執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
EDの40%が精神面が原因!?
充実した性生活を送る上でEDの改善は必要不可欠です。
そもそもEDは性行為の際に勃起が正常に起こらない症状のことを指し、日本人男性の約半数以上はEDに悩んでいると言われています。
発症する原因によって2つに分けられ、精神面を要因とする「心因性ED」と身体面を原因とする「器質性ED」です。
器質性EDの場合は、男性ホルモンであるテストステロンの低下や肥満などの生活習慣病により、血流が悪くなることで勃起障害が認められます。
一方で心因性EDは身体的には問題はないのに、ストレス・不安・悩み・トラウマなど何かしらの精神的な要因で起こるEDです。EDの約40%は心因性EDと言われています出典[1]。例えば、朝起きたときに勃起している「朝勃ち」は正常に起こるのに、性行為の際に勃起しないような人は心因性EDである可能性が高いです出典[2]。
脳は性的な刺激を感知すると興奮作用のあるドーパミンを分泌し、陰茎で血管拡張物質であるNO(一酸化窒素)を増やします。血管が拡張すると陰茎に流れ込む血液の量は増え、勃起は引き起こされるのです出典[3]。ストレスや不安などで精神的に不安定な状態ではドーパミンなど性的な興奮を起こすホルモンの分泌は抑制されてしまうので、勃起しなかったり、途中で萎えて(中折れ)しまったりします出典[4]。
また、ストレスや不安以外にもうつ病や統合失調症、アルコールや薬物依存などの精神疾患も心因性EDの要因です。精神疾患の場合も脳内の神経伝達が抑制されるのでEDを引き起こしやすくなります。
心因性EDの原因
心因性EDは精神面の問題や不調などにより起こり、きっかけになる原因は人によって様々です。
うつ病などの精神疾患を抱えている場合を除くと2つに分かれ、パートナーとの関係や性行為に対するプレッシャー・不安などの日常生活を要因とする「現実心因」とコンプレックスやトラウマなどの過去の経験や体験に基づいた「深層心因」になります。
例えば下記のような事象は心因性EDの原因となり得ます出典[5]。
- 家庭や仕事のストレスを抱えている
- 不安に思うことがある
- パートナーとの関係がよくない
- 性行為に対して不安やプレッシャーを感じている
- 妊活している場合、「子供を作らければならない。欲しい。」とプレッシャーを感じている
- 陰茎の大きさなどで悩んでいる、コンプレックスがある
- 過去に性行為が上手く行かなかったなどのトラウマがある
- ホモセクシュアルである
- うつ病などの精神疾患を抱えている
いかがでしょうか?あなたに該当する項目はありますか?
仕事などは直接関係はないように思えますが、心配事があると脳が性的興奮を覚えにくくなるのでEDになるのです。
自分自身で原因に気づけている場合もありますが、心因性EDの多くは自分では自覚できず無意識的に問題となっています。一人で悩んだりせず、パートナーや精神科医・ED治療クリニックなどで一度相談してみるのをオススメします。
該当項目のあった人は今、現在は心因性EDでなくとも将来的に発症するかもしれないので今のうちから対策しておきましょう。
心因性EDを改善するための7つのアイデア
早めにパートナーやクリニックなどで相談してみるのをおすすめしますが、クリニックなどに行くのはハードルが高い人もいると思います。
心因性EDを改善するための具体的なアイデアを紹介しますので、取り組みやすいことから実践してみてください。
1.セックスに対する認識を改める
あなたは、セックスの際に「上手くしなければ」「挿入しなければ」「男性が頑張らなければ」などと、セックスに対して自らプレッシャーを与えてはいませんか?
心理的プレッシャーを感じるような考え方を改めることで心因性EDの改善に繋がります出典[6]。
例えば、セックスは「上手くしなければ・挿入しなければ」ではなく、「上手く行かなかったり、挿入できなくても、スキンシップできればパートナーとの仲は深めれるのでよい。」などとプレッシャーを感じない考え方に変えてみましょう。
また、「経験が少なくて上手くできる自信がない」などと感じる場合は、プレッシャーやストレスになっている要因についてパートナーに話をして理解しておいてもらうのも大事です。
性行為はパートナーとの仲を深めるための行為として、リラックスしながら楽しんで行うのが大事です。性行為に対してプレッシャーや不安を感じなくなれば自然と改善します。
2.パートナーとの日々の会話やスキンシップを大切にする
あなたはパートナーとの日々の会話やスキンシップを大事にしていますか?
パートナーとの仲を深める方法は性行為だけではありません。日々の会話や手をつなぐ・ハグをするなどのスキンシップでも仲を深めることはでき、心因性EDの改善に効果的であることが示されています出典[7]。
スキンシップだけでも十分に仲を深めれると思えれば、「勃起しなければ」「挿入しなければ」などプレッシャーを感じなくてすむので、気が楽になり心因性EDの改善に繋がります。
3.ノンエレクト法を実践する
あなたとパートナーとの関係は良好ですか?
