監修者
上級睡眠健康指導士 /NR・サプリメントアドバイザー
関川裕大
睡眠と運動と栄養の3つ面から皆様の健康的なライフスタイルをサポートします。睡眠と運動は特に男性のQoLにおいて非常に重要な役割を果たします。睡眠が不足すると筋肉が付きにくく太りやすくなりますし、運動が十分でない男性は睡眠の質も低下し易いと言われております。そして栄養が不足すると運動効率も睡眠の質も悪化してしまいます。医療に頼らない心と体の健康促進を目指します。
執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
NO系サプリとは?なぜ今注目を集めているのか
この記事にたどり着いた皆様は一般の方よりもサプリメントに関するリテラシーが高いとお見受けします。なぜならNO系サプリやNOブースターと呼ばれる製品は比較的コア層から注目されている製品群であるからです。一体なぜNO系サプリはプロテインやビタミン、ミネラル等のサプリ程の認知度が無いのでしょうか。
まずはNO系サプリやNOブースターと呼ばれるサプリメントが一体どのような立ち位置に存在するのか、その部分から解説をさせて頂きます。
サプリメントは大きく以下の2種類に分類する事が出来ます。
- ダイエタリーサプリメント系
- エルゴジェニックエイド系
ダイエタリーサプリメントとは日々の食生活による不足を補う事を目的としたサプリメントの事を指します。具体的にはビタミンやミネラル、タンパク質(プロテイン)など、体の機能の維持に必要な基礎栄養素などが配合されたサプリメント等です。
健康維持においてクリティカルな栄養素だからこそ、認知度が高く、広く普及しているといった特徴があります。サプリメントという言葉が供給や補給を意味する「Supply」から来ているように、サプリ本来の目的で使用されるのがダイエタリーサプリメントです。
2つ目のエルゴジェニックエイド系のサプリメントは健康維持のために必要な栄養素の補給ではなく、追加で摂取する事でさらなる機能の向上を目的とした成分やサプリの事を指す言葉です。
機能維持に必須ではない事や、「今よりもさらに!」という攻めの目的で使用される栄養素であることから、より高いパフォーマンスの発揮を求めるいわゆるガチ勢と言われる人々から注目をされています。
今回紹介するNO系サプリやNOブースターと呼ばれるサプリメントは後者のエルゴジェニックエイド系に分類されます。NO系サプリが一般的にそこまで認知されていない理由が少しはご理解頂けたのではないでしょうか。
そんなエルゴジェニックエイド系に分類されるNO系サプリですが、一体どんな特徴があるのでしょうか。
NO(Nitrate Oxide)とは一酸化窒素を意味する言葉です。一酸化窒素とは人間の体内で自然に分泌される物質であり、血管内部の筋肉をリラックスさせることで、血管を広げやすくする効果があります。つまりNOブースターとは安全性の高い食品由来の素材を原料とした「血管拡張剤(Vasodilator)」の事を指します。
一酸化窒素の増加には、体の巡りを健康な範囲で向上する事による血圧の最適化、運動パフォーマンス向上や勃起や下半身のサイズといった男性機能改善を促進するといったメリットがあります。ここのような目的で利用されているサプリメント群の総称がNO系サプリなのです。
NO系サプリの3つの種類と12の素材
NO系サプリ、NOブースターと聞くとアルギニンやシトルリンの知名度が非常に高いですが、実のところ一酸化窒素の生成を促進する素材はその他にも大量に存在します。日本国内ではアルギニンやシトルリン等のアミノ酸の認知度が近年少しづつ広まってきましたが、栄養先進国であるアメリカでは、さらに臨床データが豊富な素材が多数登場しております。
最強のNO系サプリを求める方々は多いですが、そのためには最初にNO系サプリの種類や素材、作用機序を正しく理解する必要があります。
NO系サプリメントにはどのような種類があるのでしょうか。NO系サプリは成分の原料や作用などから、大きく以下の3種類に分類する事が出来ます。
- アルギニン回路系
- フラボノイド系
- ナイトレート系
