執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
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ローヤルゼリーとは
ローヤルゼリーとはどのような栄養素なのでしょうか。成分の概要や体内での役割について見ていきましょう。
1.どんな栄養素?
ローヤルゼリーは、蜜蜂の下咽頭と下顎の唾液腺の分泌物で、白黄色がかったゼラチン状の物質です。約67%の水、16%の砂糖、12.5%のタンパク質とアミノ酸、および5%の脂肪が主要な成分で、微量成分としては酵素、ビタミン、フェノール、ミネラルが含まれます。ローヤルゼリーに含まれるタンパク質の80%以上が、ローヤルゼリータンパク質 (MRJP) と呼ばれる可溶性糖タンパク質で9種類あります。そのうちのMRJP-1が、女王蜂になるために重要であることが報告されています。
ローヤルゼリーは、女王蜂しか食べることができない特別な食事です。女王蜂が働き蜂よりも身体が大きく長寿なのは、ローヤルゼリーの高い栄養価のおかげと言えます。
蜂の幼虫は、孵化してから3日間はローヤルゼリーを食べて成長します。しかし4日目以降の食事は、働き蜂と女王蜂で区別されています。働き蜂となる幼虫は蜂蜜や花粉しか食べられませんが、女王蜂となる幼虫は生涯ローヤルゼリーを食べることができます出典[1]。ローヤルゼリーのおかげで女王蜂は最長5年生き(働き蜂は通常約45日) 、1日に約2000〜3000個の卵を産むことができます出典[2]。女王蜂の若さや生殖能力の高さはローヤルゼリーのおかげなのです。
2.体の中でどんな働きをする?
ローヤルゼリーは古くからアジアやエジプトなどで医学的に利用されてきました。
現在でも、医薬品や化粧品に利用されており、機能性食品として販売されています出典[1]。
ローヤルゼリーには活性酸素を除去する働きがあります。活性酸素は免疫機能を持っており病原菌などを攻撃することができますが、増えすぎると健康な細胞までもやっつけてしまい老化や疲労を引き起こしてしまいます。ローヤルゼリーはそれを防ぎ、若く健康な身体の維持に重要な役割を担っています。
ローヤルゼリーはアンチエイジング効果があります。これは、ローヤルゼリーを摂取する女王蜂の寿命が長いことからも明らかです。
その他にも、抗菌作用、抗炎症作用、免疫調節、神経調節、メタボリックシンドロームの予防作用などを持ち、私たちの身体を健康に保つために重要な栄養素であると言えます出典[2]。
ローヤルゼリーに確認されている作用や効果
私たちの身体を若く健康に保つローヤルゼリーですが、具体的にどのような効果があるのでしょうか。詳しく見ていきたいと思います。
1.血圧の最適化
ローヤルゼリーには血管弛緩作用があり、血圧を低下させ正常値に保ちます。
血圧低下のメカニズムは、ローヤルゼリーがムスカリン受容体を刺激し、血管内皮からの一酸化窒素 (NO) 産生を促進することで、血管が弛緩され血圧が低下します。もう1つのメカニズムとしては、ローヤルゼリーに含まれるトランス-10-ヒドロキシ-2-デセン酸が血管内皮に作用し、NO合成が活性化することで血管が拡張され血圧が低下します出典[3]。
2018年に血管内皮機能を調べる試験が行われ、100人の健康なボランティアが参加しました。ローヤルゼリー690mgまたはプラセボを4週間毎日摂取し、RH-PAT指数を用いて血管内皮機能を調べました。その結果、ローヤルゼリーを摂取することでRH-PAT指数が高くなることが分かりました。つまり、ローヤルゼリーには血管内皮機能を増強する効果があると言えます。血管内皮機能の増強によりNOが放出され、血管が弛緩し血圧が低下します出典[3]。
また、マウスの細胞を用いた実験により、ローヤルゼリーが血管平滑筋細胞の作用を妨げ、血圧を低下させることが示されました。マウス血管平滑筋細胞にローヤルゼリータンパク質であるMRJP-1を発現させることで、血管平滑筋細胞の収縮や増殖が大幅に減少しました。その結果、血管が弛緩し高血圧の低下が見られました出典[4]。
以上のことから、ローヤルゼリーには血管を広げ血圧を低下させる作用があることが分かりました。高血圧の方はローヤルゼリーの含まれる蜂蜜製品などを摂取することで、改善が見られるかもしれません。積極的に摂取するようにしましょう。
2.テストステロンの上昇をサポート
ローヤルゼリーはテストステロンの上昇をサポートします。
