テストステロンの増加は良いこと尽くめ?増やす方法を現役医師に質問
2022年11月23日更新

監修者

THE WELLNESS CLINIC院長/内科・メンズウェルネス専門医

丁 秀鎮(通称:Dr.ShU)

1999年 医師免許取得 現在47歳、内科医。 2004年から本格的にBODY MAKE開始、同時期からテストステロンを意識した独自のアンチエイジング療法開始。 365/365日 ”ON” がモットー。 現在のホームはGOLD`S GYM 神戸元町店 。

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。

対談者プロフィール

Dr.ShU(本名:丁 秀鎮)

1999年 医師免許取得 現在47歳、内科医。 2004年から本格的にBODY MAKE開始、同時期からテストステロンを意識した独自のアンチエイジング療法開始。 365/365日 ”ON” がモットー。 現在のホームはGOLD`S GYM 神戸元町店 。

 

渡邉洋樹

株式会社アルファメイル代表取締役社長兼ナイトプロテインブランドプロデューサー。ニュージーランドとアメリカ在住中に最先端の栄養学に触れた事がきっかけで、海外で重要視されるデータと日本の安心・安全を融合したヘルスケアブランドを立ち上げる。自社製品を用いて趣味である格闘技やマラソンのパフォーマンスへの影響を人体実験(自分の体)するのが日課。

 

1.そもそもテストステロンとは?

渡邉:初めまして!ナイトプロテインという男性向けヘルスケアブランドの運営を行っている渡邉と申します。本日は最近SNSや動画サイト、雑誌などで注目されている「テストステロン」についてDr.ShU(本名:丁 秀鎮)に教えて頂けるという事で、楽しみにしてきました。

Dr.ShU:初めまして、渡邉さん。よろしくお願いします。

私は神戸で医師をしているDr.ShUと言います。現在47歳、私は20代の頃からテストステロンというホルモンを意識した生活を送ってきましたが、確かに最近は一般的にもかなり浸透している印象をもちますね。

渡邉:はい。ただ、弊社のお客様もそうですが、実際のところテストステロンとは何なのか?なぜ重要なのか?という部分を正しく理解している方は少ない気がしています。

ズバリ!テストステロンとは何なのでしょう?

Dr.ShU:良い質問ですね!今テストステロンが世の中で注目されている理由は2つあると思っています。

一つは最近の筋トレ業界におけるテストステロンと筋肉の関係性。そしてもう一つは男性更年期障害(LOH症候群)と呼ばれる、主に30代以降の男性にテストステロンの低下が原因で発症する病気。

渡邉:確かに、弊社のお客様でも比較的お若い方ですと、筋肉を付けたい、女性からモテたい等、より自分の男性的な魅力を高めたいと考えている方が多く、一方で比較的年齢の高いお客様ですと、健康維持のため、昔のようなパフォーマンスを取り戻したいといった目的で相談を頂くケースが多い気がします。

Dr.ShU:まず分かり易く説明すると、一般的に性ホルモンは男性ホルモンと女性ホルモンという2種類が存在します。男性ホルモンにはいくつか種類があるのですが、分かりやすいように男性ホルモン=テストステロンとして話を進めさせてもらいます。

そしてそのテストステロンが何なのか?という事をシンプルに言うと、渡邉さんと女性の精神的、外見的な違いを作っている物質です。例えば筋肉質な体であったり、低い声、男らしい見た目、若干の攻撃性などです。もちろん全部が全部ではないですが、一般的に言うとそういった特徴はテストステロンの影響を受けています。

マイティ・ソーのようなアメコミのヒーローなんかは分かり易いですよね。

渡邉:確かに筋骨隆々で髭や体毛なんかも濃く、熱血漢で男くさい感じですね(笑)

Dr.ShU:はい。また男性器を作り、精子などの生殖機能にも影響するホルモンです。つまり男性的な外見や考え方、生殖器官を形成するホルモンなんです。

男性としての肉体的な特徴に影響を与えるという事だけではなく精神的な部分にも非常に関わりが深く、いわゆる”やる気”に深く関わっています。そしてほとんどの場合このテストステロンという男性にとって非常に重要なホルモンは40代くらいからどんどん減っていきます。このホルモンの低下が原因で、例えば仕事のやる気がなくなったり、何をしても楽しくなかったり、夜の元気がなくなったりとさまざまな症状が現れますが、大多数の皆さんは仕事の疲れが原因と思っておられ、そのまま放置、中にはうつ病では?と思い心療内科にかかる方もいらっしゃいます。

うつ病と診断されて心療内科でお薬を飲んいるけど中々症状がよくならないので、テストステロンの値を調べてみるとかなり低く、うつ病の薬をやめてテストステロン補充療法を行ったところ症状が劇的に改善した例もあります

渡邉:なるほど。年齢とともにテストステロン量は低下するとの事ですが、大体どの程度の量が減るのでしょうか?

