カルシウムとは?6つの効果と適切な摂取方法
2022年10月3日更新

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

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カルシウムとは

まず、カルシウムとはいったいどのような栄養素なのでしょうか。ここでは、カルシウムの働きや不足した場合の健康への影響、カルシウムが多く含まれる食べ物などについてご紹介します。

1.どんな栄養素?

カルシウムは体の健康を維持するために不可欠な「必須ミネラル」のうち、人体に最も多く含まれている栄養素です出典[1]

カルシウムは乳製品や野菜などの食物に含まれるほか、制酸薬などの医薬品にも配合されています出典[2]。カルシウム不足を補う目的で、添加物として使用される場合もあります出典[3]出典[12]

 

2.体の中でどんな働きをする?

カルシウムは、成人の体内に約1㎏含まれており、そのほとんどはリン酸カルシウムとして骨や歯のエナメル質として存在しています。その他には、血液中や筋肉、神経にカルシウムイオンとして存在しており、血液の収縮や拡張を助ける働きや筋肉の興奮を抑える働きを担っています出典[1]

骨は、人体にとってカルシウムの貯蔵庫となっています。骨の組織でのカルシウムの再吸収や沈着が繰り返されることで、血液中や細胞内でのカルシウム濃度が一定に保たれているのです出典[2]

また、カルシウムの吸収に関わる栄養素がビタミンDです。食事やサプリメントで摂取するほかにも、日光に当たることで皮膚からビタミンDを生成することができます出典[2]

 

3.不足するとどんなリスクがある?

カルシウムが不足すると、歯や骨の成長が十分に行われないといったリスクが生じます出典[1]。特に、日本人はカルシウム不足や骨粗鬆症のリスク増加が起こりやすいとされているため注意が必要です。

また、カルシウムを十分に摂取できていたとしても、ビタミンDが不足しているとカルシウムの吸収が悪くなってしまいます。さらに、適度に体を動かすことで骨に負荷をかけないと、カルシウムの利用効率が低下してしまう恐れがあるのです出典[1]

マグネシウムが欠乏すると、骨折骨粗鬆症高コレステロール血症などを引き起こすことが知られています。また、高血圧や動脈硬化、月経前症候群(PMS)による不安の増加、子癇前症などの病気と関連があるともいわれています。

 

4.どんな食材に含まれている?

マグネシウムは乳製品、野菜類、小魚などの魚介類、大豆製品、に多く含まれています出典[2]

【カルシウムを豊富に含む食品(乳製品)とその含有量(100gあたり)】出典[5]

食品名状態など含有量
エメンタールチーズ1200mg
パルメザンチーズ1300mg
牛乳普通110mg
プロセスチーズ630mg
ヨーグルト全脂無糖120mg
カマンベールチーズ460mg


【カルシウムを豊富に含む食品(野菜類)とその含有量(100gあたり)】出典[5]

食品名状態など含有量
モロヘイヤ260mg
水菜210mg
菜の花160mg


【カルシウムを豊富に含む食品(魚介類)とその含有量(100gあたり)】出典[5]

食品名状態など含有量
干しエビ7100mg
煮干し2200mg
あゆ270mg
ししゃも330mg
わかさぎ450mg


【カルシウムを豊富に含む食品(大豆製品)とその含有量(100gあたり)】出典[5]

食品名状態など含有量
がんもどき270mg
凍り豆腐630mg
生揚げ240mg
油揚げ310mg


ほうれん草にもカルシウムが含まれていますが、ほうれん草のシュウ酸の影響で体内に吸収されにくいため効率よく摂取できない場合があります出典[2]
 

カルシウムに確認されている作用や効果

それでは、カルシウムに確認されている主な効果をご紹介します。

カルシウムは摂取することで生活習慣病の症状が改善するというよりも、生活習慣病を予防する意味合いが強いことが注目されています。

1.骨折のリスク軽減

カルシウムは、骨の健康を維持するために必要な栄養素の代表格ともいえます。骨ではカルシウムの再吸収と沈着が繰り返され、年齢によって骨のカルシウムの濃度は変化しています。特に、閉経後の女性は骨量が減少し、骨折や骨粗鬆症のリスクが増大することが分かっています%%%出典2%%%。

