コーヒーに豊富なクロロゲン酸とは?5つの効果と適切な摂取方法
2023年7月25日更新

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

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クロロゲン酸とは

まずはクロロゲン酸の基本情報についてご紹介します。

1.どんな栄養素?

クロロゲン酸はポリフェノールの一種であり、カフェイン酸とキナ酸により形成されています出典[1]。ポリフェノールとは、ほとんどすべての植物が持つ成分であり、苦みや色味などを構成しています。キナ酸は神経細胞保護作用を持つ成分で、アルツハイマー病の治療薬として期待されています出典[2]

クロロゲン酸はコーヒーに多く含まれています出典[3]コーヒーを焙煎すると、クロロゲン酸がカフェイン酸に分解されます。カフェイン酸は抗酸化作用を持っており、血中グルコース濃度の低下やLDLコレステロールの酸化抑制効果をもたらします出典[4]

 

2.体の中でどんな働きをする?

クロロゲン酸は抗酸化物質であり、活性酸素を取り除き酸化の働きを抑えます。活性酸素は微量であれば人体に有用な働きをしますが、大量に生成されると過酸化脂質を作り出し、動脈硬化・がん・老化・免疫機能の低下などを引き起こします出典[5]。クロロゲン酸は特に、脂質酸化に対する抗酸化作用があります。

クロロゲン酸には、糖の生成を抑制し、糖尿病を予防する効果があります。グルコース(糖)は、グルコース-6-ホスファターゼという酵素の働きによって生成されます。クロロゲン酸は、グルコース-6-ホスファターゼの働きを阻害することで、グルコースの生成を抑えます。

また、糖尿病で過剰になったグルコースは、アルドースレダクターゼという酵素によりソルビトールに変換されます。生成されたソルビトールは神経障害を引き起こします。クロロゲン酸は、アルドースレダクターゼの活性を阻害し、糖尿病が引き起こし得る神経障害を予防します。

クロロゲン酸には血圧降下作用があります。クロロゲン酸を摂取することで。内皮機能障害が改善されて血管が健康になり、高血圧が改善します。

また、クロロゲン酸には、脂質の吸収を抑制する働きもあります。クロロゲン酸を摂取することで体重やBMIの減少が見られており、ダイエットに効果的な成分と言えます出典[6]


3.どんな食材に含まれている?

クロロゲン酸は、コーヒーに多く含まれています。また、イチゴやナスなどの野菜にも含まれているため、コーヒーが苦手な方はこれらの野菜から摂取すると良いでしょう出典[7]出典[8]出典[9]

 

クロロゲン酸に確認されている作用や効果

クロロゲン酸を摂取することで得られる効果について詳しく見ていきましょう。

1.ダイエットのサポート

クロロゲン酸は、ダイエットをサポートします。

12人の被験者にクロロゲン酸が入ったコーヒーを摂取してもらったところ、グルコースの吸収量が6.9%減少しました。通常のインスタントコーヒーやカフェイン抜きのインスタントコーヒーでは、そのような効果は見られませんでした。

また、30人の肥満の被験者を対象に、クロロゲン酸含有コーヒーを12週間摂取してもらった際の体重への影響を調べました。通常のインスタントコーヒーを摂取した場合は体重が1.7kgしか減少しませんでしたが、クロロゲン酸含有コーヒーを摂取した場合は体重が5.4kgも減少しました。これらの結果より、クロロゲン酸が多く含まれるコーヒーは、食事からのグルコースの吸収と利用に大きな影響を与えると考えられます出典[10]

体重がなかなか落ちずに悩んでいる方は、クロロゲン酸の入った食材やサプリメントを摂取すると効果的でしょう。

 

2.肌の改善

クロロゲン酸には肌の健康を改善する効果があります。

生コーヒー豆由来クロロゲン酸が、顔の皮膚性状に及ぼす影響を検討することを目的として、健常成人女性20名を対象に試験が行われました。その結果、クロロゲン酸含有コーヒーを摂取することで、頬の角層水分量、経皮水分蒸散量(経皮が失う水分量)、皮膚血流が有意に高く推移することが分かりました。これらの結果から、クロロゲン酸飲料の単回摂取によって皮膚血流量が上昇し、体内から角層への水分供給量が増大することにより、角層水分量を増加させることが示唆されました。生コーヒー豆由来クロロゲン酸が、即時的に角層の乾燥を緩和する効果がある可能性が示されました出典[11]