マウスに、ローヤルゼリー、オキシメトロン、ローヤルゼリーとオキシメトロンの両方を摂取させ、テストステロン量を調べました。オキシメトロンとは筋肉増強剤で、副作用としてテストステロンの減少が見られることが分かっている薬です。
オキシメトロンを摂取した群はテストステロン濃度が大幅に減少しましたが、オキシメトロンと一緒にローヤルゼリーを摂取することでテストステロン濃度の増加が見られました。この結果より、ローヤルゼリーはオキシメトロンと一緒に摂取することで、オキシメトロンによる酸化ストレスや男性の不妊症を改善する可能性が示唆されました出典[5]。
ローヤルゼリーはテストステロンの減少を防ぎ、男性機能を維持します。年齢とともに減少するテストステロン分泌をサポートするために、食事やサプリメントからローヤルゼリーを摂取すると良いでしょう。
3.精子の質改善
ローヤルゼリーはテストステロンの上昇をサポートするだけでなく、精子の質を改善する役割もあります。
ラットに蜂蜜入りローヤルゼリーあるいは蜂蜜を摂取させ、精子を吸引して評価しました。蜂蜜入りローヤルゼリーを摂取した群は、蜂蜜のみを摂取した群と比較して、精子の数が多く高い運動性を示しました。この結果より、ローヤルゼリーの摂取は、精子の数と運動性に大きな影響を与えることが示唆されました。無精子症や乏精子症、精子無力症がある場合、ローヤルゼリーの使用は非常に効果的であり、不妊治療に役立つと考えられます出典[6]。
また、ローヤルゼリーには糖尿病による精巣機能の低下を緩和する働きがあります。
糖尿病は、勃起不全や射精障害のような生殖機能に悪影響を及ぼす疾患の一つです。ローヤルゼリーには抗酸化作用と抗糖尿病作用があり、糖尿病に対する保護作用を示します。
糖尿病のラットは精細管(精子を運ぶ管)の直径や精子の数が少ないですが、ローヤルゼリーを摂取することでこれらの数値の改善が見られました。また、ローヤルゼリーの摂取により、抗酸化作用が増加しました。ローヤルゼリーの持つ抗酸化作用により、糖尿病による精巣の機能障害が改善したと考えられます出典[7]。
ローヤルゼリーには、精子の質を改善し男性の不妊をサポートする働きがあります。子どもを望む男性はローヤルゼリーを摂取すると良いでしょう。
4.コレステロールの低下
ローヤルゼリーに含まれるタンパク質(MRJP-1)にはコレステロールを低下させる働きがあります。MRJP-1によるコレステロール低下作用は、MRJP-1が胆汁酸と相互作用し、糞便中の胆汁酸およびコレステロール排泄の増加を誘発し、肝臓のコレステロール代謝を増強することにより発生します。
ラットにMRJP-1を投与したところ、β-シトステロールよりも高いコレステロール低下活性を示しました。β-シトステロールは悪玉コレステロールを減少させる働きがあり、医薬品や機能性食品成分として使用されています。それよりも高いコレステロール低下活性を示すMRJP-1は、有用な治療薬になり得ることが示唆されます出典[8]。
コレステロールが蓄積されると、動脈硬化や心筋梗塞などを引き起こす恐れがあります。食事やサプリメントからローヤルゼリーを摂取し、病気の予防に努めましょう。
5.ダイエットのサポート
ローヤルゼリーはダイエットの効率を上げる有効な成分です。
40匹のマウスによる実験を行い、ローヤルゼリーが肥満に与える影響を調べました。
高齢ラットにおいて、高脂肪食の摂取により、体重や腹部脂肪重量、インスリン抵抗性の増加が見られました。インスリン抵抗性の増加は、血糖値が下がりにくくなったことを示しています。また、TNF-α受容体が増加しました。TNF-αは、脂肪細胞においてインスリンの作用を弱減させ、インスリン抵抗性増悪に関与していると考えられている受容体です。
ローヤルゼリーを与えられたラットは、肥満の減少やインスリン抵抗性の改善、TNF-α受容体の減少を示しました。
加齢と高脂肪食は体重やインスリン抵抗性の増加を引き起こしましたが、ローヤルゼリーを摂取することで、体重低下や脂肪の減少が見られ、インスリン抵抗性も減少しました出典[9]。
ダイエットの効果がなかなか得られない方は、ローヤルゼリーを摂取することで、インスリン抵抗性が改善し血糖値が下がりやすくなるかもしれません。食事やサプリメントから摂取し、効率よくダイエットを進めましょう。
6.ストレスの緩和
ローヤルゼリーにはストレスを低下させる働きがあります。
拘束や寒冷ストレスを受けると、脳組織の抗酸化防御システムが悪化し、コルチゾールレベルが上昇します。コルチゾールはストレスにより増加するホルモンで、ストレスを測る指標となります。ローヤルゼリーを摂取することで、抗酸化防御システムが改善しコルチゾールレベルが低下します。
