

監修者
NP+編集長/NESTA-PFT
大森 新
筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識を発信できるよう日々邁進中。

執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
増量・筋肥大をする際に気をつけたい3つのポイント
いきなり増量・筋肥大を目指そうとしてむやみに過食したりオーバートレーニングしたりするのはNGです。
まずは、体重や筋肉を増やして体を大きくする際に知っておくとおすすめな3つのポイントについて解説します。
カロリーバランスが正である

体重増加・筋肥大で体を大きくする場合、消費カロリーよりも摂取カロリーの方が多い状態である「オーバーカロリー」が基本です。
筋肉を合成するためには、十分なエネルギー源となるカロリーが必要不可欠です。
一般的には、1日に必要とされるカロリーにさらに500kcal程度を足した数値が目安といわれています。
そのため、カロリーバランスは摂取カロリーが消費カロリーを上回る状態を維持しなくてはいけません。
とはいえむやみにカロリーを摂り過ぎると脂肪がつきやすくなるため、PFCバランスを意識することが大切です。
理想のPFCバランスはP:F:C=30:20~30:40~50のため、この比率を意識しながら食べる量を増やしてみてください。
テストステロンを増やす
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テストステロンは筋肉の成長を促すのに欠かせない男性ホルモンです。
このホルモンが分泌されることで筋肉の合成が促進され、筋肥大が期待できます。
筋力トレーニングでは、スクワット、デッドリフト、ベンチプレスなどの大きな筋肉群を使う種目がテストステロンを増やすのに効果的と言われています。
上記のビッグ3種目を毎回のトレーニングに必ず取り入れるなどすれば、テストステロンを効率的に分泌できるようになるでしょう。
ただし睡眠が足りていなかったりストレスが溜まっていたりすると、テストステロンの分泌が抑制されてしまうので要注意です。
まずは十分な休養を取りしっかり食べつつ、ストレスと上手に付き合いながら健康的な生活を目指しましょう。
筋肥大だけでなく筋力向上も目指す

筋肉を大きくしたいと考えているのであれば、筋力向上は避けては通れない課題となります。
筋力向上は神経系の発達を促し、筋肉をより効率的に使えるようにするのに欠かせない要素です。
また筋力が向上することで筋肉の収縮力が高められ、より大きな負荷をかけられるようにもなります。
その結果より重い負荷でトレーニングできるようになり、筋肉を成長させることができるでしょう。
筋力向上のためには、できるだけ重い重量を少ない反復回数でトレーニングを行うのがおすすめです。
また、スクワットやベンチプレスなど複数の関節を動かす複合運動などでも筋力が鍛えられます。
増量・筋肥大におすすめのサプリ成分7選
増量や筋肥大で体を大きくするのにおすすめなサプリ成分を7つ、論文や研究を交えて学術的な見地からご紹介します。
今の自分の目的に合ったサプリ成分を選んで、上手に取り入れてみてください。
マルトデキストリン

増量が目的であれば、マルトデキストリンがおすすめです。
マルトデキストリンはでんぷんを分解して得られる糖質の一種で、トレーニング後に素早くエネルギーを補給することができます。
マルトデキストリン(250mgまたは500mg/kg)を1日1回、16日間経口投与したラットの研究を見てみましょう。
こちらの研究では、運動トレーニングと非運動トレーニングのグループを比較すると運動トレーニング群の方が体重が増加していたという結果になりました出典[1]。
また糖質を摂取することで、筋肉内にある筋グリコーゲンが増加します。
この筋グリコーゲンは水分と結びついて筋肉内に補充されるため、グリコーゲンと水分によって筋断面積が増加してバルクアップにもつながるのです出典[2]。
増量して一回り体を大きくしたい方は、ぜひトレーニングのワークアウトドリンクにマルトデキストリンを取り入れてみてください。
プロテイン

筋力向上におすすめなのが、皆さんご存じのプロテインです。
2日間にわたり筋トレの直後にホエイプロテインを25g摂取した実験では、たんぱく質サプリメントを摂取したグループはパワーと筋力において有益な効果が見られ、さらに回復率も向上したという結果になりました出典[3]。
ある研究ではプロテインはどの時間に摂取しても筋量や筋力の増加に差が見られないことが判明したため、いつ飲むかではなく1日あたりの摂取量が重要と言えます出典[4]。
別の実験ではレジスタンストレーニングを行った被験者が1.62 g/kg体重/日を超えるたんぱく質を摂取しても、筋肉はそれ以上増加しないことが判明しました出典[5]。
以上のことから、たんぱく質は1日あたり約1.6 g/kgを目安に摂取するのが妥当でしょう。
ただしプロテインはあくまでたんぱく質を補給するサポート的な要素が強いサプリメントです。
食事から十分にたんぱく質を摂取できていれば、無理にプロテインサプリメントを活用する必要はありません。
EAA

