精力は高まる?男性がハブ酒に期待できる効能3選
2024年11月4日更新

監修者

NP+編集長/NESTA-PFT

大森 新

筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識を発信できるよう日々邁進中。

執筆者

管理栄養士

井後結香

管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。

ハブ酒とはどんなもの?

ハブ酒はメジャーなお酒として流通しているものではないため、飲んだことがない方や、どのようなお酒であるのか知らない方も多いことでしょう。

まずはハブ酒の概要について簡単に解説します。

ヘビをお酒に漬け込んだもの

ハブ酒はハブという毒ヘビをお酒に漬け込んで作られます。ハブが主に生息する沖縄では、ハブを1年ほど絶食させたのち、腸内を洗浄してからお酒に漬け、3年ほど保存することで作られているようです。

ハブのみを使用した場合では生臭さを感じることがあるようですが、現代のハブ酒はハーブや糖類を添加したものが多く、飲みやすく仕上げられています。

ハブの乾燥品は漢方としても使用され、タウリンのようなアミノ酸、コレステロールや脂肪酸、ビタミンなどの存在が確認されています。ハブを漬け込んだハブ酒からも、アミノ酸をはじめとする成分の一部を摂取できる可能性がありそうですね。

古来では毒ヘビのような「生物として強いもの」を体に取り入れるとその強さが乗り移るとの考え方から、ハブやマムシのような毒ヘビ、サソリなどの摂取がおこなわれていました。

ハブ酒は、そうした古来の考え方をもとにするものと考えられるでしょう。

 

マムシ酒との違い

ハブ酒と同じように毒ヘビを浸したお酒として、ハブより小さいマムシを浸したマムシ酒があります。マムシは漢方としても使用されるヘビであり、ハブ酒と同じく薬用酒として長く使用されてきた歴史があります。

ハブもマムシも毒ヘビではありますが、長時間のアルコールへ浸すことで無毒化されるため、ハブ酒やマムシ酒を飲んでも問題ないとされていますね。

マムシ酒は焼酎ベースで作られることが多いようですが、ハブ酒は沖縄のお酒である泡盛で作られます。泡盛は保存中も熟成が進む性質があるため、まろやかな味わいを楽しめる点が特徴的でしょう。

ラム酒を使用する場合もあります。沖縄産のラム酒はサトウキビを原料に作られており、サトウキビ由来の香り高いまろやかな味わいを楽しめるでしょう。

 

男性がハブ酒に期待できる効能とは?

ハブ酒は薬用酒として解毒効果や体力増強を目的に古くから飲まれてきた歴史があります。最近のハブ酒はさまざまなハーブが加えられたものが一般的ではあるため、ハーブによる健康効果も期待できるでしょう。しかしハブから抽出されるエキスそのものの効果については、知らない方も多いかもしれませんね。

ここからは男性がハブ酒に期待できる効能について、考えられるものを3つ解説します。

冷えや肩こりの改善

ハブ酒から摂取できるアルギニンが、血行不良からくる冷えや肩こりの改善に役立つ可能性があります。

アルギニンに確認されている役割のひとつが、体内で一酸化窒素(NO)を合成する効果。NOは血管内皮細胞に作用して血管を拡張させる働きがあるため、血管の柔軟性を保ち、血流を良好に保つ効果が期待できるでしょう。

2013年にブラジルでおこなわれた臨床実験では、血管の機能が低下しやすい糖尿病患者を対象に基礎血流量の調査がおこなわれました。糖尿病により低下していた基礎血流量が、アルギニン補給により1.78倍に増加したとの結果が得られたのです出典[1]

お酒を楽しみつつ、血流改善により冷えや肩こりの症状を和らげたい場合には、アルギニンを含むハブ酒の活用が役立つかもしれません。

 

疲労軽減効果

ハブ酒由来のアルギニンや、同じくアミノ酸であるタウリンには、疲労を軽減したり回復を促したりする効果が期待できます。

アルギニンの血管拡張作用は運動中においても確認されています。15名の男性が運動30分前にL-アルギニンを6g補給したところ、筋肉への血流量が増加したことが確認されました出典[2]。運動中の血流は、筋肉へ酸素や栄養素を運んだり、発生した疲労物質を回収したりするために非常に重要です。

またタウリン補給による運動への影響を調べた論文では、10件の研究の分析により、1~6gのタウリン補給で持久力パフォーマンスが向上したと述べられています出典[3]

実際のハブ成分の摂取による疲労軽減効果について述べた論文は見つかりませんでしたが、同じくタウリンの含有が確認されているマムシの漢方「反鼻」を使用した次の実験が参考になるでしょう。

ニホンマムシの反鼻を調整してマウスに500mg/kgの容量で与えたところ、摂取しない場合と比較して運動量が約3倍になったとの結果が得られています。これはカフェインを50mg/kg投与した場合とほぼ同じ効果です出典[4]。ヘビから抽出したタウリンには、カフェインに似た疲労軽減効果が期待できると考えられるでしょう。

