執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
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α-リポ酸とは?どんなはたらきをする?
α-リポ酸は強力な抗酸化作用から、健康への効果が期待されている成分です。この記事では、α-リポ酸が持つエネルギー生成促進、細胞保護効果と副作用について説明していきます。
1.全細胞でミトコンドリアにより生成されている
α-リポ酸は別名をチオクト酸と言い、細胞内に存在するミトコンドリアで合成される脂肪酸。α-リポ酸は酸化型リポ酸(LA)と還元型ジヒドロリポ酸(DHLA)の2つの形態があり、どちらもさまざまな活性酸素(ROS)を除去することができます。
α-リポ酸はミトコンドリア内での酸化的リン酸化と呼ばれる脂肪酸の酸化を促進し、エネルギーを生み出す過程に関与します。出典[1]
2.エネルギー生成をサポートする
脂肪酸が酸化されることでアデノシン三リン酸(ATP)というエネルギーが作られます。そこで、脂肪酸の酸化反応を促進する補酵素として働いているα-リポ酸。
また、エネルギー源であるグルコースの代謝にも関与しており、グルコースがクエン酸回路に入る際にα-リポ酸が補酵素Aと結合し、酸化反応を促進します。この過程により、グルコースからエネルギーが生成され、細胞の機能や生体活動に必要なエネルギー供給が行われているのです。
さらに、α-リポ酸は他の抗酸化物質(ビタミンCやビタミンEなど)と連携して働くこともあり、他の抗酸化物質の再生を促進し、より効果的な抗酸化作用を発揮することができます。出典[2]
3.さらに全身で強い抗酸化作用を発揮する
強力な抗酸化作用を持つことが知られているα-リポ酸。体内の酸化ストレスを軽減し、細胞や組織を酸化ダメージから守っています。
その他の作用として挙げられるのが、体内での酸化ストレスの原因となるROSやフリーラジカルを中和(消去)。これにより、細胞内の酸化反応を抑制し、細胞の機能を保護する効果があるのです。出典[3]
α-リポ酸は分子量が131と非常に小さく、脂溶性であるため、血液脳関門から脳内に入ることができます。血液脳関門は、脳を外部からの有害物質や異物から守る役割を果たすバリアであり、これにより身体だけでなく脳内でも効果を発揮できる訳です。
脳・身体細胞老化の予防に重要な役割を果たし、免疫機能の向上や炎症の抑制にも関与しています。
α-リポ酸の効果と5つの利用目的
では具体的にα-リポ酸にはどんな効果があるのでしょうか?
順番に解説しましょう。
1.男性妊活
世界の15%以上の夫婦が不妊問題で悩んでいると言われています。妊活において重要なことの1つが健康な精子。運動能力が低かったり、精子の数が少ないと妊娠が成立しにくくなることがあるのです。
酸化ダメージを受けやすいことで有名な精子。弱っている精子は妊活の枷になるかもしれません。そこでα-リポ酸の出番!!α-リポ酸のもつ抗酸化作用により細胞を傷害する活性酸素を減少させ、健康な精細胞を作り発育も良くなる可能性があります。
エジプト、イランで行われた健康では133名の男性がα-リポ酸600mg/日を3か月続けて摂取したところ、プラセボと比較して精子濃度1.8倍、総運動性1.1倍、精子運動性1.1倍、精子異常0.9倍と精子パラメーターが大幅に改善されました。出典[4]
現在妊活をしており、なかなか妊娠に至らず悩んでいませんか?妊娠確率を上げたいと考えている男性は、健康な精子を生み出せるように体質改善としてα-リポ酸を摂取してみてはいかがでしょう。
2.ダイエット
過度の肥満は生活習慣病の発症だけでなく、死亡リスクにも繋がることを知っていますか?どうにかしなければと分かっていても難しいのがダイエット。そこで体重減少に効果のあるα-リポ酸の出番です。
なぜダイエットに効果があるのかというと、α-リポ酸はエネルギー代謝に関与しており、脂肪燃焼により筋肉細胞に蓄積した脂肪を減らします。出典[5]
また、メタ分析よりα-リポ酸300~1800mg/日を8週間から52週間摂取したところ、未摂取群と比較して体重が1.27kg、BMI(肥満度を表す指標)が0.4減少したことが分かりました。出典[6]
現在ダイエットをしていてなかなか効果を感じられない、ダイエットに効果のあるサプリメントを探している方にはサポート成分としてα-リポ酸を摂取してみてはいかがでしょうか。
3.糖尿病患者の血糖値管理サポート
健康診断で血糖、HbA1cの値が高かったなんてことはありませんか?糖尿病は遺伝、加齢、高脂肪の食生活により発症することがあり、放っておくと別の疾患を併発するかもしれません。
そこで摂取したいのがα-リポ酸です!
