妊活中の男性が意識的に取るべき食事や食べ物20選
2023年11月30日更新

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

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生殖機能が高い男性の定義

男性の場合、「妊活」と聞くと精子の質に注目が集まります。しかし、重要なポイントはそれだけではありません。

男性向けヘルスケアブランド「ナイトプロテイン」が子どものいる女性500名を対象に実施したアンケート調査によると、妊活から妊娠までの期間が短いカップルにおいて、男性側に次のような特徴があることが分かりました出典[1]

パートナーに性的興味を持つ
一定頻度以上で行為を行う
オーガズムに到達するまで勃起を維持できる

まずは、それぞれの項目について見ていきましょう。

 

パートナーへの性的欲求が強い事

妊活の秘訣は排卵日前後の性行為だけではありません。排卵日を意識しなくてもパートナーへの性的欲求が高いほど妊娠しやすいことが分かっています。

ストレスが大きいと妊娠し辛くなるといわれています。排卵日や妊娠の有無については気にし過ぎず、妊活を純粋に楽しむ方が妊娠しやすいとイメージしておきましょう。

 

勃起障害など男性機能面で問題が無い事

ED(勃起不全)を抱えている場合は、性行為に及べない・性行為ができてもオーガズムに到達する状態まで維持できないといった側面から、妊活が長引く恐れがあります。

EDの原因には、運動不足脂質・塩分の多い食事喫煙など生活習慣の乱れが挙げられます出典[2]

特に、糖尿病や肥満の方はEDも抱えているケースが多いため、普段から食事バランスを整えて適度な運動を心がけましょう。

また、タバコに含まれるニコチンは血行不良を起こし、勃起を妨げる恐れがあります。喫煙者の方は、妊活とともに禁煙についても進めていきましょう。
 

精子の質と量が正常である事

妊活にとって重要な男性不妊症の検査では、精液量精子濃度運動率正常形態率について実際に精液を採取して分析します出典[3]

不妊症と診断された場合、精液量が少ない・精子濃度が低いことが要因となっている可能性があります。採取された精液の重さを測定し、比重1として 1.0g=1.0mlとして精液量を分析します。精液量は、2.0ml以上が正常とされています。また、精子濃度は20×10⁶/ml以上が正常値です。

精子運動率は、運動の速度しっかり直進しているかを測定します。速度が速い・直進する精子のいずれかに当てはまるものが全体の50%以上が正常値です。運動が見られない精子は、既に死んでしまっている精子である可能性が高いと判断されます。

尾部のない精子や形が正常でない精子は妊娠に適さないため、精子の正常形態率も重要なポイントです。正常な形態の精子が全体の15%以上になると正常値と判断されます。

さらに、精子の合成をサポートして性欲を高めるホルモンの一つである「テストステロン」は、ほとんどが精巣で合成されています。しかし、近年の研究によって筋肉からもテストステロンが分泌されていることが示されました。

こうした研究報告から、テストステロンを分泌させて妊活をスムーズに進められるよう、身体を動かす習慣をつくることもおすすめされています。

男性妊活に適した食事のルールと食べ物

妊活中の男性におすすめする食べ物は、大きく分けて次の3つの効果が期待されています。

テストステロン値を上げる効果
勃起機能をサポートする効果
精子の質や量を改善させる効果

それぞれの効果がある食べ物について、豊富に含まれる栄養素やおすすめの食べ方と合わせてご紹介します。
 

テストステロン値を上げる食事

まずは、テストステロン値の分泌量を上げる食べ物について解説します。

それぞれの食べ物の特徴や多く含まれる成分、テストステロンとの関わりについてみていきましょう。
 

サーモン

サーモンは、テストステロン値上昇に関わるビタミンDや良質な脂質である「オメガ3脂肪酸」が豊富に含まれています。

2014年から2016 年にかけて中国で実施された研究によると、男性4,254名のビタミンD摂取量が減少するほど、テストステロン値も低下することが分かりました出典[4]

また、206名を対象とした合計6つの研究によると、脂質の不足した食事を摂取した被験者は、テストステロン値が大幅に低下したことが報告されています出典[5]

ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける作用のある栄養素です。そのため、サーモンはシチューなどの方法で牛乳や乳製品と一緒に摂ってみましょう。
 

高カカオチョコレート

カカオに含まれるケラセチンやアピゲニンと呼ばれるフラボノイドには、テストステロンを増やす効果が確認されています出典[6]お菓子を買うときは、高カカオチョコレートを選ぶことをおすすめします。

また、カカオはチョコレートだけでなく純正ココアにも多く含まれています。お菓子を食べる習慣が無い方は、ココアを飲み物として取り入れるのも検討の余地ありです。

 

アボカド

アボカドには、テストステロンの原料となる良質や脂質に加え、マグネシウムやホウ素と呼ばれるミネラルが豊富に含まれています。

特に、ホウ素にはテストステロン値を増やす効果が報告されています。

2011年に行われた研究によると、29歳から50歳までの健康な男性8名の食事に1日あたり10mgの四ホウ酸ナトリウムを7日間補充したところ、被験者の血液中のテストステロン濃度が大幅に増加したことがわかりました出典[7]

また、アボカドとサーモンを組み合わせたサラダは、アボカドのビタミンEとサーモンの色素であるアスタキサンチンの相乗効果で、美肌効果があるためおすすめです。
 

卵には、タンパク質やセレンと呼ばれるミネラルの一種が豊富に含まれています。

特に、セレンは精子の形成に必要とされており、抗酸化作用もあることが知られている物質です。

イラン人男性42名を対象とした臨床試験によると、1mlあたり5μgの亜セレン酸ナトリウムの投与により、凍結保存精液の精子の質と生存率が大幅に改善されたことが報告されました出典[8]

また、卵に多く含まれるたんぱく質は、ほうれん草の鉄分の吸収をサポートするためスクランブルエッグとほうれん草ソテーなどの組み合わせで食べるのがおすすめです。ちなみに、卵は生卵より茹で卵の方が消化が良くなります。
 

玉ねぎ

WHO(世界保健機関)の報告によると、世界的に長寿の人が多い沖縄県民は、タマネギの摂取量が多いといわれています。糖尿病などの生活習慣病予防に有効な玉ねぎですが、実はテストステロン値を上昇させることで妊活にも役立つ食べ物なのです。

沖縄県とアメリカ合衆国の男性を比較した調査によると、玉ねぎを積極的に摂取している沖縄県の男性の方が、同年齢のアメリカ人男性よりも血液中のテストステロン値が高いことが判明しました出典[9]

玉ねぎがテストステロン値を高める理由として、次のような作用が認められています出典[9]
 

テストステロン分泌に関わる黄体形成ホルモンの産生を高める
一酸化窒素の生成が促進され、精巣への血流が強化される
抗酸化作用によって精子形成がサポートされる。

また、玉ねぎはビタミンB1が豊富な豚肉と組み合わせて食べると疲労回復に役立ちます。玉ねぎに含まれる成分である硫化アリルがビタミンB1の吸収を高めてくれるため、身体が疲れやすい方はぜひ試してみましょう。

 

フェヌグリーク

カレーのスパイスに使われるフェヌグリークは、テストステロン値を向上させるとしてサプリメントとしても注目が集まっています。

60名の被験者を2つのグループに分け、片方のグループに300mgのフェヌグリークを1日2回投与しました。その結果、8週間後にはフェヌグリークを摂取したグループの血中テストステロン値が98.7%増加したことが分かりました出典[10]

また、カレーは様々な食材を一緒に摂ることができ、トッピングも豊富です。普段野菜を食べる機会がない方は、野菜多めのカレーに挑戦してみてください。
 

唐辛子等のスパイス

カプサイシン等の辛いスパイスを良く摂っている男性の方が、唾液に含まれるテストステロン値が高いといった研究結果があります。

18歳から44歳までの男性114名を対象に、食べ物の好みと唾液中のテストステロン量の関係について調査が行われました。その結果、ホットソースなどの辛い味付けを好むほど、唾液中のテストステロン値が高いことが示されています出典[11]

辛い料理が得意な方は、カレーでフェヌグリークと一緒に摂取すると良いでしょう。
 

 

