監修者
NP+編集長/NESTA-PFT
大森 新
筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識を発信できるよう日々邁進中。
執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
精力系サプリによく配合されているマカとトンカットアリとは?
疲れやすい体質を改善してエネルギッシュな毎日を過ごしたい。加齢に伴う性欲や性機能の落ち込みを防ぎたい。このような悩みの解消のため、サプリメントの活用を検討した方もいるのではないでしょうか。
マカとトンカットアリは、ともに精力増強に役立つとされる植物由来のサプリメントです。どちらも日本では馴染みのない植物であるため、どのようなものであるか知らない方も多いかもしれませんね。
マカはカブや大根に似たアブラナ科の植物です。主にペルーの高地で栽培され、日本へは乾燥粉末の形で輸入されています。
トンカットアリはインドネシアやマレーシアなどの熱帯に自生する植物です。栽培が困難であることから野生からの採取が主であるようですね。
どちらも古くから現地の強壮剤として用いられてきた歴史があり、その効能が現代においても注目を集めています。いずれも植物そのものではなく、粉末やエキスを使用したサプリメントの形で摂取するため継続が容易であり、手軽に試せるメリットがあります。
疲れやすさや性機能の低下などに悩んでいる方は、マカやトンカットアリの活用を検討してもよいかもしれません。
マカとトンカットアリ、どっちが効果的?
どちらも精力系サプリに分類されるマカとトンカットアリですが、どのような違いがあるのでしょう。
本記事ではマカとトンカットアリの効能の差について、目的別の適正度合を学術的観点で解説します。
どちらも性機能の改善には効果的
精力系サプリと聞いて、真っ先に性欲や性機能の改善効果を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
マカにもトンカットアリにも、性欲を高めたり勃起機能を改善したりする効果が確認されています。とくに勃起機能の改善は同じ「国際勃起機能指数 (IIEF-5)」という勃起の強さを測る質問紙のスコアの改善にて確認されており、確かな効果が期待できるものと考えられるでしょう。
まずはマカの効果から確認しましょう。2009年にイタリアでおこなわれた臨床試験では、軽度の勃起不全患者である男性がマカ乾燥抽出物2400mgを12週間摂取したところ、比較対象として偽薬(プラセボ)を摂取した対象グループと比較して、IIEF-5のスコアが大きく改善したと報告されています出典[1]。
トンカットアリの臨床試験も2021年にアメリカのサンタカタリーナ州立大学でおこなわれています。
高齢男性23名がトンカットアリのサプリメント200mgの摂取を6か月間続けたところ、IIEF-5の改善と総テストステロンの増加が確認されました出典[2]。またこの研究では、運動との組み合わせでより効果が出やすいとも報告されています。
テストステロンは性機能に加え、性欲の増加にも関わるホルモン。勃起機能に加え、性欲の高まりにより性行為をスムーズにする効果も期待できそうですね。
マカにはテストステロンを増加させる効果が確認されていないものの、1日1.5gまたは3gの摂取を12週間継続することで性欲が向上したとのデータも存在します出典[3]。
なお、両者の効能の程度を比較した有効な論文はないため、どちらが効果的かは一概には言えません。性機能の改善に加え、ほかに期待したい効能があれば、その差で選んでみるのもよいでしょう。
男性妊活のサポートにおいても両者使用可能
マカとトンカットアリはともに男性妊活の成果を出しやすくするためにも使用できます。
妊活を成功させるためには、性交渉をスムーズにおこなうことのほか、受精に関わる精子の質や量の改善も重要。両者にはいずれも精子の質を高める効果が確認されているため、男性の妊活サプリとしても効果が期待できるでしょう。
まずはマカの研究を確認しましょう。
2001年にペルーから発表された論文では、24~44歳の男性が1.5gまたは3gのマカ錠剤を4か月摂取したところ、射精量、精子数、運動している精子の割合や運動性が増加したことが確認されました出典[4]。
マカのフェノール化合物や多糖類の酸化ストレスを軽減する効果により出典[5]、精巣が正常に保護され、精子の質や量を守るように働いているものと考えられています。
