執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
バルクアップに重要なことは?
ボディビルダーをはじめとするアスリートが取り組むバルクアップ。増量期にどのように体を大きくするかは、トレーニーの大きな課題と言えるでしょう。
単に食べる量を増やすだけでは体脂肪ばかりが増えてしまう可能性もあるため、筋肉を効率よく増やすためには、食事の内容やトレーニングの方法を工夫する必要があります。まずはバルクアップにおいて重要とされることについて解説します。
十分なカロリー摂取で体を大きくする

運動のみでは体は大きくなりません。筋肉を増やすためには十分なカロリー摂取が不可欠。トレーニングでは多くのエネルギーを消費するため、トレーニングしないときよりも多くの食事を摂る必要があることは間違いありません。加えて体を大きくするためには、筋肉の合成に回すため、消費エネルギーを補える以上のカロリーを摂る必要があるでしょう。
アスリートの増量期において体重を適切に増やすための食事例として、現在の消費カロリーに10~20%プラスして摂るやり方が多く取られています出典[1]。
たとえばトレーニング期間中で1日に3,000kcalを消費している場合、適正な摂取カロリーは3,300~3,600kcal。1回300kcalの補食を2回食べると想定すると、1食あたり900~1,000kcal必要と計算できるでしょう。
1,000kcalの食事は、夕食でなら無理なく摂れるという方も多いはず。しかし朝食で1,000kcalを摂ることは難しいでしょう。補食の回数や昼食の量を増やしたりして、摂取カロリーが消費カロリーを上回る状態を維持したいものですね。
ボディビルダーのような、体重を増やす必要のあるアスリートでは、増量期に1週間あたり0.25~0.5kgのペースで体重を増やすことが推奨されています出典[1]。
急激な体重増加は体脂肪の合成リスクを高めるため、考えなしに食べたいだけ食べるようなやけ食いに近いやり方は好ましくありません。1か月あたり1~2kgの増量ペースになるよう、食事量を調整することも重要ですね。
たんぱく質不足の解消で筋肉の消耗を防止

カロリーを十分に確保できる状況を整えるとともに、筋肉の合成や回復を促すたんぱく質を不足なく摂ることもまた重要です。
トレーニングにより刺激を受けた筋肉が大きく育つためにも、トレーニングにより損傷した筋肉を速やかに回復させるためにも、たんぱく質は重要です。たくましい体を目指す方は、ぜひ積極的に摂りたいものですね。
バルクアップに取り組むボディビルダーでは、1日あたり1.6g/kgのたんぱく質が必要とされています出典[1]。さらに増やして2.2g/kgにすると、筋肉を含む除脂肪体重をより効率よく増やせるとも言われていますね。
体重70kgの方の場合、たんぱく質は1.6g/kgの摂取で1日あたり112g、2.2g/kgでは154g必要と計算できます。10gのたんぱく質を摂れる補食を2回取り入れたとしても、1食あたり約30~45gのたんぱく質を摂らなければいけません。
良質なたんぱく質である肉や魚のうち、たんぱく質がとくに多く、脂質が少なめの食品をまとめました出典[2]。
たんぱく質(g/100g) | 脂質(g/100g) | |
|---|---|---|
クロマグロ(天然・赤身) | 26.4 | 1.4 |
カツオ(春獲り) | 25.8 | 0.5 |
カツオ(秋獲り) | 25.0 | 6.2 |
鶏ささみ肉 | 23.9 | 0.8 |
鶏むね肉 | 23.3 | 1.9 |
たんぱく質を効率よく食事から摂りたい場合には、上記のような食品の活用がおすすめです。食事のみでの摂取が難しい場合には、手軽にたんぱく質を摂れる栄養補助食品やプロテインドリンクなども役立つでしょう。
筋肉の合成を促すテストステロンをブースト
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筋肉を増やすためには、男性ホルモンのテストステロンを増やす取り組みも重要です。
そもそも男性は女性よりも筋肉が付きやすいですが、これは筋肉の合成効率を高めるホルモンでもあるテストステロンが、女性よりも男性に圧倒的に多いためと言われています。テストステロンは性機能を高めるイメージが強いかもしれませんが、このように身体面への作用も確認されているのです。
筋肉の合成効率を高めるほか、エネルギー消費を増やして脂肪を燃やしやすくする効果もテストステロンには確認されています出典[3]。そのためテストステロンが急激に減少する40代以降では、筋力の低下や体脂肪の増加が起こりやすくなるとも言われていますね出典[4]。
テストステロンのピークは20代で、その後は加齢とともに減少します。テストステロンの減少は30代から年1%ずつの割合で始まるとのデータもあるため出典[5]、若いころからテストステロンに配慮した取り組みが重要と言えそうですね。
食べすぎや飲みすぎ、栄養不足、睡眠不足、ストレスなど、テストステロンを減らしやすい生活習慣を改めることで、テストステロンの減少を防げます。テストステロンの分泌に関わる、亜鉛やビタミンDのようなミネラルを不足なく摂ることも重要ですね。
生活習慣のケアをおこなったうえで、さらにテストステロンを増やしたい場合には、テストステロンをさらに増やす効果が期待できる、テストステロンブースターの活用もおすすめです。
筋トレのパフォーマンスUPでバルクアップを効率化

