マカは鮮やかな色が特徴的なアブラナ科の植物であり、見た目はカブに似ています。ペルーでは2000年以上にわたり栽培されており、標高4000～4500mほどの中央アンデスでのみ生育しています^出典[1]。

一般的なマカの栄養組成は、たんぱく質10.2%、炭水化物59%、脂質2.2%、食物繊維8.5%とされています。ミネラルではカリウムやカルシウム、鉄、亜鉛などを、アミノ酸では血流改善効果のあるアルギニンなどを摂取できます^出典[2]。

脂質の組成は飽和脂肪酸は40.1%、不飽和脂肪酸は52.7%であり、血中脂質のバランスを整えるリノール酸やオレイン酸が豊富です。さらに抗酸化作用を持つポリフェノールのアントシアニンや、イソチオシアネート、グルコシノレートなども含まれています。

多様かつさまざまな栄養素を含むマカには、さまざまな臨床試験により、性機能障害の改善、うつ症状や不安の改善、記憶力や学習能力の向上、紫外線による肌へのダメージ軽減、血圧の適正化、骨粗鬆症の予防などの効果が確認されています^出典[2]。

マカの色は白や黄色、赤、紫、黒などさまざまです。なかでも紫や黒のような色の濃いマカにはポリフェノールやグルコシノレートなど、マカ特有の成分が豊富であるため^出典[2]、より高い効果が期待できるでしょう。

マカは夫婦生活を充実させたり、妊活をサポートしたりする目的でも使用できます。男性パートナーの性欲減退によるセックスレスに悩んでいる方や、性機能の低下により妊活が順調に進まない方は、夫婦での相談のうえ、マカを試してみる価値があるかもしれません。

ここからは、性欲や性機能の低下した男性がマカを摂ることで期待できる効果について解説します。

性欲を高めて性行為へのモチベーションUP

マカに性欲を高める効果があることは古くから知られており、複数の臨床試験において効果が証明されています。

たとえば2002年にペルーのペルーアナ・カエタノ・エレディア大学から発表された論文では、21～56歳の男性がゼラチン化したマカを1日1.5gまたは3gの用量で摂取したところ、継続8週目と12週目で性欲が高まったことが確認されています^出典[3]。

また、2008年にアメリカのマサチューセッツ総合病院でおこなわれた臨床試験では、抗うつ薬を使用しているうつ病患者が1日1.5gまたは3gマカ摂取を12週間続けたところ、1日3gの摂取において性欲や性行為の回数、成功時の快感などに有意な改善が認められました。さらに数値が高いほど性機能障害が深刻であることを示す質問票のスコアにおいても、次のような改善が見られています。

【うつ病患者のマカ摂取（3g/日）による各スコアの変化^出典[4]】

いずれの試験でも副作用は認められていないことからも、マカは性欲を高められる安全なサプリメントであると言えるでしょう。夫婦生活や妊活のモチベーションを高めるためのサプリメントとして、マカの継続摂取が役立つかもしれません。

血流改善効果により勃起力を改善

マカには血液や血管の状態を良好に保ち、血流を改善して勃起力を高める効果が期待できます。

勃起力が低下すると性行為や妊活がスムーズに進まなくなるほか、男女双方が快感を得にくくなる可能性もあります。男性自身はもちろん、女性においてもパートナーの立ちの悪さに悩むケースがあるのではないでしょうか。

勃起は陰茎に血液が集まることで起こるため、興奮時に血液を一気に集められないと十分な硬さを維持できません。

マカからは血流改善に役立つ次のような成分を効率よく摂取できます。

【マカの成分と血流改善との関係】

実際に2009年にイタリアでおこなわれた臨床試験では、軽度の勃起不全患者である男性がマカ乾燥抽出物2.4gを12週間摂取したところ、国際勃起機能指数 （IIEF-5）のスコアが1.6 ± 1.1改善されました。偽薬（プラセボ）を摂取した場合ではスコアの改善が0.5 ± 0.6に留まっており、マカ摂取でより多くの改善が見られたことがわかっています^出典[5]。

IIEF-5は勃起の硬さや維持能力、維持の困難さなどを25点満点で数値化したものであり、25点中1.6のスコア改善は、勃起能力の6.4％の改善に相当します。勃起の硬さや維持能力などに確かなプラスの効果があったことが読み取れるでしょう。

