフィスチェアなどは座り続けると局部の温度が高くなり、結果的に不妊症に繋がる可能性は十分に考えられます。

事務職などの座りっぱなしの仕事に就いている男性は、健康維持のために空いた時間に席を立ってリフレッシュしましょう。

 

ストレスや疲労が慢性的に蓄積

精子の質や男性力に欠かす事ができないテストステロンですが、実はストレスにも弱いのです。

大きなストレスを感じると、ストレスホルモンであるコルチゾールが血液中に分泌され、テストステロン濃度が低下してしまいます。このように、コルチゾールはテストステロン量とシーソーのような関係にあるのです出典[6]

現代人にとって、特にストレスを感じやすい状況が「仕事内容や労働環境」といわれています。

だからこそ、ストレスの大きい仕事や職業に就いているかどうかは不妊症のリスクを判断する大きなポイントといえるでしょう。

 

職場環境的に栄養バランスが偏りやすい

肥満体型・過剰な飲酒・必要な栄養バランスの偏りにより、適切に精子を作り出すことができないケースもあります。

テストステロンは、肥満状態で低下することが報告されています出典[7]。それだけでなく、テストステロン値が低いこと自体が肥満の増加につながり、不妊率を高める悪循環となるのです出典[8]。食事の見直しや運動によって体重を減量すると、テストステロン値は回復します。妊活中の男性は、まずはご自身の体重管理から始めてみましょう。

また、過剰な飲酒は精子の質に悪影響を及ぼすといった研究報告も複数みられています出典[9]。妊活中はお酒の飲み過ぎにも十分注意しましょう。

 

タバコの本数が多い

喫煙による健康への悪影響はよく知られていますが、タバコの本数が多いほど精液の質が低下します。

国民生活基礎調査の2001年から2016年までの3年ごとのデータを参考に、職業ごとの喫煙率の高さについて調査が行われました。その結果、2016年までで男性の喫煙率が高かった職業ベスト5は次の通りです出典[10]

 

  • 輸送・機械運転従事者(48.3%)
  • ライン工・生産業/建設業/運搬・清掃業(47.9%)
  • 農業・林業・漁業(45.8%)
  • サービス業(42.2%)
  • 販売業(40.2%)

 

南京医科大学が実施した研究によると、タバコの本数が多いほど精液量と精子数が大幅に減少することが報告されています出典[11]

妊活中の方は、自分やパートナーの職業と喫煙率の高さについてチェックしてみましょう。

 

不妊になりやすい職業【男性編】

ここからは、不妊に悩みやすい職業を順番にご紹介します。

自分やパートナーが男性不妊になりやすい職業に就いているとしても、精子の質を改善することは可能です。テストステロンや血流などの男性機能をサポートするために生活習慣を見直すことはもちろん、ストレスのケアも意識して行うことが大切です。

 

1.美容師

美容師は、ストレスや業務過多による疲労が大きいことが特徴です。特に、日中は働き詰めになるため、昼食を抜いてしまって栄養が不足するケースも多いでしょう。

喫煙率の高いサービス業出典[10]にあたるため、職場にタバコを吸っている人が多い環境かどうかも意識してみることをおすすめします。


2.コンサルティングなど専門職

コンサルティング職は激務になりやすく、シフトワークでない場合でも夜遅くまで業務が続きやすい職業です。

転職求人サイト「openwork」のデータによると、コンサル会社として有名なマッキンゼーでは、残業時間が73時間といわれています。平均の残業時間が数時間であることあることを考えると、膨大な時間を仕事に費やしている事になります。

コンサルティング職は給与が高く、やりがいもある仕事というイメージがあります。しかし、激務による睡眠時間の低下は不妊に繋がりやすいため出典[3]、将来子どもを望んでいる場合にはマイナスになりやすい仕事といえるでしょう。

 

3.ライン工

ライン工の給与は比較的高いものの、場合によってはラインで流れている品物に室温や湿度を合わせることから非常に高温多湿な環境で働くこともあります。

高温多湿の環境で長時間働くことは睾丸の温度管理がし辛くなり、精子の質の低下に繋がります出典[4]出典[5]また、喫煙率も高い出典[10]ことで知られていることから不妊に悩みやすい職業といえるでしょう。

ライン工の業務についている方は、妊活中は快適な職場環境で働ける仕事を検討してみるのも良いかもしれません。

 

4.トラック運転手

トラック運転手はシフトワークになりやすく、長時間座りっぱなしの仕事の代表格です。喫煙率が非常に高く、栄養バランスも崩れやすいことも特徴的です出典[12]

私たちの日常生活にとって大切な物流に関わるトラック運転手ですが、職場環境は健康状態を維持するのが難しいといわれています。将来子どもを望んでいる場合は、休日など時間に余裕があるときだけでも、リラックスして過ごせるよう環境を整えておくことをおすすめします。

 

5.バス・タクシー運転手

バスやタクシーの運転手は座り仕事が多く、特にタクシーは夜勤となることも少なくないでしょう。また、お客さんとのやりとりが発生するため、ストレスに襲われる場合も多いといった研究データも報告されています出典[13]

乗客からのあいさつが嬉しいと感じるバス・タクシー運転手は多いですが、ストレスの原因も多く存在します。身体的・精神的な負担が大きいことから、不妊に悩みやすい職業といえるのです。

 

6.現役アスリート

現役アスリートは、過剰な運動によってテストステロン値が低下してしまう可能性があります。

2017年10月に東京大学で行われた日本メンズヘルス医学会において、マラソンを始めとした過度な運動を継続していた男性は、テストステロン値の低下がみられたことが報告されました出典[14]

