ビタミンB6(ピリドキシン酸)とは?3つの効果と適切な摂取方法
2022年9月6日更新

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

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ビタミンB6(ピリドキシン酸)とは

まずはビタミンB6の基本情報についてご紹介します。

1.どんな栄養素?

ビタミンB6(ピリドキシン酸)は水溶性ビタミンの一種出典[1]で、肉類や魚介類、穀物など、自然界に多量に存在しています。

また、ビタミンB6はピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンなどの種類があり、体内で補酵素に変化することで作用します出典[1]出典[7]

 

2.体の中でどんな働きをする?

ビタミンB6は、アミノ酸やタンパク質の代謝反応や糖質代謝、脂質代謝など、体の中で100種類以上の反応に関わっています出典[1]。また、ビタミンB6はホモシステインと呼ばれるアミノ酸の血中濃度を一定に保つ働きも持っています。

その他、ビタミンB6は免疫反応や血中のヘモグロビンの形成にも関わっており、私たちの健康を維持するために欠かせない栄養素であることが分かります出典[1]

 

3.不足するとどんなリスクがある?

ビタミンB6の不足が単独で発生することはほぼないといわれています。ビタミンB6の不足は、ビタミンB12や葉酸など、他のビタミンB群が欠乏することによって同時に起こるのです出典[1]

さらに、ビタミンB6の不足は摂取不足の他にも、腸からの吸収が不十分であることや腎臓から過剰に排泄されることで起こります。通常の食事が摂れていればビタミンB6が不足することはあまりありませんが、腎機能に障害のある方や自己免疫疾患のある方、アルコール依存症の方はビタミンB6不足が起こる恐れがあるため注意が必要です出典[1]

特に、アルコールを大量に摂取する方はアセトアルデヒドの分解にビタミンB6を使うため、アルコール依存症があってもなくてもビタミンB6の補給をしておくことがおすすめです出典[1]

ビタミンB6が不足すると、口角炎などの皮膚炎気分の落ち込み免疫機能の低下などの症状を引き起こす恐れがあります。また、乳児にビタミンB6不足が起きた場合、易刺激性(些細なことでイライラしやすくなる状態)や聴覚過敏、けいれん発作に繋がるともいわれています出典[1]

 

4.どんな食材に含まれている?

ビタミンB6は魚介類やレバーなどの内臓肉に特に多く含まれています。

【ビタミンB6を豊富に含む食品(魚介類)とその含有量(100gあたり)】出典[2]

食品名状態など含有量
くろまぐろ赤身・生0.85mg
かつお春獲り・生0.76mg
しろさけ0.64mg
まさば0.59mg


【ビタミンB6を豊富に含む食品(肉類)とその含有量(100gあたり)】出典[2]

食品名状態など含有量
牛レバー0.89mg
鶏むね肉皮付き・生0.57mg
豚ヒレ肉赤肉・生0.54mg
鶏レバー0.65mg
牛サーロイン肉赤肉・生0.50mg
鶏ささみ0.62mg
豚レバー0.57mg
豚もも肉0.41mg

また、ビタミンB6が体内で効率よく働くためには、ビタミンB2が必要となります。ビタミンB6が豊富な魚介類や肉類には、ビタミンB2が豊富なチーズなどの食材を合わせることがおすすめです。
 

ビタミンB6(ピリドキシン酸)に確認されている作用や効果

それでは、ビタミンB6に期待できる主な効果を3つ紹介していきます。ビタミンB6の他にも、葉酸やビタミンB12などのビタミンB群を合わせて摂取することで得られる効果も報告されています。

1.気分の調節をサポート

ビタミンB6はうつなどの精神症状の緩和気分の調節にも関わっています。これは、セロトニンやドーパミンなど、気分の調節に関わるホルモンの形成にはビタミンB6が必要となるためと考えられます。

カリブ海ヒスパニック系の高齢者618名と非ヒスパニック系白人高齢者251名に対して、血液中のビタミンB6濃度と抑うつ症状の関係について調べた結果、血液中のビタミンB6濃度が不足している(20 nmol / L未満)と、うつ病のリスクが約2倍となっていることが分かりました出典[4]

気分の落ち込みに悩んでいる方や、加齢によるうつ状態を防ぎたいという方は意識してビタミンB6を摂取してみましょう。

 

2.葉酸&B12との組み合わせで脳卒中リスクの低減

ビタミンB6に葉酸とビタミンB12を組み合わせることで、脳卒中や心血管疾患のリスクを軽減できる可能性があるとされています出典[1]出典[5]

心疾患のある成人5500人以上において、ビタミンB6(50 mg/日)、ビタミンB12(1.0 mg/日)、葉酸(2.5mg/日)を5年間補給した結果、脳卒中のリスクが約25%低下しました出典[1]。ただし、この研究ではビタミンB6のみを補給した場合のデータが得られていないため、ビタミンB6単独の影響とは限らないのが現状です出典[5]

将来脳卒中が心配だという方は、ビタミンB6と一緒に葉酸やビタミンB12の摂取を積極的に行いましょう。

 