ストレスを受けたラットは、グルタチオンによる防御システムの低下に加えて、脳の
コルチゾールレベルが増加しました。ローヤルゼリーを摂取することで、グルタチオンによる防御システムの改善に加えて、コルチゾールの分泌が減少し、血糖が維持され、脳などの脂質過酸化が減少しました。
この研究より、ローヤルゼリーが脳内の抗酸化システムを改善し、ストレスを低下させる可能性があることが示唆されました出典[10]。
ストレスに悩む方はローヤルゼリ-の摂取が有効かもしれません。
7.免疫力の改善
ローヤルゼリーには、免疫力の低下を改善する働きがあります。
ローヤルゼリーを摂取した高齢者は、サイトカインおよび一酸化窒素放出が促進され、免疫力低下が抑制されました。また、細胞内のグルタチオンレベルも増加しました。サイトカインもグルタチオンも免疫力向上に関わる物質です。若い被験者がローヤルゼリーを摂取した場合でも、グルタチオンレベルの上昇が見られました。これらの結果より、ローヤルゼリーは高齢者や若い被験者の免疫機能を回復させることが分かりました出典[11]。
中年期ごろから徐々に免疫力の低下を感じ始めるかもしれません。ローヤルゼリーを摂取し、健康な身体を維持できるように努めましょう。
8.美肌効果
ローヤルゼリーには、紫外線による肌のダメージを緩和する働きがあります。ローヤルゼリーには主要な不飽和脂肪酸として、10-ヒドロキシ-2-デセン酸 (10-HDA) が約0.211%含まれています。これには抗腫瘍および抗菌活性があり、コラーゲン産生を刺激する能力があります。
ローヤルゼリーと10-HDAで処理した細胞に紫外線を照射したところ、コラーゲンの産生が増加しました。このことから、ローヤルゼリーはコラーゲン産生を促進することにより、紫外線による光老化から皮膚を保護することができると言えます出典[12]。
紫外線から肌を守るローヤルゼリーをサプリメントなどから摂取し、美肌を目指しましょう。
9.ドライアイ改善の可能性
ローヤルゼリーはドライアイ改善に効果的な成分の可能性があります。
ドライアイとは、眼の不快感や視覚障害を特徴とする多因子疾患です。涙腺の機能は、加齢や自律神経の乱れによって低下することがわかっており、これがドライアイの潜在的な危険因子として知られています。
20〜60歳のドライアイ患者43人に、ローヤルゼリー(1日1200mg×6 錠)あるいはプラセボを8週間摂取してもらい、ドライアイ症状を調べました。その結果、ローヤルゼリー摂取群において涙の量が大幅に増加しました。
また、ドライアイのマウスを用いて、ローヤルゼリー(1日300mg/kg)投与の効果を調べました。ローヤルゼリーの投与により、涙腺の分泌機能が活性化され、涙液量の改善が見られました出典[13]。
ローヤルゼリーはドライアイを改善させる可能性があります。パソコンの見過ぎで目が疲れたり加齢により目が乾きやすくなったりする場合に、ローヤルゼリーを摂取することは有効かもしれません。
ローヤルゼリーの摂取方法や注意点
ローヤルゼリーを摂取する際、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか。必要な摂取量や過剰摂取した場合の副作用について見ていきましょう。
推奨量について
成人におけるローヤルゼリーの摂取量は、1日1000mgが最も多いとされています出典[14]。この量を目安に摂取すると良いでしょう。
副作用について
注意すべき点として、喘息や蜂蜜製品に対するアレルギーがある場合は、アレルギー反応を引き起こす場合があるため気を付けて摂取しましょう。
皮膚に塗布する場合、炎症や発疹を引き起こす可能性があります出典[14]。肌との相性を確認してからローヤルゼリー製品を使用するようにしましょう。
まとめ
ローヤルゼリーは、ビタミンやたんぱく質、ミネラルなど多くの栄養素を豊富に含んでいる成分です。女王蜂が食べる唯一の食事であり、女王蜂が働き蜂よりも身体が大きく長寿であるのはローヤルゼリーのおかげです。
ローヤルゼリーは、テストステロンの上昇をサポートしたり精子の質を改善したりと、男性ホルモンの機能維持に関わっています。また、ダイエットサポートや美肌効果のように、見た目を美しく若々しくする効果もあります。
ローヤルゼリーの摂取により、アレルギー反応や肌の炎症を引き起こす可能性があるため注意するようにしましょう。
出典
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