トンカットアリの研究では2010年にマレーシアでおこなわれた不妊治療がわかりやすいでしょう。
9カ月間、トンカットアリ200mg/日の摂取を行ったところ、精液量が19%、精子濃度が66%増加したほか、正常形態の精子の割合も5%多く見られました。また、トンカットアリを摂取した不妊男性のうち、14.7%のカップルで妊娠も成立しています出典[6]。
妊活の効果においても両者の比較はされていないため、どちらの方が妊娠しやすいかは言えないでしょう。ほかの効果や飲みやすさ、入手しやすさなどで比較することをおすすめします。
筋トレ男性はトンカットアリがおすすめ
筋トレの効率を高めたい場合には、トンカットアリの使用がおすすめです。トンカットアリの使用で増えるホルモン「テストステロン」には筋肉の合成効率を高める効果が確認されています。筋肉量を増やし、引き締まった体づくりにも役立つでしょう。
トンカットアリに関する研究をいくつか紹介しましょう。
2012年にマレーシアでおこなわれた臨床試験では、トンカットアリの規格成分「LJ100」200mgを、男性更年期障害(LOH)の患者320人が1ヶ月間摂取したところ、血中テストステロン値が正常を示す割合が投与前の35.5%から90.8%にまで増加したとの結果が得られました出典[7]。
同じくマレーシアで2019年に発表された論文では、40名の若い男性がトンカットアリを1日200mg、8週間続けて摂取したところ、膝屈曲におけるパワーの有意な増加が確認されており、筋トレとトンカットアリの組み合わせはとくに下半身のパワーを増やすために役立つ可能性があると述べられています出典[8]。
トンカットアリの筋力増強効果や筋肥大の効率化は、テストステロンの増加によるものであると推測できそうですね。
残念ながら、マカにはテストステロンの増加効果が期待できないことが複数の研究で述べられています出典[3]出典[4]。
マカの成分を筋細胞に投与した実験において、筋肉の直径や筋細胞の分化速度が向上したとの研究データも存在しますが出典[9]、人を対象とした場合の効果の確実性ではトンカットアリが上回るでしょう。
運動習慣、とくに筋トレを習慣的におこなう方の場合は、トンカットアリの方が好相性と言えそうですね。
運動中の持久力を高めるならマカ
筋トレとの相性はトンカットアリがよいものの、マカには運動に役立つ側面もあります。
マカには運動中の持久力パフォーマンスを高める効果が期待できるため、マラソンやトライアスロンなど、長時間におよぶ運動に取り組む際にはマカの摂取が役立つでしょう。
2009年にイギリスのノーザンブリア大学から発表された論文では、男性のサイクリストがマカ抽出物の摂取を14日間続けることで、40kmサイクリングのタイムが1分以上有意に短縮したとの結果が得られています。
また性欲の高まりも確認されたことから、マカの摂取は持久力パフォーマンスの向上と性欲の増強に役立つ可能性があると述べられているのです出典[10]。
トンカットアリの摂取と持久力との関係を調べた論文も存在しますが、残念ながらトンカットアリ150mgの補給を7日間続けても、20分間のタイムトライアルの成績は向上しませんでした出典[11]。持久力パフォーマンスを高めたい場合には、マカの摂取が適していると言えそうですね。
ただし持久力を伴うランナーのような選手においては、テストステロンの大量消費による性欲の減少が見られやすいこともわかっています出典[12]。持久力トレーニングによるテストステロンの低下を防ぎたい場合には、トンカットアリが役立ちそうですね。
眠りに悩んでいる人はトンカットアリ
トンカットアリはテストステロンを増やすことに特化したサプリメントと捉えられがちですが、実は睡眠の質を改善する効果も確認されているのです。
トンカットアリに見られたのは、睡眠中の深部体温を低下させる作用と、ノンレム睡眠中の深い眠りを示すデルタ派の増加作用です。深部体温の低下により脳をはじめとする全身の休息状態が作り出されるため、深部体温の低下は睡眠の質を大きく左右する要素となります出典[13]
トンカットアリによる睡眠への影響が、マウスを用いた複数の研究にて確認されています。
たとえば2023年にアメリカのスタンフォード大学から発表された論文では、マウスへのトンカットアリ投与により、ノンレム睡眠中のデルタ派の増加と、深部体温の低下が確認されました出典[14]。
同じく2022年に日本の産業技術総合研究所でも同様の結果が得られており、こちらの実験ではトンカットアリの用量を増やすほどに深部体温が大きく低下したこともわかっています出典[15]。
