執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
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キャベジン(ビタミンU)とは
キャベツから発見された物質であるS-メチルメチオニンは、キャベジンとして胃腸薬やサプリメントとして幅広く利用されています。また、キャベジンには胃腸の炎症や細菌感染を防ぐ働きなど、ビタミンに似た作用がみられることから「ビタミンU」とも呼ばれています出典[1]。まずは、キャベジンについての概要やキャベジンが豊富に含まれている食材について知っておきましょう。見ていきましょう。
1.どんな栄養素?
キャベツやブロッコリー、ほうれん草などの野菜には硫黄含有アミノ酸であるS-メチルメチオニンが含まれています。S-メチルメチオニンは、キャベツから発見されたことをきっかけにキャベジン(ビタミンU)と呼ばれ、市販のサプリメントや胃腸薬にも配合されていることでも有名です出典[1]。
ちなみに、キャベジンの別名である「ビタミンU」は、キャベジンが潰瘍を防ぐ栄養素であることから「ulcus(潰瘍)」の頭文字を由来にして名付けられました。
2.体の中でどんな働きをする?
キャベジンは、胃腸の粘膜を始めとした粘膜細胞を保護するために重要な役割を担っています。
胃や腸の粘膜細胞の合成が遅れてしまうと、食物の消化のために分泌された胃酸によって胃腸の粘膜自体が傷つけられてしまいます。キャベジンは粘膜細胞を構成するムチンの合成に関わっており、胃腸の粘膜を胃酸から守っているのです出典[2]。
3.どんな食材に含まれている?
キャベツやブロッコリー、アスパラガス、チンゲン菜、ほうれん草といった野菜類は、キャベジンが含まれている食材の代表格です出典[3]。
特に、キャベツのビタミンU含有率は夏に収穫された物が最も多く、秋が近付くにつれて減少していくとされています。
時期別に収穫されたキャベツのキャベジン含有率を調べた研究によると、別のビタミンU含有率は7月に収穫されたキャベツであるほどキャベジンが多く含まれており、8月、9月、10月収穫の順に低くなることが報告されています出典[4]。
また、ブロッコリーの場合は茎よりも蕾(つぼみ)の部分の方がキャベジンを豊富に含んでいるといった違いがあります。ブロッコリーのキャベジン含有率を分析したところ、蕾の部分には生での重量100g辺り16.7 mgのキャベジンが含まれており、茎や葉、根の約4倍の含有量であることが判明しました出典[3]。
なお、キャベジンは水に溶けやすく熱に弱いことが特徴です。生野菜を食べるときは手早く洗う・調理して摂取するときは加熱し過ぎないよう気を付けましょう。
キャベジン(ビタミンU)に確認されている作用や効果
キャベジン(ビタミンU)には、胃腸や腎臓の不調を和らげたり脂肪を燃焼させたりする効果が期待されています。また、紫外線によるダメージから肌を守る作用も期待されています。日々の健康維持や美容、ダイエットのために、食事やサプリメントでキャベジンを習慣的に摂取しておきましょう。
1.胃腸の不調を緩和
キャベジンには、胃潰瘍など胃腸の不調を緩和させる効果が期待されています。抗消化性潰瘍因子とも呼ばれているキャベジンは、ヒスタミン誘発性消化性潰瘍の発生を防ぐ作用が確認されているのです。
消化性潰瘍の患者13名を対象にした研究によると、新鮮なキャベツジュースを摂取した患者に対し、消化性潰瘍の治癒が認められました出典[5]。
また、標準治療を行った患者の胃潰瘍によるクレーターが治癒するまでの期間は平均42日であったのに対し、キャベツジュースで治療された6名の胃潰瘍患者のクレーターが治癒するまでの期間は、わずか7.3日だったことが分かりました出典[5]。
普段から胃腸の調子が悪いと感じている方は、キャベジンの多い食品やサプリメントを食生活に取り入れてみるのもおすすめです。