それぞれ一体何が違うのでしょうか。順番に違いを説明していきましょう。
アルギニン回路系NOブースター
アルギニンやシトルリンといったアルギニン回路(L-arginine-NO pathway)系のNOブースターは、近年日本のスポーツニュートリションやメンズウェルネス領域でも非常に認知度が高まってきていますね。アルギニンは体内の血管内皮細胞に到達するとシトルリンと呼ばれる別のアミノ酸に変換され、またシトルリンはアルギニンに変換されるという相互の変換フェーズに入ります。この変換の過程で一酸化窒素(NO)が生成されます。
アルギニン回路系NOブースターの代表的な素材は皆様ご存じの通り以下の3種類。
<アルギニン回路系NOブースター素材>
- アルギニン
- シトルリン
- ランペップ
ナイトレート系NOブースター
ナイトレート系NOブースターは日本ではまだまだ一般的には認知度は低く、どちらかというアスリート等本格的にトレーニングに取り組む男性が主な利用者であるようです。そもそもナイトレートという言葉すら知らない方が多いのではないでしょうか。
まずナイトレートについて少し説明をさせて頂きます。ナイトレートとは硝酸塩イオン(NO3−)を意味する言葉で、ビーツやほうれん草などの野菜の葉や根に含まれる物質です。硝酸塩イオンは体内で一酸化窒素に還元されます。アルギニンやシトルリン等のアミノ酸ではなく、植物由来のNO系サプリになります。
確認されている効果効能としては、高血圧の緩和だけではなく、運動パフォーマンス向上、最大酸素摂取量の上昇など幅広いメリットが期待出来る最先端のNOブースターと言えるでしょう。アメリカ等ではスポーツ業界等で高いパフォーマンスを求めるアスリートやトレーニー等から注目が集まっています。
<ナイトレート系NOブースター素材>
- オキシストーム(レッドスピナッチ濃縮物)
- サビート(ビートルート濃縮物)
フラボノイド系NOブースター
フラボノイド系のNOブースターはナイトレート系のNOサプリと同様で植物由来の成分。フラボノイドとは植物に含まれるポリフェノールの一種で、多価フェノールとも呼ばれる存在です。
フラボノイド系NOブースターの特徴はアルギニン回路系やナイトレート回路系のようにNOの分泌促進するだけではなく、NOの分解を防ぐ事で一定量を維持するという2重のNOブーストのメカニズムがあると考えられています。
少し細かく解説をすると、NOは本来体に溜まった活性酸素を除去する(つまり活性酸素の除去によってNOが消費されています)作用がります。フラボノイドは抗酸化作用が非常に強い物質であることから、体内での活性酸素の増加を防ぎ、一酸化窒素が消費されてしまう状態を防ぐことが出来るという仕組みです。
つまりフラボノイド系のNOブースターは2つの経路から一酸化窒素量を増やす仕組みを持つ珍しい素材なのです。
一酸化窒素産生だけでなく抗酸化作用も高いことから、血圧や運動パフォーマンスだけではなく、男性機能向上や下半身のサイズアップ、アンチエイジング、脳疲労の緩和など幅広い領域での優位性が確認されているのが特徴です。
<フラボノイド系NOブースター素材>
- S7
- ブラックVキューブ(クラチャイダム濃縮物)
- グレープシードエキス
- Sアリルシステイン(ニンニク濃縮物)
- 高麗人参
- ピクノジェノール
- レスベラトロール
効果や目的別のおすすすめNO系サプリ素材
さて、ここまでNO系サプリの種類や素材について解説をしてきましたが、実際にどんなNOブースターを選べば自分の望みを叶える事が出来るのでしょうか。運動パフォーマンスにも下半身にも、疲労回復にも全てに効果がある万能型の一酸化窒素供給サプリメントは存在するのでしょうか。
残念ながら全ての要望を満たしてくれるNOブースターは存在しません。しっかりと自身の求める効果を把握し、相性の良い素材(信頼の出来る臨床データが豊富)を選定する必要があります。
続いては目的別に相性が良いNOブースターを紹介していきます。ご自身の目的の部分だけでも良いので、是非参考にしてみてください。
目的1.運動パフォーマンスや肉体機能の向上