筋肉を鍛えるためには筋トレが欠かせません。とはいえやみくもに長時間取り組む方法では、筋肉の酷使により活性酸素が増えすぎてしまい、酸化ストレスとして筋肉を傷付けたり、疲労を長引かせたりする可能性も出典[6]。
取り組みすぎはよくないとの大前提のうえで、どのような筋トレがバルクアップに適しているかを確認してみましょう。
筋トレの反復回数と強度により、どのような要素を強化できるかを調べた研究では、重量と回数を変化させることで、次のような効果がそれぞれとくに期待できると述べられています出典[7]。
強化 | 強度 | 1セット回数 | |
|---|---|---|---|
高重量低回数 | 筋力 | 1RMの80~100% | 1~5回 |
中重量中回数 | 筋肥大 | 1RMの60~80% | 8~12回 |
低重量高回数 | 筋持久力 | 1RMの60%未満 | 15回以上 |
※1RM:1反復において出せる最大の力
この表から、筋肉をより大きくするためには、中重量中回数、すなわち1セットあたり8~12回程度続けられる中程度の強度の筋トレが望ましいことが分かるでしょう%%%出典7%%%。
なお、同じ反復動作のある筋トレでも、フリーウェイトのような、広範囲の筋肉を用いるトレーニングの方がテストステロンを増やしやすくなることも分かっています出典[8]。テストステロンを増やして筋肥大をサポートしたい場合には、中重量中回数を意識したうえで、全身の筋肉を鍛えられるトレーニングを選ぶとより効果的でしょう。
バルクアップをサポート!おすすめサプリ5選
バルクアップを効率化するためには、カロリーやたんぱく質の十分な補給に加え、テストステロンを増やすことや、筋肥大に向いている筋トレに取り組むことなどが重要であることが分かりました。
トレーニングの内容を工夫することも重要ですが、サプリメントによる栄養補給でより筋トレや筋肥大の効率が高まり、バルクアップをサポートできる可能性もあります。ここからはバルクアップに役立つ可能性が高いおすすめのサプリメントを5種類紹介します。
EAA