ザクロ

ザクロは、性機能と性欲を高めるとされており、大昔から生殖能力の象徴とされてきました。

ザクロには、アントシアニンやエラジタンニンといった強い抗酸化作用を持つポリフェノールが豊富に含まれています。

男女60名のボランティアを対象に、ザクロジュースの摂取と唾液中のテストステロン値の関連について研究が行われました。ザクロジュースを2週間摂取し、期間中毎日唾液中のテストステロン値を分析したところ、男女ともにザクロジュースの摂取によって唾液中のテストステロン値が増加しました。また、ザクロジュースの摂取によって血圧値の改善も報告されています出典[12]

ザクロはそのままでもザクロジュースを飲んでも効果は変わりません。妊活中は、ザクロジュースを使うとポリフェノールを気軽にプラスすることができますね。

勃起機能を最適化する食事のルールと食べ物

勃起機能には、血流を促進する一酸化窒素が重要になります。
ここからは、勃起機能をサポートする食べ物について、おすすめの食べ方とともにご紹介します。
 

 

ほうれん草


ほうれん草には一酸化窒素の分泌を促し、血管を柔らかくして血流を促進するNO3(ナイトレート)が豊富に含まれています出典[13]

ほうれん草は卵や肉などのたんぱく質と組み合わせると鉄分の吸収率がアップします。外国のアニメで主人公がほうれん草を食べてパワーアップする理由は、ここにあったのですね。
 

コーヒー

コーヒーに含まれるカフェインには、EDを予防する効果があるとされています。

国民健康栄養調査(NHANES)に参加した20歳以上の男性 3,724 名のデータを分析したところ、1日2~3杯のコーヒー(170~375mgのカフェイン)を飲んでいる男性は、ED発症率が低くなることが報告されました出典[14]

ただし、1日のコーヒーの量が5杯以上になると、カフェインの摂り過ぎで寝つきが悪くなる恐れがあります。睡眠の質を整えるためには、コーヒーを飲む時間は夕方までにするのがおすすめです。

 

ピスタチオ


ピスタチオに豊富なアルギニンは、一酸化窒素を増やし血流促進効果のあるアミノ酸です出典[15]

ピスタチオは、おつまみやお菓子など食べ方が幅広いことも魅力的です。ピスタチオにはビタミンEも多く含まれるため、脂質の多い食べ物と組み合わせると良いでしょう。

 

スイカ


スイカは、一酸化窒素の分泌を促して血流促進効果のあるアミノ酸「シトルリン」が豊富な食材です。

また、アルギニンはシトルリンから変換されるため、シトルリンとアルギニンを組み合わせて摂取することで一酸化窒素生成の効率をアップさせることができます出典[16]

シトルリンは血流改善によるむくみ解消や冷え防止にも役立つため、むくみが気になる方は食後のデザートとしてスイカを取り入れましょう。

 

オレンジ

オレンジには高い抗酸化作用を持つフラボノイドが豊富に含まれています。

医療専門家追跡調査に参加した 25,096名の男性を対象に、栄養摂取状況とED発症率の関係について10年間の追跡調査が行われました。前向き研究を実施しました。その結果、フラボノイドが豊富な食材を食べる事で、ED発症率が9〜11%低下することが分かりました出典[17]

また、オレンジの薄皮には、ビタミンP(ヘスペリジン)が含まれており、ビタミンCの吸収をサポートする効果があります。オレンジを食べるときは、薄皮を取らずに食べるのがおすすめです。

 

ブロッコリー

ブロッコリーには抗酸化作用の強いマグネシウムが豊富に含まれており、有名セクシー男優のしみけんさんも推奨していることでも知られています。

イタリアで行われた研究では、65歳以上の男性455名のうち、血中マグネシウム値が多いほど血中テストステロン値が高いことが報告されました出典[18]

また、ブロッコリーはサーモンやアジ、イワシなどの青魚と組み合わせるのがおすすめです。ブロッコリーに多く含まれるβカロテンと、青魚のDHA・EPAが動脈硬化の予防やアンチエイジングに役立ちます。
 

