執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
まずはライチの栄養素を分解
ライチはビタミンやミネラルが豊富。順番に見ていきましょう。
葉酸
ビタミンB群の一つであり、赤血球の形成や免疫機能の維持にも関与しています。
細胞分裂やDNA合成に必要な成分で、特に妊娠初期の胎児の神経管形成に影響を及ぼすことから、葉酸は妊婦さんが摂取するイメージが強いのではないでしょうか。
また、葉酸は体内で合成することができないため、食事から摂取する必要があります。
ビタミンC
水溶性のビタミンで、細胞同士をくっつけるタンパク質であるコラーゲンを作るのに必要な成分。
血管・皮膚・骨の強度を保つ作用があり、人間の体を形作っています。
また、長期間ビタミンCが不足すると、血管がもろくなり出血を起こす壊血病になることもあります。
カリウム
ミネラルの一つで、人間が生きる上で必須の成分。
ほとんどが細胞内に存在しており、細胞内の浸透圧を調節して心機能を正常にする働きがあります。
また、神経伝達のサポートや筋肉維持など様々な役割を果たしています。
腎機能が低下している場合の過剰摂取は、身体に負担がかかることがあるので注意が必要です。
マグネシウム
カリウムと同じく、必須ミネラルの一つ。全身の細胞に広く分布していますが、多くはリンやカルシウムと共に骨に沈着しており、骨や歯の形成に重要な役割を果たしています。
酵素反応の活性化、エネルギー産生をサポートする働きがあり、不足すると健康を損なう可能性のある重要な成分です。
ライチに期待できる8の効果
ではライチには一体どんな効果が期待できるのでしょうか?
詳しく解説しましょう。
1.睡眠の質の向上
マグネシウムの働きの一つが睡眠ホルモンであるメラトニンの合成。なんとマグネシウムにはメラトニン量をコントロールすることで自然な眠りを促進し、睡眠の質を高める効果が期待されているのです。
46名の高齢者がマグネシウム500mg/日を8週間摂取したところ、未摂取群と比較して不眠症重症度質問票(ISI)、身体活動、睡眠記録のア睡眠に関与するホルモンレニン・メラトニンは増加し、覚醒に関与するホルモンであるコルチゾールは減少しました。出典[1]
また、 151名の高齢者がマグネシウム320~729mg/日を経口摂取した試験では、未摂取群と比較して17.36分入眠までの時間が短くなったと報告されています。出典[2]
質の悪い睡眠は集中力を低下させるだけでなく、免疫力の低下や生活習慣病、うつ病のリスクも高まります。寝付きの悪さや朝起きにくい自覚がある人は、健康的な生活を送るためにも是非摂取したい成分ですね。
2.メンタルの改善
普段の生活でストレスを感じることはありませんか?過度のストレスが長期的にかかってしまうと、身体の防御反応により、身体・メンタルに不調をきたすことがあります。
ライチに含まれるマグネシウムには、神経伝達やうつ、不安などの精神症状が改善されるとの報告が上がっており、心の健康に有益な効果を及ぼすようです。
PHQ-9 スコア(うつ病の評価票)が5~19と軽中等度で、現在症状がある成人112名を対象とした研究が行われました。この研究では、対象者に塩化マグネシウム248mgを6週間摂取させたところ、PHQ-9スコアが平均6ポイント改善しています。また、数値の改善はマグネシウム摂取より2週間以内に観察され始めました。出典[3]
また、2型糖尿病および低マグネシウム血症である23名の高齢患者に、マグネシウム450mgに相当する塩化マグネシウム25%溶液50mLまたはイミプラミン50mg(抗うつ薬)を12週間服用する研究では、塩化マグネシウム摂取群はイミプラミン摂取群と同様の効果があることが示されました。出典[4]
ストレスを受けやすい現代は、ストレスの積み重ねでメンタル面に悪影響を及ぼしやすい環境と言えます。「最近気持ちが沈んでいる」「何事にもやる気が出ない」「疲れやすい」などで悩んでいる方は身体が出している危険信号かもしれません。ぜひマグネシウムを摂取して心の健康を維持しましょう。
3.運動能力の向上
マグネシウムは運動を行ううえで欠かせないミネラルのひとつ。エネルギー(ATP)産生、筋肉の収縮、電解質のバランスなど生体機能を維持する際に必要であり、運動中はたくさん消費されます。
