性欲が落ちた、太りやすくなった、気分が落ち込むことが増えた、などの悩みは、とくに40代以降の男性によく見られるようです。

大きな原因とされているのが、男性ホルモンのひとつ「テストステロン」の低下。テストステロンはやる気や活力、性欲、性機能、筋肉の合成効率などを高める働きがあり、男性のたくましさや精力を支えるホルモンとして有名です。

しかしテストステロンの体内量は40歳から急速に減少し、ホルモンバランスの乱れから、次のような症状を生じる場合もあります^出典[1]。

テストステロンの減少は、筋肉や骨、性機能への変化はもちろん、怒りや不安といった精神面にも好ましくない影響をもたらすようです。

これらの症状を抑えるためには、やはりテストステロンの減少を食い止めることが重要。臨床では「テストステロン補充療法」をおこなう場合もありますが、肝機能障害や前立腺疾患、多血症などの副作用を生じる場合があることから^出典[2]、治療に踏み切れない方も少なくないようです。

より手軽にテストステロンを維持するための方法として、食事、運動、飲酒、睡眠、ストレス管理といった生活習慣の改善が挙げられます。とくにサプリメントは忙しい40代男性にうってつけの選択肢。テストステロンの減少を食い止める効果のあるサプリメントを活用して、若々しく元気な体を目指しましょう。

テストステロンを高める機能を持ったサプリメントは「テストステロンブースター」として知られています。

今回はテストステロンブースターのなかから、40代以降の男性への効果が高いものについて厳選しました。

LJ100

LJ100は、マレーシアの熱帯雨林から採取できる植物の根「トンカットアリ」が原料のサプリメントです。22%のユーリペプチドと40%のグリコサポニン、ポリサッカライド20％を含むトンカットアリ抽出物が、LJ100として規格化されています^出典[3]。

それぞれの成分には次のような効果が期待できます。

【LJ100の有効成分と主な効果^出典[3]】

グリコサポニンの抗酸化作用やポリサッカライドによる活性酸素の発生防止効果は、テストステロンの合成場所である精巣を守るように働きます。精巣は活性酸素によるダメージを受けやすい組織^出典[6]。精巣を若々しく保つことで、テストステロンの減少を防ぐ効果が期待できるでしょう。

ユーリペプチドに確認されているアロマターゼ阻害効果とは、テストステロンを女性ホルモンのエストラジオールへと変換する酵素、アロマターゼの働きを抑える働きのこと。エストラジオールへの変換量を減らせれば、テストステロンの量も増えやすくなるでしょう。

実際に50～70歳の男性35名がトンカットアリ抽出物200mgを摂取したところ、12週間後に総テストステロンが約12.5％、遊離テストステロンが約16.9％増加したとの結果が得られています。

さらにこの試験では、摂取から2週間後の時点ですでに遊離テストステロンが約10.4％増加していたことも確認されています^出典[7]。

トンカットアリ抽出物はサプリメントのなかでも、比較的早期から効果を実感しやすい成分とも言えるでしょう。

テスノア

テスノアは有効成分のプニカラギンを3.5%、テオブロミンを0.5%含むものとして規格化されたサプリメントです。プニカラギンはザクロ由来のポリフェノールで、テオブロミンはカカオ由来のアルカロイド。どちらも抗酸化作用や抗炎症作用、血管拡張作用に優れています。

テスノアの有効成分由来の抗酸化作用は、過剰な活性酸素から精巣を守るように働きます。活性酸素は激しい運動や血糖値スパイク、強いストレスに加え、加齢によっても増加が見られる物質。年齢を重ねるほど、活性酸素の影響は蓄積されていくものです。精巣の若々しさを取り戻すためには、抗酸化物質による活性酸素の無害化がとくに重要と言えそうですね。

実際に120名の36～55歳の男性がテスノアを8週間摂取した臨床試験では、次のような結果が得られています。

【テスノア摂取による血清ホルモンやAMSスコアへの影響^出典[8]】

テストステロンのなかでも、活性を示す遊離テストステロンに大きな増加が見られることがわかるでしょう。

さらに更年期症状による生活の質の低下を点数の高さで評価する「AMSスコア」においても有意な変化が見られています。AMSスコアは症状が重くなるほど高くなるため、テスノア摂取によりスコアが低下し、生活の質が改善されたことが読み取れますね。

テスノアは経口摂取において大きな副作用を生じない、安全な素材であることも証明されています。サプリメントの摂取に不安がある方でも安心して継続できるでしょう。

テストフェン

テストフェンはインドや中東などで採れる植物「フェヌグリーク」の種の抽出物です。フェヌグリークの種はカレーやスープなどのスパイスに使用されており、お茶として飲んだりサラダや炒め物に加えたりする場合もあるようです。

テストフェンはフェヌグリーク抽出物のなかでも「フェヌサイドと名付けた一連のサポニン化合物グループが50％以上のもの」と規格化されています。フェヌグリークの食後高血糖予防や肥満の改善などの健康効果を、高いレベルで得られるサプリメントと言えるでしょう。

フェヌグリークではサポニンの一種であり天然のステロイド化合物、ジオスゲニンを多めに摂取できます。

ジオスゲニンはテストステロンの前駆体「DHEA」に似た構造をしています^出典[9]。DHEAの量はテストステロンの合成量に関わることから、似た構造を持つジオスゲニンもまた、テストステロンを増やすように働くのではと考えられているのです。

