アラキドン酸の摂取がED予防に役立つ?
2023年12月17日更新

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

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40代以降の3人に1人がEDに悩んでいる

正常な勃起は性行為の成功のために欠かせません。

何らかの原因で勃起が正常に起こらない症状をEDと呼び、2003年のイタリア学術会議の報告によると、40~70歳の日本人の3人に1人がEDに悩んでいるのです出典[1]

EDは日本に限ったことではなく世界的に患者数が多く、2025年には世界で約3億2200万人がEDであることが推定されています

1999年のアメリカのニューイングランド研究所の発表では、1995年におけるED発症者数は1億5200万人以上と推定されているので、30年で約2倍以上にも増加することになるのです出典[2]

EDを発症する原因は食生活・ストレス・運動不足・睡眠など様々ですが、40歳以降の中高年にとっては加齢の影響は避けられません。

先程のイタリア学術会議の報告では年代別のED発症率が調査されており、 40~44歳は9%、50~54歳で18%、60~64歳で38%、65~70歳で54%と年齢を重ねることに発症率が高くなり、EDのリスクも年齢が上がるごとに10%ずつ増加することが明らかにされています出典[1]

EDになると満足のいく性行為が行えず、パートナーとの関係性悪化や自尊心の低下、妊活の失敗などの原因となります。

加齢による影響は避けられない部分もあるので、日々の生活での対策が重要となるのです。
 

アラキドン酸の摂取量が多い人ほどEDのリスクが低い

アラキドン酸は多価不飽和脂肪酸(PUFA)の一種。メチル基側の炭素から6つ目に不飽和結合があるので、ω-6不飽和脂肪酸に分類されます。

オメガ脂肪酸とも呼ばれており、体内で合成することができない必須脂肪酸の一つです。皮膚や脳など身体のさまざまな組織を構成する主要な成分となります。

摂り過ぎると体内で炎症が引き起こされ、動脈硬化を進行させるので、ネガティブなイメージがある成分です。しかし、適量であれば体にとって良い効果をもたらしてくれます。

その1つがED発症リスク低下作用です。

2023年に中国の重慶医科大学附属第一医院が発表した論文では、PUFAの摂取量とEDの発症率の関係を3730名(そのうち1768人がED患者)の男性を対象として調査しています。

その結果、PUFAの摂取量の多さとEDリスクの低下と関係しており、中でもアラキドン酸の摂取量が大きく関係していることが明らかにされています出典[3]

つまり、アラキドン酸を積極的に摂ることはED予防になるのです。
 

アラキドン酸がEDのリスクを減少させるメカニズム

では、アラキドン酸がEDのリスクを減少させるメカニズムはどうなっているのでしょうか?

明確にはなっていない部分もありますが、炎症の抑制が想定されています。

先程も紹介した2023年の中国の重慶医科大学附属第一医院の論文で、アラキドン酸摂取は炎症性バイオマーカーやホモシステインの減少と関連があり、炎症の抑制と血管内皮障害の改善の可能性が示されています出典[3]

ホモシステインはアミノ酸であるメチオニンの代謝物として生成されるアミノ酸です。血液中に蓄積するとコレステロールと結合し、プラークを形成するので血流の悪化や動脈硬化の原因となります。体内の炎症が増えることも血管内皮へダメージを与え、血流を悪化させます。

血流の悪化や動脈硬化は勃起時に陰茎に流れ込む血液量を減らしてしまうのでEDの原因の1つです。

アラキドン酸によって体内の炎症や血管内皮へのダメージが抑制されることで血流が改善し、EDのリスクが低下するのです。
 

アラキドン酸をどのくらい摂ればいい?

先程も紹介した中国のグループの研究で、EDの発症予防に最低限必要なアラキドン酸の摂取量は1日130mgとしています出典[3]

アラキドン酸を多く含む食品(可食部100g中)は、豚レバー(300mg)や牛レバー(170mg)です。他にも、ぶり(160mg)、豚バラ肉(110mg)や鶏もも肉(78mg)などに多く含まれています。

1日のアラキドン酸の摂取量が1000~1500mgまで増えても炎症マーカーに影響が出ないことが示されています。

しかし、アラキドン酸は体に良いと言っても脂肪酸です。摂り過ぎは体内に炎症を発生させる原因となります。リノール酸など他のn-6系の脂肪酸と合わせても1日10g程度に留めるようにしましょう。
 

ED予防には1日130mg以上のアラキドン酸を!

今回はアラキドン酸とED予防の関係について解説しました。

アラキドン酸には適量であればEDを予防する効果があるので、1日130mgを目安に摂取を心がけましょう。摂り過ぎは逆に炎症を誘発する可能性があるのでくれぐれも注意してください。

加齢によるEDは誰しも起こり得ることです。

セルフケアをしっかりと行い対策することで快適な性生活を送れるようにしましょう。

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