筋肉中でエネルギーを産生する際に利用されるのはもちろんのこと、長時間運動した際に起こる脂肪分解でもエネルギー産生に利用される成分です。
18〜79歳の2,570名の女性を対象とした研究によると、食事からマグネシウムを十分に摂取することはあらゆる年齢において、筋肉量や筋力の低下を抑制することが示唆されました。また、脚の瞬発力はマグネシウム摂取が少ない群と多い群を比較して19.6 W/kgの差があると報告されています。
出典[5]
続いて、25名のプロバレーボール選手がマグネシウム350 mg/日を4週間摂取した研究を見てみましょう。マグネシウムを摂取した群では、乳酸生成の大幅な減少と、垂直跳びおよび腕振りを伴う垂直跳びの有意な増加(最大3 cm)が見られました。
出典[6]
運動パフォーマンスの向上はもちろんのこと、加齢による運動機能の低下改善についても効果が報告されています。
マグネシウム不足では、エネルギー不足による運動機能の低下の可能性が。普段からスポーツをしていたり、加齢による運動機能の衰えが気になる方は、マグネシウムの摂取を心がけましょう。
4.筋力の維持
人は誰しも加齢によって筋力低下・萎縮が起こります。近年、筋肉量の減少による歩行速度の低下、身体機能の低下をサルコペニアと呼び、予防の重要性が言われるようになりました。
筋肉が落ちてきても今のところ影響がなくても、そのまま放っておくと転倒やケガ、普段の生活が送れなくなる可能性も…
そこで筋力を維持する効果が期待されているのがライチに豊富に含まれるカリウムです。
65歳以上の男女384名を対象とした研究では、食事によるカリウムの摂取量が多いほど、除脂肪体重量の減少が少なかったと報告されています。出典[7]
継続的なカリウムの摂取は、筋肉量を維持する可能性が示唆されています。適度な運動はもちろんのこと、補助的にカリウムの摂取を行うことで、さらなる筋力アップと運動機能の維持を目指しましょう。
5.アンチエイジング
ライチに含まれるビタミンCですが、美容のイメージが強いのではないでしょうか?強力な抗酸化作用を持ち、細胞のダメージを防ぎ、コラーゲンの生成を促進することで、皮膚のハリや弾力性を保つ効果があります。
20~47歳の40名をビタミンE 2g/日の投与群、ビタミンC 3g/日の投与群、ビタミンE、Cの投与群、偽薬群に分けて50日間継続摂取した際の研究があります。摂取前後の紫外線に対する皮膚の炎症反応を比較したところ、ビタミンCとビタミンEの両方を50日間摂取したグループのみ、日焼けの炎症による紅斑の大きさ・赤みが他のグループと比較して有意に減少しました。出典[8]
アメリカで行われた全国健康栄養調査のデータベースと皮膚科検査を用いた分析研究があります。40~74歳の女性4025名を対象にビタミンCの摂取量と皮膚の変化について調査しました。すると、ビタミンCの摂取量が増えるほど、老人性乾皮症やしわなどのリスクが低下することが明らかとなりました。
出典[9]
ビタミンCは肌の健康や老化軽減に効果があるだけでなく、紫外線によるダメージからも肌を守ります。栄養バランスの取れた食事はもちろんのこと、ビタミンCも補助的に摂取し健康な肌を手に入れましょう。
6.骨を頑丈にする
骨を強くするのに必要な成分というと、真っ先にカルシウムが思い浮かぶかもしれません。しかし、骨を作る栄養素としてライチに含まれる「ビタミンC」「マグネシウム」も骨形成に重要な役割を果たしているのです。
アメリカで1948年から継続して行われている疫学研究のデータから骨密度に関するデータと推定ビタミンC摂取量を用いた分析調査が行われました。その結果、非喫煙者男性においてはビタミンC摂取量が多いほど大腿部の骨密度が高くなる傾向があることが判明しています。出典[10]
閉経後の骨粗しょう症女性20名にクエン酸マグネシウム 1,830mg/日を30日間摂取させたところ、マグネシウム未摂取群と比較して骨代謝のサイクルが低下することが報告されています。出典[11]
その他にも骨を強くする要因として日光浴、運動なども影響してきます。
骨密度が基準値より低いと指摘されたり、骨粗鬆症が心配な方は骨強化方法の1つとしてビタミンC・マグネシウムを含む食品が食事に取り入れられると良いですね。
7.血糖値の改善
食べすぎや運動不足など、不摂生な生活を続けることで血糖値が上がることがあります。自覚症状がなかなか無い為、健康診断で引っかかったとしても放っていませんか?