α-リポ酸はエネルギーの生成をサポートすると述べましたが、エネルギーを効率よく代謝することで血糖値を下げる効果があります。
ラットにα-リポ酸5~100 mg/kgを10日間続けて摂取させた前後のグリコーゲン、グルコースを調べたデータを見てみましょう。
・筋肉へのグルコース取り込み64%増加
・インスリン刺激によるグルコース分解33%増加
・グリコーゲン合成38%増加
・生体内筋グリコーゲン濃度21%増加
出典[7]
グルコース輸送系およびグルコース代謝両方の能力を、大幅に強化したことを示していることが明らかとなりました。グリコーゲンが増えるとグルコースが減少し、グルコースが減少すると血糖値は下がります。そのため、α-リポ酸には血糖値を下げる効果があるというわけです。
健康診断で血糖値が上がってきている方、すでに糖尿病だと診断された方は、食生活の改善に加えてα-リポ酸を摂取してみてはいかがでしょう。血糖コントロールのサポートに役立ってくれるはずです。
ただし、すでに薬で治療中の方は低血糖を起こす可能性があるので注意が必要です。
4.アルツハイマー症の予防サポート
続いてお伝えするのは、α-リポ酸の強力な抗酸化作用による物忘れの予防効果です。
そもそもアミロイドβタンパク質が神経細胞に蓄積し、神経が死んで脳が萎縮することで発症するのがアルツハイマー型認知症。しかし、α-リポ酸がアミロイドβタンパク質を抑制することで、アルツハイマー病の進行を遅らせる可能性が示唆されています。
α-リポ酸600mg/日を16ヶ月摂取した際の認知機能をMMSEで評価したところ、摂取前後で23%改善したことが明らかとなりました。出典[8]
1度悪化してしまったアルツハイマーは改善するのが難しいですが、α-リポ酸を継続的に摂取することで悪化の予防に貢献してくれるでしょう。認知の低下は日常生活を制限してしまいます、健康長寿の為にも是非続けて摂取したいですね。
5.心疾患の予防サポート
α-リポ酸がもつ抗酸化作用は酸化ストレスや炎症を抑制し、エネルギー生成の促進は脂肪酸を分解します。血管を保護し、脂肪を燃焼することで心疾患のリスクを減少させる可能性が報告されています。
メタ分析によると、α-リポ酸摂取により脂肪酸の代謝を促進し、トリグリセリドの合成を抑制します。体内のトリグリセリドが減少すると、血液の流れが改善され血栓ができにくくなり心疾患の予防になるのです。出典[9]
放っておくと、ある日突然命を奪われる可能性のある大変危険な病気である心疾患。日々の健康のためにもできる限り避けたいものですよね。そんな方は心臓トラブルの予防にα-リポ酸の摂取を検討してみましょう。
α-リポ酸に摂取量は?副作用はある?
摂取量について
ここまでα-リポ酸の効果についてお伝えしてきました。それでは効果を得るために、どの程度ALAを摂取したら良いのでしょうか。
研究データを参考にすると、継続で摂取する際には300~1,000mg/日がおすすめだと言えそうです。
また、α-リポ酸は食品から摂取でき、レバーやひじき、ほうれん草などに含まれています。しかし、食品からの摂取量は極小量の為、サプリメントから摂取すると摂取量の調節がしやすいでしょう。製品の指示に従って摂取することが推奨されます。
副作用について
研究データによると、筋肉痛、胃腸症状、睡眠障害、下痢、低血糖などの症状が現れたとの報告があります。しかし、これらの症状は通常軽度で一時的なものであり、摂取量の調整で改善するものです。
そして、研究では高用量である2,400mgを摂取しても軽度の副作用報告のみのため、過量を継続摂取しなければ大きく問題はない成分だといえるでしょう。
また、ラットにα-リポ酸を摂取させた際の毒性(有害な)影響がみられない最大の投与量は 61.9 mg/kg 体重/日のようです。これは、人間は経口投与された数グラムのα-リポ酸に耐えられるということ。出典[10]
ただし、どんな食品でも過剰に摂取しすぎると毒になってしまいます。摂取量には個人差がありますし、副作用や相互作用のリスクも考慮して摂取するようにしましょう。
まとめ
α-リポ酸は加齢による神経細胞・生殖細胞老化の改善、糖尿病・心疾患予防など様々な効果を持つことが分かりました。
これからの人生を健康で過ごすために、日々のサポート成分として摂取してみてはいかがでしょうか。
出典
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