

執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
男性の性欲のカギはテストステロンにあり!
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「若いころよりも性欲が落ちた気がする」「ムラムラしなくなってきた」などの悩みを抱えていませんか?
男性の性欲が低下した場合、テストステロンの減少を疑う必要があります。
テストステロンは性欲や性機能をはじめ、身体面や精神面にもさまざまな作用を及ぼす男性ホルモン。体内量は20歳がピークであり、その後は加齢とともに減少します。
とくに40歳を過ぎてからはテストステロンが急激に減少するため、ホルモンバランスの乱れによる男性の更年期障害が、性欲や勃起力の低下という形で見られることもあるようです。
40~70歳の男性1156名を7~10年にわたり追跡したデータでは、総テストステロンが1年につき0.8%減少。さらに性機能をはじめさまざまな作用をもたらす活性型の遊離テストステロンは、1年につき約2%と、より減少幅が大きいことがわかっています出典[1]。加齢による影響がいかに大きいものであるかがわかりますね。
さらにテストステロンの減少は、肥満や栄養不足、過度のストレスなど、さまざまな生活習慣によっても加速することがわかっています。性欲の低下に悩まされている男性は、普段からテストステロンが減るような生活習慣を、無意識のうちに続けている可能性も考えられるでしょう。
毎日の過ごし方を改めるだけでも、性欲の落ちにくい若々しい体に近付けるかもしれません。
性欲が弱い男性に見られやすい10の特徴
何もしなくても、性欲は加齢によるテストステロンの減少にともない落ちていくものです。加えてテストステロンが減るような過ごし方をしている場合、さらに性欲は弱まってしまうでしょう。
ここからは性欲が弱い男性に当てはまりやすい特徴について説明します。自身の過ごし方を見直すための参考として、ぜひご活用ください。
BMI25以上の肥満体型

体脂肪の増えすぎはテストステロンに悪影響を及ぼすことがわかっています。若いころよりも体重が増えた方や、肥満体型を長らく改善できていない方は、食生活を中心とする暮らし方の見直しが必要かもしれません。
中国の男性448人を対象にBMIとテストステロン濃度を調べた研究では、BMIが上がるほど血清テストステロンが低いという逆相関関係が見られたと報告されています出典[2]。
しかし、なぜ肥満がテストステロンを減らしてしまうのでしょう。
肥満の主な問題として、増えすぎた脂肪組織による炎症リスクがあります。炎症を起こした脂肪組織は炎症性サイトカインを放出出典[3]。炎症により多量の活性酸素が発生し、酸化ストレスとしてテストステロンの合成場所である精巣にダメージを与えてしまうのです。精巣の機能が落ちれば、テストステロンも合成しづらくなるでしょう。
加えて脂肪組織の炎症により、アロマターゼと呼ばれる酵素が増えることも問題です出典[2]。アロマターゼはテストステロンを、女性ホルモンのエストラジオールに変換する酵素。肥満によりアロマターゼの分泌量が増えれば、より多くのテストステロンがエストラジオールへ変換されてしまうでしょう。
体脂肪を適正な量に保つためにはやはり原料が肝心。BMIが25を超えるような肥満体型の方は、食事の内容や量、運動習慣を見直してみましょう。
お菓子やジャンクフードを食べ過ぎている

毎日の食事をピザやカップ麺などのジャンクフードで済ませていませんか? 夕食の代わりにスナック菓子や菓子パン、炭酸飲料などでお腹を満たしていませんか?
調理の必要がない食品で夕食や朝食を済ませるケースは、自炊の習慣がない一人暮らしの男性によく見られます。
体に悪い食事であることはなんとなく感じているかもしれませんが、このような食事は実は性欲においても悪影響。とくに高カロリーで肥満になりやすいことと、糖質が多いため血糖値を急激に上げやすい点がとくに問題となるでしょう。
活性酸素は血糖値の急上昇によっても発生し、酸化ストレスとして精巣を傷付けます。実際、血糖値は一時的な上昇でもテストステロンを大きく減らすことが分かっています出典[4]。血糖値の急上昇を繰り返せば、テストステロンの合成能力はますます落ちてしまうでしょう。
論文においても、ファーストフードや清涼飲料水の摂取で、テストステロンの減少リスクが高まることが確認されています出典[5]出典[6]。
ジャンクフードやファーストフード、ジュースや菓子類は性欲の大敵と覚えておきましょう。これらの摂取を控えるだけでも、肥満と血糖値の急上昇のリスクを抑えやすくなります。外食でのラーメンやチャーハンの大盛注文や無料のおかわりを避けるよう意識すると、さらに性欲の低下を防ぎやすくなるでしょう。
野菜、果物、魚を食べる習慣がない