30,970名が参加した8つの研究によると、カルシウムとビタミンDの補給により全骨折のリスクが15%減少し、股関節骨折のリスクが30%減少したことが明らかになりました出典[6]

将来骨折や骨粗鬆症が心配だという方は、カルシウムの摂取を忘れずに行いましょう。

 

2.コレステロールの減少

血液中のコレステロールには、動脈硬化の因子となるLDLコレステロールと、血液中の余分なコレステロールを回収する作用のあるHDLコレステロールの2種類に分けられます。カルシウムは、これらのうちLDLコレステロール値を減少させる効果が示唆されているのです。

4071名が参加した合計22の研究によると、カルシウムのサプリメントを補給したグループはLDLコレステロールを有意に減少させ、HDLコレステロールを有意に増加させました出典[7]

コレステロール値や将来の生活習慣病が気になるという方は、カルシウム不足を予防することが大切ですね。


3.血圧の調整をサポート

カルシウムは、高血圧の予防や血圧のコントロールに役立つことが分かっています。

3,140名を対象とした8件の試験によると、カルシウムの摂取量を増やすと、収縮期血圧が1.37mmHg低く、拡張期血圧が1.45mmHg低くなることが判明しました。また、カルシウムの投与量が1,000mg/日を超えた場合で効果が高くなることが分かりました。特に35歳未満の参加者の場合は2.11mmHg低下が見られました出典[8]出典[15]

このため、血圧が気になるという方には、カルシウムはおすすめの栄養素であるといえます。

 

4.歯の健康をサポート

骨の健康と歯の健康は、お互いに深く関わっているとされています。カルシウムは、歯の健康にとっても重要な役割を果たしているのです出典[4]

65歳以上の健康な高齢者145名を対象に歯の喪失について追跡調査を行ったところ、カルシウムのサプリメントを摂取したグループは、歯を失った人が13%と少なかったことが分かりました出典[9]

虫歯や歯周病を予防したいという方は、カルシウムの補給が重要ですね。

 

5.PMSによる不安の軽減

カルシウムは、月経前症候群(PMS)による不安感を軽減させる効果があるとされています出典[4]

PMSと診断された66名の女子学生を、毎日500mgのカルシウムを投与するグループと投与しないグループの2つに分けて調査したところ、2か月後にはカルシウムを投与したグループにおいてPMSによる不安感が有意に減少したと報告されました出典[10]

そのため、月経前にイライラしてしまう女性には、カルシウムの摂取がぴったりであるといえますね。

 

6.子癇前症の予防

子癇前症は高血圧やたんぱく尿として現れ、早産や妊娠中の女性の死亡に繋がる重大な病気です。カルシウムの補給は、子癇前症の予防に有効とされています出典[11]出典[14]

妊産婦15,730名を対象とした研究13件によると、カルシウムを補給したグループでの子癇前症リスクが有意に低下していることが分かりました。特に、食事で摂取するカルシウムが少ない妊婦に対して大きな効果が得られました出典[11]出典[14]

子癇前症を予防したい方は、食事やサプリメントでカルシウム摂取を意識しておきましょう。
 

カルシウムの摂取方法や注意点

ここからは、カルシウムの摂取方法やカルシウムのサプリメントを摂取する際の注意点について解説します。

また、カルシウムの吸収率は、加齢やカルシウムの摂取量増加によって低下してしまうため注意が必要です出典[2]

1.どのくらい摂取すればいい?

1日あたりのカルシウムの摂取推奨量は以下の通りです。

【カルシウムの1日あたりの食事摂取基準(推奨量)】出典[13]

性別/年齢男性女性
1~2歳428mg415mg
3~5歳587mg532mg
6~7歳585mg538mg
8~9歳645mg645mg
10歳~11歳708mg732mg
12歳~14歳991mg812mg
15歳~17歳804mg673mg
18歳~29歳789mg661mg
30歳~49歳738mg660mg
50歳~64歳737mg667mg
65歳~74歳769mg652mg
75歳以上720mg620mg

カルシウムの吸収率は年齢によって変化します。骨を作るために大量のミネラルを必要とする新生児や乳幼児はカルシウムの吸収率が60%と高くなります。その後、成人期にはカルシウムの吸収率は25〜30%に低下し、加齢によって更に低下していきます出典[2]出典[13]

また、カルシウムの吸収率はカルシウムの摂取量が増加すると下がってしまうため、一度に大量にカルシウムを摂取するよりも小まめに摂取する方がおすすめです出典[2]

 

2.健康上限摂取量は?

