男性でも子作り中のアルコールはNG?恐ろしい4つの影響とは
2025年2月23日更新

執筆者

管理栄養士

井後結香

管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。

男性の飲酒が妊活に与える悪影響とは?

女性の間では、妊活中や妊娠中のお酒がNGというのは常識として浸透しています。しかし男性の飲酒も妊活に影響を与えることはあまり知られていないのではないでしょうか。

まずは男性の飲酒により生じる可能性がある、妊活への悪影響について説明します。

 

1.テストステロンの減少により性行為が困難になる

大量にお酒を飲んでからの性行為で、立ちが悪くなったり射精が難しくなったりした経験はありませんか?

飲みすぎにより男性ホルモンのテストステロンが減少して、性行為に支障をきたし、自然妊娠が難しくなる可能性があるのです。

テストステロンは主に精巣で分泌される男性ホルモン。性欲や勃起力、精子の製造など、生殖機能全般を担っています。テストステロンの体内量は20代がピークで、以降は加齢とともに減少出典[1]加えて暴飲暴食や睡眠不足など、生活習慣の乱れによってもテストステロンの減少は加速することがわかっています。

ではなぜ、アルコールはテストステロンを減らすのでしょう。

まず、アルコールはテストステロンの分泌指示を鈍らせるように働くため、テストステロンの分泌量が不足します出典[2]

加えて過剰な飲酒では、テストステロンを女性ホルモンのエストラジオールへ変換する酵素、アロマターゼの発生量が増えるため、さらにテストステロンが減りやすくなるでしょう出典[3]

また、アルコールによる眠気は入眠をスムーズにするものの、数時間後からの中途覚醒を増やすため、結果として睡眠不足のリスクが高まります出典[4]睡眠中はテストステロンの合成量が最も高まるゴールデンタイム出典[5]。そのため睡眠不足はそのままテストステロンの不足につながるのです。

このように、アルコールはさまざまな理由でテストステロンを減らしやすいことがわかるでしょう。

 

2.精子の量や質が落ちて妊娠の成功率が下がる

お酒の飲みすぎにより、妊娠の成立に欠かせない精子の量や質に影響が出る可能性もあります。

活性酸素という言葉を聞いたことはありませんか? 私たちの呼吸や代謝において一定量必ず発生するもので、過剰な発生は酸化ストレスとなり、細胞にダメージを与えることで知られています。

アルコールを肝臓で代謝する過程で、大量の活性酸素が発生します。さらにアルコールの代謝では体内に存在する抗酸化物質のひとつ、グルタチオンが消費されるため、体内の抗酸化能力が大きく低下出典[6]酸化ストレスの状態を招き、細胞を傷付けてしまうのです出典[7]

精子の製造場所である精巣は、活性酸素の影響を非常に受けやすい繊細な組織です出典[8]。アルコールにより最も大きなダメージを受ける組織のひとつと考えられるでしょう。

アルコール摂取により精液の組成を変化させて、精子の生存率と妊娠の成功率を下げる可能性が指摘されている論文や出典[9]、アルコールの摂取量が増えるほど、精子総数、精子濃度、精子の正常形態率が低下すると述べる論文なども確認されています出典[10]

活性酸素を増やしやすい飲酒を続けることで、精子の減少や質の低下が起こりやすくなると考えられるでしょう。

 

3.糖質を含むお酒やおつまみが肥満の原因に

アルコールのカロリーは体に蓄えられないためエンプティカロリーと呼ばれています出典[11]。そのためお酒の飲みすぎでは太らないと考える方も多いようですが、ビールや日本酒のような糖質を含むお酒や、スナック菓子やチョコレートのような高糖質のおつまみには要注意

糖質により血糖値が急上昇すると、血糖値を下げるためのホルモン、インスリンが大量に分泌され、血中の余った糖が体に蓄えられます。

糖は肝臓や筋肉にもグリコーゲンの形で貯蔵できますが、グリコーゲンの貯蔵量には限界があり貯蔵しきれなかった糖はすべて脂肪組織へ。糖質の多い食べ物が太るリスクを高めるとされるのはこのためです。

増えすぎた脂肪組織からは活性酸素が大量に発生し、酸化ストレスを増やしてしまいます出典[12]精巣がダメージを受ければ、精子やテストステロンを十分に増やせなくなるでしょう。

また、脂肪組織が炎症を起こしたインスリン抵抗性の状態になると、テストステロンを女性ホルモンのエストラジオールに変換する酵素、アロマターゼの発生量が増加出典[13]。テストステロンの減少リスクがさらに高まります。

肥満男性では精子濃度、精液量、精子の運動率の低下など、妊娠に関わる精液のさまざまなステータスが落ちることもわかっています出典[14]

太るリスクを下げるため、お酒やおつまみの種類も見直す必要があるでしょう。

 