自炊をしない一人暮らしの男性においては、野菜、果物、魚などを食べる機会が極端に少なくなりがちです。
コンビニやスーパー、手軽な外食チェーン店では、値の張る野菜や果物よりも、安価でお腹を満たせるおにぎりや麺類、丼もののような主食と、天ぷらや唐揚げのような揚げ物が重宝されがち。
しかし野菜や果物、魚を摂らない生活が続くと、ビタミンやミネラル、ポリフェノールや食物繊維などが不足しやすくなるでしょう。
これらは体調を整えたり肥満のリスクを下げたりするほか、テストステロンの合成効率を高めるためにも重要な栄養素です。
たとえばビタミンD、亜鉛、マグネシウムなどは、テストステロンの合成に関わることが知られています出典[7]出典[8]。また、野菜や果物から摂れるポリフェノールや抗酸化ビタミン、魚介類から摂れるω‐3系脂肪酸は抗酸化物質として機能し、活性酸素に弱い精巣を守る効果も出典[9]出典[10]。
とくに亜鉛が不足すると、精巣の炎症や酸化ストレスによるダメージが増えてしまい、精巣の発育不全やテストステロンの減少につながることがわかっています出典[11] 。
1食につき1品は野菜料理を購入する、外食では唐揚げ定食よりも刺身定食を選ぶ、甘いものが食べたいときにはカットフルーツを選ぶ、などの取り組みで、野菜や果物、魚を食べる機会を増やしましょう。
過激なダイエットをしている

太りすぎると性欲が落ちやすくなりますが、焦って急激に体重を落とすのもよくありません。
減量にともなうテストステロンの減少、および筋肉量の減少は、ボディビルダーのような急激に体重を落とす必要のあるアスリートの課題としてよく取り上げられています。
たとえば18人の一流レスラーの減量期においては、2~3週間で体重を約8.2%、体脂肪を約16 %落とせていますが、同時にテストステロンが63%、除脂肪体重も約7.9%減少したと報告されています出典[12]。
短期間での過激なダイエットで体脂肪のみを落とすことは難しく、テストステロンの減少は避けられないものと考えるべきです。
さらに過激なダイエットでは除脂肪体重が減ることも問題です。実はテストステロンは、筋肉組織でも局所的に合成されることがわかっているのです出典[13]。テストステロンの合成場所である筋肉が減るほど、テストステロンも増やしにくくなるでしょう。
とはいえ肥満の改善は、テストステロンを増やすための最優先事項。体質改善のため、焦らずスローペースで減量に取り組みましょう。今すぐ減量しなければ健康に関わるような重度の肥満のケースを除き、減量は1か月に1~2kgのペースに留めることをおすすめします。
睡眠時間が1日5時間未満
夜更かしが習慣になっている方も要注意。睡眠時間が減れば減るほど、テストステロンは合成されなくなると考えましょう。なぜなら睡眠中こそ、テストステロンが最も多く分泌されるゴールデンタイム出典[14]。
テストステロンの分泌能力が十分にあるはずの若い男性でも、5時間睡眠を1週間続けただけで、血中テストステロンが10~15%減少したというデータが確認されています出典[15]。睡眠時間の減少が、テストステロンにおいていかに深刻なものであるかがわかるでしょう。
また、1日7時間未満の短時間睡眠が習慣化すると、性欲低下に関わる肥満をはじめ、糖尿病や高血圧などのメタボに関わるリスクも上がります出典[16]。
たとえば健康な若い男性が4時間睡眠を2日続けただけで、1日10時間眠った場合よりも、食欲を抑えるホルモンのレプチンの分泌量が減少し、食欲を高めるホルモンのグレリンの分泌量が増加したとの報告があります出典[17]。
短時間睡眠が肥満の原因となる理由のひとつに、食欲のコントロールが難しくなる点が挙げられそうですね。
性欲を増やしたければ睡眠時間を増やすべし。夜更かしを避けて、夜にまとまった睡眠を取れるよう過ごし方を改めましょう。寝付きを良くするために、夕方以降のカフェインの摂取を避ける、温かい湯船にゆっくり浸かる出典[18]、などの方法も効果的です。
1日ビールロング缶1本以上の飲酒を続けている