3.PMS症状の緩和

月経前の精神的症状(イライラや不安感など)や身体的症状(腹痛や頭痛など)を表すPMS(月経前症候群)の緩和に、ビタミンB6が効果を示すとされています。

ビタミンB6は神経伝達物質の生合成に関わっているため、PMSによる精神的症状の緩和に特に効果があると考えられます。

PMSの症状がある女性94名において、毎日80 mgのビタミンB6を月経周期で3周期投与したところ、不安感や気分のムラ、易刺激性、もの忘れ、腹部膨満など、PMSによる幅広い症状が有意に減少したという結果が得られました出典[1]

また、ハマダン医科大学の76名の学生に対して1日2回カルシウム錠剤(500mg)とビタミンB6(40mg)を補充する群と、ビタミンB6補充する群の2グループに分けて調査しました。その結果、カルシウムとビタミンB6を合わせて使用すると、2か月後の月経前症候群の症状が有意に軽減されたことが分かりました出典[6]

これにより、ビタミンB6によるPMS症状の緩和は、カルシウムと合わせて摂取することで効果を高めることができると考えられます出典[6]

月経前のイライラや、体の不快な症状に悩んでいる方にはビタミンB6とカルシウムを合わせて摂取しておくと安心できますね。
 

 

ビタミンB6(ピリドキシン酸)の摂取方法や注意点

ビタミンB6が不足すると皮膚炎や気分の落ち込みなどのリスクがあることが報告されています%%%出典%%%。

また、ビタミンB6の過剰摂取は通常の食生活ではほとんど起こらないとされていますが、サプリメントや薬剤を使用している方は摂り過ぎにならないよう注意が必要です。

1.どのくらい摂取すればいい?

1日あたりのビタミンB6の摂取推奨量は以下の通りです。

【ビタミンB6の1日あたりの食事摂取基準(推奨量)】出典[1]

性別/年齢男性女性妊婦授乳婦
0~6カ月0.1mg0.1mg  
7~12カ月0.3mg0.3mg  
1~3歳0.5mg0.5mg  
4~8歳0.6mg0.6mg  
9~13歳1.0mg1.0mg  
14~18歳1.3 mg1.2 mg1.9 mg2.0 mg
19~50歳1.3 mg1.3 mg1.9 mg2.0 mg
51歳以上1.7 mg1.5 mg  

ビタミンB6の平均摂取量は男性で2.0mg、成人女性で1.5mg出典[1]となっており、現状は摂取推奨量を概ね満たしているとされています。

ただ、妊婦におけるビタミン B6の平均摂取量は推定平均必要量に対して約 60%の値との報告が得られています出典[10]

なおビタミンB6は、マルチビタミンやビタミンB群、ビタミンB6単体としてのサプリメントから摂取することもできます。また、ビタミンB6が不足している場合は他のビタミンB群の不足も同時に起きている可能性が高いため、注意が必要です出典[1]

 

2.健康上限摂取量は?

ビタミンB6は過剰摂取による健康被害(感覚ニューロパシー)が報告されており、耐容上限量(健康上限摂取量)が設定されています出典[8]

1日あたりのビタミンB6の上限摂取量は以下の通りです。

【ビタミンB6の1日あたりの食事摂取基準(許容上限摂取量)】出典[1]

性別/年齢男性女性妊婦授乳婦
0~6カ月--  
7~12カ月--  
1~3歳30mg30mg  
4~8歳40mg40mg  
9~13歳60mg60mg  
14~18歳80mg80mg80mg80mg
19歳以上100mg100mg100mg100mg

通常、一般的な食生活を送る健康な方ではビタミンB6の過剰摂取は心配ないとされています。万が一摂り過ぎてしまった場合でも、尿中に排泄されるため体内に蓄積されることはほとんどありません。ただし、サプリメントや薬剤などの利用による過剰摂取があった場合は、腎臓結石や手足のしびれを起こす可能性があるため注意しましょう出典[1]

 

3.相性の悪い薬はある?

ビタミンB6のサプリメントと相性の悪い薬は特になく、安全に摂取できる成分とされています。

ただし、抗てんかん薬など一部の薬剤を長期的に服用している方はビタミンB6が不足しやすいため注意が必要です出典[1]出典[3]

 

4.理想の摂取方法やタイミングはある?

ビタミンB6などの水溶性ビタミン(ビタミンB1、B2、ナイアシン、B6、B12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンC)は、余分に摂取しても尿中に排泄されるため、過剰摂取となるリスクは高くありません出典[1]出典[9]

そのため、日頃から体を動かす機会が多く、たんぱく質代謝や脂質代謝の必要性が高い方はビタミンB6を推奨量よりも少し多い量を摂取しても問題はないとされています出典[1]出典[9]
 

 

まとめ

ビタミンB6は水溶性ビタミンの一種であり、体内で行われる様々な代謝反応に関わっている栄養素です。また、ビタミンB6は、気分や精神状態のサポートと深い関わりがあることが分かってきました。さらに脳卒中やPMS症状の軽減に繋がるとして期待されています。

ビタミンB6の摂取量は概ね満たしているといわれているものの、アルコール依存症の方や腎機能に障害のある方、自己免疫疾患のある方などはビタミンB6が不足しやすいのが現状です。私たちの体に不可欠なビタミンB6が不足しないよう、日々の食事から意識することが大切でしょう。

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