バルクアップで筋肉を増やしたい方にとって、プロテインは身近なサプリメント。必要量が増すたんぱく質を補給するためにも、ドリンクやシリアルバーのような形で手軽に摂れるプロテインは欠かせません。
今回はプロテインに似た栄養素でありながら、プロテインとはやや異なる働きをするものとして、アミノ酸のEAAを紹介します。
EAAとは数多くあるアミノ酸のうち、人体のたんぱく質の合成に欠かせないもの、とくに人体では生成できない9種類のアミノ酸を指します。筋肉を作るためにもとくに重要とされるEAAを、サプリメントの形で手軽に補給できれば、筋肉の合成効率もより高まりそうですね。
またEAAはアミノ酸の形状であるため、アミノ酸が複数結合しているたんぱく質よりも速やかに吸収されます。EAAはエネルギー源としても活躍するため、トレーニング直前や最中の補給により、疲労を軽減したり、筋肉のコンディションを回復させたりする効果も期待できるでしょう。
実際、EAA補給とトレーニングの組み合わせでは、トレーニングのみの場合よりも筋肥大率がより高まったとのデータが存在します出典[9]。
さらにEAAを含むアミノ酸サプリメントの摂取では、疲労の指標となるクレアチンキナーゼやミオグロビンの量が減少し、筋肉痛も軽減したとの報告も出典[10]。
トレーニングの効率を高めたい方、筋肉の回復を早めて毎日良好なコンディションを保ちたい方に、EAAはおすすめと言えそうですね。
クレアチン

次に紹介するのはクレアチン。EAAと同じく、体のたんぱく質を合成するために必要なアミノ酸ではありますが、こちらは体内でも合成ができるため、非必須アミノ酸に分類されています。
クレアチンのほどんどは、リン酸化されたエネルギー貯蔵物質、クレアチンリン酸の形で骨格筋に存在しており、運動時に必要に応じて分解されます。
私たちは運動時、アデノシン三リン酸(ATP)を分解してエネルギーを得ています。けれども筋肉に蓄えておけるATPの量はあまり多くなく、激しい運動時にはATPが枯渇しがち。
しかし骨格筋にクレアチンリン酸の蓄えがあれば、クレアチンのリン酸とATPの分解物との反応でATPを再合成できるのです出典[11]。クレアチンを摂ることで通常よりも長い期間、ATPを潤沢に用意できるようになるため、コンディションの向上や疲労の軽減に役立つでしょう。
クレアチン補給と筋肉の影響を調べた16件の研究を分析した論文では、訓練された若い参加者を対象とする6件すべてにおいて、クレアチン補給により筋力や筋肥大、運動パフォーマンスにプラスの効果が出たことが確認されています出典[12]。
また筋力トレーニングとクレアチン補給を8週間続けることで、体脂肪と骨を除いた除脂肪軟部組織が、上肢で7.1%、下肢で3.2%、体幹で2.1%増加したとのデータも出典[13]。
トレーニングのパフォーマンスを高めて筋肥大を効率化させたい方に、クレアチンのサプリメントは役立つ可能性がありそうですね。
マルトデキストリン

激しい筋トレに取り組むトレーニーでは消費エネルギーも増えるため、体重を増やすためにはより多くのエネルギーを摂る必要があります。またトレーニングによるたんぱく質の分解を防ぎ、筋肥大の効率を高めるためには十分な量の糖質も重要。
より効率的な糖質補給に役立つサプリメントとして、今回はマルトデキストリンを紹介しましょう。でんぷんよりも分子量が小さく、グルコースよりも浸透圧の低いマルトデキストリンは、糖類のなかでもとくにスピーディな吸収ができることで知られています。
筋トレ前後や最中の、手軽かつ迅速なエネルギー補給源としてマルトデキストリンは役立ちそうですね。
筋力アップや筋肉の増加を重視する場合には、プロテインとの同時補給がおすすめです。なぜなら筋肉の回復や筋肥大にはインスリンの同化作用が重要で、そのインスリンは糖質補給により血糖値を上昇させなければ分泌量を増やせないから出典[14]。
とくに必須アミノ酸のひとつ、ロイシンは筋肉の合成効率を高めるスイッチ役として知られています出典[15]。インスリンの作用によりたんぱく質の合成効率を高め、筋肥大をサポートするためにも、ぜひマルトデキストリンとプロテインを組み合わせてみましょう。
テスノア