Dr.ShU:そうですね。大体30歳以降、毎年1~2%程度落ちていくと言われていますね。例えば20~30代のテストステロン量が20 pg/ml注釈[1]だとすると、40~50代くらいでは12~13 pg/ml程度に。そして60代になると8 pg/mlくらい、70代などでは6 pg/mlまで落ちていく感じです。

渡邉:そんなに落ちるんですか!?そう聞くと少し恐怖を感じます。男性としての活力であったりモチベーションの源が1/3ぐらいまで減ってしまうという事ですもんね・・・

Dr.ShU:年齢と共に徐々に低下していくので、なんとなく昔に比べて・・・って感じなんですよね。僕も自分では元気だと思っているんですけど...。

渡邉:絶対元気ですよね(笑)。外見や活力も元気そのものですし!

Dr.ShU:実際にテストステロンの値を測定すると、良い時で12~13 pg/ml程度、低い時は7 pg/mlくらいになる事もあるんです。まあ、テストステロンは睡眠やストレス、測定する時間帯によっても若干数値が変わるので、正確に計測するのは難しいのですが。

渡邉:健康的なDr.ShUでもそんなに落ちているんですか?

Dr.ShU:はい。若い方の場合、肉体的に華奢でなんとなく元気がなさそうな方でも、テストステロンを測ってみるとすごく高い数値が出るんですよ。逆に50代、60代の活力溢れている方でもテストステロン量自体は若い方に比べると明らかに低いんです。

渡邉:なるほど。テストステロン量が年齢と共に低下していくのは、ある種仕方ないものなんですね。とはいえ、同じ年齢でもテストステロン量に違いがある場合もあるんですよね?

Dr.Shu:もちろん同じ世代でも人それぞれテストステロン量は違います。

渡邉:ちなみに年齢を重ねてもテストステロンが多い方、または少ない方にそれぞれ特徴なんかはあるんでしょうか?

Dr.ShU:うーん、どうなんでしょう。海外の研究だと、若い方だとバリバリ働いている証券マンなんかは通常よりもテストステロン量が高いといったデータが出ているようです。テストステロンは攻撃性や積極性にも影響するホルモンなので、若いうちは仕事に熱心な男性の方が高くなるのかもしれません。

ただし、年齢を重ねた方の場合、バリバリ働いている方の方がテストステロン量が少なかったりするんですよね。社会的な地位やストレスなどの影響で低くなってしまうのかなって考えてます。

実際に中高年の男性の場合は、仕事とプライベートを両立させ、穏やかで満ち足りた生活を送っている方の方がテストステロン量は高かったりしますよ。

 

2.テストステロンを増やすには?

渡邉:うーん。ただ、一般的には仕事とプライベートを両立させながら満ち足りた生活を送るのって簡単な事ではないですよね・・。やはりテストステロン低下の対策は難しいのでしょうか?

Dr.ShU:もちろん睡眠や栄養など基礎的な部分を意識することで、テストステロン量の低下曲線をなだらかにする事は出来ると思います。ただし、明らかに低下したものを適切な値まで戻すということであればテストステロンを直接体に補充する方法しかないでしょうね。

ただしこれは医療行為ですし、副作用のリスクもゼロではないので、きちんとした専門のクリニックで行う必要があります。

日常生活の中で年齢に合ったテストステロン量を目指すといった意味では、運動であったり食事であったり、後はサプリメントも重要ですね

渡邉:なるほど。今までのお話を聞いてる限り、日常生活の中でテストステロンを増やすようにすることはメリットしかないように感じるのですが、間違ってはいないですか?

Dr.ShU:全くその通りでメリットしかありませんね。実はこのテストステロンを意識した生活というのは、年齢とともにテストステロンが低下していく40代以降の方だけではなく、若い方も意識する必要があるんです。というのもテストステロンは外的要因、特にストレスの影響を非常に受けやすいので、本来であればテストステロン値が高いはずの若い方でも、ストレスによって低下してしまうことがあるんです。そういった方の場合はテストステロン補充療法ではなく日々の習慣等を改善する事で、本来の値まで回復させる事は出来ると思います。

渡邉:若い方の場合はテストステロン補充療法より日常生活の改善なんですね?

