執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
勃起とビタミンCの関係とは?
勃起に関する悩みの解消のため、食事に気を遣う男性も多いはず。亜鉛のように性機能と関わりの深い栄養素は注目されがちですが、ビタミンCの摂取を意識している方は少ないかもしれませんね。
ビタミンCの摂取は勃起にどのような影響を及ぼすのでしょう。まずはビタミンCと勃起の関係について説明します。
抗酸化ビタミンとして血管をしなやかに
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勃起において重要なのは血流を良好に保つこと。とくにしなやかな柔らかい血管の維持は重要です。抗酸化ビタミンとして知られるビタミンCの充足により、血管をしなやかに保ちやすくなる可能性があるのです。
ビタミンCの体内での役割のひとつに、抗酸化物質として体内の酸化ストレスを減らすことがあります出典[1]。
私たちの体内では、呼吸や代謝などにより活性酸素が発生。過剰な活性酸素は酸化ストレスになり、細胞を傷付けてしまいます。血管が傷付き硬くなれば動脈硬化のリスクも高まり、心疾患の原因にもなるでしょう出典[2]。
体内にも酸化ストレスを減らすための抗酸化能力が備わっていますが、食事から抗酸化物質を取り入れることで、酸化ストレスを減らす効果をサポートできる可能性が指摘されているのです出典[2]。
また、ビタミンCには血管を拡張させるための物質、一酸化窒素(NO)を産生能力を高めて、分解を防ぐ効果も確認されています出典[3]。
勃起の際に十分なNOを得られないと血管を十分に拡張できず、陰茎の十分な太さや硬さが得られません。ビタミンCのような抗酸化物質を十分に摂ることでNOの体内量を増やせれば、よりスムーズに勃起できるようになりそうですね。
ストレス管理で心血管疾患のリスク低減

ビタミンCはメンタルケアにも重要なホルモンであるとも考えられています。慢性的な精神的ストレスは糖尿病や高血圧のリスクになり出典[4]出典[5]、心血管疾患のリスクを高め、勃起不全(ED)を起こしやすくする可能性も出典[6]。
精神状態を良好に維持できれば、これらEDに関わる疾病のリスクも下がり、勃起力の低下を防ぎやすくなると言えそうですね。
ビタミンCと精神状態については、次のようなことが分かっています。
- ビタミンC(アスコルビン酸)の補給が抗うつ効果をもたらし、気分を改善する出典[7]
- 食事性、とくに野菜由来のビタミンC摂取量が多いほどうつ病のリスクが下がる出典[8]
- ビタミンCの補給によりうつ病の症状が改善するとともに、性行為の頻度が向上した出典[9]
ビタミンCの補給により性行為の頻度が向上した事例では、血中のオキシトシン濃度の上昇も確認されています。オキシトシンは不安を減らして精神を安定させるように働くホルモン。しかし性行動を促したり、NOの産生を促して勃起力を高めたりする効果も確認されています出典[10]。
十分なビタミンCの摂取により、メンタルケアと性機能全般のケア、両方を効率よく行える可能性がありそうですね。
亜鉛の吸収率増大効果には疑いも

勃起のためにビタミンCを摂るメリットとして、亜鉛の吸収率を高めるため、と言われることがあります。
亜鉛は男性ホルモンのテストステロンの分泌に関わるホルモンです。テストステロンは勃起をはじめとする性機能全般を支えるホルモン。亜鉛はテストステロン分泌を促すホルモンの合成をサポートするように働くことで知られています出典[11]。
体内の亜鉛濃度とテストステロンの間には相関関係があり、亜鉛不足が続くとテストステロンも減少出典[12]。勃起をはじめとする性機能全般に支障が出る可能性も。性機能を高めたい場合には、亜鉛を不足なく摂る必要がありそうですね。
しかしビタミンCとの併用摂取で吸収率が高まるのは、実は亜鉛ではなく鉄の方。ビタミンCでの摂取では、亜鉛の吸収率が高まらないとのデータが複数得られているのです出典[13]出典[14]出典[15]。
ビタミンCによる亜鉛の吸収率増大効果は、得られない可能性が高いことを覚えておきましょう。
亜鉛の吸収率を高めたい場合には、牡蠣や赤身肉のような動物性食品から摂ることをおすすめします。動物性食品のたんぱく質が消化の過程で生成するペプチドやアミノ酸、これらが亜鉛の利用効率を高めるように働くことが分かっているためです出典[16]。
とくに牡蠣は亜鉛含有量の多い食品です。亜鉛不足を解消したい場合にはぜひ取り入れてみましょう。
ビタミンCの摂り方のコツ
ビタミンCは血管の状態の維持やメンタルケアを通して、血管や血液の状態を良好に維持し、勃起力を上げられる可能性があることが分かりました。勃起力の向上のため、ビタミンCを積極的に摂ろうと考える方もいるかもしれませんね。
そこでここからはビタミンCを摂る際のコツについて解説します。摂取量の目安や食品からの摂り方について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
摂取量の目安は?

