監修者
NP+編集長/NESTA-PFT
大森 新
筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識を発信できるよう日々邁進中。
執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
テストステロンブースターってどんなもの?
テストステロンブースターにはどのような効果があるのか、体内でどのように作用しているのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
まずはテストステロンブースターの概要について解説します。
テストステロンの分泌を増やすもの
テストステロンブースターはその名のとおり、男性ホルモンであるテストステロンを増やすように働く成分です。テスノア、LJ100、トンカットアリなど、さまざまな種類がサプリメントとして販売されていますね。
テストステロンには男性の性欲や性機能の向上はもちろん、やる気や活力と言ったメンタル面、筋肉の合成効率やエネルギーの消費といった身体面への作用も確認されています。テストステロンを増やすことで、主に次のような効果が期待できるでしょう。
- 性欲、勃起、射精の問題を解決しやすくなる
- 精子の質を高めて妊活の成功率アップ
- やる気や活力を高めてエネルギッシュに
- 引き締まった体づくりやダイエットをサポート
テストステロンは本来、男性の体で積極的に分泌されるもの。しかし35~40歳を超えると、活性の高い遊離テストステロンは1年に1~3%ずつ減少するとも言われています出典[1]。
40歳以降に現れやすい、性機能の低下や気分の落ち込みなどの更年期障害の症状も、加齢にともなうテストステロンの減少が大きく関係しています。
テストステロンブースターは加齢にともなうテストステロンの減少を食い止めるよう作用するため、更年期の辛い症状を緩和し、若々しさを保つ役割も期待できるでしょう。
実際に有名なテストステロンブースターであるテスノアやトンカットアリ抽出物の摂取では、テストステロンの増加とともに、更年期症状による生活の質の低下を点数の高さで評価する「AMSスコア」の低下も確認できています出典[2]出典[3]。
たくましくなりたい方にも、加齢にともなう不調に悩む方にも、テストステロンブースターは役立ちそうですね。
分泌能力を100%以上発揮するブースト効果が期待できる
テストステロンを増やす効果が確認されている栄養素として、テスノアやLJ100のようなブースターのほかに、ビタミンDや亜鉛などの基本栄養素があります。
私たちの体には元々、テストステロンを分泌する力が備わっていますが、基本栄養素が不足していては分泌能力を十分に発揮できません。栄養不足による分泌力の低下を防ぐ意味で、ビタミンDや亜鉛の補給は効果的と言えそうですね。
ただし基本栄養素の摂取やテストステロンの状況に問題がない場合、基本栄養素をさらにプラスすることによる効果はほぼないことがわかっています。
たとえば1日に十分量の亜鉛を摂取できている男性や出典[4]、血中テストステロン値が大きく低下していない男性が亜鉛を補給する研究では出典[5]、テストステロンや性機能へのよい変化は確認できなかったと報告されています。
基本栄養素の摂取では、テストステロンを「さらに増やす」効果が出にくいことがわかるでしょう。
テストステロンの分泌能力が60%に低下しているものを、栄養不足の解消により100%に近い状態へ戻す。基本栄養素の効果はこのように発揮されると考えた方がよさそうですね。
一方でテスノアやLJ100のようなテストステロンブースターは、すでにあるテストステロンの分泌能力をさらにブーストするためのもの。100%の分泌能力を発揮できている状態から、さらに量を増やせる可能性のある成分です。
食事バランスをはじめとする生活習慣に気を付けたうえで「もっと」を望む方には、テストステロンブースターの摂取が役立つかもしれません。
テストステロンブースターの効果が出ないのはなぜ?
このように、テストステロンブースターには、男性のテストステロン分泌能力をさらに高める効果が期待できます。しかしテストステロンブースターを飲んでも効果を実感できず、悩んでいる方も少なくないようです。
テストステロンブースターの効果が出ない理由として、考えられるものを5つ解説します。当てはまる項目がある方は、ぜひテストステロンブースターの摂り方や選び方、生活習慣などを見直してみましょう。
摂取を途中で中断している
テストステロンブースターを、効果を出したいときにだけ飲む栄養ドリンクのような感覚で摂取していませんか?