「ノンエレクト法」と呼ばれる精神治療の行動療法は、パートナーとの関係が良好かつ深い方にとって効果的な方法です出典[8]。
心因性EDになる根本には、「勃起しなければならない」といった精神的な切迫感が存在します。ノンエレクト法は「勃起しなければならない」という精神的切迫感を取り除くために行う治療方法で、大事なのは「勃起させてはいけない」と強く男性が認識する事です。
ノンエレクト法ではパートナーと擬似性交的な身体接触を行います。
具体的には4つのステップです。
- いつもと同じように互いを愛撫します。
- 自分の陰茎の根本を指で圧迫し、亀頭部をうっ血させます。勃起ではないので注意してください。
- パートナーの女性器が十分に湿潤になっているのを確認して、亀頭を膣に挿入します。
- 亀頭で膣内の暖かさや柔らかさを感じることに意識を集中し、実感できたら終了です。
挿入中や挿入するまでに勃起してしまったら、一端中断して勃起が収まるのを待って再開します。
ノンエレクト法は投薬の必要のない方法ではありますが問題点もあります。1つ目はパートナーの協力が必要不可欠なので、パートナーがいないと行えない方法です。また、パートナーにストレス(特に性的なフラストレーション)のかかりやすい方法でもあります。
治療に協力してもらった後は、パートナーへの愛情や感謝の気持ちを表現するのがとても大事ですよ。
4.マインドフルネスを実施する
集中力を高めたり、心を落ち着けるために、日常生活に瞑想を取り入れている人もいるのではないでしょうか?
気がかりなことやストレス・不安などがあると、別のことをしていても気になってしまう「心ここにあらず」の状態になってしまい、集中力や意欲を低下させてしまいます。
ストレスや不安などを抱えている心因性EDの方にとって有効なのは「マインドフルネス」という瞑想方法です出典[9]。
マインドフルネスは「心ここにあらずの状態」から抜けだし、心を意識的に今、行われていることに向けるために行います。カナダの研究グループは、マインドフルネスを4週間行うことで心因性EDに改善が認められると報告しています出典[9]。
マインドフルネスは瞑想の一つです。目を閉じ、膝に手を置き、姿勢をまっすぐにして肩の力を抜いた座った状態で行います。鼻から息を吸って、口から吐き出す腹式呼吸を繰り返します。大事なのは呼吸することに意識を向けることです。他のことが頭に浮かんでも、呼吸することに意識を戻しましょう。
リラックスするために重要な副交感神経の働きを優位にすることでストレスを低減させ、考え方を前向きにできます。また、集中力の向上や免疫力のアップなども期待できますよ。
5.うつ症状を改善する
あなたは、「気分が落ち込みやすい・やる気が出ない・不安や焦りを感じる」などといった、うつ症状を持っていませんか?
うつ症状とEDのなりやすさにも相関関係があることがわかっており、うつ症状を改善することは心因性EDの改善に効果的です。
EDや早漏などの性障害とうつ病との関連を調べた研究では、EDや早漏を持つ64人の治験対象者の約半数にうつに関連した症状が認められています出典[10]。
うつ症状の時は「ドーパミン」の分泌が低下してしまうので、やる気や意欲が低下しています。ドーパミンは性欲にとっても大事なホルモンなので、性欲の低下に繋がりEDになりやすくなるのです。
6.鍼治療を試してみる
鍼治療は中国の伝統的な医療行為の一つで、頭痛や肩こり・腰痛などの痛みの緩和に用いられるだけでなく、心因性EDの改善にも効果的です。
鍼治療は施術者(鍼灸師)が身体の特定部位(ツボ)に細い針を刺して、刺激を与えることで細胞や神経を活性化します。リラックスするのに大事な副交感神経を活性化することで、エネルギー(気のめぐり)や血液の流れが良くなり、自然免疫力が高まるだけでなくストレスなども軽減するのです。
心因性EDの改善を目的とした鍼治療では、ストレスを感じやすい脳の右側(右脳)の領域を抑制するツボを刺激することで、心因性EDを改善させます出典[11]。
鍼治療は身体に針を刺すので素人が行うと神経を傷つけてしまうリスクがあります。必ず、国家資格を持つような専門家に行ってもらいましょう。
7.ED治療薬を試してみる
ED治療薬は身体面の問題から起こる器質性EDの治療に有効なだけでなく、心因性EDの治療に対しても効果を示します。特に性行為に対して不安や失敗などのトラウマを抱えている場合は有効です。
そもそも、正常な勃起には陰茎の血管を拡張させ、陰茎への血流を増やすのが大事になります。鍵を握るのは血管拡張物質であるcGMP(グアノシン一リン酸)です。テストステロンなどはcGMPの産生を増加させることで血管を拡張し、勃起を起こしています。一方で、PDE5(ホスホジエステラーゼ5)によってcGMPが分解されると血管は収縮・血流は低下し、勃起は終息します出典[12]。
ED治療薬であるバイアグラ・レビトラ・シアリスなどはPDE5阻害剤と呼ばれものです。PDE-5阻害しcGMPの分解を止めることで血管の収縮を防ぎ、血流を維持することで勃起を持続させます出典[13]。
90名の心因性EDの患者を対象にした研究で、シアリス(タダラフィル)を3ヶ月間摂取すると勃起機能や性行為の満足度を改善できることを明らかにしています出典[14]。
ED治療薬は血管拡張作用により勃起を強くサポートしてくれるので、心因性EDの場合でも性行為が上手く行きやすくなるのです。
ED治療薬を使用することで、「性行為が上手くいった」という成功体験を積み重ねれば、性行為に対する自信に繋がります。また、「今日は薬を使用しているから大丈夫!」と安心感を持てるので、心に余裕を持つこともできるのです。
ED治療薬を使用し、心因性EDにありがちな「失敗→上手く行かないかも・不安だ→失敗」といった、悪循環を解消していくことでEDは改善していきますよ。
まとめ
今回は心因性EDの原因と効果的な改善方法を紹介しました。
心因性EDは様々な心理的・精神的な要因から発症するので、原因を特定するのは容易ではありません。
悪化の原因になるので一人で悩み続けないで、まずはパートナーやクリニックなどに相談してみるのをおすすめします。
心因性EDの改善に大事なのは気の持ち方を変えることなので、ストレスのない可能な範囲で実践し、充実した性生活を過ごせるようにしましょう。
出典
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