

執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
精液量を増やすことは妊活に効果的?
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妊活の成功のため、男性の側では精液や精子の質を良好に保つことが重要となります。精液量を増やせば妊娠しやすくなるのでは、と考える方もいるかもしれませんね。
精液検査の基準値として、WHOの第6版(2021年)では1.4mlが設定されています出典[1]。精液量がこれより極端に少ない場合は、一度の射精で送り込める精子の量も減るため、妊娠の確率も下がると考えられるでしょう。
ただ一般に、妊活においては精子濃度や精子の運動性、正常形態率などの方が重要視されることが多いもの。精液量の改善のみにフォーカスされることはあまりありません。
しかし精液量が減少している状態では、精液量のみならず、精子濃度や精子の質にも悪影響が出ている可能性があります。精子濃度や精子の質は精液検査をおこなわなければ確認できませんが、精液量は普段の自慰や性行為などでも目視で確認できるため、生殖能力を推測するバロメーターとして役立つ可能性はありそうですね。
精液量と精子濃度、および精子の質が連動していることの根拠として、これら生殖能力のすべてにテストステロンが関係していることが挙げられます。男性ホルモンのテストステロンは20歳ごろをピークに、加齢とともに減少し始めます。35~40歳を過ぎると年に1~3%のハイペースで減少するとも言われていますね出典[2]。
加齢にともなうテストステロンの減少では性腺機能低下症が見られ、精液量の減少をはじめ、精子の量や質の問題、射精遅延、性欲減退、勃起不全など、性機能に関わるさまざまな問題が見られます出典[3]。反対に、テストステロンの増加により性欲の回復や精子濃度の改善が見られることも。
テストステロンを増やす試みにより、精液量だけでなく、精子濃度や性欲など、性機能に関わる要素を網羅的に改善できる可能性がありそうですね。
精液量の増加実績がある成分5選
妊活においては精子濃度や精子の質の方が重要視されやすく、精液量の増加にフォーカスを当てたサプリメントは多くありません。またサプリメントには即効性がなく、改善には約3か月を要することや、サプリメントにより必ず妊娠できるようになるわけではない点にも注意が必要です。
以上を踏まえて、精液量の増加実績がある成分を5種類見ていきましょう。いずれも精液量に加え、精子濃度や精子の質へのよい影響が確認できているため、妊活をサポートするサプリメントが気になる方は、ぜひ参考にしてください。
亜鉛

亜鉛はテストステロンの分泌をサポートしたり出典[4]、精子形成に関わったりする栄養素として知られています。
亜鉛に関する20の研究を調査した論文では、不妊男性は生殖機能に問題がない男性よりも亜鉛濃度が低いと述べられています。また不妊男性への亜鉛補給では精液量をはじめ、精子の運動性や正常形態率が増加する可能性があるとも言及されており出典[5]、不妊男性への亜鉛補給には少なからず効果があると言えそうですね。
亜鉛は抗酸化能力を高める働きのほか、抗菌物質としても機能することが分かっています。亜鉛は生殖器官への細菌汚染を防いで精子機能を維持するようにも働くため出典[6]、生殖器官の衛生を保つためにも、亜鉛は重要であると考えられるでしょう。
亜鉛不足ではテストステロンの不足が見られやすいこともよく知られています。亜鉛の制限や補給による、テストステロン濃度への影響を調べた研究を確認してみましょう。
【亜鉛摂取量の介入における血清テストステロンの変化出典[7]】
介入前 | 介入後 | |
20代男性への亜鉛制限 (20週間) | 39.9nmol/L | 10.6nmol/L |
亜鉛不足の高齢男性への亜鉛補給 (6か月) | 8.3nmol/L | 16.0nmol/L |
亜鉛の制限によりテストステロンが減り、補給により増えるという関係があることが分かりますね。
ただし亜鉛の不足がない場合、あるいはテストステロンの体内量が正常範囲である場合には、亜鉛を補給してもテストステロンの増加や精液の質の改善などは見られない点に注意が必要です出典[8]出典[9]。
欠食や偏食で亜鉛の不足が見られやすい方、運動や作業で発汗量が多く亜鉛の流出量が多い方などは、亜鉛サプリにより生殖機能を改善できるかもしれません。
バイオドーパ

