クルクミンとは?7つの効果と適切な摂取方法
2023年6月2日更新

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

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クルクミンとは

インドを始めとしたアジア諸国の代表的な植物であるウコン(ターメリック)は、香辛料だけでなく二日酔いの防止や肝機能の改善目的でも使用されている健康食品です。まずは、ウコンやクルクミンの概要や体内での役割についてご紹介します。

1.どんな栄養素?

二日酔い対策として飲まれているウコンには、クルクミンと呼ばれるポリフェノールが豊富に含まれています。ウコンは「ターメリック」とも呼ばれ、カレーなどに使われる香辛料としても馴染み深い食材です。

クルクミンはウコンの根茎に見られる天然ポリフェノールであり、大昔からアジア諸国を中心に薬用ハーブとして使用されてきました。例えば、インドではカレーのスパイス、日本や韓国では飲み物、タイでは化粧品の成分として使われています出典[1]

また、クルクミンは栄養ドリンクや粉末の栄養補助食品としてだけではなく、マスタードやチーズ、スナック菓子などの防腐剤や着色料としても使用されます出典[1]

 

2.体の中でどんな働きをする?

クルクミンは、抗酸化物質の活性を高め、体内の炎症反応を抑える作用が示されています。

体内で引き起こされる慢性疾患に関与しているのが、スーパーオキシドラジカルや過酸化水素、一酸化窒素 (NO) ラジカルなどによる酸化ストレスです。クルクミンは、これらの物質(活性酸素種 (ROS)) を除去することで、酸化ストレスを抑える働きを担っています出典[2]

また、クルクミンは炎症を誘発する物質(炎症誘発性サイトカイン)の産生を抑えることでも、慢性疾患を軽減する働きも持っています出典[2]

 

クルクミンに確認されている作用や効果

クルクミンは、中国医学やアーユルヴェーダなど世界中で様々な医薬品の成分として使われています。そのため、クルクミンの健康効果については幅広く研究されてきました。クルクミンに見られる抗酸化作用や抗炎症作用、抗菌作用などの働きは、肝機能や歯周病の改善、糖尿病予防など様々な健康効果に繋がっています。

ここからは、クルクミンに期待されている効能や病気を軽減する作用について見ていきましょう。

1.肝機能の改善

ウコンの栄養ドリンクは二日酔い対策の代表格ですが、これはクルクミンに肝機能を改善させる効果が示されているためです。

肝臓の健康状態は、ALTやALP、γ-GTPなどの酵素が血液中にどの程度漏れ出しているかによって調べることができます。

ALTは肝細胞に存在し、炎症や肝機能障害で肝細胞が破壊されると血液中に漏れ出します。ALPは肝臓で作られる酵素で主に胆汁内に存在します。肝機能が低下して胆汁の流れが悪くなると、胆汁中のALPが血液中に漏れ出し数値が上昇します。

非アルコール性脂肪肝疾患 (NAFLD)の患者64名を対象にウコンを1日2g、8週間投与した研究によると、ウコンを投与したグループに対して、ALTとALPの有意な低下がみられました出典[3]

肝機能の悪化は暴飲暴食によってゆっくり進行します。肝臓の病気は自覚症状がほとんどないため、飲み会や会食の多い方は普段からクルクミンを取り入れておきましょう。

 

2.歯周病の改善

クルクミンは歯周病の症状を軽減させる効果も期待されています。

クルクミンには炎症反応を調節する作用があることから、インド医学では防腐剤としても使われてきました。クルクミンが炎症誘発性サイトカインの産生を抑えることで、歯茎の炎症が軽減して歯周病の改善に繋がると考えられています。また、クルクミンは歯垢の付着も減少させる働きも持っています。

歯周病(慢性歯周炎)の患者30名(35~60歳)を対象に、クルクミンが配合されたゲルを塗った後の歯茎の状態について分析したところ、4週間後にはクルクミンゲルを塗った部位のプラーク(歯垢)や歯肉の炎症割合が減少したことが分かりました出典[4]