精子の質や量を改善する食事のルールと食べ物

精子の質や量は、抗酸化作用のある栄養素を多く含む食べ物が関わっています。
ここからは、精子の質や量を改善する食べ物や、おすすめの食べ方について解説します。

 

トマト


トマトに含まれるリコピンは抗酸化作用が強く、精子のDNAを保護する働きがあります。

精索静脈瘤を誘発したラット35匹のラットを使用した動物実験によると、リコピンを体重あたり10㎎投与したラットは、2カ月後の精子の生存率が改善されたことが示されました。また、健康な男性にリコピンを1日あたり12㎎摂取すると、精子の質や運動性が改善されたことが確認されています出典[19]

また、リコピンはビタミンEの多い食べ物を組み合わせると吸収率がアップします。ビタミンEはゴマやナッツ類に多く含まれているため、トマトのサラダにプラスしておくと良いでしょう。

 

クルミ


クルミは、良質な脂質である「オメガ3脂肪酸」が豊富であり、酸化ストレスの低減による精子の質をサポートする効果が期待されています。

21〜35歳の健康な男性117名を対象に、クルミの摂取と精子の質の関連についての調査が行われています。対象者を2グループに分け、一方のグループに1日あたり75gのクルミを食事にプラスし、12週間後の精子の状態について分析しました。その結果、クルミを摂取したグループでは、精子の活力運動性形態の改善が見られました出典[20]

また、オメガ3脂肪酸は、抗酸化作用のビタミンCと組み合わせると、相乗効果が高まります。野菜サラダや柑橘類のデザートにクルミをトッピングするのもおすすめです。

 

ラム肉


ラム肉にはカルニチンと呼ばれるアミノ酸が多く含まれています。カルニチンは精子のエネルギーに利用されるため、カルニチンの摂取量が多いほど精子の質が向上します出典[21]

また、カルニチンはビタミンCと組み合わせると吸収率がアップします。野菜たっぷりのジンギスカンはおすすめの食べ方といえるでしょう。

 

牡蠣


牡蠣は、精子の質に関わるミネラルである亜鉛が多く含まれる食べ物です出典[22]

亜鉛は 体内に貯蔵できない栄養素であるため、食事で習慣的に摂ることが重要となります。ほうれん草と一緒に摂ると、ほうれん草の葉酸が牡蠣に含まれるたんぱく質の代謝をサポートしてくれるため、積極的に組み合わせてみましょう。

 

茶色い穀物


白米と比べて、玄米は血糖値の上昇が緩やかになるため、糖尿病による男性不妊のリスクを軽減させる効果が期待されています。

成人の男女10名を対象に、白米と玄米を摂取した時の血糖値の違いについて分析が行われました。その結果、玄米を食べた後の方が白米食を食べた時よりも血糖値が低くなることが分かりました出典[23]

また、玄米に含まれるビタミンB1は、ゴボウなどの食物繊維の多い食べ物と組み合わせると、糖質の代謝効率が良くなります。ただし、玄米の方が白米より消化が悪いため、お腹の調子が気になる方はお粥やおじやにして食べると安心です。

 

乳製品(低脂肪乳)


精子の生成に関わる亜鉛やカリウム、カルシウム、マグネシウムを摂るためには、乳製品を食生活に取り入れましょう。特に、乳製品は亜鉛が豊富に含まれていることが特徴です出典[24]。牛乳は、牡蠣よりも手軽に食生活にプラスできますね。
また、低脂肪乳を選んでおくと飽和脂肪酸の摂り過ぎを防ぐことができます。
さらに、乳製品とトウモロコシなどのマグネシウムの多い食べ物を組み合わせるとカルシウムの働きが向上します。乳製品の栄養素は加熱しても壊れないため、そのまま飲むだけでなくシチューなどの料理にしても良いでしょう。
 

まとめ

不妊の要因の50%近くは男性に潜んでいるといわれています。特に、精子の質は普段の食生活の影響が大きいため、仕事の忙しさから食事を適当に済ませてしまう方は注意が必要です。

また、精子に悪影響となる要因の一つとして、過度なストレスがあります。妊活中の食事選びについても過剰に気にし過ぎず、大切な人との食事を楽しむことも忘れないようにしましょう。
 

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