バイオドーパはムクナ豆由来のL-DOPAを30%含むよう規格化されたサプリメントです。L-DOPAは高い抗酸化能力を持つことに加え、ドーパミンの前段階の物質(前駆体)として機能することでも知られています。
ドーパミンといえばやる気や意欲を司る神経伝達物質ですが、テストステロンの分泌を促したり、性行為中の射精を促したりするようにも働きます。生殖機能を高めるサプリメントとしても活躍できそうですね。
実際に不妊男性60名を3つにグループに分け、それぞれムクナ豆抽出物を3か月摂取したところ、精液量と総精子数が次のように増えたことが確認できています。
【ムクナ豆抽出物の摂取による精液量と総精子数の増加率出典[10]】
精液量 | 総精子数 | |
精子に異常のないグループ | 35.7%UP | 124.9%UP |
乏精子症のグループ | 15.2%UP | 593.8%UP |
精子無力症のグループ | 2.1%UP | 49.9%UP |
また別の研究では、不妊男性75名がムクナ豆粉末を1日5g、3ヶ月間継続摂取したところ、テストステロンが27~39%、ドーパミンが18~75%、精液量が2.6~8.6%、それぞれ増加したとの結果も得られています出典[11]。
同研究では乏精子症のグループにおける精子濃度や、精子無力症のグループにおける精子の運動率にもそれぞれ改善が見られており、精子の量や質への作用も得られることが分かりますね出典[11]。
性行為中の射精や、精液の質など、妊活におけるコンディション全般にアプローチするサプリメントとして、バイオドーパは役立つでしょう。
トンカットアリ

トンカットアリはインドネシアやマレーシアなどの熱帯に自生するハーブであり、抽出物をサプリメントの形で摂取する方法が一般的です。
テストステロンを増やす効果が研究により認められており出典[12]、性欲を強めたり勃起力を改善したりできる成分として期待が寄せられています。トンカットアリ含有と謳った商品はドラッグストアなどでも販売されていますね。
トンカットアリの有効成分として、体内の酸化ストレスの増加を抑えるように働くグリコサポニンやポリサッカライド、そしてテストステロンの体内量を増やすように働くユーリペプチドやユーリコマノンなどが挙げられます。
テストステロンの合成場所、および精子の製造場所である精巣は、過剰な活性酸素が生む酸化ストレスに非常に弱い組織出典[13]。トンカットアリの抗酸化作用により精巣を保護できれば、テストステロンの分泌効率も高まりそうですね。
また、3か月にわたるトンカットアリ200mg/日の摂取を1サイクルとして実施した研究では、3サイクル(9か月)後に精液量が約19%、精子濃度が約66%増加し、正常形態率も5.28%から10.29%へと倍近い増加が見られたことが分かっています出典[14]。
トンカットアリを効率よく摂るためには、有効成分のユーリペプチド22%以上、グリコサポニン40%以上、ポリサッカライド20%以上、ユーリコマノン1%以上を含むように規格化された「LJ100」がおすすめ。有効成分を確実に摂れる良質なサプリメントで、精液や精子の質を高めましょう。
マカ

マカは、標高4000~4500mほどの中央アンデスで生育するアブラナ科の植物であり、カブをカラフルにした見た目をしています。
栄養価が高く、ビタミンやミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸のほか、抗酸化物質として機能するポリフェノールのアントシアニン、イソチオシアネート、グルコシノレートなどを豊富に摂取できるメリットがあります出典[15]。栽培に適した環境が限定されるため、現地以外では保存性を高めたサプリメントでの摂取が一般的ですね。
マカの豊富な栄養素は、古くから生殖能力や活力の向上に役立つと考えられてきました出典[16]。
実際に、24~44歳の男性9名がマカ1.5gまたは3gを4か月間摂取したところ、精液量や精子濃度、精子の運動性が改善したとのデータが存在します出典[17]。精液量のほか、精子の量や質を併せて改善したい場合には、マカの摂取が役立ちそうですね。
一方でこの研究をはじめ、マカによる生殖機能の改善が見られた事例では、いずれもテストステロンの増加は確認できていませんでした出典[17]出典[18]。マカによる生殖機能の増加は、テストステロンの増加とは関係のないメカニズムにより生じているとの見方が一般的です。
マカではテストステロンを増やす効果は得られませんが、精液量や精子の量や質など、妊活の成功率を高めるサプリメントとして役立つ可能性は大いにあるでしょう。
コエンザイムQ10