毎日お酒を飲んでいる方、飲み会の度にふらつくほど大量に飲んでしまう方、今日からすぐに量と頻度を見直しましょう。お酒はテストステロンの大敵。次のようなさまざまなメカニズムでテストステロンを減らし、性欲を弱めてしまうのです。
- 体内の抗酸化活性を下げる出典[19]
- テストステロンを減らす物質「アロマターゼ」を増やす出典[20]
- テストステロンを分泌する指示を出すホルモンの生成を阻害する出典[21]
- 糖質の多いビールや日本酒が肥満のリスクを高める出典[22]
- 睡眠の質を下げてテストステロンの分泌量が増えるゴールデンタイムを逃す出典[14]
これだけのデメリットに目をつぶることは非常に難しく、やはり性欲とお酒の両立は難しいと言わざるをえません。
とはいえ、お酒好きの方に断酒は酷なもの。またお酒の場での交流を持つ必要がある方においても、お酒を全く飲まないようにするのは難しいでしょう。
アルコールと性ホルモンの関係を調べた論文では、1週間に7単位、1日1単位未満(純アルコール換算で1日20g未満)の摂取であれば、性ホルモンへの影響が出にくいと述べられています出典[21]。
純アルコール量は、お酒の容量とアルコール度数、さらにアルコールの比重「0.8」を掛け合わせて計算できます。アルコール度数5%のビールであればロング缶1本が上限となるでしょう。
【一般的な酒類のアルコール度数と適正量の目安】
アルコール度数 | 純アルコール20g相当量 | |
---|---|---|
ビール | 約5% | 500mL(ロング缶1本) |
日本酒 | 約15% | 約165mL(1合弱) |
ワイン | 約12% | 約208mL(グラス1杯半) |
ウイスキー | 約40% | 約63mL |
焼酎20度 | 20% | 125mL |
焼酎25度 | 25% | 100mL |
1日の歩数が4000歩未満

休日は外に出ずに自宅でテレビやネット動画ばかり見ていませんか?仕事もデスクワーク中心、かつ車通勤の場合、1日の歩数が4000歩を切るケースも珍しくありません。
しかし1日の歩数が減れば減るほど、テストステロンを増やしづらくなる可能性が、アメリカの男性を調べた調査で明らかになっています出典[23]。
総テストステロン 低値の人の割合 (250ng/dL未満) | 遊離テストステロン 低値の人の割合 (6.5ng/dL未満) | |
---|---|---|
~4000歩 | 23.1% | 37.1% |
4000~8000歩 | 10.8% | 17.3% |
8000~12000歩 | 4.82% | 9.8% |
12000歩~ | 6.52% | 2.2% |
歩数の量によるバラつきはあるものの、1日4000歩未満の方では低テストステロンのリスクがとくに大きいことが読み取れるでしょう。
また、座りっぱなしの生活では精巣が圧迫されてダメージを受けやすいこともわかっています。デンマークの若い男性1210名を調査した論文では、テレビを座って1日5時間以上視聴する男性は、長時間視聴をしない男性よりもテストステロンが低いと述べられています出典[24]。
性欲を高めるためにはこまめに立ち上がり、積極的に歩くことが重要と言えそうですね。
1日の歩数が1000歩増えると総テストステロンが7ng/dL増えるとのデータも存在します出典[23]。通勤時間や休日の余暇を利用して、ぜひウォーキングや軽いジョギングなどを取り入れましょう。
屋外で歩くと、テストステロンの合成に関わるビタミンDが日光浴により合成されるため、性欲アップにさらに効果的です%出典[25]。天気のいい日にはぜひ外に出てみましょう。
ランニングへ熱心に取り組んでいる

