ストレス解消に!副交感神経を優位にしてリラックスする14の方法
2022年10月28日更新

執筆者

薬剤師・公認上級妊活マイスター・公認スポーツファーマシスト

牛尾 真智子

製薬会社2社で乳がん・肺がん・大腸がんなど8つの抗がん剤領域を経験。
患者様の人生に携わること・医療業界での知識と経験を生かして、医療と予防医学の懸け橋となる存在になりたいと考えています。また、少しでもお客様のお悩みに寄り添えるよう公認上級妊活マイスター・公認スポーツファーマシスト・メンタルケアカウンセラーの資格を取得。納得感のある、心が軽くなる情報を届けることで、皆様のより良い生活の一助になれるよう邁進いたします。

ストレスと向き合うために知っておきたいこと

ストレスとは?

最初に「ストレス」という言葉を用いたのはカナダの生理学者(ハンスセリエ)です。ゴムボールを指で抑えるとへこんでしまうように、外部からの刺激(ストレッサー)が加わると人間の体はそれに反応し心身に影響を与えます。その状態を「ストレス」とよびます。

たとえば、今まで快適だった部屋の温度が急激に上昇すると、汗をかいたり、イライラしたりすることがあります。この場合、急な温度上昇がストレッサーとなり、心身の状況がストレスとなります。ストレスは受けるストレッサー(大気汚染・ウイルス・対人関係など)によって様々な種類がありますが、現代ではSNSや地球温暖化など新しいストレッサーも増えているといわれています出典[1]

 

仕事終わりにはリラックスすることが大切!

実際にストレッサーが長期間にわたって解決されない場合は、二次的および三次的な負荷など、長期的な健康への影響が生じる可能性も示唆されています。そこで、ストレスとうまく付き合うためには夕方の時間を有効活用することが大切です。仕事の後、精神的にリラックスすることが翌朝のエネルギーに繋がるという報告があります。更に一日の仕事のプレッシャーから解放されリラックスできることは、仕事へのメリットだけではなくパートナーへ幸福をもたらすという研究結果まであるため出典[2]、やはり意図的に【リラックス】状態をつくることが大切なようです。


また、過去 20 年間に行われた数100の研究結果より、ストレスによって引き起こされる多くの病気において、リラクゼーションが臨床的に有効であることが示されています。更には心身への介入が冠状動脈性心疾患の予後を改善し、免疫機能を高める可能性があることも示されています出典[3]

 

ストレス解消には副交感神経が鍵!効果的な方法14個を紹介

それでは、どうしたら効果的にリラックスできるのでしょうか。リラックス効果は不安や緊張などのネガティブな情動や身体的ストレスの低減であるとされ、交感感神経活動の低下や副交感神経活動の増加がみられます出典[4]

つまり、リラックスをするには副交感神経が優位に働くことが鍵となります。ここからは実際に副交感神経が優位になる方法を2つの観点【五感に訴える・身体を整える】に分けて14個紹介致します。

五感に訴える

  • 木にふれる

まず、触覚刺激として『木材に手のひらで触れる』ことで他の素材(大理石やタイルなど)よりも前頭前野の活動を鎮め、副交感神経が優位になり生理的弛緩効果が明らかになっています出典[5]

また、足の裏でヒノキに触れた後にも「心地よい」「リラックス」などの心理状態になることも示されており、木に直接触れることでリラックス効果が期待できそうです出典[6]

 

  • 自然の映像を見る

木は触れるのではなく、視覚的にも効果が示されています。複数の研究により竹、森林の写真により副交感神経が優位になりリラックス効果の有意な増加が見られました出典[7]出典[8]性差をみた面白い報告もあり、男女共に森林のDVDでリラックスしたと答えたものの、女性は精神的なリラックスに対し、男性は特に心拍数の減少をもたらしたと報告されています出典[9]男性は身体にも影響を与えるのでより健康維持に寄与しそうです。

また、海か森林の自分の好みの動画を選んで鑑賞することも効果的であり、どんな風景を見るのが落ち着くか、一度試してみるのもお勧めです出典[10]

 

  • 自然の音を聞く

自然の映像だけではなく、音を聞くことも効果があることが示されています。森林の音をきくと脳や心拍数に影響を与え「快適」「リラックス」することが、生理学的および心理的に証明されました出典[11]。もし映像で自然の風景を鑑賞する場合は音声付きで見ることがお勧めです。またスローテンポの音楽をきくと、幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」が分泌されるとも言われているため、ゆったりした気持ちでぜひ楽しんでみてくださいね出典[12]