EAAとはたんぱく質を構成するアミノ酸のうち体内で合成できない9種類の必須アミノ酸で、筋肉の合成促進や分解抑制をサポートする筋肥大に欠かせない成分です。
EAA は1.5gから18 g の範囲の投与量で、安静時のたんぱく質合成を刺激すると結論づける研究もあります出典[6]。
同研究ではEAA と運動の効果は相互に作用し、組み合わせると効果が増大することも分かっています。
これは運動による血流増加と血中EAA 濃度の上昇により、運動中の筋肉にEAA がより多く供給されやすくなるためです。
トレーニング中にアミノ酸が不足すると筋肉が分解されてしまうため、トレーニングの30分前〜トレーニング中の摂取をおすすめします。
HMB

HMBとは、必須アミノ酸であるロイシンが体内で代謝されて生成される物質で、EAAと同様に筋肉の合成促進や分解抑制する効果があると言われています。
3gのHMBを7週間にわたり摂取して毎日2~3時間のトレーニングを行った結果、ベンチプレス1回の最大反復(1-RM)が平均15ポンド増えたという研究もあります出典[7]。
また同研究では効果を実感したい場合は1日1gを3回に分けて、合計で1日3gの HMBを摂る必要があるとのこと。
トレーニングの1~2時間前にHMBを摂取すると血中のHMB濃度を上げた状態でトレーニングができるので、パフォーマンスもアップしやすいです。
またHMBは早く体内へ吸収される性質があるため、トレーニング中に摂取すれば筋肉の分解抑制や筋肉合成も促進しやすくなるでしょう。
βアラニン

βアラニンとは、肝臓で内因的に生成される非たんぱく質性アミノ酸のことです。
βアラニンは筋力の向上に寄与すると言われるカルノシン濃度を大幅に増加させる効果があるといわれています。
国際スポーツ栄養学会が発表した論文では1回あたり2~4gのβアラニンを4~8週間にわたって継続的に摂取すると、レッグプレスの筋力が大幅に向上する傾向があると結論づけられました出典[8]。
同研究では毎日4~6g のβアラニンを2~4週間摂取すれば運動パフォーマンスが向上して筋力向上につながると報告されています。
βアラニンは持久力向上にもおすすめの成分なので「最近疲れやすくて思うようにトレーニングできない」という人はぜひ取り入れてみてください。
クレアチン

クレアチンは体内で生成されるアミノ酸の一種で、エネルギー供給をサポートすることで、瞬発的な筋力発揮をサポートしてくれます。
筋力トレーニングと併せてクレアチンサプリメントを56日間、1日0.07g/kgを摂取し続けた実験では、2週間以内にベンチプレス、レッグプレス、ショルダープレス後の筋力が増加したことが明らかになりました出典[9]。
クレアチンはトレーニング終了後のタイミングで摂取するのがおすすめです。
トレーニング後にすぐ糖質を摂取することで筋グリコーゲンの回復が促されて筋分解の抑制にもつながるので、マルトデキストリンとセットで飲むと筋分解を防ぎながら効率良く筋力アップを目指せるでしょう。
また血糖値を下げるホルモンとして知られるインスリンはクレアチンの筋肉への吸収率を高める作用があるので、炭水化物を摂る食事の後に飲むのもおすすめです。
テスノア

筋肉量の増加や筋力の向上にも欠かせない男性ホルモンであるテストステロンを高めたい人は「テスノア」がおすすめです。
テスノアはテストステロンブースターとして今注目を集めているサプリメントのひとつ。
ザクロの果皮とカカオ種子から抽出した成分を組み合わせた天然成分です。
ザクロ由来のプニカラギンを3.5%、カカオ由来のテオブロミンを0.5%含むように規格化されています。
特に筋力や筋肉量など、スポーツ分野における臨床試験が積極的に行われています。
120名の36~55歳の健康な男性参加者において、200mg/日または400mg/日のテスノアを摂取するランダム化比較試験では、200mg/日群は39.16%、400mg/日群は48.28%遊離テストステロンが増加し、さらに握力の大幅な改善も見られました出典[10]。
トレーニーやボディビルダーには積極的に取り入れてほしいサプリメントです。
サプリも活用して健康的な体重増加・筋肥大を目指そう
今回は増量や筋肥大で体を大きくするために知っておきたいポイントやおすすめのサプリメント成分を紹介しました。
しかし、今回紹介したサプリメント成分さえ摂取すれば劇的に身体が変わるわけではありません。
トレーニング量や食事、休養などすべての要素がそろってはじめて健康的な増量や筋肥大を目指せます。
これらのサプリメントは、あくまで増量や筋肥大のサポートとして使用しましょう。
まずは冒頭で紹介した3つのコツを実践してから、自分の目的に合ったサプリメントを選んでみてくださいね。
出典
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