歯周病は、現代人が最も多く抱えている病気の一つといわれています。歯や歯茎の健康が気になる方は、クルクミン配合の歯磨き粉を使ってみるのもおすすめです。

 

3.コレステロール値を下げる

クルクミンは、血液中のコレステロール値を低下させる効果も確認されています。

健康な被験者10名を対象に、クルクミンと血液中のコレステロールや過酸化脂質との関連について研究が行われました。その結果、クルクミンを1日あたり500mg、7日間投与した被験者に血液中の総コレステロールの減少、血液中の過酸化脂質の減少が認められました出典[5]

コレステロールの上昇は動脈硬化を引き起こすとされています。将来に向けた健康維持のためにも、クルクミンを使った料理やサプリメントを取り入れましょう。

 

4.運動後の疲労回復

長時間の運動を行うと、筋肉細胞に酸化ストレスを発生させ、筋肉の疲労が引き起こされます。こうした運動後の筋肉の疲労を和らげるには、クルクミンの摂取が効果的です。

過度な脂質酸化は、体内の細胞や組織、器官の損傷を引き起こします。特に、脂質酸化によるストレスが増大すると、タンパク質の合成に大きな影響を与えることが示されています出典[6]

健康な男性アスリート47名を対象に、地中海食のみを与えるグループとクルクミンが含まれる食事を与えるグループに分けて運動後の脂質酸化や筋肉疲労について調査しました。その結果、クルクミンが含まれる食事を与えたグループに対し、タンパク質が糖と結びついて変性した物質(終末糖化産物)であるAGEの有意な減少がみられました。AGEは筋肉や人体の疲労を引き起こす物質であるため、クルクミンの摂取によって筋肉の疲労が軽減されたと考えられます出典[7]

習慣的にスポーツやジョギングを行っている方は、クルクミンが多く含まれるカレーを食べておくのもおすすめです。

 

5.関節痛の緩和

クルクミンの抗炎症作用は、関節痛の軽減や軟骨細胞の保護にも役立ちます。

軽度から中等度の変形性膝関節症の患者を対象に、クルクミンの臨床効果について研究が行われました。1日1500mgのクルクミンを3回に分けて6週間投与した結果、変形性関節症指数のうち痛みに関する指数の有意な低下がみられました。この結果から、クルクミンの投与が変形性膝関節症の痛みを緩和する効果があることが分かりました出典[8]

膝の痛みが気になる方は、クルクミンの多い食事やサプリメントを取り入れてみるのも良いでしょう。

 

6.がん治療のサポート

近年では、クルクミンはがん治療のサポートにも効果があるといわれています。

クルクミンには、抗酸化作用や抗炎症作用、抗菌作用、抗ウイルス作用、抗増殖作用などがあるとされ、これらはがん細胞の増殖を抑える働きに関連します。加えて、クルクミンは毒性が低く、高用量のクルクミンを摂取しても健康な細胞にはダメージを与えないことも重要なポイントです。

結腸直腸癌とクルクミンの関わりについて分析した実験によると、クルクミンががん細胞増殖を阻害することが分かりました。この研究結果は、クルクミンが結腸直腸癌の予防に効果的であることを示しています出典[9]

がんは将来の生活に大きく影響する病気です。普段の食生活にクルクミンをプラスし、健康管理に繋げましょう。

 

7.糖尿病予防の可能性

クルクミンは、糖尿病予防にも役立つ可能性が示唆されています。

脂肪組織から血液中に放出される遊離脂肪酸は、体内でエネルギーとして活用されます。ただし、余分な遊離脂肪酸は血糖値の上昇を活発にし、インスリン抵抗性を強めてしまうため、糖尿病が進行してしまうのです。クルクミンは、血液中の遊離脂肪酸を減少させ、脂肪酸の酸化を増加させることによって、血糖値を低下させる作用が期待されています。

