ビタミンEとは?9つの効果と適切な摂取方法
2022年9月6日更新

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

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ビタミンEとは

ビタミンEとはいったいどのような成分なのでしょうか。まずは、ビタミンEの働きや不足した場合の健康への影響、含まれる食べ物などについてご紹介します。

1.どんな栄養素?

ビタミンEは「脂溶性ビタミン」の一種です。食物や添加物に存在し、サプリメントとしても入手することができます出典[1]

ビタミンEは別名トコフェロールと呼ばれています。細かく分類すると8つの種類が存在しますが、体内やサプリの成分で使用されるのはα-トコフェロール出典[1]です。

ビタミンEが発見されたのは1922年ですが、ビタミンEの欠乏について研究報告されたのは1980年代になってからでした出典[3]


2.体の中でどんな働きをする?

ビタミンEは体内で強い抗酸化作用を発揮し、脂肪が酸化されると形成される「活性酸素」を制限する働きがあります。

私たちの体は食物をエネルギーに変換するときに活性酸素を形成します。また、タバコの煙や紫外線などの外的要因でも活性酸素が上昇する可能性があります。抗酸化作用を持つビタミンEは、これらの活性酸素から細胞を保護する役割を持っているのです出典[13]

また、ビタミンEは、抗酸化作用に加えて細胞の免疫機能にも関わっています。血管の内面を覆っているビタミンEが豊富であると、表面に付着している血球成分に対してよりよく抵抗することができます。これによって血管を拡張され、血行を良くして筋肉や各組織に栄養や酸素を効率的に運ぶことができるのです出典[13]

つまり、私たちの健康に必要な栄養や酸素が体内で有効に使われるためには、ビタミンEが不可欠といえます。

 

3.不足するとどんなリスクがある?

ビタミンEが欠乏すると、末梢神経障害運動失調骨格筋障害などを引き起こすことが知られています。また、網膜症や免疫応答の障害などの病気と関連があるともいわれています。

健康な人がビタミンEの欠乏を引き起こすことはほぼありませんが、未熟児や栄養失調の乳児の場合はビタミンEが欠乏する可能性があります出典[13]。乳児にビタミンEを補給した場合、網膜への合併症のリスクが軽減される可能性がありますが、感染のリスクも高まる恐れもあるため注意が必要です出典[13]


4.どんな食材に含まれている?

ビタミンEは魚介類、野菜類、種実類(ナッツ)、油脂類に多く含まれています。

【ビタミンEを豊富に含む食品(魚介類)とその含有量(100gあたり)】出典[4]

食品名状態など含有量
あんこう(肝)14.0㎎
にじます皮付き、生5.5㎎
あゆ皮付き、生5.0㎎
うなぎかば焼き4.9㎎


【ビタミンEを豊富に含む食品(野菜類)とその含有量(100gあたり)】出典[4]

食品名状態など含有量
モロヘイヤ6.5㎎
西洋かぼちゃ4.9㎎
赤ピーマン4.3㎎
ブロッコリー3.0㎎
にら2.5㎎


【ビタミンEを豊富に含む食品(種実類)とその含有量(100gあたり)】出典[4]

食品名状態など含有量
アーモンド乾燥30㎎
ヘーゼルナッツフライ18㎎
落花生乾燥10㎎


【ビタミンEを豊富に含む食品(油脂類)とその含有量(100gあたり)】出典[4]

食品名状態など含有量
ひまわり油39㎎
綿実油28㎎
ぶどう油288㎎
サフラワー油27㎎

効率よくビタミンEを摂取できる食べ物としては、ナッツ類が挙げられるでしょう。また、普段から炒め物や魚介類のフライを食べているという方も、ビタミンEを十分に摂取できていると推測できます。


 

ビタミンEに確認されている作用や効果

ビタミンEは、日々の食事で不足しがちな人がサプリメントなどで不足を補うと健康が増進されますまた、一部の症状はビタミンEを摂取する事で改善する場合もあるようです。

1.動脈硬化の改善

ビタミンEは動脈硬化を改善させる働きがある栄養素です。

血液中の悪玉(LDL)コレステロールが酸化すると、血管の中に溜まって血管の壁が厚くなってしまいます。これによって引き起こされる症状が動脈硬化です。ビタミンEは抗酸化作用で悪玉(LDL)コレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化を予防する働きがあるのです出典[1]出典[5]

また、血管の細胞膜は、ビタミンEの欠乏によって老化が進みます。ビタミンEは悪玉(LDL)コレステロールの酸化だけでなく、血管そのものの老化を防ぐ効果があるのです。

36名の健康な男性を対象とした研究によると、ビタミンEを十分に摂取することは血管の負担を軽減させることが示唆されました。特に動脈硬化の危険因子と考えられている「血液中の酸化状態」と「大動脈の収縮期血圧」は、ビタミンEの摂取が多ければ多いほど改善することが分かっています出典[5]