疲れを感じやすい方や寝ても疲れが取れにくい方、体力を付けて毎日をエネルギッシュに過ごしたい方には、ハブ酒由来のアルギニンやタウリンが役立つかもしれません。

 

肝機能保護

タウリンの重要な効果として、肝機能のサポートがあります。二日酔いにはタウリンの栄養ドリンク、とも言われることがあるように、タウリンはアルコール分解に必要な酵素をサポートするように働くため、飲酒時の肝臓への負担を減らせるでしょう。

またタウリンは肝臓におけるLDLコレステロールの取り込みを促し、血中のコレステロールを減らすよう働く効果があります。高コレステロール食により上昇したLDLコレステロールを低下させる効果が、複数の動物実験により確認されています出典[5]出典[6]

また健康な成人80名を対象に、ω‐3系脂肪酸とタウリンを組みあわせて補給したところ、ω‐3系脂肪酸単独摂取の場合よりも高い血中脂質改善効果が確認できており、総コレステロールは5%、、LDLコレステロールは8%減少したと報告されています出典[7]

飲酒による肝臓への負担や脂肪肝のリスクが気になる方や、肝臓の機能を高めて血中脂質のバランスを整えたい方の選択肢としてハブ酒は活用できるでしょう。もちろんお酒のため飲み過ぎは禁物ですが、ビールや日本酒をハブ酒に置き換えると肝臓への負担を減らせる可能性がありそうですね。

 

ハブ酒と性機能との関係は?

ハブ酒由来の成分には、このようにいくつかの健康効果が期待できるようです。

では男性においてとくに注目したい性機能を高める作用についてはどうでしょう。精力増強に役立つとも噂されるハブ酒ですが、本当にそのような効果があるのでしょうか。

性欲や勃起力を高める効果は確認されていない

残念ながら、ハブ酒には性欲や勃起力を高めるような、性機能をブーストする効果は確認されていないようです。

確かにハブ酒由来の成分を摂ることで栄養不足が改善されれば、元気が出てくる感覚につながり、性欲や性機能の高まりにつながるかもしれません。

たとえばアルギニンの血流改善効果は勃起不全(ED)にもよい影響をもたらします。540名のED患者を対象とした研究7件の分析により、1日あたり1.5〜5gのアルギニンを摂取したところ、国際勃起機能スコア(IIEF)の勃起機能や全体的満足度のスコアが改善したことがわかりました出典[8]

しかしハブから抽出されるアルギニンは微量であり、EDの改善に十分な効果が期待できるものではないと考えられるでしょう。

現代ではアルギニンのほか、EDの改善に役立つ栄養素が豊富な食品や飲料が簡単に入手できます。ハブ酒はマムシドリンクやうなぎ、すっぽんなどと同様に、栄養価の高い食品が貴重であった時代に重宝されたもの。現代においてハブ酒にこだわる意義は薄いと言えるでしょう。

 

アルコールの摂りすぎにより性機能低下のおそれも

性機能を高めることを目的に大量のハブ酒を飲むことは避けるべきでしょう。十分な効果を得にくいことに加え、アルコールによる害の方が上回るためです。

まずアルコールの過剰摂取はEDのリスクを高めます。たとえば2023年にインドでおこなわれた調査では、アルコール使用障害である203名のうち、68.5%にEDが認められたと報告されています。またこのED患者が1か月の禁酒をおこなったところ、国際勃起機能指数 5 (IIEF-5)のスコアが有意に改善したこともわかりました出典[9]

同じくインドから2022年に発表された論文では、アルコール使用障害とEDの症状がある104名の患者が3か月禁酒したところ、92名(88.5%)でEDの症状が改善したとも述べられています出典[10]

禁酒によるEDの症状改善が複数の論文で見られていることから、アルコールの摂りすぎが勃起機能に悪影響をもたらしていることがわかるでしょう。

またアルコールの飲み過ぎによる肥満も、性欲や勃起力の低下と大きな関連があります。EDの症状がある男性の約79%はBMIが25以上の肥満傾向にあり、BMIが25~30の間では性機能不全のリスクが1.5倍、30以上では3倍高くなるとのデータも確認されています出典[11]

栄養価がほかのお酒より高いとはいえ、ハブ酒もれっきとしたアルコール飲料。性機能を維持するためにも飲み過ぎには十分注意したいところですね。

 

まとめ

ハブ酒は主に泡盛をベースとして作られた、ハブ由来のエキスを摂取できるお酒です。アルギニンやタウリンのようなアミノ酸をはじめ、微量のビタミンやコレステロールの摂取も可能と言われていますね。

アルギニンやタウリンのような成分には、冷えや肩こりを改善したり、疲労を軽減したりする効果が認められています。ハブ酒からの摂取により、多少の健康効果が期待できるかもしれません。

一方でハブ酒に噂されてきた性機能を高める効果については、残念ながら学術的なデータが存在しません。EDの改善効果が期待できるアルギニンについても、効率よく摂取できる食品や飲料がほかにもあるため、ハブ酒にこだわる意義は薄いと言えるでしょう。ほかのお酒と同様に、飲み過ぎに注意して適度に楽しみたいものですね。

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