ビタミンCは必須栄養素であるため、日本人の食事摂取基準において推奨量が設定されています。
ビタミンCの推奨量は男女ともに100mg/日。これはビタミンC不足により生じる壊血病を防止するために十分な量として設定されています出典[17]。
ビタミンCは果物に豊富と言われますが、いちご100gには62mg、うんしゅうみかん1個(50g)にはわずか17mgと、そう簡単に摂れる量ではないことが読み取れますね出典[18]。
ビタミンやミネラルのような微量栄養素のなかには、過剰摂取による害を避けるための耐用上限量が設定されている場合もあります。とくにビタミンAのような脂溶性ビタミンは体外への排出が難しく、摂りすぎによる害への注意が必要です。
しかしビタミンCにおいては、体内量が吸収や排泄により調節されているため、血中濃度はおよそ400mg/日で飽和し、体に害をもたらすことはない、というのが日本人の食事摂取基準における見方です。そのため、耐用上限量は示されていません出典[17]。
一方で海外の論文では、1日1000mgのビタミンC摂取により、1日あたりのシュウ酸排泄量が13~16mgまで増加し、尿路結石の原因になる可能性があるとも述べられています出典[19]。ビタミンCは摂れば摂るほど体によい、とする考え方は危険、と覚えておきましょう。
ビタミンCはどんな食品から摂ればいい?
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ビタミンCは肉や魚、卵からは摂取できません。摂取源は植物性食品であり、野菜や果物、イモ類などの摂取が重要になります。
とくに含有量の多いものに、柑橘系の果物があります。
【果物100gあたりのビタミンC(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より)出典[20]】
食品 | ビタミンC(mg/100g) |
|---|---|
レモン(全果) | 100 |
いちご | 62 |
ぶんたん | 45 |
グレープフルーツ(白肉種) | 36 |
いよかん | 35 |
うんしゅうみかん | 33 |
りんご(皮なし) | 4 |
ぶどう(皮なし) | 2 |
果物のなかでも、リンゴやブドウのような酸味の少ないものからはごく少量しか摂取できません。ビタミンCの摂取効率を求める場合には酸っぱいものを選びましょう。
ビタミンCは野菜からも摂取可能ですが、水に晒したり茹でたりすることによる栄養素の流出があるため、摂取量は表の数値より少なくなる点に注意が必要です。
【野菜100gあたりのビタミンC(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より)出典[20]】
食品 | ビタミンC(mg/100g) |
|---|---|
ブロッコリー | 140 |
カリフラワー | 81 |
ブロッコリー(芽ばえ) | 64 |
キャベツ | 38 |
ほうれん草 | 35 |
じゃがいも | 28 |
トマト | 15 |
レタス | 5 |
たとえば生のブロッコリーは100gあたり140mgのビタミンCを含むとされていますが、茹で調理後は55mgまで減少します出典[20]。
電子レンジによる蒸し調理であればビタミンCは残りやすいため、野菜からビタミンCを摂りたい場合には積極的に活用するとよいでしょう。
サプリメントは意味がある?

野菜の摂取が苦手な方や、果物を食べる機会を毎日作れない方は、ビタミンCの不足を防ぐため、サプリメントを活用する方法を試してみてもよいでしょう。
サプリメントからの栄養素は、生鮮食品からの栄養素よりも吸収率や体内での利用効率が低いと言われる場合もあります。しかしビタミンCにおいては、食事から摂取したものも、サプリメントから利用したものも、生体利用効率に差はないことが確認されているようです出典[21]。
もちろん食事から摂れるに越したことはありませんが、サプリメントでもビタミンCは充足できます。自身の食事スタイルに併せて適宜取り入れましょう。
ビタミンCは1日100mgまでの摂取であれば高い吸収率で体内に取り込まれますが、その後は充足に伴い吸収率が低下。1500mgを摂取した場合の吸収率は50%以下になるとのデータも確認されています出典[22]。
1日1000mg以上のビタミンCの摂取では尿路結石のリスクが高まるとのデータを踏まえても、あまりに高容量のビタミンC含有を謳ったサプリメントの摂取は避けた方がよいでしょう。成人の推奨量1日100mgを充足できるだけのサプリメントを選ぶことをおすすめします。
不足しやすい方の特徴は?
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実はビタミンCは日本人に不足が見られやすい栄養素。とくに牛丼やハンバーガーショップのようなチェーン店、またはインスタント食品などで食事を済ませる方では、野菜や果物を摂る機会が極端に少なく、ビタミンCを十分に摂れていない可能性が高いでしょう。
また、次のような方はビタミンCの消費量が多く、よりビタミンC不足を起こしやすいと言われています。
- 糖尿病患者
- 喫煙者
- アルコール摂取量が多い方
糖尿病では高血糖により、また喫煙者ではタバコの煙により、それぞれ体内で酸化ストレスが増えやすい状況にあります。抗酸化物質であるビタミンCが酸化ストレスを減らすように働くため、消費が増え、不足が起こりやすくなると言われているのです出典[17]出典[22]。
また、1日あたり純アルコール換算で80g以上を摂る方では、ビタミンCの腎臓排泄量が増えることで不足しやすくなるとされています出典[22]。
そもそも糖尿病、喫煙、大量飲酒はすべて血管の状態を悪くします。たとえば糖尿病男性のEDの有病率は、糖尿病でない男性の約3.5倍というデータもあるほどです出典[23]。
また、禁煙や節酒では正常な血管内皮機能を取り戻すことができるため、EDのリスクも減らせると考えられています出典[24]。
ビタミンCの消費を抑えるためにも、血管への負担を抑えるためにも、禁煙と節酒の徹底は重要です。糖尿病のリスクを下げるため、食事量も調整できるとより効果的ですね。
勃起力を改善する最善策は?
勃起力の向上には食習慣のケアが重要。ビタミンCを不足なく摂ることで、血管の状態を良好に維持したり、メンタルケアのサポートを通して血流を改善したりしやすくなる可能性があります。
生の野菜や果物を摂る機会の少ない方では、ビタミンCの摂取も不足しがち。定期的な食品の調達が難しい場合には、より手軽に摂れるサプリメントの活用もおすすめです。
なお、勃起において重要な栄養素は亜鉛のほか、ビタミンD、マグネシウムなどさまざまです。また食生活の面以外にも、運動や睡眠のケアを徹底することでも、勃起のコンディションは整いやすくなるでしょう。
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