動脈硬化は高血圧や脳梗塞、心筋梗塞の原因となる症状です。血圧が気になる人や、血管の老化を防ぎたいという方はビタミンEの摂取を意識してみましょう。

 

2.血栓の予防

心臓発作や静脈血栓塞栓症の原因となるのが血管内で形成される血栓です。ビタミンEの摂取によって、血栓の発症リスク軽減が期待されています出典[6]

45歳以上の女性39,876名において、600IUの天然ビタミンEを隔日で投与したグループと投与しなかったグループで比較したところ、ビタミンEを投与したグループは、投与していないグループに比べて10年後の血栓発症リスクが20%以上少ないことが明らかになりました出典[6]

血液ドロドロ状態といわれている方、将来の血栓発症リスクが心配だという方は、ビタミンEの摂取を忘れずに行いましょう。

 

3.CHDの予防と発症遅延

ビタミンEは、冠動脈性疾患(CHD)の予防や発症遅延にも役立つとされています。

現在の臨床試験において、ビタミンEのサプリメントを日常的に摂取することがCHDなどの心血管系疾患を予防したり、死亡率を低下させたりすることを示す科学的根拠は得られていません。しかし、複数の研究において、ビタミンEの摂取量増大とCHDを始めとした心疾患の発生率の低下の関連性が注目されているのです出典[1]出典[2]

約90,000人の看護師を対象とした研究において、主にサプリメントを使ったビタミンE最大摂取者では心疾患発症率が30〜40%低いことが分かっています。また、平均14年間のフィンランド人の男女5,133人に対する調査においても、食事によるビタミンE摂取量が多いほど、CHDによる死亡率が低いことが判明しました出典[1]

このため、心疾患の予防をしたいという方には、ビタミンEのサプリメントをおすすめされることが多いのです。

 

4.月経痛の軽減

ビタミンEは、月経痛(原発性月経困難症)の緩和にも効果を示すとされています。

月経痛(原発性月経困難症)に苦しんでいる15〜17歳の女性278名に、予想される月経開始2日前から出血の最初の3日間までの間にビタミンEを1日2回200単位を投与しました。4つの連続した月経期間に渡って行われた結果、痛みの重症度と痛みの持続期間、出血量が有意に低下しました出典[7]

このことから、ビタミンEは月経痛に悩まされている方にはぴったりの栄養素であるといえます。

 

5.高齢者の免疫強化

ビタミンEは、高齢者の免疫応答を強化することが示されています。高齢者がかかりやすい病気の1つに呼吸器感染症が挙げられます。呼吸器感染症の発症によって医療サービスの利用が増加しているのです。

マサチューセッツ州ボストン地域の長期ケア施設33か所で行われた調査では、65歳以上の利用者617名のうち、ビタミンEを200 IU投与したグループは上気道感染症、特に一般的な風邪の発症率が有意に低くなることが分かりました出典[8]

このことから、高齢者の風邪予防には、ビタミンEの補給がおすすめなのです。

 

6.アルツハイマー症による認知機能低下の抑制

ビタミンEを摂取することでアルツハイマー症による認知機能低下を防ぐ効果が期待されています。

軽度から中等度のアルツハイマー症の患者613名にビタミンEを2000 IU毎日投与したところ、アルツハイマー症による認知機能の低下が年間19%抑制されていることが示唆されました出典[9]。また、ビタミンEを投与した患者を介護する人の負担を軽減できているといった結果も得られています出典[9]

ご家族にアルツハイマー症による認知機能低下の症状がみられる方は、主治医と相談してビタミンEの導入も検討してみましょう。

 

7.脂肪肝の改善

非アルコール性の脂肪肝は、肝硬変に進行する可能性のある一般的な肝臓の疾患です。ビタミンEは、こうした非アルコール性脂肪肝を改善する可能性があると考えられています。

糖尿病のない非アルコール性脂肪肝の成人患者247名のうち、ビタミンEを1日800IU投与したグループは、非アルコール性脂肪肝の改善率が有意に高いことが分かりました出典[10]

肝臓の数値が気になる、脂肪肝の診断を受けている方は、ビタミンEを積極的に摂取することが望ましいですね。

 

8.筋肉損傷からの保護

筋肉トレーニングなどの運動によって生じる筋肉損傷の緩和に、ビタミンEが効果を示すとされています。

トップクラスのレーシングサイクリスト30名に、5ヶ月にわたりビタミンEを投与しました。その結果、身体能力や乳酸の濃度は改善しませんでしたが、筋肉の損傷を示す筋肉内の酵素であるCK(クレアチニンキナーゼ)の血中濃度が有意に低下しました出典[11]

また、激しい運動によって筋肉の脂質酸化が生じることを示す酵素である「マロンジアルデヒド」の血中濃度が低下していることも分かりました。ビタミンEの抗酸化作用が、筋肉の保護にも影響を与えているといえるのです。