冒頭で一酸化窒素には血管のリラックスさせる事で血管の拡張をサポートする効果がある事を紹介したと思います。血管の伸縮性が高まり拡張し易い状態になるという事は、血管はより多くの栄養や酸素をエクササイズ中の筋肉に運ぶ事が出来るようになるという事です。
実際にNO系サプリによる運動パフォーマンスの変化を調査した試験は多数行われています。
筋トレ等を行っている方は、プロテインの他にアルギニンやシトルリンといったアミノ酸系のサプリメントを摂取していている方も多いのではないでしょうか。アルギニンは準必須アミノ酸の一種であり、現在の日本国内のNO系サプリの素材としては最も知名度が高いといっても過言ではないでしょう。ただし、血流や運動パフォーマンスの向上といった部分については、効果があると結論付けた研究と、否定的な研究が混在しているのが現状です出典[1] 出典[2]。1993年にマサチューセッツ工科大学で行われた調査によると、アルギニンは血中に到達する前に代謝もしくは分解される事から、生体利用率が低い可能性がある事が示唆されています。
いくつかスポーツと相性の良いNO系サプリ素材を見ていきましょう。
「S7」と運動パフォーマンス
S7はグリーティーやグリーンコーヒー豆、タートチェリー、ブルーベリーなど抗酸化作用が非常に強い7種類の素材のエキスの混合物です。特徴は1日あたり50mgという少量にも関わらず高いNOブースト効果が確認されている点です。
2018年にFutureCeuticals社は、24 歳から 55 歳までの 8 人の健康な人を対象にS7を50mgを摂取させました。その結果、体内のNOレベルが 230% まで増加することがわかりました出典[3]。2018年に米国で開発およびリリースされたばかりの最新NOブースターであり、2019年には、優れた新栄養成分を表彰するNIE AWARDSのスポーツ部門で1位獲得しています。
非常に高価な素材であることから、S7は臨床試験の実績の割にまだまだ日本国内では認知度は低い素材です。今後パフォーマンスエンハンサーとして様々な領域で注目されていく可能性の高い先端素材と言えるでしょう。
「サビート」と運動パフォーマンス
ナイトレート系NOブースターとして注目されているのが「サビート(sabeet)」。食べる輸血とも呼ばれるスーパーフードであるビーツの根に含まれるNO3を高濃度化した素材です。ビーツはスポーツ領域でも様々な調査が行われており、実際に9人の自転車競技選手に硝酸塩を豊富に含むビートルートエキス、もしくはプラセボを摂取させた調査では、ビートルートジュースを摂取した場合、4kmのタイムトライアルの完了時間は2.8%短くなり、16.1kmのタイムトライアルの完了時間は2.7%短くなる結果が確認されています出典[4]。
また、有酸素運動だけではなく、ベンチプレス等の無酸素運動に関する有効性を調査した試験もあります。イギリスのエッジヒル大学が行った調査では、12人の男性が6日間硝酸塩が豊富なビートルートエキスを摂取させ、、ベンチプレス行わせた結果、ベンチプレスの総挙上重量が18.9%向上したことが報告されています出典[5]。
「オキシストーム」と運動パフォーマンス
続いて紹介する素材は「オキシストーム(OXYSTORM)」。オキシストームとは赤ほうれん草(アマランサス)由来のNOブースター素材であり、一酸化窒素の分泌を促すNO3-がサビートの4.5倍の高濃度で配合されています。NO3-が9%で規格化された海外のスポーツニュートリション業界で非常に注目されている先端素材です。
11名の健康な男性に、NO3-で6ml相当となる赤ほうれん草エキスを15日間摂取させたところ、プラセボと比較して血中NOレベルが高まり、高強度の運動の持続時間が119%延長したことが確認されました出典[6]。より長い時間、高い運動パフォーマンスを持続させたいというトレーニーやアスリート等には非常に相性の良いブースターと言えるでしょう。
目的2.男性機能の改善
そもそも勃起とは興奮を感じた際に脳が信号を送り、下半身への血流が増える事で発生する現象です。さらに詳しく説明をすると、性的刺激により、副交感神経が優位になりリラックス状態を作り出します。