勃起力を高めるためにはサラサラの血液とやわらかい血管が重要。マカの成分には血液と血管、両方へのよい効果が期待できるため、性行為の質を高めるために役立つでしょう。

精子の質を高めて妊活をサポート

妊活を成功させるためには、性行為をスムーズにすることに加え、受精に必要な精子の質を保つことも重要。世界の不妊問題の40％が男性に由来するものといわれるため^出典[6]、妊娠しやすい体づくりは女性と男性どちらにおいても重要です。

精子を作る場所である精巣は酸化ストレスに非常に弱く、体内で発生した活性酸素の影響を受けやすい組織です^出典[7]。

精巣を保護して質の高い精子を作るためには、酸化ストレスを減らせる抗酸化物質の摂取が重要。マカに豊富なイソチオシアネートやグルコシノレート、フェノール化合物などは抗酸化物質として機能するため、酸化ストレスを減らして、精子の量や質を高く保つ効果が期待できるでしょう。

実際にペルーのペルーアナ・カエタノ・エレディア大学にて2001に発表された論文では、男性9名がマカ1.5gまたは3gを4か月間摂取したところ、精液量や精子濃度、精子の運動性が改善したとの結果が得られています^出典[8]。

なお、色の濃いマカの方が抗酸化物質であるポリフェノールを豊富に含むため、精子数や精子の運動性の改善により有益とされています^出典[9]。妊活の成功を重視する場合には、黒マカや紫マカの使用が確認できるサプリメントがよいかもしれません。

肥満を改善して生殖機能の低下を防ぐ

多すぎる体脂肪は炎症を引き起こし、精巣にダメージを与えて、性欲を高めるホルモンのテストステロンを減らしたり、精子の量や質に悪影響を与えたりする可能性があります。肥満の改善により体脂肪を減らせれば、性欲減退や不妊の解消にも役立つでしょう。

マカに豊富なグルコシノレートには、体内の脂肪をエネルギーの材料として使いやすくする効果が期待されています。たとえばラットを用いた動物実験では、8週間の高脂肪食によるラットの体重増加が約7.2％起こるところ、マカの摂取により増加を約4.7％まで抑えられたとの結果が得られました^出典[10]。

さらにさまざまな抗酸化物質には、運動時に発生する活性酸素の働きを抑えて、筋肉の疲労を軽減する効果も。持久力パフォーマンスが高まるため、運動による消費エネルギーが増え、減量効果を高めるために役立つでしょう。

マウスを用いた動物実験では、マカの投与により、体内の抗酸化物質の増加と酸化ストレスの減少が確認できたことに加え、水泳時間が1.3倍以上に増加したと報告されています^出典[11]。

ダイエットを成功させて性欲や性機能を高めたい場合には、運動や食事管理とあわせてマカを取り入れるとより効果的かもしれません。

このように、マカには男性パートナーの性欲減退を解消したり、妊活の成功率を高めたりする効果が期待できる場合があります。

しかし男性パートナーにマカを勧めたい場合、いくつか注意すべき点があります。ここからはマカが十分に効果を発揮しないケースや、摂取上の注意点について解説します。

テストステロンを高める効果はない

男性に性欲や性機能を司るホルモンとして、テストステロンがあります。テストステロンは40代を過ぎると急激に減少するホルモン。加齢による性欲減退や、精子数の減少などの主な原因は、テストステロンの減少にあるとも考えられています。テストステロンを増やせれば、性欲減退や妊活などの問題も解決しやすくなるでしょう。

ただし残念ながら、マカにテストステロンを増やす働きは確認できていません。

たとえばペルーのペルーアナ・カエタノ・エレディア大学から発表された2002年の論文ではマカの8週間または12週間の摂取で性欲が、2001年の論文では4か月間の摂取で精液量や精子濃度精子の運動性がそれぞれ改善しています。しかしテストステロンや、テストステロンの分泌に関わるホルモンの増加はいずれの論文でも確認できませんでした^{出典[3]出典[8]}。