テストステロンブースターは継続摂取により体質改善を促し、テストステロンが分泌されやすくなる体を目指すためのもの。飲んですぐにテストステロンが急激に増えるような即効性は期待できない点に注意すべきでしょう。
テストステロンブースターによるテストステロンの増加が確認された論文では、次のように継続摂取で確かな効果が現れています。
【テストステロンブースターの効果と摂取期間】
量と期間 | 主な効果 | |
テスノア出典[2] | 200mg 8週間 | 総テストステロン21.39%UP 遊離テストステロン39.16%UP 更年期障害の改善 |
トンカットアリ抽出物出典[3] | 200mg 12週間 | 総テストステロン約12.5%UP 遊離テストステロン約16.9%UP |
フェヌグリーク抽出物出典[6] | 600mg 12週間 | 総テストステロン約12.1%UP 遊離テストステロン約9.5%UP |
このように、テストステロンブースターで十分な効果を得るためには、2~3か月と長めの期間を要することがわかるでしょう。
ただしトンカットアリ抽出物を用いた試験では、摂取2週間後にはすでに遊離テストステロンが約10.4%増えていたことも確認されています出典[3]。そのため効果の実感は、2~3か月よりも早めに得られるかもしれません。
テストステロンブースターの種類にもよりますが、体への違和感や不調が現れない限りは、少なくとも2週間、摂取を続けてみた方がよさそうですね。
効果の薄いサプリメントを使用している
テストステロンブースターの効果を十分に得るためには、サプリメント選びも重要。せっかく摂取を継続していても、質の低いサプリメントでは効率よくテストステロンを増やせないでしょう。
たとえばトンカットアリの成分を含むサプリメントでは「トンカットアリ配合!」と記載されているにもかかわらず、配合量のデータが確認できない場合があります。
もちろんですが、配合量の詳細なデータがあるほどサプリメントとしての説得力が増すものです。商品の売り上げを伸ばすためにもデータは見える形で示すべき。にもかかわらずデータの記載がないサプリメントには、有効成分が少ないことを疑った方がよいでしょう。
また、トンカットアリを使用したサプリメントでも、有効成分を十分に摂取できなければ意味がありません。有効成分をほとんど含まないような、トンカットアリの出がらしばかりを摂っていた、などということにならないよう、有効成分の含有量を保証する「規格化」されたものの購入をおすすめします。
テストステロンブースターとして知られる成分を含む規格化サプリメントには、次のようなものがあります。
【テストステロンブースターとその規格】
LJ100 | 22%のユーリペプチド、40%のグリコサポニン、ポリサッカライド20%を含むトンカットアリ抽出物 |
テスノア | ザクロ由来のプニカラギンを3.5%、カカオ由来のテオブロミンを0.5%含む |
バイオドーパ | ムクナ豆(ハッショウマメ)出典[7]に含まれるL-dopaを30%含む |
テストフェン | フェヌサイドと名付けた一連のサポニン化合物グループを50%以上含むフェヌグリーク種子エキス |
飲んでいるサプリメントの品質に不安がある方は、これらの有効成分を確実に摂取できる規格化サプリメントを試してみましょう。
偏った食生活を続けている
テストステロンブースターの役割は、あくまで栄養面からテストステロンの分泌能力をサポートすることにあります。メインの食事をおろそかにしていては、十分な効果は得られないでしょう。
食事の偏りは基本栄養素を不足させたり、体脂肪を必要以上に増やしたりして、テストステロンを大きく減らす可能性があります。テストステロンブースターにはこれらの栄養不足や肥満をフォローする効果はないため、注意が必要ですね。
偏った食生活がテストステロンブースターの効果を帳消しにする例を、不足と摂りすぎの2つに分けて説明しましょう。
栄養不足
魚やナッツなどを食べない生活を続けていると、亜鉛、マグネシウム、ビタミンDといたミネラルの不足が起こりやすくなります。また野菜や果物を食べない生活では、ポリフェノールを摂取する機会を増やせません。
これらミネラルやポリフェノールの摂取不足は、テストステロンの分泌を促す脳からの指令効率を落とし、テストステロンを増やす力を落としてしまうでしょう出典[8]。
カップ麺やスナック菓子に代表されるジャンクフードは、これらの栄養素をほとんど摂取できません。ジャンクフードでお腹を満たす習慣がある方は要注意です。
また、朝食を食べる習慣がない方や、忙しさゆえに朝食や昼食を食べる時間がなく、菓子パンやおにぎりなどで済ませてしまう方にも、栄養素の不足が起こりやすいでしょう。
主食、主菜、副菜を揃えた食事を1日3食摂れるよう、生活リズムを整えましょう。自炊の時間が取れない場合には完全栄養食やサプリメントの活用もおすすめです。
栄養の摂りすぎ
栄養不足はもちろん、栄養の摂りすぎにも要注意。食べ過ぎによる体脂肪の増加は、テストステロンを大きく落としてしまうのです出典[9]。
ジャンクフードは、栄養不足に加えて肥満のリスクも高めてしまいます。高カロリーなスナック菓子やカップ焼きそばなどの摂取が習慣化すると、体脂肪も増えやすくなるでしょう。