ヒトを対象とした研究も、2022年に関西大学から発表された論文にて示されています。
この研究では30~60歳の成人33名がトンカットアリの摂取を続けたところ、4週目にOSA睡眠調査票MA版(睡眠の質を図る質問票)にて起床時の眠気のスコアや、気分状態プロファイルのスコアが有意に改善していました出典[16]。
十分に疲れが取れずスッキリとしない方や、睡眠時間は少なくないにもかかわらず寝不足を感じている方には、トンカットアリがよい効果をもたらすかもしれません。
簡単に手に入るのはマカ
精力系サプリをすぐに試したい方には、マカの購入がおすすめです。
日本での販売数はマカの方が多く、ネット通販はもちろん、ドラッグストアでも容易に購入できるでしょう。また鉄や亜鉛、ビタミンB1など、ほかの成分に加える形でマカが配合されているものも多くあります。
トンカットアリのサプリメントも国内で入手可能であり、日本の大手サプリメーカーでも取り扱いが増えているようです。しかしドラッグストアには取り扱いがない場合もあり、途切れない摂取をおこなう場合にはネット通販を活用する方がよいでしょう。
いますぐに精力系サプリを試したい場合には、マカの方が手に入りやすいと言えそうですね。
ただしマカもトンカットアリも、摂取した瞬間からにわかに効果を発揮するものではありません。継続摂取が必要であることを踏まえた上で、焦らず摂取を検討する方がよいでしょう。
確実性が高いのはトンカットアリ
マカにもトンカットアリにもさまざまな研究により効果が確認されています。しかし研究による効果を確実に得たい場合には、トンカットアリをおすすめします。
マカは一般的には1.5~3.0gの範囲が1日の目安量とされていますが、研究ごとにバラつきがあるようです。
たとえばマカの摂取により射精量や精子数、精子の運動性が改善したとの研究では、マカの摂取量について、1.5gでも3gでも改善の度合いに差が見られなかったと報告されています出典[4]。
一方、性機能の改善におけるマカの摂取量は1日あたり2.4g出典[1]。確実な量が定まっていないため、選んだサプリメントで効果が得られるのか不安に思う方もいるかもしれませんね。
さらに、マカは色や産地により栄養組成が大きく異なる植物です。たとえば精子数や精子運動性については、赤マカよりも黒マカの方が高まりやすいことがわかっています出典[17]。
しかしマカのサプリメントには、色や産地、量に明確な指定がされていないものが多く、選び方によっては十分な効果が得られない場合もあるかもしれません。
一方でトンカットアリには、有効成分を規格化した素材である「LJ100」や「pysta」が存在します。研究で効果が確認できたものと同じだけの成分を摂れるため、確実性が高いと言えるでしょう。
安全性はどちらも高い
精力系サプリの活用を続けるうえで気になるのはやはり安全性でしょう。精力増強の効果を得たはいいものの、長期摂取により体調を崩してしまっては本末転倒です。
しかしマカやトンカットアリはどちらも天然の植物であり、高い安全性が確認されています。
たとえばマカにおいては、1日あたり3gのマカ抽出物を12週間摂取したケースでも、健康への悪影響は確認されませんでした出典[18]。
また、トンカットアリの一般的な摂取量は1日200mgですが、一日許容摂取量(ADI)は体重60kgの成人で6倍の1.2gと示されているため出典[19]、通常の摂取においては安全であると言えるでしょう。
継続摂取の安全性について、どちらかに有意性があるというわけではありません。用量を守り摂取する分についてはどちらを選んでも問題ないと考えておきましょう。
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マカとトンカットアリは、ともに精力系サプリとして活用できる安全な植物です。性機能や性欲の低下、妊活のサポートなどを目的とする場合には、どちらを選んでも効果が期待できるでしょう。
一方、ほかの効果については得意不得意が分かれるようです。たとえば持久力パフォーマンスの向上にはマカが適しているでしょう。テストステロンの増大による筋肥大の効率化や、睡眠の質の改善にはトンカットアリがおすすめです。
また、簡単に手に入るものを探している場合にはマカが、より確実性のある効果を期待したい場合にはトンカットアリが役立つでしょう。
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