Dr.ShU:そうです。まずテストステロン補充療法とは、本来体の中で生成されるテストステロンを注射によって外から補うホルモン療法です。若い方の場合はテストステロンの産生が一時的に低下しているだけなので、外から補う必要はありません。またホルモン療法は精神的にも肉体的にも少なからず影響を及ぼす事があるので、そういった副作用の観点からも若い方には必要ないと考えます。歳をとった方の場合はそもそもテストステロンの産生自体が低下しているので外から補充してあげた方が早く症状は改善します。

渡邉:うーん、疑問があるのですが、テストステロン補充治療を行うと、そのあともずっと補充を続けないといけないのでしょうか?

Dr.ShU:難しいですね・・テストステロン量が一時的に極端に落ちていて、ある一定期間補充してあげると後は自分の体の力で通常の値まで回復できる方と、補充を止めてしまうと、またテストステロン値が低下してしまう方の2パターンがあります。

例えば40代や50代の方の場合、管理職になったり、子供が大きくなって受験などでバタバタしたりといったストレスや疲れが原因で一時的に低下しているケースであれば、一定期間テストステロン補充治療を行う事で、元気を取り戻し、治療を止めてもまた自分の力で正常なテストステロン値を維持できるケースもあります。

一方で60代、70代の方の場合は、既にテストステロン値がかなり低下しているため、継続的に補充治療で外からテストステロンを補っていってあげるといった方法が適していると思っています。

渡邉:なるほど。ちなみに20代、30代の若い男性でも治療を希望される方は多いんですか?

Dr.ShU:最近多い印象を受けます。ご自身でテストステロンに関する知識を得て、「自分は男性更年期障害ではないか?」と相談に来る若い方もいますが、ほとんどの場合テストステロンの値は正常範囲なので補充療法の適応とはなりませんし、低下していたとしても先ほどもお話したリスクの観点からも補充療法は勧めません。

渡邉:それでは若い方がテストステロンを増やすにあたって、Dr.ShUから何かアドバイスはありますか?

Dr.ShU:そうですね。色々と増やす方法はあるのですが、やはりテストステロンの低下の原因にストレスが関与しているということを認識し対処することからはじめてみては、と思います。

例えば、睡眠不足もそうですし、SNSが凄く気になってしまうことや、寝る前にライトに照らされてしまうことも体にとってのストレスです。こういった身近にあるストレスをできるだけなくすような生活をおくることですね。

 

3.テストステロンブースターって?ステロイドとの違いは?

渡邉:若い方の場合は、生活習慣を改善していくことでテストステロン値を上昇させる事は可能という事なんですね。

Dr.ShU:はい、そうです。生活習慣の改善にプラスアルファという事であれば、テストステロンブースターを摂取するのも良いと思います。

渡邉:テストステロンブースターというのは、補充治療に使われるお薬とは異なるものなんでしょうか?

Dr.ShU:補充治療に使用する薬は医師しか使用することが出来ない医薬品です。これに対してテストステロンブースターは誰でも入手、使用可能なサプリメント(食品)です。

渡邉:食品と医薬品の違いという事ですね。

Dr.ShU:あくまでも食品なので医薬品のような劇的な効果は期待できませんが、きちんとした成分、内容量のテストステロンブースターを摂取すれば若い方だけでなく40,50代の方で一時的にテストステロンが低下した方の回復の補助、維持は期待できると思いますよ。

渡邉:医薬品は原則医者しか入手できないと思うのですが、最近はインターネットで海外の医薬品を簡単に購入出来る個人輸入代行なるサービスがあります。素人がこのような個人輸入代行サイトを利用して医薬品やサプリメントを購入することはどう思われますか?