2.腎臓の不調を緩和
腎障害を誘発するバルプロ酸は、キャベジンの抗酸化作用や抗炎症作用、抗線維化特性によって抑制されることが分かっています。そのため、キャベジンは腎臓の不調を防ぐ働きのある栄養素と考えられているのです出典[6]。
研究用アルビノラット(SDラット)を対象にした研究によると、バルプロ酸とキャベジンを投与したラットに対し、バルプロ酸によって発生した腎障害が抑制されていることが実証されました出典[6]。
腎機能低下は自覚症状がなく、普段の食生活の乱れによって進行してしまいます。キャベジンが含まれている野菜を取り入れることで、日頃から食事バランスを整えておきましょう。
3.脂肪燃焼のサポート
キャベジンには、脂肪を燃焼させて太りにくい身体をつくる作用があります。
脂肪生成因子の感受性を低下させ、脂肪の分解を促進させてエネルギー産生するホルモンであるAMP 活性化プロテインキナーゼ(AMPK )を活性化させることが重要です。キャベジンはこれらの働きに対するサポート役を担っています出典[7]。
高コレステロール血症の患者26名に対して、キャベジン(1500mg/日)を8週間経口投与したときの効果を分析しました。その結果、キャベジンの経口投与により、血中の総コレステロールが9.7%減少したことが報告されています。また、血中の余分なコレステロールを回収する働きのあるHDL-コレステロールの有意な増加もみられました出典[8]。
ダイエット中の方や、お腹周りの脂肪が気になる方も、キャベジンの多い食品やサプリメントを食生活にプラスしてみましょう。
4.紫外線によるシミ発生の抑制
キャベジンは、紫外線によるシミ発生から肌を守る効果があると報告されています。キャベジンの摂取によってコラーゲンの合成が促進されることで、紫外線を浴びた後でも皮膚のシミ発生率の減少が期待されているのです。
動物実験によってキャベジンの光保護効果を調査した結果、紫外線の照射後に5%および10%のキャベジンを投与すると、紫外線によるシミの発生が大幅に減少しました出典[9]。
化粧品の原料としても使用されるキャベジンですが、食事やサプリメントで継続的に摂取し、身体の内側からシミ対策を行うのも良いでしょう。
キャベジン(ビタミンU)の摂取方法
キャベジンは水溶性の物質であることから、過剰摂取による身体への悪影響も起こらないとされています。そのため、キャベジンの推奨量は定められていません。
複数の研究では、1日に体重辺り50mgのキャベジンを摂取することで健康効果が得られることが報告されています。
ラットを使用して、てんかん発作中に発生する肺組織の損傷に対するキャベジンの治療効果についての研究が行われました。その結果、体重辺り50mgのキャベジンを7日間経管栄養で投与したラットについて、肺組織の損傷が有意に保護されていることが分かりました出典[10]。
また、ラットの水晶体損傷に対するキャベジンの影響について研究したところ、体重辺り50㎎のキャベジンを15 日間補給したラットについて、水晶体の脂質酸化が抑制されレンズの損傷から保護されていることが示唆されました出典[11]。
さらに、キャベジンが豊富に含まれているキャベツには、出血を抑える作用があるビタミンKも含まれています。胃腸に発生する潰瘍は出血も伴うことが多いため、キャベジンとビタミンKを合わせて摂取することは胃腸の健康を守るためにとても有効と考えられます。
まとめ
胃腸は人間の身体に大きな役割を果たしており、正常に機能しない状態が続くと体力や免疫力の低下、食欲減退、下痢などの症状が引き起こされます。
胃腸の健康維持効果が期待されているキャベジンは、主に野菜に多く含まれる栄養素です。最近胃腸の調子が気になる方・胃もたれや胃潰瘍を予防したい方は、普段の食生活で野菜不足になっていないかチェックしてみましょう。
出典
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