リラックスした状態下で一酸化窒素(NO)が血管内皮細胞で生成され、cGMP(環状グアノシン一リン酸)と呼ばれる物質が増加し、ペニスの血管内部に血液が流れ込み、大きく硬く勃起するという仕組みです。
実はED治療薬はこのcGMPの分解を阻害する事で量を増やし、下半身への血流量を増やす仕組みの医薬品なのです。NO系サプリメントの中には、このcGMPを分解してしまう酵素であるPDE5の働きを阻害する働きが確認されている素材も存在しており、下半身の機能向上に有効とされるサプリメントも存在するのです。
「ブラックVキューブ」と男性機能
ブラックVキューブとは男性機能に関する臨床データが豊富なクラチャイダムに含まれる有用成分であるジメトキシンフラボンを高濃度化したフラボノイド系NOブースターです。ED改善のメカニズムはバイアグラ等と同様でPDE5の働きを抑制することによる勃起力の向上。
実際に2018年にアメリカで行われた調査では、中高年の男性を対象にクラチャイダム抽出物を30日間継続的に摂取させたところ、勃起に関する満足度スコアであるIIEF(国際勃起機能スコア)の大幅な改善が確認されました出典[7]。この実験では副作用も確認されておらず、安全面でもリスクが少ない事が判明しています。
「ランペップと亜鉛とマカ」と男性機能
ランペップはコレステロールを含まない卵白由来のペプチドです。このランペップをマカと亜鉛と同時に摂取する事で、一酸化窒素の生成量が単体で摂取した時よりも大幅に高まる事が確認されており、2013年にED改善において特許を取得しています出典[8]。ランペップを摂取する場合は、必ず亜鉛とマカが配合されたサプリメントを選ぶようにしましょう。
「フランス海岸松樹皮エキスとアルギニン」と男性機能
あまり聞きなれない素材かもしれませんが、フランス海岸松樹皮エキスも男性機能に関する臨床試験データが存在します。フランス海岸松樹皮エキスも抗酸化作用が強いフラボノイド系NOブースターです。単体で摂取するのではなく、アミノ酸の一種であるアルギニンと組み合わせる事で、男性機能の改善効果が発揮される事が、獨協医科大学越谷病院の調査によって確認されています出典[9]。
目的3.下半身のサイズの増大
まだまだ数は少ないですが、実は下半身のサイズアップにおける有効性が確認されているNO系サプリも存在します。現在調査した中で唯一サイズに関する調査結果が存在しているのが、先ほども紹介した「ブラックVキューブ」です。
「ブラックVキューブ」と下半身のサイズ
タイのパヤオ大学が行った調査によると、ブラックVキューブと同様に規格化されたクラチャイダム濃縮エキスを被験者に継続的に摂取させた結果、クラチャイダムを摂取したグループは、摂取していないグループと比較して安静時の周囲径が1cm以上増加し、勃起時においては2cm弱の増加が見られたことが分かっています出典[10]。
また、男性の性的欲求面や筋肉、ストレス耐性などを司る男性ホルモンの一種であるテストステロン量の上昇も確認されています。パヤオ大学で行われた調査によると2カ月間の継続摂取で血中テストステロン値が24%も上昇した事が判明しています。ブラックVキューブはまさに男性としてのパフォーマンス向上に最適なNOブースターと言えるでしょう。
目的4.高血圧の改善や緩和
ブラジルのペルナンブコ国立大学(Federal University of Pernambuco)をはじめとする複数の機関による調査によると、高血圧という現象は体の一酸化窒素生成能力の低下が大きな原因の一つである可能性が高いと言われております出典[11]。血圧が高いという状態は血管の伸縮性が低く、血管内部に流れる血液が血管に強い圧力を加える事で発生する現象です。
血管の伸縮性を高めるNO系サプリの利用は、運動パフォーマンスや下半身の機能最適化だけではなく、高血圧の緩和や改善に関する臨床データも豊富に存在するのです。
「アルギニン」と高血圧