テスノアは、男性ホルモンのテストステロンにアプローチするサプリメント。ザクロ由来のプニカラギンを3.5%、カカオ由来のテオブロミンを0.5%含む規格化成分として知られています。
プニカラギンもテオブロミンも、抗酸化作用や抗炎症作用、血管拡張作用に優れています。活性酸素の発生原因となる炎症を抑える効果と、発生した活性酸素の働きを抑える効果の両方が期待できます。筋肉の炎症を抑え、活性酸素によるダメージを軽減できれば、筋肥大の効率も高まるでしょう。
また、活性酸素はテストステロンの合成場所である精巣にもダメージを与えます。テスノアの抗酸化作用や抗炎症作用により、活性酸素に弱い精巣を保護できれば出典[16]、テストステロンの分泌能力も高く保てそうですね。
21~35歳の男性120名が56日間、400mgのザクロ・カカオ抽出物のブレンドを摂取した研究では、遊離テストステロン濃度の上昇に加え、握力や上腕中央周囲径の増加も見られたという結果が得られています出典[17]。筋力の向上とともに、筋肥大も効率化できていることが分かりますね。
ただしテスノアの摂取によるテストステロンの増加や筋力の向上、筋肥大のサポートなどの効果は、飲んですぐに得られるものではない点に注意が必要です。テスノアによるさまざまな効果は概ね摂取後2~3か月で見られています。テストステロンを増やしやすい体づくりのため、まずは2か月継続して飲むところから始めましょう。
エクスプローノックス

最後に紹介するのはエクスプローノックス。タマリンドとワサビノキの有効成分から抽出した、サポニン15%とプロアントシアニジン40%の含有が規格化されているサプリメントです。
エクスプローノックスは、運動と組み合わせの摂取により、テストステロンの上昇率を大幅に改善できるサプリメント。
25~45歳のウェイトトレーニングに精通している男性が、運動の30~45分前に500mlのエクスプローノックスを飲んでトレーニングする生活を60日続けたところ、プラセボ(偽薬)を飲んだ場合と比較して、効果に次のような差が生じたのです出典[18]。
エクスプローノックス | プラセボ(偽薬) | |
|---|---|---|
総テストステロン | 34.68% ↑ | 11.97% ↑ |
遊離テストステロン | 167.71% ↑ | 80.82% ↑ |
腕周りの太さ | 5.76% ↑ | 2.87% ↑ |
ベンチプレス記録 | 22.29% ↑ | 10.55% ↑ |
筋肉へのダメージ (損傷マーカーLDH) | 15.78% ↓ | 9.08% ↓ |
テストステロンの増加効率が高いことに加え、腕周りの太さで測定された筋肥大の効率や、ベンチブレスの成績で確認できる筋力の増加率なども、エクスプローノックスを摂取したグループの方がより優秀であることが分かるでしょう。
運動と相性のよいサプリメントとして、エクスプローノックスはおすすめです。トレーニーのバルクアップをサポートするアイテムとして、ぜひエクスプローノックスを試してみましょう。
サプリメントのサポートでバルクアップを効率化!
バルクアップでより体を鍛えて大きくしたい場合には、トレーニングの工夫に加え、栄養管理も重要です。
いくら筋トレをしても、カロリーとたんぱく質が不足していると筋肉の分解が起きてしまい、筋肉を十分に成長させることができません。食事から十分な量のカロリーとたんぱく質を摂るとともに、マルトデキストリンやEAAなどのサプリメントで筋トレのパフォーマンスを高め、より効率よく筋肉に刺激を与えられるようにするとよいでしょう。
筋肉の合成に関わるテストステロンの分泌能力をさらに高めるためには、テストステロンブースターの活用もおすすめです。
テストステロンブースターを選ぶ際には、有効成分の一定以上の含有が保証された「規格化成分」がおすすめです。本記事で紹介したようなテスノアとエクスプローノックスのような規格化された良質なサプリメントを試してみましょう。
テストステロンブースターは即効性があるものではないため、継続摂取が重要。いずれも2か月以上を目安に飲み続けて、筋肉が増えやすい体質を目指しましょう。
出典
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