 

  • バイノーラルビートを聞く

バイノーラルビートをご存知でしょうか。左右の耳に微妙に異なる周波数の音を流すことで、リラクゼーション効果をもたらし不安を和らげ、睡眠を改善するといわれています。こちらの文献では運動後に聞くことでリラクゼーション、副交感神経の活性化が認められています出典[13]。ものは試しです。YouTubeなどでは様々なバイノーラルビーを無料で試すこともできるのでお好みのサウンドをみつけてリラックスのお供にしては如何でしょうか。

 

  • 盆栽鑑賞をする

盆栽を生活に取り入れることでリラックス効果が期待できます。ある実験ではミニチュア鉢植えの盆栽(樹齢 10 年のヒノキ)を1 分間観察することで、副交感神経の活動が増加、交感神経の活動が減少し「心地よい」「リラックスした」という感覚が大きく増加するという結果が得られています出典[14]。もし何か趣味を探している場合は、お気に入りの盆栽を探しにいきましょう。

 

  • 仕事帰りに花を買う

また、生の花を楽しむこともお勧めです。新鮮なバラの花による嗅覚刺激は、生理的および心理的なリラクゼーションを誘発することが示唆されています出典[15]

造花ではダメなのか?と思われるかもしれませんが、ある研究では人工パンジーに比べ、本物の花による視覚刺激が自律神経に影響を与え「心地よい」「リラックスする」という結果が示されています出典[16]

お花を買うのは恥ずかしいと思われるかもしれませんが、リラックス目的という大義名分で、ご自身もパートナーも喜ぶようなお花を買って帰るのも素敵ですね。

 

  •  落ち着いた間接照明で色のトーンを変化させる

光は自律神経に影響を与えるといわれていますポイントはほどよい明るさであり、メラトニン分泌に影響を与えないように10ルクス以下で調整をすることです。(照明が明るすぎるとメラトニンの分泌が抑制され、寝付きや睡眠の質が悪くなるといわれています。)具体的にはBarカウンターや上映前の映画館の明るさをイメージするとよいでしょう。

更に、休憩の間に単一ではなく色のトーンを変えていく(文献中では赤みのある色に緑、そして青みを足していくという変化を用いていました。)ことで副交感神経が働き最もリラックスできると報告されていることから、色を調整できる間接照明を選ぶのがお勧めです出典[17]

 

  • 畳の香りをかぐ

畳は落ち着きと居心地の良さを感じさせ、リラックス効果があるといわれています。また畳の材料であるいぐさの香りをかぐことで脳波と副交感神経活動のアルファ波が増加し、リラックス効果をもたらすことが示されています。くつろぐ空間に畳のマットをひく、もしくはいぐさのルームフレグランスや消臭剤を置いてみるのは如何でしょうか出典[18] 

 

  • 笑い声を聞く

笑うこと自体にストレス軽減効果があることが報告されていますが、笑い声を聞くだけでも副交感神経活動が高まることでリラックス効果が期待できます。ある実験では、ストレス負荷後に人の笑い声を聞くことは、5分間休息することに比べて、自律神経系の回復プロセスが改善されることがわかりました出典[19]海外シットコムのような豪快な笑い声、お子様の可愛い笑い声など貴方のお気に入りの笑い声を探してリラックス時に取り入れてみてくださいね。

 

身体を整える

  • 公園を歩く

15分間公園を歩くことで、市街地を歩くより心拍数が大幅に低下し、副交​​感神経が優位になることが示されました。また、主観的にも「快適」「リラックス」「元気」な状態であり、ネガティブな感情や不安のレベルが有意に低いことが報告されています出典[20]

歩く季節によっても効果に差があるともいわれており、一番自律神経に影響を与え大きなリラクゼーション効果があるのはでした。また、夏と比較すると春、秋、冬でのウォーキングはより効果があったとのことですので、暑すぎない時期であれば、効果が期待できそうです出典[21]

 

  • 軽めの有酸素運動をする 

ストレスにうまく対処するためには、ストレスホルモンとよばれるコルチゾールが脳に与える影響を減らすことが有用です。そこでお勧めしたいのが運動です。実際に運動している間は身体に負荷がかかるため、それが一種のストレスとなり、コルチゾールの分泌量が増え、運動後には分泌量は運動する前のレベルまで下がります。