2型糖尿病患者100名をクルクミン1日300 mg摂取するグループと摂取しないグループに分け、3ヵ月後の体重やHbA1c、空腹時血糖値、血中の遊離脂肪酸、脂質、リポタンパク質リパーゼについて分析しました。その結果、クルクミンを摂取したグループに対して空腹時血糖値やHbA1c、血中の遊離脂肪酸の有意な減少がみられました出典[10]

体重の増加が気になる・糖尿病を予防したい方は、クルクミンをスパイスとして使っている料理を習慣的に取り入れるのがおすすめです。

 

クルクミンの摂取方法や注意点

ここからは、クルクミンの適切な摂取方法について解説します。

1.どのくらい摂取すればいい?

クルクミンの推奨量は得られる健康効果によって違いがありますが、1日300〜1000mgが一般的です。

例えば、糖尿病予防の場合は、1日300mgが摂取量の目安と考えられます。

2型糖尿病患者を対象とした研究では、1日300 mgのクルクミンを3ヵ月間摂取したところ、空腹時血糖値やHbA1c、血中の遊離脂肪酸の数値改善がみられています出典[10]

また、コレステロール値の改善には1日500mgが推奨されています。

1日500mgのクルクミンを7日間投与した被験者に血液中の総コレステロールの減少、血液中の過酸化脂質の減少が認められました出典[5]

なお、市販されているクルクミンのサプリメントの多くは300〜1000mgとなっています。サプリメントでクルクミンを摂取するときは、目的に応じて摂取量を調節しましょう。

 

2.健康に摂取できる量は?

クルクミンは、単体で摂取した場合1日8000㎎まで安全であることが確認されています。

膀胱がん患者や口子宮頸部上皮内腫瘍患者等を対象に3ヵ月間のクルクミンの摂取量と血中濃度について分析したところ、1日8,000 mg までは、治療に関連した毒性はみられませんでした出典[11]

クルクミンは毒性が確認されていませんが、1日8000㎎を超える摂取は思わぬ副作用を引き起こす恐れがあるため、避ける必要があります。

 

3.効果的な飲み方

クルクミンは体内に吸収される効率が低く、摂取量の38〜75%が体外に排出されることが報告されています出典[12]

ただし、クルクミンの吸収率は一緒に摂取する食べ物によって変化しやすく、特に黒コショウの成分である「ピペリン」はクルクミンの吸収率を大きく増加させます。

ラットと健康なヒトボランティアを対象に、クルクミンの吸収率とピペリンの関わりについて研究が行われました。その結果、クルクミンとピペリンを同時に摂取することで吸収率が2000%も向上したことが分かりました出典[13]

さらに、ピペリンを同時に摂取することで、クルクミンの持つ抗炎症作用を高めることができるとされています。

メタボリックシンドロームの患者117名を対象とした研究によると、クルクミンとピペリンを組み合わせて摂取した場合、メタボリックシンドローム患者の炎症状態・酸化状態が大幅に改善されたことが示されました出典[14]

クルクミンはスパイスとして料理に使われることも多い食材です。料理に取り入れる際は、黒コショウも一緒に組み合わせてみましょう。
 

まとめ

クルクミンは、肝機能の改善や歯周病の軽減、血液中のコレステロール値減少、運動による筋肉痛の軽減などの効果が期待されることから、世界的に注目度の高い成分です。

毒性や副作用がほとんどない成分として知られるクルクミンですが、サプリメントとして摂取する際は用量用法を守り、1日8000mgを超えない範囲で摂取しましょう。

さらに、クルクミンは黒コショウの成分であるピペリンと組み合わせて摂取することで、体内での吸収率や抗炎症作用が高まることも特徴的です。料理のスパイスにクルクミンを使う際は、黒コショウをプラスしておきましょう。

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