身体を鍛えている方や、筋肉の疲労を和らげたいと考えている方はビタミンE補充が不可欠であるといえますね。

 

9.脱毛症患者の毛髪数増加

脱毛の原因の一つとして、血行不良が挙げられます。ビタミンEは抗酸化作用により毛細血管を広げて血行を良くし、頭皮に必要な栄養や酸素を隅々まで運ぶことで脱毛症の症状を和らげます。

ビタミンEとビタミンCの血管機能への影響について調査したところ、ビタミンEとビタミンCの両方で血管機能の改善が見られました出典[12]

また、ビタミンE単独でも血管機能が改善されることが分かりました出典[13]

頭皮や毛髪の健康状態が気になるという方は、ビタミンEが不足しないように気を付けておきましょう。
 

ビタミンEの飲み方や注意点

通常、一般的な食生活を送る方ではビタミンEの過剰摂取は心配ないとされています。ただし、サプリメントの利用による過剰摂取があった場合は、血液凝固作用が抑制され、血液が固まりにくくなる恐れがあるため注意しましょう。

さらに、服用中の薬によってはビタミンEのサプリメント摂取が制限される場合があるため、事前にかかりつけ医に相談しておくと安心です。

1.どのくらい摂取すればいい?

1日あたりのビタミンEの目安量は以下の通りです。ちなみに、目安量はビタミンEのうちα-トコフェロールのみ示されています。

【ビタミンEの1日あたりの食事摂取基準(目安量)】出典[13]

性別/年齢男性女性
1~3歳3.5mg (5.2IU)3.5mg (5.2IU)
4~8歳5.0mg(7.45IU)5.0mg(7.45IU)
9~13歳7.5mg(11.2IU)6.0mg(11.2IU)
14~18歳6.5mg (9.7IU)6.0mg(11.2IU)
19歳以上6.5mg (9.7IU)6.0mg(11.2IU)

また平均摂取量は男女ともに6.7mg出典[15]となっており、目安量と比べると平均的には摂取できているようです。


2.健康上限摂取量は?

1日あたりのビタミンEの耐容上限摂取量は以下の通りです。ちなみに、太陽上限量はビタミンEのうちα-トコフェロールのみ示されているものです。

【ビタミンEの1日あたりの食事摂取基準(耐容上限量)】出典[13]

性別/年齢男性女性
1~3歳200mg (298IU)200mg (298IU)
4~8歳300mg(447IU)300mg(447IU)
9~13歳600mg(894IU)600mg(894IU)
14~18歳800mg (1192IU)800mg (1192IU)
19歳以上1,000mg(1490IU) 1,000mg(1490IU) 

また、高用量(一度に400IU以上)のビタミンEサプリメントを摂取すると、死亡率の増加に繋がるといったデータがあるため注意が必要です出典[14]

1966年から2004年までの調査によって、135,967人の参加者のうち、高用量(400 IU以上)ビタミンEを投与したグループにおいて死亡率が有意に増加することが分かりました出典[14]

このため、ビタミンEが健康増進に効果的といっても、サプリメントで一度に大量に摂取し過ぎないように気をつける必要があるのです。

 

3.相性の悪い薬はある?

ビタミンEはビタミンKによる血液凝固を抑制する働きを持っています。そのため、ワルファリンなどの抗凝固薬または抗血小板薬と一緒に服用し、ビタミンKの摂取量が少ない場合、出血のリスクが高まる可能性があるため注意が必要です出典[13]

ワルファリンなどの抗凝固薬や抗血小板薬を服用中の方は、ビタミンEサプリメントを使用する前にかかりつけ医に相談しておきましょう。

 

4.理想の摂取方法やタイミングはある?

ビタミンEは、皮膚や筋肉の健康や生活習慣病対策などへの効果が期待されていたりする成分です。そのため、普段の生活の中で、ビタミンEを多く含む食べ物を積極的に取り入れたり、必要に応じてサプリメントを使用するのがよいでしょう出典[13]

ちなみに、ビタミンEは脂溶性の成分であるため、サプリメントの場合でも食事と一緒に摂取した方がよいとされています。。
 

まとめ

ビタミンEは脂溶性ビタミンの一種であり、体内の脂質の酸化を防いで人体の老化を食い止める働きがあります。

毛細血管を拡張させて血行を良くし、動脈硬化や皮膚の老化を防ぐ働きを持つビタミンEは、生活習慣病の予防とも深い関わりがあることが分かっています。さらにCHDの予防や月経痛の軽減、高齢者の免疫機能改善やアルツハイマー症による認知機能改善効果などへの期待も高まっています。

ビタミンEの推奨摂取量には基準があるものの、実際の摂取量は不足傾向にあるようです。私たちの体に不可欠なミネラル「ビタミンE」を積極的に摂取する意識を持つことが大切であるといえるでしょう。

 


出典[12]

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