ジョギングやランニングのような有酸素運動は効率的に脂肪を減らせるため、ダイエットのために取り入れている方もいるかもしれません。しかしマラソンやサイクリングのような長時間の持久力運動に取り組む場合には注意が必要。
持久力トレーニングで筋肉に負荷がかかると、炎症とともに活性酸素が大量に発生します。精巣にダメージが加わり、テストステロンの合成効率を落としてしまう可能性があるのです。
持久力トレーニングとテストステロンの関係を調べた論文では、25分~数時間、あるいは数日かけて行うような長期の持久力運動で、血清テストステロン濃度は上昇しないか、あるいは運動時間が長引くほどに減少すると報告されています出典[26]。
また持久力トレーニングに5年以上取り組んだ男性は、運動不足の男性よりも総テストステロン濃度が低いことも確認されています出典[27]。持久力トレーニングによるテストステロンへの影響が、肥満や筋肉量の減少リスクが大きいはずの運動不足の状態よりもさらに大きいというのは驚くべきことですね。
もちろん、ジョギングやランニングが絶対にダメというわけではありません。持久力トレーニングによるテストステロンへの影響は、少ないものでは25分以上で見られているため出典[26]、トレーニングの時間を短めに調節するとよいでしょう。筋肉痛を長引かせないため、体を休める日を作ることも重要です。
ストレスを溜め込みやすい

ストレスの溜まりすぎでイライラしたり、気分の落ち込みを繰り返したりしている方も要注意。精神的ストレスが継続すると、テストステロンが低下して性欲も弱る可能性があるのです。
ストレスの多さとテストステロンに関する研究は複数確認されています。たとえば1992年にニューヨークの病院により発表された論文では、ストレスを受けやすい立場にある病院の研修医のテストステロンは、同じ病院のほかの職種の方の平均値より約42.7%も低いとのデータが得られています出典[28]。
また、2023年にスイスから発表された論文では、士官学校の生徒が長期かつ重度のストレスを受け続けた場合、12週間で朝の唾液テストステロン濃度が平均約4.5pg/mLから約3.0pg/mLまで減少したと述べられています出典[29]。
ストレスを受け続ける立場の人間は、よりテストステロンが減りやすいことがわかるでしょう。
しかしこのストレスによるテストステロンの減少は可逆的なもの。先ほどの士官学校の生徒たちはストレス期間から脱すると、テストステロンの値はストレスを受ける前の状態まで回復したのです出典[28]。
仕事や家庭での対人関係や健康問題など、現代にはストレスを抱える要因が数多くあります。過度のストレスを浴び続けることのないよう、ストレスを発散する時間を設けたり、ストレスの少ない環境を選んだりすることも重要となるでしょう。
テストステロンを減らす疾患への罹患や薬の服用がある

治療中の疾患がある方や、治療や体調管理のために服薬を続けている方においても、テストステロンの減少による性欲の低下が見られる場合があります。
たとえば糖尿病や睡眠時無呼吸症候群のような疾患では、テストステロンの低下が見られやすいことがわかっています出典[30]出典[31]。
また、うつ病や不安障害などの治療に用いられる抗うつ薬や出典[32]、脱毛症や前立腺肥大のためのAGA治療薬の一部などでも、テストステロンや性機能に支障が出る可能性があり、性欲への影響は無視できないでしょう。
疾患や薬の影響をすぐに取り除くことは難しいものです。性欲を回復させるためにも、まずは今の疾患の治療に専念しましょう。
とくに糖尿病や睡眠時無呼吸症候群は、食べ過ぎによる肥満を原因のひとつとしています。食事量を調整して肥満を改善できれば、疾患の管理とテストステロンの増加、両方の効果が期待できるでしょう。
テストステロンに影響がある薬を飲んでいる場合でも、自己判断での断薬は厳禁です。担当医に性機能の低下に悩んでいることを伝えたうえで、テストステロンへの影響が少ないものへ薬を切り替えてもらえるか相談してみましょう。
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男性の性欲低下には多くの場合、男性ホルモンであるテストステロンの減少が関係しています。
食べ過ぎや飲みすぎ、睡眠不足、運動不足、お酒の飲みすぎなど、テストステロンを減らすリスクの高い生活習慣はさまざまです。日々の過ごし方によりテストステロンの減少をさらに悪化させないよう、今の生活習慣を見直してみましょう。
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