コエンザイムQ10は、私たちの生命活動のエネルギー源となるATP(アデノシン3リン酸)の産生に関わる成分です。イワシやサバのような青魚、および牛肉やナッツ類などに多く含まれると言われていますね。
コエンザイムQ10は抗酸化物質として機能する側面があり、活性酸素の働きを抑える効果も期待できます。酸化ストレスを減らすことで精巣を保護できれば、精子の製造能力も高められそうですね。
体内でもコエンザイムQ10は精製されていますが、加齢とともに生成量が減少します。年齢を重ねた方ほど、コエンザイムQ10による高い効果が期待できるかもしれません。
実際に乏精子症と精子無力症を併発する患者が、300mgのコエンザイムQ10の摂取を3か月続けた研究では、精液量や約7.4%、精子濃度が約19.5%増加したほか、精子の運動性にも改善が見られたと報告されています出典[19]。
ほかの不妊患者を対象とした研究では、とくに精子の運動性を改善するデータが多く見られています出典[20]出典[21]。精液量に加え、精子の運動性に不安がある方には、コエンザイムQ10の摂取が役立つかもしれません。
精液量を増やすためにできること
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精量を増やすためのサプリメントを紹介してきましたが、精液量をはじめ、精子の量や質などは生活習慣に大きな影響を受けます。
精液量を増やしたい場合に、とくに注意したい生活習慣や体調管理についてまとめました。
体重管理 | 肥満では精子濃度、精液量、精子の運動率の低下など、妊娠に関わる精液のさまざまなステータスが低下する出典[22] |
飲酒量 | 1週間に7単位(純アルコール換算で140g)以上のアルコールを摂取する方は、アルコールを摂らない方よりも、射精1回あたりの精液量が減少する可能性が高い出典[23] |
睡眠 | 6.5時間未満または9時間を超える睡眠時間では精液量が減少しやすい出典[24] |
禁煙 | 喫煙年数×本数の値が高いほど、精液量や総精子数の減少が大きい出典[25] 1日20分以上の喫煙習慣がある男性が3か月の禁煙で精液量を約16.9%増やした出典[26] |
射精頻度 | 射精してから4日間においては、禁欲日数を1日増やすごとに精液の量が11.9%増加する出典[27] |
肥満や大量飲酒、喫煙のほか、短時間睡眠や過眠も精液量に影響を及ぼすことが分かります。当てはまるものがある場合には、サプリメントの活用とあわせて改善をおこなうことで、より妊活を成功させやすくなるでしょう。
また射精頻度については、禁欲すればするほどよいわけではない点にも注意が必要です。射精間隔を7日間以上取ると精子の正常形態率が有意に低下するとのデータもあるため出典[28]、禁欲は1週間未満に留めた方がよさそうですね。
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精液量が極端に少ない場合には、精子の総数に不足が見られ、妊活にも影響を及ぼす場合があります。精液量が減少しているケースでは精子濃度や精子の質などにも問題が見られる場合が多いため、サプリメントの摂取と併せて生殖機能全般を改善する取り組みにより、精液量も増やしやすくなるでしょう。
妊活においては、精液量よりも精子濃度や精子の運動率、正常形態率などが重要視されることが多く、これらにフォーカスしたサプリメントも市場には数多く出回っています。自身の体質改善に適したサプリメント選びに迷ってしまう方もいるでしょう。
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出典
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