Dr.ShU:うーん。難しいですね。海外のサプリメントの中には副作用の点から日本ではサプリメントとして認められていない成分が入っている製品がありますし、稀ですが日本では医薬品として取り扱われる成分が入っていることもあります

日本で販売されているサプリメントというのは食品なので、ごく稀にアレルギーがあったり、お腹が緩くなることがあるとしても基本的に安全ですし、多少摂取量を増やしても大きな副作用はありませんが、海外製となると内容成分によっては摂取量を増やすと大きな副作用が出ることもあるので注意が必要です。

あと一番心配しているのが、筋肉を発達させる目的で使われるアナボリックステロイド、単純にステと呼ばれることが多いですが、これは当然、日本でも海外でも医薬品として扱われている、非常に副作用が強いホルモン剤です。こういった医薬品が通販サイトで海外から簡単に素人が入手できてしまう、これはとっても危ない事だと思います。

渡邉:私もそうですが、トレーニングを行っている人達って早く憧れの肉体を手に入れたいので、プロテインだけでなくワークアウトドリンクであったりアミノ酸であったり、色々なサプリメントを試すことってあると思うんです。そんな感覚で、アナボリックステロイドなどの医薬品を個人輸入し使用すると非常に危険という事ですね。

Dr.ShU:アナボリックステロイドの使用は個人の判断、みたいなことをいう方もおられますが、医者の僕から言わせて貰えば  "子供が一人で車の運転をしている" ようなものです。”非常に危ない” の一言です。

 

4.テストステロン補充治療を検討する際に気をつけること

渡邉:男性更年期障害の治療であるテストステロン補充療法もホルモン剤を使用するわけですよね?危険ではないのでしょうか?

Dr.ShU:私たち医者は補充治療の前に、きちんと診察、検査を行いテストステロン補充の適応なのかどうかを診断します。適応と判断すれば適切な量を適切な間隔で投与していき、治療の間は必ず定期的に診察し効果や副作用の確認を行いますので、危険な状況は可能な限り避けることができると考えています。

渡邉:なるほど。とりあえず素人が手を出すべきものでは無い事は十分理解出来ました。

最近ではWEBなどでも、テストステロン補充治療を行っているクリニックの広告を目にする機会が増えましたが、少し怪しい広告等も見受けられます。きちんとしたクリニックの選び方ってありますか?

Dr.ShU:そうですね、テストステロンの値を測るだけなら特に気にする必要はないのですが、補充療法となると医師としての経験を積んだドクターがいるクリニックに行かれた方が良いかと思います。

そういった意味でのポイントなんですけど、医師の卒業年度を確認することをお勧めします。

渡邉:卒業年度・・・大学医学部の卒業年度ですか?

Dr.ShU:はい、医学部卒業年度です。メンズウェルネス関連のクリニックの中には、非常に若い医師が院長をしているクリニックもあります。例えば卒業後3年程度でテストステロンの補充治療を行っている医師を見ると、きちんと基礎的なトレーニングを積んでないのに大丈夫なのかなって正直思います。

個人的にホルモン補充療法を行うのは最低医者となって15年ぐらいの経験が無いとな・・・と思います。故に卒業年度から、その先生が何年ぐらい臨床経験を積んでいるかを確認することは重要なポイントかなって思います。医師の名前や経歴を掲載していないようなクリニックは避けた方がいいかなって思いますね。

渡邉:医者の経歴でクリニックを選ぶという考え方は持っていませんでしたが、言われてみればその通りですね。ついつい自宅に近いとか、クリニックが綺麗とか、ネット検索上位に上がってくるとかで選びがちですが、大切なのは自分の悩みや身体を診てくれるドクターそのものですよね。

Dr.ShU:はい、まさにその通りだと思います。

渡邉:色々ありがとうございます。最後の質問となりますが、筋力やモチベーション上昇目的以外にテストステロンを増やすメリットはありますか?

Dr.ShU:はい、テストステロンって筋肉の発達、男性の機能向上といったイメージが強いのですが、最近の研究では糖尿病、心疾患、メタボリックシンドローム、認知症とも深い関わりがあることがわかってきているんです。テストステロンを補充したり、低下させないように意識することでこれらの疾患が改善したり防げたりする可能性があるんです。つまりは心と体の健康のためにテストステロンは非常に重要な役割を果たしているんです!!

渡邉:そうなんですね!! テストステロン、非常に奥が深いホルモンですね。今日のお話をお聞きしてテストステロンについての理解が深まりました。本日はありがとうございました!

Dr.ShU:こちらこそありがとうございました。

 

まとめ

テストステロンは筋肥大や男性機能のみならず、糖尿病や心疾患、認知症にも深い関わりがあるとは驚きですね。男性にとってはまさに「命のホルモン」と言えるでしょう。若い方はストレスケアを含む健康な生活習慣を意識して、高齢の方は補充治療を検討して、いきいきとした日々を取り戻しましょう!

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