腰痛に安静はNG!?腰痛改善におすすめの運動12選
2023年1月9日更新

監修者

理学療法士

丸山達也

総合病院でのリハビリ業務、デイサービスの管理者の経験を経て、現在は整形外科クリニックにて勤務。日々患者さんに、痛みの緩和を目的とした施術や運動を実施し、取り入れやすい楽しく健康的な生活習慣を提案している。現場で患者さんと直接関われることに感謝と充実感の毎日。最近は、ヘルスケア関連のライター業務も行い、様々な形で健康をお届けできるよう活動している。

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。

そもそも腰痛とは?

この記事に辿り着かれた方は「早く腰の痛みを解消する方法を知りたい!」と考えていることでしょう。ただ、腰痛を解消するためには、まず腰痛とは何かについて知る必要があります。

腰痛は大きく分けて「急性腰痛」「慢性腰痛」の2種類があります。

「急性腰痛」は急激に腰に大きな負荷がかかることで、腰椎や周辺組織において炎症が生じる症状です。ぎっくり腰も「急性腰痛」の1つです。多くは1週間~2週間程度で自然に回復していきます。腰痛が生じて4週間以内のものを「急性腰痛」といいます。安静していると数日から数週間で自然に痛みが緩和することもあります。

一方「慢性腰痛」は3か月以上の長期に渡って腰にダルさや違和感が生じる症状です。悪い姿勢や腰回りの安定性の低下から、腰椎に慢性的な負荷がかかり続けていることが主な原因です。「慢性腰痛」の場合は安静にするのではなく、積極的に身体を動かして、体幹の筋力強化や血流を促進する必要があります。

突然重いものを持ち上げた時に生じた痛み等、急に生じた腰痛に対しては「安静」で、持続的に腰に痛みを感じている場合は「体を動かして」対応するのがよいでしょう。
 

運動プログラムは腰痛を52.5%減少させる!

「慢性腰痛」の場合は積極的に身体を動かした方がいい!、と言われても痛みがある時に運動することに気が引ける方も少なくないでしょう。

そこで運動が腰痛に有益であることを裏付ける研究結果があります。2009年に台湾大学は37人の慢性腰痛患者を有酸素運動・筋トレ・柔軟性トレーニングをするグループと運動プログラムを行わないグループに分けました。

合計100時間の運動プログラム終了後、背中の痛みは、非運動群では有意な変化がなかったのに対し、トレーニング群では 52.5% 大幅に減少したことがわかりました出典[1]

このように様々なタイプの運動を行うことで、血流や筋力、柔軟性が改善され、腰回りの筋肉の硬直や腰椎の安定性が改善され、腰の痛みが軽減します。

また山形大学が腰痛の有無と運動習慣の関係について4 年間追跡調査をした研究では、適度なペースでのウォーキングやガーデニング等の運動を2年間継続すると全く運動習慣のない場合と比較して、腰痛の発症リスクが 41%低いことが明らかにされています出典[2]

運動は「慢性腰痛」の改善だけでなく、腰痛予防にも有益です。まずはウォーキングや庭の手入れなど比較的低負荷で取り組みやすい運動から始めてみましょう。
 

腰痛改善におすすめの運動12選

ここからは腰痛改善に有効な運動をご紹介します。もちろん痛みが生じている状況ですので、無理のない範囲でできる運動から始めてみてください。

有酸素運動

メカニズム

有酸素運動は心臓から全身に血液を送り出すことで、血行を改善するエクササイズ。

背中の軟部組織への栄養や酸素を増加させ、治癒プロセスを改善し、背中の痛みの原因となる硬直が減少します

また、ある程度の強度の運動はエンドルフィンを放出します。エンドルフィンは幸福感や高揚感をもたらすホルモンであり、鎮痛作用があることでも知られています。

適度な有酸素運動は心身の両面から腰痛を和らげてくれることでしょう。

 

運動の種類

ランニング

最も一般的な有酸素運動のランニング。特に強度の高いランニングは脳内麻薬のβ-エンドルフィンを放出し、痛みを緩和してくれます。

2007年にギリシャで行われた研究では、20人の慢性腰痛患者に週3回中~高強度の30~50分のランニングプログラムを12週間実施させました。その結果、痛みが41%軽減し、機能が31%回復し、心理的な負担が35%軽減しました出典[3]