血中に到達するまでに分解されてしまい、生体利用がされづらいといった研究結果もあるアルギニンですが、実は高血圧の改善に関する臨床データは複数存在します。実際にアルギニン摂取による血圧変動を調べたメタアナリシス(複数の試験の解析)によると、一日8〜25gのアルギニンを摂取した4,676名の高血圧患者を調べたところ、高血圧患者387名に最高血圧と最低血圧をそれぞれ2.2〜5.4 mm Hgと2.7〜3.1 mm Hg低下させました出典[12]。
フラボノイド系やナイトレート系などの植物由来の濃縮エキスと比べると、アルギニンの摂取で血圧を改善するために必要な量はかなり多いですが、プロテイン等を利用している方はアルギニン粉末を一緒に取るとストレスなく利用が出来るでしょう。
「シトルリン」と高血圧
スポーツニュートリションとしても認知度の高いシトルリンは、体内でアルギニンに変換されるアミノ酸であり、アルギニンを摂取するよりも最終的に体内のアルギニン量の増加につながると言われております。高血圧の改善に関するデータもあり、2019年にL-シトルリンの血圧に対する効果を分析したメタアナリシス(複数の研究結果の考察)では、3~9g/日のシトルリンの投与が1~17週間にかけて行われ、L-シトルリンの投与によって収縮期血圧では-4mmHg程度の有意な減少傾向が確認されています。
やはりフラボノイド系やナイトレート系よりも一日当たりの摂取量は多いものの、アルギニンよりも少ない量で高血圧改善につながる可能性は高いと言えるでしょう。
目的5.肉体疲労の緩和
NO系サプリはハードな運動や労働を行う人のリカバリー目的でも注目されています。実際に運動後のリカバリーサプリメント等にもNOブースターが採用されている製品は非常に多いです。
「オキシストーム」と肉体疲労緩和
運動パフォーマンスの向上の部分で紹介したオキシストームですが、実はパフォーマンスだけではなく疲労対策においても優れた素材です。実際にアメリカのオーバーン大学(Auburn University)がオキシストームと同様のNO3-が9%濃度の赤ほうれん草エキスを被験者に摂取させた実験では、摂取後30分で体内の一酸化窒素レベルが54%も上昇する結果が確認されています出典[13]。
またサッカー選手を対象とした臨床試験でも、赤ほうれん草エキスを摂取する事による乳酸濃度及び疲労指数の改善が確認されています。赤ほうれん草エキスに豊富に含まれる硝酸塩が血液中の亜硝酸塩を上昇させることで筋肉中の乳酸を除去し、筋疲労の回復を効率化している事が示唆されています。オキシストームは運動パフォーマンスと運動後の疲労回復促進でダブルのメリットがある次世代のスポーツニュートリションと言えるでしょう。
「シトルリン」と肉体疲労改善
アミノ酸の一種であるシトルリンにも肉体疲労緩和の効果が確認されています。スペインのコルドバ大学がNOブースターの一つであるシトルリン(アミノ酸の一種)を用いて行った実験では、運動の1時間前にシトルリンを摂取したグループはその後の筋肉痛が40%も軽減するといった結果が確認されました出典[14]。
一酸化窒素によって血管が拡張される事による栄養や酸素の運搬効率の向上、疲労物質の効率的除去によって、運動後の筋肉痛の軽減につながっている可能性が高いと結論づけています。シトルリンは比較的安価で購入できるビギナーにも優しいサプリメントなので、日々のサプリメンテーションに取り入れてみるのも良いですね。
目的6.脳疲労の緩和
我々現代人が使う「疲れた」という言葉。実は肉体疲労よりも、脳の疲労を感じた際に使われる言葉である事に気づいた事はありますでしょうか。現代人の多くは肉体よりもPCやスマホなどから大量の情報を取り入れる事で、脳に負荷がかかっている状態です。つまり現代人の疲れを癒すうえで、脳の疲労を緩和させる事は何よりも大切なのです。
脳疲労の大きな原因の一つは脳内の炎症である事が確認されています出典[15]。では抗炎症作用の強い抗酸化物質を摂取すれば、脳の炎症を抑えられるのではないでしょうか。ただここで一つ問題になるのが、脳に存在する血液脳関門(BBB)の存在。血液脳関門とは脳内に物質が入り込まないように待ち構えるゲートのような働きをしています。ほとんどのサプリメントはこの血液脳関門を通過する事が出来ないのです。
そんな中で血液脳関門を通過出来る事が確認されているのがフラボノイド系NOブースターの一つである「Sアリルシステイン」です。