4.胎児の発育に影響を与える可能性も

妊娠中の女性の飲酒が禁忌であり、妊活中もお酒をやめるべきであることは広く知られていますが、その理由はアルコールが胎児に影響を与えるためです。子どもの低体重、発達遅延、脳障害、顔面を中心とする形態異常などは、胎児性アルコール・スペクトラム障害と呼ばれており、禁酒による予防が唯一の対策となります出典[15]

同様に、男性も精子がアルコールの影響を受けた場合、受精後の胎児の発育に影響を及ぼす可能性があると考えられているのです。

たとえば性行為前に父親がアルコールを摂取していた場合、胎児性アルコール・スペクトラム障害のリスクが高まることがわかっています出典[9]

父親のアルコール摂取量が多いと、子どもの出生時の小頭症のリスクが高まるとの報告も出典[16]

またアルコール依存症の父親の子どもでは、認知能力が低下したり多動性のリスクが高まったりすることがわかっています出典[9]。さらに不安や抑うつの傾向を示しやすくなったり、知覚運動能力や記憶力などが低下したりする可能性があるとの報告も出典[16]

一方で、父親の飲酒の影響は母親の飲酒や喫煙に比べるとはるかに低く、胎児性アルコール・スペクトラム障害のリスクを有意に高めるものではないとするデータも存在しており出典[17]、母親の飲酒ほど明確な結論が出ているわけではないようです。

しかし胎児への悪影響を避けたい場合には、男性もお酒の飲み方を見直した方がよいかもしれません。

 

妊活男性が意識したいお酒との付き合い方

アルコールによる悪影響をなくしたい場合には断酒が一番。しかしお酒好きの方や、人付き合いの場でお酒を飲む機会が多い方ではそれも難しいでしょう。

そこでアルコールの害を抑えつつお酒を飲みたい方向けに、妊活に配慮したお酒との付き合い方の例をいくつか解説します

飲みすぎている自覚がある方や、妊娠の成功率を高めたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

1日に純アルコール換算で20gまで

お酒によるテストステロンの減少、および精子の量や質の問題を抑えたい場合には、1日の飲酒量を「純アルコール換算で20g未満」に抑えることをおすすめします。

さまざまな男性の飲酒状況と生殖能力を調べた研究では、週7単位(純アルコール換算で140g)未満のアルコール摂取では、全くアルコールを摂らない方との間に、精子濃度、精子数、精子の運動性や正常形態率、テストステロンなどに差が生じなかったと報告されています出典[3]

一方、週7単位以上を習慣的に飲む場合には、精液量の減少をはじめ、精子や性ホルモンにさまざまな悪影響があることが確認できました出典[3]

以上より、妊活をスムーズに進めるためには週7単位未満、1日に1単位(純アルコール換算で20g)未満での飲酒が適切と言えそうですね。

純アルコール量は、お酒の容量とアルコール度数、さらにアルコールの比重「0.8」を掛け合わせて算出できます。一般的なお酒の適量を次の表にまとめました。

【一般的な酒類のアルコール度数と適正量の目安】

 

アルコール度数

純アルコール20g相当量

ビール

約5%

500mL(中瓶1本)

日本酒

約15%

約165mL(1合弱)

ワイン

約12%

約208mL(グラス1杯半)

ウイスキー

約40%

約63mL

焼酎20度

20%

125mL

焼酎25度

25%

100mL

これらを大きく上回る飲酒を続けている場合には、1日あたりの量を減らしてみましょう。

 

節酒は妊活開始の3か月前から

精子の量や質を改善したり、胎児への影響を減らしたりする目的で節酒に取り組んでも、すぐさま妊活への悪影響がなくなるわけではありません。

ヒトの場合、精子は精巣にある精原幹細胞から65日で成熟精子に発達するとされています出典[18]。また、精子の形成周期は1周あたり3か月とする見解もあります%%%出19%%%。

つまり節酒や断酒を開始してから、アルコールの影響のない精子を用意できるまでには約3か月かかるということ。節酒や断酒をはじめてすぐの状態では、効果が期待できないことがわかるでしょう。

一例として、アルコール中毒の男性が飲酒を完全にやめたところ、アルコール断ちから3か月以内にアルコール中毒を原因としていた無精子症が改善し、精子パラメータも正常になったとの結果が確認されています出典[19]

慢性的に大量のアルコールを飲む習慣があるような方でも、断酒後には精子の量や質に劇的な改善が見られたというのは驚くべきことですね。

お酒を飲みすぎているという自覚がある場合には、妊活の準備のため、3か月かけて自身の体調や精子の状態を整えるとよいかもしれません。

 

ビールや日本酒よりウイスキーを選ぼう

飲酒による活性酸素や肥満のリスクを減らすため、お酒の選び方にも注意しましょう。

お酒には糖質を含む醸造酒と、糖質を含まない蒸留酒があります。

醸造酒:ビール、日本酒、ワインなど
蒸留酒:ウイスキー、焼酎、ジン、ラムなど

日本でよく飲まれる酒類の血糖値の上がりやすさを調べた論文では、ビール、日本酒、焼酎をそれぞれエタノール40gに相当する量だけ飲んだ場合の、血糖値の上昇幅やインスリンの分泌量などが調べられました。