高い血糖値が続くと、腎症・神経障害・網膜症などの病気が併発する場合もあり、健康に悪影響を及ぼします。
ライチに含まれるマグネシウムは酵素の働きを助ける作用があり、血糖値を調節する効果があるというのです。
1966年から2007年2月までに行われた、マグネシウム摂取量と2型糖尿病の発生率との関連について調査されている前向きコホート研究を調査したところ、マグネシウム摂取量が多いほど2型糖尿病の発生率が低下することが明らかになりました。出典[12]
また、2型糖尿病の患者54名にマグネシウム 300mg/日を3ヶ月間投与したところ、プラセボと比較して空腹時血糖、食後2時間血糖の数値が改善しました。出典[13]
すでに糖尿病治療を行っている方はだけでなく、糖尿病の予防としてもマグネシウムは効果を示すようです。健康診断の結果で、血糖値が上がってきている方は意識的に摂取しましょう。
8.脳機能の改善
ライチには葉酸が含まれていますが、葉酸と聞くと妊婦さんが摂取する成分と思われがち。しかし、男女関係なく身体に必要な成分であり、脳機能の改善に効果を発揮することをご存知でしたか?
葉酸は脳内まで運ばれ、神経細胞のやり取りに関わります。記憶障害が見られるアルツハイマー病の患者さんは、血液中の葉酸が低いと言われており、葉酸の重要さが伺えますね。
すでにドネペジル(治療薬)で治療中のアルツハイマー病患者に、葉酸1250μg/日を6ヶ月間継続的に摂取させた群と未摂取群での血中成分の比較をした研究が行われました。すると、葉酸摂取群では炎症反応を示すTNFαの数値が低下したとの報告がされています。出典[14]
軽度認知障害の患者180名に葉酸 400μg/日を24ヶ月継続して投与したところ、未摂取群と比較して知能IQ、言語IQ共に数値が改善され、神経毒となるアミロイドβ の血中濃度が低下しました。出典[15]
葉酸は妊娠を考えている女性だけでなく、幅広い年代の男女に必要なビタミンです。最近物忘れが増えたと感じる方は、補助的に葉酸を摂取し脳の老化を緩やかにできるといいですね。
ライチでは摂取量が足りない・・・
以下のサイトを参考に、推奨量と照らし合わせて下さい
ライチには豊富なビタミン、ミネラルが含まれていることが分かりました。ところが、ライチ1個あたりの成分量をみてみると大変少ないことが分かります。出典[16]
ライチ:14g(1個20gの可食部)あたりのビタミン・ミネラル
葉酸(㎍) | 14 |
ビタミンC(mg) | 5.04 |
カリウム(mg) | 23.8 |
マグネシウム(mg) | 1.82 |
高齢者における推奨量と比較すると、ライチ1個では摂取量を満たしておらず、ライチだけで推奨量を満たそうとすると無理があることが分かりますよね。
その他食品から摂取をするのはもちろんのこと、不足しやすい成分はサプリメントで補う方法もあります。出典[17]
高齢者に1日に必要なビタミン・ミネラルの摂取量
男性 | 女性 | |
葉酸(㎍/日) | 240 | 240 |
ビタミンC(mg/日) | 100 | 100 |
カリウム(mg/日) | 350 | 280 |
マグネシウム(mg/日) | 3000以上 | 2600以上 |
効率的にサプリメントで補おう
ライチに含まれる有効成分は微量である為、補おうとすると大量に摂取しなければなりません。そこで手軽に効率よく必要な成分を摂取できるのがサプリメントです。
ドラッグストアやコンビニでも簡単に購入することができる成分なので、気になる成分1つからでも気軽に試すことができます。
古来、楊貴妃も好んで食べたと言われるライチに含まれる成分には健康増進のほか、美容にも効果を発揮することが分かりました。
人間が生きていく上で重要な脳機能の改善から骨の形成、アンチエイジングなど身体をトータル的に改善する効果が期待されています。加齢による機能低下が気になる方、普段から運動をする方は「葉酸」「ビタミンC」「カリウム」「マグネシウム」を摂取して、美しく健康な身体を目指しましょう。
出典
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