特に、競輪などの座った状態で運動する競技は睾丸への負担が大きいため、不妊のリスクが更に高まると考えられます出典[15]

一方で、現役を引退した後は筋肉量を維持しながら過度な肉体疲労がなくなるため、妊活に良い影響を及ぼすことも多いでしょう。

健康を維持するためには適度な運動が重要なポイントですが、運動のし過ぎは不妊に繋がってしまうため注意が必要です。

 

7.自衛隊員や軍関係者

意外かもしれませんが、「自衛隊や軍に所属している=健康的な生活」という訳ではないようです。

例えば、男性陸上自衛官の喫煙率は、一般の人よりも高い事が分かっています出典[16]

また、自分や他人の死が近い事もあるため、ストレスに苛まれる人も少なくありません。自衛隊員の1割がPTSDやうつなどのメンタルヘルスについての問題を抱えているというデータも報告されています出典[17]

自衛隊員は災害が発生すると災害派遣となり、昼夜問わない働き方が求められます。ストレスの大きい過酷な職業だからこそ、不妊に悩みやすいともいえるのです。

 

8.警察官

警察官も、シフトワークで生活リズムが乱れやすく、ストレスなどの影響が大きい職業です。激しい疲労はテストステロン値の低下を引き起こすため、妊活が上手くいかない可能性も大いに考えられます出典[6]

また、警察官は場合によっては命にかかわる事態に対応しなければならない仕事でもあります。身体的にも精神的にも負担が大きいため、不妊に悩みやすい職業といえるでしょう。

 

9.外科医

花形職業である外科医はとても忙しく、責任の大きさからストレスも多くなります。勤務時間の多くは椅子に座っていることもあり、精子の質も低下しやすいとされています出典[5]

ちなみに、女性の外科医についても不妊率が高いことが報告されています。

外科医の男性は女性にモテそうなイメージがありますが、将来子どもを望んでいる場合は注意が必要です。

 

10.プログラマー

プログラマーは椅子に座っている時間が長いことが特徴的な職業です。また、大きなシステムの保守運営だと深夜対応が求められる場合があるため、生活リズムが不規則な人も多いでしょう。

長時間座りっぱなし、生活リズムが不規則になりやすいプログラマーの仕事は、不妊に悩みやすい職業といわれています出典[3]出典[5]。妊活中の場合は、仕事のペースを調節することもおすすめです。

 

11.コンビニ・ガソリンスタンド店員

コンビニやガソリンスタンドなど、年中無休で営業している店舗で働いている人は不妊症になりやすい条件が揃っています。

立ち仕事がメインとなりますが、シフト制勤務となるため睡眠不足から精子の質が低下しやすくなります出典[3]。また、食事休憩も取れないほど忙しい店舗は空いた時間に食事をするため栄養バランスの乱れから不妊職業ともいえるでしょう出典[7]

食事のバランスを整えることは、肥満によるテストステロン値の低下を抑えるためにとても有効です。休日だけでも暴飲暴食を控えて、体重増加を阻止しましょう。

 

12.宇宙飛行士

宇宙は色々と限られた環境であり、生活での不便が多く発生します。運動不足や過度のストレスによる影響も無視できません。

雄のラットを使用した動物実験によると、宇宙空間と同じような微小重力と電離放射線の影響によって、ラットの精子の運動性が低下することが示されました出典[18]

将来子どもを望んでいる場合は、妊活の時期と宇宙飛行士の仕事が本格化する時期をずらした方が良いでしょう。

 

13.看護師

看護師は多大なストレスと夜勤によるシフト勤務から健康管理が難しい職業です出典[3]

勤務時間中はゆっくり食事を摂ることも難しいため、ストレスや睡眠不足と合わせて栄養バランスも崩れやすいとも考えられます出典[5]。患者さんの健康を守る仕事ですが、自分の健康管理は二の次になってしまうことが現状です。

こうした理由から、看護師の方で妊活を考えている場合は仕事量の調節や忙しくない職場に移ることも検討することをおすすめします。

 

14.大工・建設業勤務

建設業はシフト制で働くことが多く、ストレスによる精神的な不調もきたしやすいことから不妊に悩む人も少なくありません。

健康保険組合連合会(健保連)の調査によると、大工などの建設業に就いている人のメタボリックシンドローム発症率は非常に高いとされています出典[19]

また、建設業に就いている人は喫煙率も高いことが分かっています。職場にタバコを吸える環境があるほど、従業員の喫煙率は上がっていきます。タバコを吸っていない人でも。職場での受動喫煙によって健康状態に影響が及ぶ可能性があるため注意が必要です。

なお、職場での受動喫煙についてはタバコを吸っている人でも38%が心配しているというデータも報告されています出典[20]

建設業に就いている男性は、不妊治療のクリニックに通う人も多いと報告されています。シフト制でハードな仕事内容と、喫煙率の高さが男性不妊症の要因に挙げられますが、これらは燃え尽き症候群などの精神的な問題にも繋がっていきます出典[21]。妊活を考えている方は、まずは身体をゆっくり休ませることが大切です。

 

まとめ:男性不妊になりやすい行動がわかっていれば一部対策可能

今回は男性不妊になりやすい職業と原因を紹介してきました。

もし当てはまっているあなたも、決してガッカリしないでください。職業を変えることは簡単ではありませんが、日々の習慣を少しづつ変えることは可能です。

 

  • 睡眠の質を高める生活習慣を意識する
  • 30分に1回程度、意識的に立って身体を動かすようにする
  • 休日にリラックスできることをする
  • 妊活の機会に禁煙にチャレンジする

 

…などなど、原因がわかっていれば取れる対策も増えますよ。
 

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