ランニングの実施は身体的でなく、痛みによる心理的ストレスも解消し、回復につながることでしょう。

 

水中運動

水中では浮力が作用するため、姿勢や体重により腰椎にかかる負荷が小さくなります

一方で水の抵抗により腹筋や背筋を強化することができます。その他心肺機能や血管機能の向上にも有効です。

1992年の鹿児島大学の研究では、慢性腰痛患者29名に腰痛教室の形式で集団的水泳運動療法を実施しました。その結果、3ヵ月後に腰痛の軽減と腹筋・背筋力を主体とした脊柱機能検査での改善が認められました出典[4]

ただ、いきなりクロールやバタフライなどの激しい動きをするとかえって腰を痛める可能性も。まずは水中でのウォーキングや軽い体操から始めましょう。

 

サイクリング

ランニングや水泳はハードルが高い!という人はサイクリングがおすすめです。上半身にかかる負荷が小さく、腰の筋肉をリラックスさせて、運動を行うことができます

もちろん腰を反る姿勢や極端に前かがみの姿勢は腰を痛める可能性がありますので、あくまで自然な前傾姿勢で漕ぐようにしましょう。

電車や車で通勤している人は自転車通勤に変えてみるのも1つです。

 

有酸素運動を始める前に…

  • 1回30分程度:30〜40分の有酸素運動はエンドルフィンの体内産生を増加させます
  • 話せるが歌えないくらいのきつさで:中程度の強度以上の運動が効果的
  • でも無理はせずに:無理して追い込んで悪い姿勢で走るとかえって悪化させる羽目に
     

筋トレ

メカニズム

腰回りの筋量が低下すると腰椎が不安定となり、損傷し、腰痛につながります。腹筋や背筋などの腰回りの筋肉を鍛えることで腰椎を安定させられます

2022年に発表されたシステマティックレビューでも体幹トレーニングが慢性腰痛患者の痛みを軽減し、機能を改善し、体幹の強度を高める効果的な方法であることを支持しています出典[5]

また日常的に体幹を固めることは「急性腰痛」の予防にも有効です。腰回りの筋肉のトレーニングは怠らないように気をつけましょう。

 

運動の種類

バードドッグ

動物の名前が由来となるメニュー。犬のような四つん這いから、鳥が羽ばたくように手と足を広げることで体幹の筋肉を鍛えます。

●ターゲットの筋肉

腹横筋・多裂筋・大臀筋

●開始姿勢

四つん這いの姿勢をとる

●やり方

  1. 片腕と逆側の片足をできる限り遠くに伸ばす
  2. 開始姿勢に戻る
  3. 逆側も同じように行う

プランク

腹筋や腰の筋肉など体幹の筋群をまんべんなく鍛えることができるメニュー。大きな動作は必要なく、一定の姿勢を保つことで体幹の筋群を刺激することができます。

●ターゲットの筋肉

腹横筋、横隔膜、多裂筋

●開始姿勢

うつ伏せの姿勢で前腕と肘とつま先で身体を支える

●やり方

腹筋に力を入れ、20~60秒キープする

サイドブリッジ

横向きで行う体幹トレーニング。腰椎の安定性には正面の腹筋だけでなくサイドの腹筋を鍛える必要があります。

●ターゲットの筋肉

腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋

●開始姿勢

半身が下側になるように肩の真下に肘をつき、膝を伸ばして、身体を引き上げる。

●やり方

腹筋に力を入れ、20~60秒キープする

ドローイン

お腹を膨らませたりへこませたりすることで腹筋のインナーマッスルを鍛える運動。アスリートが競技中に体幹を安定させるために用いられるエクササイズでもあります。

●ターゲットの筋肉

腹横筋、横隔膜、骨盤底筋群、内腹斜筋

●開始姿勢

床に仰向けに寝ころび、膝を自然に曲げる

●やり方

  1. 大きく息を吸ってお腹を膨らませる
  2. ゆっくりと息を吐き、お腹をへこませる

スクワット

下半身を全体的に鍛えることができるキングオブエクササイズ。動員する筋肉量が多く、効率的に筋肉を増やすことができます。エネルギー消費量も大きく、ダイエット目的の人にもおすすめです。