実際に43～70歳までの健康な男性を対象とした研究では、フェヌグリーク抽出物を1日600mg、12週間摂取したところ、総テストステロンが約12.1％、遊離テストステロンが約9.5％増加したと報告されています。

さらにAMSスコアにおいても約30％のスコア減少が見られており、中等度の更年期障害が軽度と判定できるレベルにまで改善したとの結果も得られました^出典[9]。

テストフェンの安全性は、若い男性がテストフェンを8週間摂取した研究において確認されています。生化学的・血液学的パラメータに有意な変化が起こらず、安全性の高いサプリメントであると報告されているため^出典[10]、より安心して飲めるでしょう。

ただしテストフェンはスパイスとして用いられる成分である関係上、においが強い傾向にあります。体にあわない可能性も考え、まずは少量から試してみましょう。

ノコギリヤシ

ノコギリヤシはアメリカ原産のヤシ科の植物で、欧米にて古くから医療ハーブとして用いられてきた歴史があります。血中のLDLコレステロールを減らすオレイン酸や、腸管でのコレステロールの吸収を抑えるβ-シトステロールが、ノコギリヤシの主な有効成分です。

β-シトステロールには血中脂質のバランスを改善する効果に加え、5-αリダクターゼを阻害する効果も確認されています。

5-αリダクターゼはテストステロンをジヒドロテストステロン（DHT）に変換させる働きを持つ酵素。5-αリダクターゼの働きが強まると、やる気や活力、性欲の増加などに関わるテストステロンが減ることに加え、抜け毛やニキビ、前立腺肥大などのリスクを高めるDHTが増えてしまうのです。

5-αリダクターゼは加齢とともに増加し、年齢が上がるほどDHTの形成指数も増加することがわかっています^出典[11]。性機能の低下や気分の落ち込みに悩む方はもちろん、薄毛や肌荒れのトラブルが多い方においても、DHTの増加は避けたいものですよね。

ノコギリヤシの効果について調べた研究を2件確認します。良性前立腺肥大症を有する40～65歳の男性99名がノコギリヤシ500mgを12週間摂取した臨床試験では、5-αレダクターゼの減少とともに、血清テストステロン値の増加や、男性更年期障害に関するスコアの改善、前立腺肥大症の症状の軽減が認められました^出典[12]。

さらに23～64歳までの軽度から中等度の男性型脱毛（AGA）患者がノコギリヤシエキスを経口摂取した試験では、10名中6名に改善が見られたとの結果も得られています^出典[13]。

薄毛やニキビのトラブルをあわせて解決したい場合には、ノコギリヤシの摂取が役立つかもしれません。

男性の更年期症状の改善に加え、薄毛に悩む方にもノコギリヤシの摂取が役立つ可能性がありそうですね。

マルチビタミンミネラル

ビタミンやミネラルのような微量栄養素のなかには、テストステロンに関わるものが複数存在します。テストステロンとの関係が判明しているビタミンやミネラルとして、主に次のようなものがあります。

ビタミンDや亜鉛の体内量と、テストステロンの体内量には相関関係があることがわかっています^{出典[18]出典[19]}。これらの栄養素の不足を防ぐことで、テストステロンを増やしやすくする効果が期待できそうですね。

マグネシウムは、SHBGとテストステロンの結合をブロックするように働きます。結合テストステロンが減少することで、相対的に結合していない遊離テストステロンが増えるため、よりテストステロンの効果を得られるようになるでしょう。

また、亜鉛やマグネシウム、セレンなどは抗酸化物質としても機能します。加齢にともない増加する活性酸素に対抗する手段として役立つでしょう。

ホウ素は必須ミネラルではありませんが、テストステロンに関わるさまざまな効果が確認されています。サプリメントから摂ることで、40代以降に生じやすいさまざまな不調を軽減する効果が期待できるかもしれません。

プリマビエ

プリマビエはヒマラヤ山脈で採取できる、天然の腐植土と植物性有機物の混合物を指します。天然のものはシラジットとも呼ばれていますね。

夏にヒマラヤの岩からにじみ出る黒い粘着性の浸出液を集めたプリマビエには、ミネラル類やハーブの有効成分が非常に高濃度で含まれています。ミネラル以外の固有の構成物質として「フルボ酸」が特徴的です。

フルボ酸は強力な抗酸化作用を持つことに加え、ミネラル類の細胞への輸送を助け、新陳代謝を活発にして体内のエネルギー産生を促すように働きます^出典[20]。ミネラルの利用効率を高めたり、活性酸素から精巣を守ったりする効果が、テストステロンの増大に役立つと考えられているのです。

実際に乏精子症を原因とする不妊男性患者28名が精製シラジットのサプリメント100mgを、食後に1日2回、90日間続けて摂取した結果、テストステロンが23.5％増大したという結果が得られています。

さらに精子数が37.6％、精子の運動性が12.4～17.4％、正常な形態の精子数が18.9％増加したことも確認されており、精巣が保護されたことで精子の質にもよい影響があったことがわかるでしょう^出典[21]。

40代からの不調の改善とあわせて不眠の改善を考えている方には、プリマビエが役立つ可能性がありそうですね。

男性は40代以降、テストステロンが急激に減少してさまざまな不調をきたしがち。テストステロンの減少を食い止める効果を発揮するサプリメントを活用して、体質改善に役立てましょう。

なお、本記事で紹介したサプリメントは研究においてすべてテストステロンを増やす効果が確認されていますが、どのサプリメントが効果を発揮しやすいかには個人差があります。相性の悪いサプリメントでは十分な効果が得られないかもしれません。

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