その結果、血糖値の上昇幅とインスリンの分泌量はビールを飲んだ場合が最も多いことがわかっています。日本酒もビールよりは少なめでしたが血糖値が上昇しました。

しかし糖質を含まない焼酎では血糖値の上昇がほとんど見られず、インスリンの分泌量も大きく抑えられていたのです出典[20]

血糖値を上昇させないお酒を選べば活性酸素が発生しづらくなります。インスリンの分泌量を抑えられれば、体に脂肪が付くリスクも減らせるでしょう。

妊活に取り組む際には、焼酎、ウイスキー、ウイスキーを割ったハイボール、これらをベースにしたカクテルなどを選び、血糖値の上昇を抑えましょう。ただしハイボールやカクテルでは糖類を加えて飲みやすくしたものもあるため要注意。血糖値の上昇を防ぎたい場合には無糖のものがおすすめです。

 

飲んだ次の日は休肝日にする

精子や精液への影響を抑えるため、毎日の飲酒は控え、休肝日を必ず設けましょう。飲んだ次の日には休肝日にできる程度の頻度をおすすめします。

アルコールの摂取頻度と精液や精子の質への影響を調査した論文では、お酒を毎日飲む人は、お酒をときどき飲む人や全く飲まない人よりも、精液量、精子濃度、精子の運動性や正常形態率などが悪化していたことがわかっています出典[21]

一方、ときどき飲む人は全く飲まない人よりも精液量がやや減少していたものの、精子濃度、精子の運動性や正常形態率には悪影響が見られなかったと述べられています出典[21]

毎日の習慣的な飲酒を避けることで、精子のステータスを守る効果が期待できるでしょう。

また、休肝日を設けず毎日飲み続けると肝臓への負担が増える点にも注意が必要です。アルコール性肝疾患や肝硬変の男性では血清テストステロンの減少や生殖能力の低下が見られやすいことがわかっています出典[3]出典[22]

生殖機能を落とさないようにするためには、肝臓を健康的に保つことも重要。休肝日で肝臓をいたわり、精子やテストステロンを増やしやすい体を維持しましょう。

 

低糖質かつ低脂質なおつまみで悪酔い防止

飲酒でのアルコールの血中濃度を一気に上げないようにするためにも、おつまみを食べることは重要です。しかし血糖値の急上昇や肥満のリスクを抑えるべく、おつまみの種類にもこだわる必要があるでしょう。

血糖値の急上昇を抑えるためには低糖質の、肥満のリスクを抑えるためには低脂質のおつまみがおすすめです。

糖質の多いおつまみといえば、日本酒によくあう大福やおはぎなどの和菓子です。プリッツェルやチョコレート、ラスクのような洋菓子も避けた方がよいでしょう。

脂質の多い食品では、とくに肉類やチーズ、スナック菓子などに注意すべきです。たとえば肉の脂身や乳製品などに多い飽和脂肪酸を中心とする食事では、精子の質が下がりやすいことがわかっています出典[23]

またジャンクフードやスナック菓子に含有の多いトランス脂肪酸の摂取量が増えるほど、精子数が減るとの報告も出典[24]。妊活を意識する際にはとくに避けた方がよいでしょう。

低糖質かつ低脂質

高糖質

高脂質

キムチ(白菜)

野菜スティック

山芋

枝豆

するめ

焼き鳥

チョコレート

ビスケット

プリッツェル

ラスク

大福

おはぎ

スナック菓子

ジャンクフード

唐揚げ

チーズ

ベーコン

サラミ

野菜類ではキムチや枝豆、たんぱく質を摂りたい場合にはするめや焼き鳥がおすすめです。悪酔いを防ぐため、ぜひこれらのおつまみを取り入れてみましょう

 

24時間以上の断酒で性行為をスタート

飲酒後の性行為がスムーズに進まなかった経験がある方は、飲酒の影響を抑えるため、性行為前にはお酒を控えた方がよいでしょう。

飲酒によるテストステロンの減少により、十分に興奮できなくなったり、勃起の指令が十分に出せなくなったりする可能性があります。また、アルコールの摂取量が増えると鎮静効果が強まるため、さらに興奮や射精が難しくなるでしょう出典[25]

飲酒から性行為の間までに数時間空ければよいのでは、と考える方も多いかもしれません。しかし大量のエタノール摂取による影響を調べた論文では、テストステロンの減少が飲酒後24時間後まで続いたと報告されているのです出典[26]。アルコールの体への影響が、非常に長く続いていることがわかるでしょう。

アルコールに性行為の時間を邪魔されたくない方や、遅漏に悩んでいる方は、思い切って性行為の前日の夜から断酒してみましょう。

 

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飲酒習慣は子作りの妨げとなる可能性があるため、摂取または断酒で体調を整える必要があります。

量や頻度を落としたり、お酒やおつまみの種類を選んだりして、性欲や性機能、精子の質などに影響の出にくい範囲で飲酒を楽しみましょう。

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