●ターゲットの筋肉

大腿四頭筋、ハムストリングス、大殿筋

●開始姿勢

  1. 肩幅より少し広く立ち、胸を少し張る
  2. 手を胸の前で組む

●やり方

  1. 膝と股関節を曲げて身体をまっすぐ下ろす。
  2. 足で床を押し、膝を伸ばす

ブリッジ


お尻の筋肉を鍛えるトレーニング。普段腰を反らし過ぎてお尻の筋肉を使えていない方に有効です。

ターゲットの筋肉:大殿筋、ハムストリングス、脊柱起立筋、広背筋

●開始姿勢

両膝を立てた状態で仰向けになる。

●やり方

  1. お尻を高く上げ、背中と太ももが一直線の状態を5〜10秒ほど保持する。
  2. お尻をおろす。

●注意点や意識すべきポイント

腰を反らさず足の裏で床を押しお尻を持ち上げる。
 

筋トレを始める前に

  • ゆっくりとした動作で行うこと:急激な筋肉の短縮は急性腰痛を引き起こす可能性があります。
  • 体幹筋をバランスよく鍛える:腹筋だけ鍛えるとアンバランスになり、腰痛を悪化させます。
     

柔軟性トレーニング

メカニズム

腰回りの筋肉の柔軟性の低下は筋肉の硬直を招きます。筋肉が固まった状態が長く続くと発痛物質が生じ、腰痛となります。

また、腰部以外の筋肉の柔軟性が低下することは不良姿勢につながります。例えばハムストリングスが凝り固まっていると、反り腰になる可能性があります。

腰回りを始めとして全身の筋肉を柔軟にしておくことが腰の健康に重要です。

 

運動の種類

腰と背中のストレッチ

厚生労働省が腰痛に関係する筋肉の柔軟性を高める運動の1つとして紹介している腰・背中のストレッチングについて説明します。

  1. 仰向けに寝て、片膝を両手に抱え、ゆっくりと深呼吸をしながら胸の方へひきつける
  2. 約10秒間そのままの姿勢を維持する
  3. 両方の脚で行う

 

ハムストリングのストレッチ

同じように厚生労働省が推奨しているハムストリングスのストレッチがあります。

  1. 仰向けに寝て、片方の股関節を90°に曲げ、膝の裏を両手で支える
  2. その位置から膝の曲げ伸ばしをし、ゆっくりと膝をできるだけ伸ばす
  3. 最も伸びた位置で約10秒間そのままにする

 

ヨガ

身体の柔軟性と精神のリラックス状態を作るヨガ。痛みや心理的苦痛の軽減、機能能力の改善などの肯定的な結果が報告されているエクササイズです。

イギリスのヨーク大学が腰痛患者を対象にヨガを行うグループと医師の治療を受けるグループに分けた研究では、3か月後ヨガグループの方が医師治療グループよりも様々な活動を30%ほど活発にこなすことができるようになりました。

ヨガグループでは特に「長時間立ったままでいる」「より速く歩く」といった動作が向上しており、さらに運動に対する自信も増加していました。

太極拳やピラティスなどのエクササイズでも同様の効果が得られる可能性があります。是非一度試してみてください。

 

柔軟性トレーニングを始める前に

  • 身体が温まった状態で:筋肉が緩み、より伸ばしやすいでしょう
  • 週に2~3回から:まずは少ない頻度でもので継続しましょう
     

まとめ

以上、腰痛改善におすすめの運動でした。腰が痛いと運動はおろか、少し立ち上がることさえも億劫かと思います。ただ、長引く腰痛には積極的に腰を動かしていくことが大切な場合もあります。強い腰痛の場合は、簡単な運動、柔軟体操から始めて自分の体の状態に意識を向けるとる習慣をつけていくことをおすすめします。適度に運動をして、腰の痛みから身を守りましょう。

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