マカの性欲や精子の質を高める効果は、テストステロンの増加とは別のメカニズムで生じているようです。

加齢にともなうテストステロンの急激な減少は、更年期障害の形で現れることもあります。もしパートナーの男性が、性欲減退に加え、筋力の低下や倦怠感、イライラや気分の落ち込みなどに悩んでいる場合には、テストステロンを増やして更年期症状を改善することが重要となるでしょう。

テストステロンを増やす効果があるサプリメントには「テスノア」「LJ100」「バイオドーパ」などがあります。これらテストステロンブースターを活用すれば、性欲減退をはじめとする男性の辛い症状も改善しやすくなるかもしれません。

効果的な摂取量がはっきりしない

マカは色や産地、栽培方法により栄養成分が大きく異なる植物です^出典[2]。たとえば精子数や精子運動性の改善や^出典[11]、血糖値の上昇抑制には^出典[12]、赤マカよりも黒マカの方が高まりやすいことがわかっています。

しかしマカのサプリメントには「特定の成分を特定の量以上含むこと」といった規格化がされていません。また使用しているマカの色を確認できないものもあります。そのため同じマカサプリであっても、有効成分の量に違いが出てしまい、十分な効果が得られない可能性も考えられるでしょう。

また、一般的にマカは1.5～3g/日の範囲が摂取の目安とされていますが、こちらも研究ごとにバラつきがあるため、1日にどれだけの量を摂ればよいか不安になる場合もあるでしょう。

効果を得るための適切な量がわかりやすいサプリを選びたい場合には、やはり有効成分が規格化されたものがおすすめです。

たとえばテストステロンを高める効果のある「テスノア」は、ザクロ由来のプニカラギンを3.5%、カカオ由来のテオブロミンを0.5%含むものとして規格化されています。同じく天然の素材を使用した「LJ100」は、22%のユーリペプチドと40%のグリコサポニン、ポリサッカライド20％を含むトンカットアリ抽出物として規格化されており、安全性の高いサプリメントです。

夫婦生活や妊活のサポートのため、研究で確認されている効果が得やすいサプリメント選びを心掛けましょう。

質の低いマカが安価で販売されているケースも

マカは標高4,000～4,500mほどの中央アンデスでのみ生育する植物ですが^出典[1]、需要の高まりにより、標高2,800～3,500mの中国雲南省や、標高3,000m以上のチベットでの栽培もおこなわれているようです。

しかしこれらの地域で栽培されたマカはアンデス高地と生育環境が異なります。そのため高低差に対応するために殺虫剤や除草剤が過剰に使用されているものも少なくありません。とくに雲南省では近隣の環境により、化学物質の汚染を受けている場合もあるとして問題視されていました^出典[2]。

マカ自身の安全性は非常に高く、1日あたり3gのマカ抽出物を12週間摂取したケースでも、健康への悪影響は確認されていません^出典[12]。しかし好ましくない環境で栽培された安価なマカを口にする可能性がある点に注意が必要です。

ペルー産のマカは効果ですが、成分の優秀さと安全性の高さから、栽培地域が広がった現在でも高い人気を集めています。安価なマカは質が低い可能性があることを覚えておきましょう。

もちろん日本で栽培されている無農薬かつ栄養価の高いマカのように、ペルー産以外のマカにも質の高いものはあります。マカのサプリメントを選ぶ際には産地をチェックするクセをつけるとよいでしょう。

アブラナ科アレルギーの方は要注意

マカはブロッコリーやキャベツ、カブや大根と同じアブラナ科の植物です。そのためアブラナ科の植物にアレルギー反応を示す場合、マカでも同じ反応が見られる可能性があります。

マカ自体のアレルギー反応に関する研究は十分ではありませんが、サプリメント販売元からは「アブラナ科の植物にアレルギーがある方」への注意がされている場合が多いようです。

アブラナ科の植物にアレルギーがある場合には、摂取前に必ず医師をはじめとする専門家に相談するようにしましょう。

マカには性欲増強効果や精子の質を高める効果などが確認されています。性欲減退を原因とするセックスレスの解消や妊活のサポートに役立つ可能性があるため、夫婦での相談のうえ、マカを使用してみてもよいでしょう。

一方で、更年期障害によるテストステロンの低下には、テスノアやLJ100のようなテストステロンを増やす効果があり、かつ成分が規格化されているものがおすすめです。

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