「Sアリルシステイン」と脳疲労緩和
Sアリルシステインとはニンニクにごくわずかに含まれる機能性成分の一つであり、特殊な製法で高濃度抽出する事でサプリ化されています。先ほど紹介した男性機能や活力、ストレス耐性や筋肉を作り出すテストステロン値の上昇や、NOブースターとしての血流改善効果に加え、脳疲労の改善効果も確認されており、Sアリルシステインを採用したサプリは機能性表示食品としての認可を受けている製品が増えてきています。
Sアリルシステインを1%保有するニンニク抽出物を被験者に継続摂取させた試験では、精神的疲労スコアを計測する内田クレペリン検査の数値がプラセボ群よりも優位に高い結果が確認されています出典[16]。自律神経を整える効果もヒト試験において確認されており、肉体疲労に加え、精神疲労の改善効果が高い機能性成分である可能性が高いと結論付けられています。
注意点や副作用のリスク
今回は今注目が集まっているNO系サプリの効果や効能、おすすめの素材を紹介してきました。最後にNO系サプリを実際に選び、利用するうえでの注意点や知っておくべき事について解説をしていきたいと思います。
まず今回紹介したNO系サプリメントはアミノ酸や植物由来エキスなどの食品を原料とした非常に安全性の高い製品です。とはいえ過剰に摂取する事は体調悪化のリスクにつながる事もあります。一方で少なすぎると当然ですが十分な体感を得るのは難しいでしょう。
副作用のリスクを防ぎ、しっかりと体感を得るうえで大切となる目安量を成分ごとに紹介しておきます。NO系サプリを利用する場合は、以下の量を参考に選んでみてください。
<アルギニン回路系NOブースターの目安量>
- ランペップ:メーカー推奨量500mg/日
- アルギニン:目安量1.5~21g程度/日
- シトルリン:目安量1.5~5g程度/日
<ナイトレート系NOブースターの目安量>
- オキシストーム:500~1,000mg/日
- サビート:特に指定無し
<フラボノイド系NOブースターの目安量>
- ブラックVキューブ:メーカー推奨量50~120mg/日
- エックスグレープシード:メーカー推奨量60mg/日
- Sアリルシステイン:目安量2mg/日
- 高麗人参:目安量100~800mg/日
- フランス海岸松樹皮エキス:目安量40~60mg/日
- レスベラトロール:目安量250~1,000mg/日
また副作用のリスクを出来る限り低減させるための取り組みとして、海外製に安易に手を出さないといった物がございます。海外と日本では法律が異なり、日本国内の薬機法では医薬品指定されている成分がサプリメントとして販売されている事があります。最近は簡単にネットで海外製品を購入出来るようになっておりますが、まずは国産を利用する事をおすすめします。
まとめ
NO系サプリの仕組みやメカニズム、種類や目的、おすすめの素材など様々な角度から一酸化窒素供給素材について解説をしてきました。
運動パフォーマンス向上や疲労回復などスポーツニュートリションとして注目されるオキシストームや、下半身の状態改善や最適化に特化したブラックVキューブ、脳疲労緩和効果が期待出来るSアリルシステインなど、実はアルギニンやシトルリン以外にも様々なNOブースターがある事をご理解頂けたのではないでしょうか。
最近は数多くのNOブースターが登場しており、臨床試験データも豊富で、確認されている効果や効能も非常に魅力的に感じます。栄養不足を補う目的ではなく身体強化を目的とした「エルゴジェニックエイド系サプリメント」としても注目が集まっています。
とはいえ忘れてはいけないのが、日々の生活習慣です。
進化し続けるサプリメントの魅力にばかり目が行ってしまうと、どうしても定期的な運動や良質な睡眠、バランスの取れた食生活など基礎がおざなりになりがち。日々の取り組みにしっかりと力を入れて、そのうえでNO系サプリを利用する。この部分は是非忘れずに健康的なサプリメンテーションをお楽しみ下さい。
出典
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