カルシウムを過剰に摂取すると、高カルシウム血症や高カルシウム尿症、軟組織の石灰化、泌尿器系結石、前立腺がん、鉄や亜鉛の吸収障害、便秘などの悪影響を及ぼすという報告が多数あります出典[13]。そのため、カルシウムは厚生労働省により健康上限摂取量(耐容上限量)が定められています。

1日あたりのカルシウムの健康上限摂取量(耐容上限量)は以下の通りです。

【カルシウムの1日あたりの食事摂取基準(耐容上限量)】出典[13]

性別/年齢男性女性
1~2歳--
3~5歳--
6~7歳--
8~9歳--
10歳~11歳--
12歳~14歳--
15歳~17歳--
18歳~29歳2500mg2500mg
30歳~49歳2500mg2500mg
50歳~64歳2500mg2500mg
65歳~74歳2500mg2500mg
75歳以上2500mg2500mg

基本的には食事でカルシウムを摂取し、カルシウムが不足しやすい人は上限摂取量をオーバーしないように気を付けながらサプリメントを使用しましょう。

 

3.カルシウムサプリと相性の悪い薬はある?

カルシウムのサプリメントはいくつかの医薬品と相互作用を引き起こし、カルシウム吸収について悪影響となる可能性があるため注意が必要です。

骨粗鬆症の治療薬であるビスホスホネート製剤、フルオロキノロン系やテトラサイクリン系の抗生物質、レボチロキシン、抗けいれん薬であるフェニトイン、パジェット病の治療薬であるチルドロン酸二ナトリウムなどは、カルシウムのサプリメントとの相互作用により、医薬品の吸収が低下する恐れがあります出典[2]

その他にも、チアジド系利尿薬は、炭酸カルシウムやビタミンDのサプリメントと相互作用を起こし、高カルシウム血症や高カルシウム尿症のリスクが増加するとされています。また、アルミニウムやマグネシウムが含まれている制酸薬は、カルシウムの排泄量を増加させる作用があります出典[2]

また、食事や飲み物として摂取する成分の中にはカルシウムの吸収を阻害するものがあるため注意が必要です。

例えばコーヒーやお茶に含まれるカフェインは、カルシウムの排泄量を増加させ、カルシウムの吸収を低下させる作用があります。また、アルコールを摂り過ぎてもカルシウムの吸収を低下させるためお酒をよく飲む方は気を付けましょう出典[2]

 

4.理想のカルシウムサプリ摂取方法やタイミングはある?

カルシウムのサプリメントは、大きく分けると炭酸カルシウムとクエン酸カルシウムの2種類となっています出典[2]

炭酸カルシウムは価格が安くて手に入れやすいカルシウムですが、体内に吸収される際に胃酸の影響を受けるため、食事と一緒に摂取するのがおすすめです出典[2]

一方、クエン酸カルシウムは体内の吸収で胃酸の影響を受けないため、食事と一緒でもそうでなくても吸収率が変わりません。また、クエン酸カルシウムは無塩酸症や炎症性腸疾患、吸収障害のある方にも有効です出典[2]

カルシウムのサプリメントを使用する際は、そのサプリメントに含まれているカルシウムの種類をチェックすることで、飲むタイミングを見極めておきましょう。また、胃腸に持病がある方はカルシウムのサプリメント摂取についてかかりつけ医に事前に相談しておきましょう。
 

まとめ

カルシウムは人体に必要不可欠な「必須ミネラル」であり、骨内のカルシウム濃度は年齢によって変化していきます。特に、閉経後の女性は女性ホルモンであるエストロゲンが低下してカルシウムが失われやすいため注意が必要です。

また、無月経の女性やベジタリアン、乳糖不耐症やアレルギーなどで乳製品を摂らない方はカルシウム不足が起こりやすいため、様々な食物を取り入れたりサプリメントを使ったりすることでカルシウムを補っていきましょう。

ちなみに、カルシウムの吸収には胃腸の状態が大きく関わるため、サプリメントの使用に不安がある場合はかかりつけ医に相談し、自分に合った種類のカルシウムが使われているか確認してもらうと安心です。

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