注目いただきたいのはここからで、運動を習慣づけることで運動中のコルチゾール分泌量が増えにくくなり、運動を終えたときには減りやすくなります。そして、運動以外のことが原因の【ストレス】を感じたときにも、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌量は少なくて済む。つまりストレスに対する抵抗力を高めることができるのが運動であるといえます出典[22]

運動の中でも、ウォーキングやランニング、サイクリングをはじめとする有酸素運動は、副交感神経が優位になり安静時の心拍数を低く維持することが示されています出典[23]

一方で、頻繁に激しい運動を長時間行ってしまうと、座りがちな人と同じ死亡率であるという恐ろしい情報も。有酸素運動を行うなら、軽めの運動が効果的なようです出典[24]

 

  • ヨガストレッチ

ヨガのストレッチを 1 回行うだけで、唾液免疫機能が強化され、ストレス ホルモンや精神状態が改善される可能性があることが報告されています。「ヨガは女性のものでしょ。。」と思われるかもしてませんが、ヨガ経験のない 男性においても基本的なヨガのストレッチをすることで、副交感神経の活動を高め、ストレスホルモンを改善することができると報告されています出典[25]

例えば、本研究でも取り入れられた「三角のポーズ」についてご紹介致します出典[26]

  1. 肩幅より広く、大きく右足を1 歩踏み出し足を開いて立ちましょう。踏み出した右足のかかとの一直線上に左足の土踏まずがくるように微調整します。右足はつま先をまっすぐ外側に、左足はつま先を斜め45 度ほど内側に向けます。
  2. 骨盤は正面に向け、両手を横に大きく広げ、手のひらは下に向けます。
  3.  腕を伸ばしたまま、右の手を右足の方へ下ろしていき、息を吐 きながら上体を右に倒しましょう。左手は上に伸ばし、脇腹を引き上 げるような意識で5 呼吸ほどキープします。首がつらくなければ 目線はあげた左手の指先に向けましょう。反対側も同様に行ってください。

目を閉じて深い息を吸い込みながらゆっくりとストレッチを行うと副交感神経の活動が増加するという報告もあるので、慣れてきたら目を閉じて行ってみましょう出典[27]

如何でしょうか。ほんのひとつのストレッチでも、意識して行うことで心身がほぐれるのを感じて頂けるのではないでしょうか。ぜひリラックスのお供にしてみてくださいね。

 

  • ヘッドスパ(頭皮マッサージ)

散髪に行かれるとき、ヘッドスパをお願いすることはありますか。ヘッドスパをしてもらうことで、副交感神経の活動が優位になることが示されています。また、爽快感を高め、不安を和らげることによりリラックス効果とリフレッシュ効果があることがわかっています出典[28]

定期的なメンテナンスにヘッドスパを加えてみるのは如何でしょうか。

 

  • フットバス(足湯) 

最後にリラックス方法としてご紹介したいのはフットバス(足湯)です。もとをたどれば寝たきりの緩和ケア患者さんに、リラックスや身体の清潔を目的とした看護援助として使用されていました。

こちらの研究では、健康な方にとってもフットバスは、副交感神経活動の大幅な増加と交感神経活動の大幅な減少の両方を誘発するため、効果的なリラクゼーションである可能性が示されています出典[29]

10の論文をレビューした報告もあり、お湯の温度は 38℃~41℃で、好みにもよると示されています。またリラクセーション効果が得られる浸漬時間は 10 ~ 20 分であると推測されています出典[30]

「手軽にリラックスしたいな」そんな時はぜひ試してみてくださいね。

そのにもNP+ではストレスが及ぼす影響や、科学的に証明されたストレス解消方法を紹介しています。

気になる方は、以下の記事をご参照頂けると幸いです。⇩


 

最後に大切なこと

貴方の心身は絶えずストレッサーにさらされているといっても過言ではありません。そんなご自身の頑張りをまず褒めて、リラックスの時間をつくってあげることが大切です。

今回は副交感神経に注目してご紹介致しました。【ご自分の感覚に合ったリラックス方法】をみつけることで、ストレスと上手に付き合っていくことができます。日々の生活にやすらぎを与え、貴方のストレスが少しでも和らぎますよう願っています。


 

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