さらにハンバーガーやピザのような脂質の多いファーストフードにも注意が必要。ファーストフード系の摂取では、食後1時間以内に血中のテストステロンを25%低下させ、その後4時間にわたり回復が見られなかったとのデータも存在します出典[10]。
ファーストフードは高脂肪かつ高カロリーであることに加え、糖質が多い点も問題となります。75g経口ブドウ糖負荷試験で血糖値スパイクを起こした場合にも、ファーストフードの摂取と同様に、血中テストステロンが25%低下しているのです出典[11]。
高糖質食品による血糖値スパイクは多量の活性酸素を発生させ、精巣にダメージを与えてテストステロンの分泌能力を落とします。
ジャンクフードやファーストフードを避けることに加え、ラーメンや丼などを大盛で頼む習慣や、食事をおにぎりや菓子パンのみで済ませる習慣なども改めた方がよいでしょう。
テストステロンを下げる生活習慣がある
一般的に不健康とされる、夜更かし、飲み過ぎ、過度のストレスはすべて、テストステロンを減らすリスク因子です。これらの生活習慣によりテストステロンの分泌能力が大きく落ちた状態では、テストステロンブースターも効果を発揮できないでしょう。
たとえば、若い男性が5時間睡眠を1週間続けた研究では、血中テストステロンが10~15%減少したとのデータが存在します出典[12]。短時間睡眠は心身の不調の原因になることに加え、テストステロンにも大きな影響を及ぼすことがわかるでしょう。
また、飲酒によるアルコール摂取は体内の抗酸化活性を落とす出典[13]、テストステロンを減らす物質の分泌量を増やす出典[14]、テストステロンを分泌する指示を妨げる出典[15]など、さまざまな悪影響が確認されています。
長期のストレスもテストステロンを大きく落とすため要注意。2023年にスイスから発表された論文では、士官学校での長期かつ重度のストレスを受け続けると、12週間で朝の唾液テストステロン濃度が平均約33%減少したこと、ストレス期間を脱すると元の状態にまで回復したことが確認されています出典[16]。
ほかにも細かな要素はありますが、テストステロンの減少を抑えたい場合、まずはこの3つに注意するとよさそうです。
寝不足の解消と心身の健康のため1日7時間眠る出典[17]、お酒は1日純アルコール換算で20gまでにする出典[15]、ストレスがかかる環境に身を置きすぎない、などの工夫で、テストステロンの分泌能力を守りましょう。
ホルモン分泌に影響を与える薬の服用がある
疾患の治療のため、飲み続けている薬はありませんか?
薬のなかにはテストステロンを減らすものが複数確認されています。テストステロンブースターはあくまで食品であるため、どうしても医薬品の副作用の方が強く出てしまいがち。
性欲や性機能の低下、気分の落ち込み、体脂肪の増加、などの変調が起こったタイミングと、薬を飲み始めたタイミングが同じ場合には、服用中の薬が影響を与えている可能性があるでしょう。
テストステロンの分泌能力を落とす作用が確認されている薬は複数あります。
たとえば高血圧をはじめとする心血管疾患で処方があるβ遮断薬が、テストステロンを減らすことが確認されています。とくにピンドロールやプロプラノロールといった、血圧の低下以外にも作用する非選択的薬剤で最大の減少が見られたため出典[18]、これらの薬を飲んでいる方はとくに注意すべきでしょう。
アレルギー性疾患や自己免疫疾患に使用されることの多い抗ヒスタミン薬にも要注意。ステロイド産生を増やしたり減らしたりすることで精巣に大きな負担をかけ、テストステロンの分泌能力を落とす可能性が指摘されているのです出典[19]。
また、うつ病や不安障害の治療として用いられるほとんどの抗うつ薬は、男性ホルモンと女性ホルモンの両方に影響を及ぼします出典[20]。
もちろん、これらは疾病の治癒やコントロールに必要なもの。絶対に自己判断で服用をやめてはいけません。薬の影響を抑えたい場合には、まず自身の変調を担当医や薬剤師の方へ報告しましょう。
テストステロンへの影響が考えられることがわかった場合には、同様の効果でテストステロンへの影響がないものに変更できるかもしれません。
テストステロンブースターに関するお悩みはナイトプロテイン公式LINEへ!
テストステロンブースターは、飲むだけでテストステロンに関する悩みを解決してくれる万能のサプリメントではありません。
サプリメントの質にこだわることはもちろん、栄養素の過不足を防いだり、睡眠や飲酒、ストレスなど、ほかの身体状況に関わる習慣を見直すことが重要です。
しかしテストステロンブースターの効果が出ない原因の特定は、個人の力では難しいものです。またサプリメント選びや生活習慣の整え方について迷う方もいるでしょう。
テストステロンブースターの効果を高めたい場合には、ナイトプロテイン公式LINEでの相談がおすすめです。
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テストステロンをなるべく早く増やしたい方は、ぜひお気軽にメッセージをください。
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