クロロゲン酸を主成分とするコーヒーポリフェノール(CPPs)の継続摂取による顔、下肢皮膚の角層機能への影響を調べる研究が行われました。健常な成人108名を対象に、CPPs 配合飲料(クロロゲン酸 300mg/100ml/日)あるいは CPPs 無配合(プラセボ)飲料を8週間継続摂取してもらいました。その結果、CPPs 配合飲料摂取群では、プラセボ飲料摂取群と比べて顔および下肢の角層水分量の増加、テープ剥離後の水分蒸散量増加の抑制が認められました。また、ストレス症状の改善も見られました。このことから、CPPs の継続摂取により全身の皮膚の乾燥の改善が期待されるとともに、ストレス症状の低減も示唆されました出典[12]

以上のことから、クロロゲン酸には肌を乾燥から守り健康にする働きがあると言えます。肌は、年齢とともに乾燥がひどくなりカサカサになってきます。それを改善するために、クロロゲン酸を摂取すると良いでしょう。

 

3.高血圧の予防

クロロゲン酸は血圧を低下させ、高血圧予防に働きます。

364人の参加者を含む5つの研究により、クロロゲン酸が収縮期血圧を4.31mmHg低下させることがわかりました。また、拡張期血圧においても3.68mmHgと大幅な低下が見られました出典[13]

高血圧の方は、クロロゲン酸の入ったコーヒーやサプリメントを摂取することで改善が見られるかもしれません。血圧が上昇気味の方も、クロロゲン酸を摂取して血圧を健康な状態に保つようにしましょう。

 

4.コレステロール低下の可能性

クロロゲン酸はコレステロールを低下させる可能性があります。

高コレステロール血症は、心血管疾患および非アルコール性脂肪肝疾患発症の主要な危険因子です。クロロゲン酸は、血清コレステロールを低下させ、心血管疾患および非アルコール性脂肪肝疾患の進行を遅らせるのに役立つことがわかっています。

ラットに高コレステロール食(1mg/kg/日)またはクロロゲン酸を補充した高コレステロール食(10mg/kg/日)を28日間摂取させました。その結果、クロロゲン酸が、高コレステロール食によって誘発された高密度リポタンパク質を減少させ、アテローム発生指数(心血管疾患のリスク)と心臓危険因子の両方を改善することが分かりました。また、クロロゲン酸を摂取したラットでは、肝臓の脂質沈着が大幅に減少しました。

コレステロール低下効果は、クロロゲン酸によって与えられる有益な効果であり、心臓保護や肝臓保護機能など他の二次的な効果につながると仮定されています出典[14]

コレステロールを下げるためには、バランスの良い食事や適度な運動が大切です。それに加えて、クロロゲン酸が含まれるサプリメントなどを摂取することで、コレステロール低下により効果があるかもしれません。

 

5.糖尿病予防の可能性

クロロゲン酸は糖尿病を予防する成分かもしれません。

クロロゲン酸は、腸のグルコース吸収を遅らせ、糖新生を阻害することがわかっています。糖新生とは、アミノ酸や乳酸など糖質以外の物質から、グルコースを生産することです。

クロロゲン酸と糖尿病の関係を調べた動物実験では、クロロゲン酸250mg/kgを投与されたマウスでは、投与の10分後に空腹時血糖の有意な低下が見られ、その効果は30分間持続しました。

また、クロロゲン酸は、AMPKをリン酸化し活性化させることが明らかになりました。AMPKが活性化されることで、骨格筋のグルコース輸送が刺激されます。これらのことから、クロロゲン酸が糖尿病に有益な効果をもたらす可能性が示唆されました出典[15]

クロロゲン酸には糖の吸収を抑える効果があります。血糖値の上がりやすい食事をした場合には、クロロゲン酸の入ったコーヒーなどを摂取すると良いかもしれません。

 

クロロゲン酸の摂取方法や注意点

クロロゲン酸の摂取量の目安は、1日270mgです。過剰摂取量は1日1350mgですが、この量を摂取した場合でも安全性が高いことが確認されています出典[16]。過剰摂取が続くことはあまり好ましくないですが、過剰摂取量を少し超えたからと言って心配することはないでしょう。

クロロゲン酸を摂取した場合の血中濃度は、0.5〜8時間後にピークとなります。そのため、幅広く摂取の時間帯を意識するよりも継続的な摂取を意識した方が良いと言えます出典[17]

 

まとめ

クロロゲン酸はポリフェノールの一種であり、コーヒーに多く含まれています。クロロゲン酸は、高血圧や糖尿病、肥満といった生活習慣病を改善する効果が期待されている成分です。クロロゲン酸が含まれる食事やサプリメントをしっかりと摂取して、健康寿命を延ばしていきましょう。

 

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